日々雑感
2002年5月
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愛を与えてください、あなたの心が痛むほどに
マザー・テレサ


02/05/31 (金)
 今日はW杯開催日ということで何処のテレビ局もサッカー関連ばかり・・・【視聴予定】も意味をなさない。カラオケは別として、個人的にもこういうお祭騒ぎはあまり好まないほうだ。群集が熱狂するという場面では、どういうわけか俯瞰してしまう傾向がある。立ち止まって傍観し、後ろを振り返って帰ってしまうようなところがある。それでいて自分が納得さえしてしまえば、周囲の忠告にも耳を傾けず、まっしぐらに突き進む面もある。つまりは自分勝手なのだ。社会性の欠如と言っていいだろう。良く言えば、周囲に惑わされない自由意志の希求者というべきか・・・世間で言うところの単なるバカなのかも知れぬ。自分で自分が分からない自己矛盾を抱えながら、自分探しの暗中模索を繰り返している。勝負の狂奔とは無縁の世界で生きていることだけは確かだ。

 昨夜のニュースステーションでは、脊髄液が漏れる低髄液圧症候なる病気が紹介されていた。頭痛、吐き気、目眩といった症状を伴うこの聞き慣れない病気は、全国に数十万人の患者がいるのではないかと推定されている。脳と脊髄は硬膜に覆われていて、その中は髄液という液体に満たされている。その硬膜が破れて髄液が漏れることを「低髄液圧症候」と呼んでいる。スキーや格闘技などの激しいスポーツ、自動車事故でのむち打ち症、出産など低髄液圧症候になる要因は至るところにあるという。中には咳をしただけで硬膜が破れて髄液が漏れる場合もあるという。髄液が漏れると、髄液の中にある脳が下がって頭蓋骨の間に隙間ができる。そのことが頭痛、目眩といった症状を引き起こす。それに気付かず長年にわたって苦しんでいる、潜在的な患者もいるのではないかと推測されている。これを治療するには自分の血液を髄液に注入するブラット・パッチ(Blood patch)という手術が唯一効果的だと言われている。血液を髄液の中に注入すると脳が正常な位置に戻り、血液の凝固成分フェブリンが硬膜の破損部分を塞ぐ。自分の血液を注入するので副作用はない。しかし、こうした症例の診察や治療法はまだ確立されておらず、医師が低髄液圧症候だと断定するに至る場合も稀だと言われている。つまり医師も本人も低髄液圧症候だと知らずに苦しんでいる例が殆どらしい。そのまま知らずにいれば記憶障害を引き起こすなど深刻な事態になることも考えられる。咳き込んだだけで硬膜が破れて髄液が漏れることもあるという、この低髄液圧症候の症状には思いあたる人もいるのではないか。
 【写真解説】低髄液圧症候
 実は私もここのところ目眩に悩んでいるのだが、低髄液圧症候の他の症状にも思いあたる節がある。何より逼迫せる生活費が漏れているのだから、仮に低髄液圧症候と分かっても治療費は払えない。日本経済という髄液も漏れっぱなしで、政府首脳も沈下する体たらくにおいて、国民の血税ばかりが注入されてきた。それで尚且つ経済硬膜の穴は広がるばかりで修復不可能というのだから「バブル経済破綻を引き起こして食い逃げした責任者を呼び戻せ!」と言いたくなる。彼らには個人財産没収と刑務所収監というアメリカの法律を適用するのが妥当というものではないか。それを出来ない、しようとしない日本政府は彼らの食い逃げを経済犯罪と認知していないことになる。不思議な国だとしか言いようのないニッポン・・・奇怪と言うべきか・・・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe 1749-1832)曰く「ハンマーは支配者、打ち曲げられる鉄板は民衆。勝手気ままなめくら打ちに、いつまでたっても金ができあがらねば、鉄板こそ迷惑である」
 
02/05/30 (木)
 気になるニュースが三つほどある。一つは日本の「阪急電鉄、創業家の小林会長が代表権返上へ」というもので、瑞宝章を授与されたとして今月8日の日誌に詳しく書いた。二つ目は「リビアがパンナム機撃墜事件で補償金提示 条件つき」、そして三つ目は「結婚していた?アラビアのロレンス」といった互いに何の脈絡もないようなニュースである。とりあえずアラビアのロレンスのニュースから入る。

結婚していた?=英で証拠文書−アラビアのロレンス

 【ロンドン29日時事】29日付の英紙タイムズは、第1次大戦中、アラブ人部隊による対トルコ・ゲリラ戦を助け、「アラビアのロレンス」と呼ばれた英国人トーマス・エドワード・ロレンスが、実は独身ではなく、英国人女性と結婚していたことをうかがわせる文書が見つかった、と報じた。 (時事通信)

 ロレンス(Thomas Edward Lawrence 1888-1935)の恋愛においては七柱献詩「S.A.」の謎が有名で、恋人に捧げられたと思われる献詩の中のイニシャル「S.A.」とは誰なのか?今も研究者の間では論議が続いている。映画「市民ケーン」でもそのストーリーは、富豪が死ぬときに呟いた「薔薇の蕾」の謎を解くといった設定になっていた。ロレンスが少年愛の性癖があって女性を愛せなかったとか、私にはあまり興味がないが知りたい向きは七柱献詩「S.A.」の謎を参照にされたい。
 彼については私も過去の日誌で何度か取り上げてきた。参照、1998/8/192001/1/7 一年前の日誌では「女王陛下のロレンスは中東紛争の火種をつくった」として、ロレンスが英国諜報部員であることを強調していた。ちと整理したい。

●1915年「マクマホン書簡
 イギリスの高等弁務官マクマホン(Arthur Henry Mamahon)がアラブに民族独立を約束して、ロレンスをアラビアに送ってオスマン・トルコを倒す。
●1916年「サイクス・ピコ条約
 イギリスのマーク・サイクスと(Mark Sykes)フランスのシャルル・ジョルジュ=ピコ(Charles Georges-Picot)がオスマン・トルコ帝国の領土を勝手に区分けし、パレスチナを英仏両国が支配しようとした。
●1917年「バルフォア宣言
 英国外相バルフォア(Arthur Balfour 1848-1930)がパレスチナをユダヤ人に与えると、今度はイスラエルが建設されて今日に至っている。

 ロレンスはMI6長官メンジス(Stewart Menzies)の指揮系統の下で動いていたが、そのメンジス長官はアラブ民族独立を提唱したマクマホンの計画を実行するためのスパイ活動に従事していたと、一般には考えられるところだろう。しかし、実際には「サイクス・ピコ条約」でトルコは西側諸国によってズタズタにされ、イギリスとフランスは勝手にパレスチナを自分のものにしようとしていた。そして、最終的にはユダヤ人たちがパレスチナを手に入れると「バルフォア宣言」によってイスラエル国家が誕生するのである。我らがユダヤ王ロスチャイルド家の介在を暗示させて余りある出来事ではないか。元々「バルフォア宣言」そのものがロスチャイルド家宛てに送られた書簡だったことが、それを裏付けてくれる。
 その書簡を受け取ったのがライオネル・ウォルター・ロスチャイルド(Lionel Walter Rothschild 1868-1937)だった。彼もまた伝説の金融王ネイサン(Nathan Mayer Rothschild 1777-1836)の血脈を受け継ぐロスチャイルド家の直系として、祖父ライオネル(Lionel Rothschild 1808-1879)が買収した「スエズ運河会社」をイスラエル建国のために利用していく。そしてライオネル・ウォルター・ロスチャイルドが49歳の時に晴れてイスラエル国家が生まれるのだ。今やそのイスラエル軍によるパレスチナ人への弾圧が日増しに激しさを増していることは知っての通りである。関連サイト「パレスチナ子どものキャンペーン

 メンジスMI6長官が登場したところで、先の映画「市民ケーン」との世にも奇妙な偶然の一致も書いておかねばならないだろう。

【視聴予定】
19:30-20:00 NHK教育 介護者の心のケアを▽医療事故と闘う医師
21:15-22:00 NHK総合 にんげんドキュメント「串焼き開業・裸一貫の再出発」 リストラ▽博多修業▽逆境の中家族愛
21:54-23:10 テレビ朝日 ニュースステーション 有事法制…肝心の国民の生命や財産がどう守られるのかは”空白”その実像▽疲労、頭痛めまい…低髄液圧症候群▽W杯だ
02/05/29 (水)
 印パ紛争地図に阿修羅掲示板「戦争」のデータを読み込めるようにした。参照、印パ紛争地図 フレームで地図とデータ表示を半分に区切ったので、データを読みながら地図で参照できる。今のところ印パの略図とカシミール地方の二枚の地図を用意している。略図を見ながら、もっと詳しく調べたい時に便利だ。これまでいろいろ試行錯誤して到達した方法である。「じねん」TOPからいつでも入れるようにしてある。随時更新中。今も印パの緊迫した状況は変わらず、核攻撃も懸念されている。「まさか」が現実となっても何ら不思議はない危険な状況下にあるということを、最新情報と地図を参照にすることで実感する必要があると考えている。そのために役立てて貰えたら嬉しい。

 ロスチャイルド家の人物画像を検索していたら「The Rothschilds」というサイトが引っかかった。こういうギャラリー・ページは有難い。願わくばもう少し鮮明な画像がほしいところである。中には鮮明さを追求するばかりやたら思い画像もある。圧縮しながらも、画像の鮮明さを保てるような工夫がほしい。

 生活困窮も佳境に入り、徹底した節約を考え始めている。水道光熱費で最もカネがかかるのがガス代だが、これはポットいわゆる魔法瓶で何とか節約できる。ちなみに魔法瓶とはデュアー瓶とも言うそうで、広辞苑によれば「中に入れた液体の温度を長時間保つようにした瓶。内外二層のガラスの間を真空にし、内面に銀めっきを施して、熱の伝導・対流・輻射の程度を少なくしたもの」なのだそうである。沸騰したお湯と一緒にジャガイモやニンジンなどを入れると、30分もすれば中までしっかりと煮えているのだ。これは保温調理法と同じだ。私はこの方法でヨーグルトをつくっている。市販のヨーグルトに人肌に温めた牛乳を混ぜてポットに入れるだけで良い。およそ半日、約12時間で出来上がる。時間を短縮すればコンビニで売っているような「飲むヨーグルト」になる。これに気をよくして「ポットでご飯は炊けないか?」を思い、さっそく試してみた。これは失敗した。「ふっくら」どころか「ぐちゃぐちゃ」になるのである。諦めの悪い私は「それではお粥にしたらどうか?」と考えた。お湯を多くすればいいのである。これは成功した(と思う)。お粥は水分が多いだけ満腹感がある。こうして私は日夜、節約に節約をしながらかろうじて生き長らえている。ときにそれがストレスとなって、僅かな生活費握って夜の街へと飛び出してしまうことがあるが・・・翌日の二日酔いを経て更に節約しなければならない自業自得も待っているわけだ。広辞苑によれば節約とは「無駄を省いて、費用をきりつめること。倹約」だそうである。とすれば、本当に無駄なのは自分自身ではないか?との自虐に囚われてしまうことになる。

【視聴予定】
19:30-20:00 クローズアップ現代 急増クマとの遭遇▽共存の道
21:15-22:00 その時歴史が動いた 織田信長・姉川の合戦危機一髪脱出劇▽お市夫婦の悲劇▽捨て身の大逆転
21:54-23:10 ニュースステーション もうドキドキ…W杯2日前川平慈英ソウル生中継&各国最終チェック▽”控訴断念”1年ハンセン病元患者は…
22:54-23:50 筑紫哲也NEWS23 韓国海兵隊
23:50-24:00 読む「情報安全対策」
02/05/28 (火)
 肩書きや履歴を詳細に調べていくと漠然としたものも少しずつ輪郭が浮き彫りになってくる。加えて、血脈などの関連性という糸を結んでいけば更に全容がおぼろげながら見えてくるというものだ。映画「市民ケーン」を巡る登場人物とその背景にも我らがロスチャイルド家があぶり出されてきた。やはり、と言うべきか・・・権力の構図は古今東西を問わぬ法則性を保持しているかのようでもある。

 アメリカ・ハリウッドの映画メジャー7社は「ヒルシュ男爵財団」と慈善病院「モンテフィオーレ・ホーム」を通じて、その全てがロスチャイルド家の直系ヴィクター(Victor Henry Rothschild)によって支配されていた。「ヒルシュ男爵財団」とは、一般に新天地アメリカに向かうユダヤ人移民に旅費を工面したドイツの金融業者と知られ、財団の副理事長ジェイコブ・ヘンリー・シフはじめ前述のヴィクター・ロスチャイルドなどただならぬメンバーで構成されている。
 ジェイコブ・シフ(Jacob Henry Schiff)は「クーン・レープ商会」創立者で、先の「モンテフィオーレ・ホーム」の理事長でもあった。そのシフの娘フリーダ(Frieda Schiff)がワーバーク銀行一族のフェリックス(Felix Warburg)と結婚すると、その孫娘(Felicia Schiff Warburg)がルーズベルト大統領の息子(Franklin Roosevelt Jr.)と結婚するのだ。それら血脈の途上においてもロスチャイルド家の血は二重に注がれている。「クーン・レープ商会」当主ジェイコブ・シフの孫娘(Caroia Warburg)がアメリカ・ロスチャイルド家のウォルター・ネイサン(Walter Nathan Rothschild)と結ばれているのだ。
 同じく「モンテフィオーレ・ホーム」の理事ヴィクター・ロスチャイルドは、鉱山王グッケンハイム家ソロモン(Solomon Guggenheim)夫人イレーヌ(Irene Rothscihild)の父親であった。ヴィクターはロンドンの金融王ネイサン(Nathan Rothschild)の血脈を受け継ぐアメリカ・ロスチャイル家に属し、娘婿ソロモン・グッケンハイムの兄ベンジャミン(Benjamin Guggenheim)はタイタニック号で溺死した。
 そのヴィクターの支配権から離れているようにみえるMGMやPKOも、映画「市民ケーン」公開への妨害事件の内幕を知ってみれば、全てはロスチャイルド家の手の内にあったことが分かる。実はハリウッド映画全盛期においては8大映画メジャーとして、もう1社の映画会社が名を連ねていた。チャールズ・チャップリンが設立者のひとりであるところの「ユナイテッド・アーティスツ」である。
 フランスではシャルル・パテを筆頭に4人の兄弟たちが「パテ兄弟社」を設立、この会社がアメリカに子会社「アメリカ・パテ社」をつくると、1929年にジョゼフ・パトリック・ケネディー(Joseph Patrick Kennedy 1888-1969)という人物が会長の椅子に座る。この男の息子が後のアメリカ大統領JFKであり、女優グロリア・スワンソン(Gloria Swanson本名Gloria May Josephine Svensson 1899-1983)を愛人にしたいがためだけに密造酒で得た利益をもってアメリカ・パテ社を手に入れたのである。その4年前にスワンソンはラ=ファレーズ侯爵(Henri de la Falaise)と結婚、この侯爵は「パテ・シネマ」の重役だった。つまりスワンソンはジョゼフ・ケネディーと不倫をしていたことになる。そして1931年、当然のことながらスワンソンと侯爵の結婚生活は破局を迎える。何でも自分のものにしたがる金持ちはジョゼフ・ケネディだけではない。新聞王ハーストもまた「アメリカ・パテ社」に吸い寄せられては大物プロデューサーとなっていた。まだ若い俳優オーソン・ウェルズはそんなハーストに嫌悪感を抱き「市民ケーン」という映画でハーストを攻撃することになる。

 チャップリンの「殺人狂時代」の原案を書いたのはオーソン・ウェルズだが、その映画の中でチャップリン演ずる主人公に「人間ひとり殺せば殺人犯人と非難されるが、国家が何万人もの人間を殺しても無罪になる」と言わせている。端的に言えば「人間ひとり殺せば死刑になるが、戦場で大勢殺せば英雄だ」ということになろう。個人犯罪と国家犯罪を対比させてのこうした物量的な論理には常に危険が伴う。「オレは一人しか殺していないのに戦争ではもっと多く人殺しが行われているではないか」と言って責任回避を図る死刑囚の犯罪心理と何ら変わることがない。ガンジーは「銃を撃つ引き金の指先には、その指に引き金を引かせる人の心がある」と言い、この世に存在する全ての兵器はそれを容認する人々の心が問題であることを暗に示唆している。チャーチルは子供の頃から兵隊のオモチャを並べて遊ぶ癖をもっていたが、大戦中は実際の兵隊を戦場に送り込んで英雄となった。しかしチャーチルは本当に英雄だったのか?私がこれまで調べた結果でも「チャーチルは戦争が好きだった」だけに過ぎないのではないか?という疑念が拭えない。これについてはいずれ書くつもりでいる。権力者にとって兵隊は単なるチェスの駒にしか思えないのではないか。今も印パの対立は核ミサイルを配備しての緊迫した状況が続いている。アメリカ政府の見解によれば、印パで全面核戦争が起こったときの死者は1200万人に及ぶ、そうである。
 かく言うアメリカにして、1965年の印パ戦争においてはインドとパキスタン双方に戦車を送り、戦場ではインド軍のシャーマン戦車とパキスタン軍のパットン戦車が戦闘を繰り返していた。これが問題となり一旦は禁止されたが、懲りないアメリカは今度はイラン向けと偽ったF86セイバージェット戦闘機90機を西ドイツからパキスタンに送っている。1965年当時のアメリカ大統領はリンドン・ベン・ジョンソン(任期1963-1969)で、マクナマラ国防長官の後任クラーク・クリフォードは大手火薬メーカー「デュポン」の専属弁護士という危険な人選であった。彼はロックフェラー家支配のスタンダード石油の重役として、ペンシルヴァニア鉄道の顧問弁護士でもある。ジョンソン大統領もまた彼に劣らぬ経歴の持ち主で、ブッシュ親子同様、石油王国テキサスでロックフェラー家のテキサコとメロン家のガルフ石油などの利権代表者だった。テキサスのダラスで起きたJFK暗殺について「ジョンソンはJFKが暗殺される以前に、そのことを知っていた」とする、彼の愛人の証言がある。JFK暗殺が公開処刑と囁かれる所以であろう。CIA長官はウィリアム・レイボーン(William F Raborn,Jr. 任期1966-1973)とリチャード・ヘルムズ(22日の日誌参照)だった。ヘルムズの前任レイボーンは、ベトナム戦争の泥沼へと傾斜していくジョンソン大統領に疑問を呈したために追い出された。後任のヘルムズはそんなジョンソン大統領にうまく取り入り、1967年のイスラエルとアラブ諸国の「六日戦争」おいても「イスラエル優勢」を請け負っている。しかし、1968年にCIAに根強い不信感を抱くリチャード・ニクソンが大統領になると、任期半ばにしてニクソンによるウォーターゲート事件揉み消し工作が発覚し、ヘルムズのみならずニクソン自身もホワイトハウスから消えていくのである。

【写真追加】昨日の日誌に写真追加
MGM支配者一族ルイス・B・メイヤー夫婦の、その娘婿デヴッド・セルズニックと女優ヴィヴィアンリー(Vivien Leigh 1913-1967)が共に写っている。

【視聴予定】
■19:30-20:00 NHK総合 クローズアップ現代 相次ぐ亡命・計画の裏に何が
■21:15-22:00 プロジェクトX「いのちの水・暴れ川を制圧せよ」 日本最大愛知用水▽激闘13年のドラマ
■21:54-23:00 テレビ朝日 ニュースステーション 構造改革進んだか?総理の”郵政”小倉昌男元ヤマト運輸会長生出演▽ああ近づくW杯…▽
■22:54-23:50 TBSテレビ 筑紫哲也NEWS23 中国家電ほか
 
02/05/27 (月)
 オーソン・ウェルズ(Orson Welles本名George Orson Welles 1915-1985)監督&主演の映画「市民ケーン」(Citizen Kane 1941年公開)は新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハースト(William Randolph Hearst 1863-1951)のスキャンダルをモデルとし、ために圧力を受け公開も危ぶまれた作品だと言われている。解説するまでもなく他のウェブサイトで紹介されていたので以下を参考にされたい。私はこれらを踏まえ別の視点で推理したいと思う。

【関連サイト】市民ケーンの真実「ザ・ディレクター」市民ケーンCitizen Kane解説&知ってるつもり「メディア王ハースト家の崩壊」
新聞王ハーストの写真@-A&ハーストの娘パトリシア@-A-B&ハーストの豪邸@-A-B
オーソン・ウェルズの写真及び映画ポスター@-A-B
ルイス・B・メイヤーの写真@-A-B
デヴィッド・O・セルズニックの写真@

 「市民ケーン」を世に送り出した映画会社「PKO」の副社長はデヴィッド・O・セルズニック(David Oliver Selznick 1902-1965)で、彼は同時に「MGM」の副社長も兼務していた。ウェルズにフィルムの焼却処分の圧力をかけたのが「MGM」だから、両社に通じるセルズニックは微妙な立場に置かれていたということになる。さらにセルズニックは「MGM」設立者ルイス・B・メイヤー(Louis Burt Mayer 1885-1957)とは同族であった。セルズニックはルイス・メイヤーの娘イレーネ・グラディス・メイヤー(Irene Gladys Mayer)と結婚していた。新聞王ハーストは「MGM」のルイス・B・メイヤーに映画公開を見合わせるよう指示し、メイヤーは「PKO」に対し80万ドルでプリントを焼却するよう圧力をかける。この仲介役となったのが両社の副社長であるところのセルズニックではなかったか、と推測できる。またセルズニックにはウィリアム・ペイリーというパートナーがいた。ペイリーはアメリカ三大放送ネットワーク「CBS」設立者で、ペイリーとセルズニックは両者ともロシア系ユダヤ人であった。この盟友は女性関係においても互いに共有するほど親密だったと伝えられている。ハーストの孫にはドロシー・ハートという愛人がいたが、この女性にはもう一人の別の愛人がいた。前述のテレビ王と言われた「CBS」のペイリーである。つまりテレビ王ペイリーは女性を共有することで、「MGM」と「PKO」の副社長や新聞王ハースト一族たちの仲間入りを果たしたというわけだ。このテレビ王ペイリーに資金を提供していたのがロスチャイルド一族ヴィクター・ロスチャイルドで、彼は自分の持ち物「ラザール・フレール」を経由して資金を流している。それまでロスチャイルド一族は当時ハリウッド映画七大メジャーのパラマウント(Paramount Pictures)、20世紀フォックス(20th Century-Fox Film)、ユニヴァーサル(Universal Pictures)、コロンビア(Columbia Pictures)の4社を「ヒルシュ男爵財団」を通じて配下とし、「モンテフィオーレ・ホーム」を通じてワーナー・ブラザース(Warner Bros.Pictures)を支配していた。残るはMGM(Metro-Goldwyn-Mayre)とPKO(Radio-Keith-Orpheum)だけだった。そこにウェルズの映画「市民ケーン」が登場し、ロスチャイルド家から資金提供を受けていたテレビ王ウィリアム・ペイリーが暗躍、するとMGMのメイヤーが「市民ケーン」配給会社「PKO」に圧力をかけるのである。後にセルズニックは義父メイヤーの後を継いでMGMの支配者となる。

【視聴予定】
■19:30-20:00 NHK総合 クローズアップ現代 老化は防げるか・研究最前線
■20:00-20:45 NHK総合 地球・ふしぎ大自然 マッコウクジラ大集結▽体重50トン・巨大クジラに接近▽カリブ海に響く謎の音
■21:00-21:54 テレビ朝日 たけしのTVタックル 小泉&たけし極秘会談宗男(秘)Xデー&警察 VS 自衛隊(秘)争い&外務省 VS ハマコー
■22:00-22:45 NHK教育 ETV2002「韓国のドキュメンタリー(01)青年失業はだしで走る」 就職難と若者
02/05/26 (日)
 母の夢をみた・・・もう夢でしか会えないんだね。懐かしかった。そして苦しかった。幾つになっても母の前には私は子供のままだ。たとえこの身が老いて朽ちていこうとも、心はいつも母の懐に抱かれている赤子なんだと・・・貴方を失って初めて知ったよ。日曜の朝、初夏の日差しが眩しく庭の新緑を照らしている。さっきみた母の夢も現実という時の流れに霞みのように薄れていく。目覚めたくはなかった・・・朝の陽光もこの世にあっては厳しく冷酷な現実を反映しているだけだ。魯迅は言う「人生でもっとも苦痛なことは、夢から覚めて行くべき道のないことだ」と、それでいいではないか・・・夢想することでしか現実から逃れる術のない私のような人間は、それがたとえ悪夢であっても虚しい現実よりはよほどマシだ。夢が幻想だけに終わらない、覚醒されたものとなって現出することだってあるのだ。何に成りたいかではなく、どんな生き方をしたいか、最後の最後まで自分の理想とする夢を保ちつづけていければ本望というものではないか。夢は夢だ、理想を夢見て幾らになるんだ?夢で空腹が満たせるのか?そう問い詰める友は私に決別の罵倒を浴びせて去って行った。私を問い詰めていたのは実は私自身であったかも知れない。収入が無いのに税金など払えるか、それでも税金を強制されるなら悪事に手を染めるしかない・・・そう言い放っている知人もいる。一方では親の財産を独り占めにしようとしたばかりに、裁判沙汰になりそうな気配が遠戚で出てきている。莫大な財産だけにみんな必死である。ひとりの強欲が親の遺書を握りつぶしての醜い争いだ。そうして死ぬまで裁判をつづけるがいい。百年もたてばみんなシャレコウベだ。私はそんなものとは無縁のところで生きていきたい。現実に絶え難くなったら、そっと自分の内なる夢想の扉を開けるんだ。そこには直視しても眼を痛めることのない柔らかい光が溢れている。重力も時間もない虹色に彩られた空間に心だけを漂わせていく。天国とはさぞかしこのようなものだろうと、想定される全てのものを注ぎ込んだ私だけの世界だ。神が唯一人間に許されたところの自由意志をもって、私は自分の夢想世界を創作しつづけていく。それを世間一般では現実逃避、引きこもりと言うらしいが、矛盾だらけの人間社会に適応しながら秩序云々をのたまう偽善よりはマシだろう。偽善に浸りきって矛盾を感じられない人々に祝福あれ、それも神が人間に与えたもう自由意志という両刃の剣なのだから・・・

 これまでのシシリー・マフィアに関連した人物の写真を貼った。あとでCIA長官の写真も貼るつもりだ。ガンビーノの薄笑い、ファルコーネ判事夫婦の仲睦まじい写真と惨劇現場などを見ていると胸に迫ってくるものがある。命がけで巨悪に立ち向かった男たちに改めて敬意を表したい。今夜は映画「市民ケーン」を録画する。これは必見だ。これもあとで日誌で解説したい。

【視聴予定】
■17:30-18:24 TBSテレビ 報道特集 反捕鯨ウラ工作の実態▽基地受け入れの図式
■21:00-22:00 NHK総合 NHKスペシャル「肉骨粉・汚染ルートを追う」 日本が見過ごしたリスク▽欧州のブローカー取引▽消えた原産地表示
■22:00-24:15 NHK教育 映画「市民ケーン」 (1941年アメリカ) オーソン・ウェルズ監督・主演 ジョセフ・コットン ドロシー・カミンゴアアグネス・ムーアヘッド ルース・ウォーリック レイ・コリンズアースキン・サンフォード E・スローンほか(字幕) 
02/05/25 (土)
 オリバー・ストーン監督の「JFK」を検索したら「現代イタリア事典」なるサイトが引っかかった。ここでは「ジョヴァンニ・ファルコーネ」なる映画が紹介されていた。シシリー・マフィアを追求して爆殺されたジョヴァンニ・ファルコーネ判事を描いた作品である。参考「ジョヴァンニ・ファルコーネ」マフィア大裁判を成功させたパレルモ検察庁のマフィア専従班 今から9年前の1993年5月、パレルモの高速道路を走っていた彼の乗った乗用車が、予め仕掛けられた爆薬と共に吹き飛んだ。車には数人の護衛、それに彼の妻も乗っていたという。参考ジョバンニ-ファルコーネ判事,高速道路上で爆死す この時のことは私も少し覚えている。現場の詳しい状況を知りたくて調べた記憶がある。相当量の爆薬だったらしく、道路が深く陥没している写真が印象的だった。今月16日の日誌でも書いたように、1978年はパレルモ警察次長ボリス・ジュリアーノやバリスコ中佐の射殺事件、ロッコ・キンニッチ担当首席治安判事の爆殺事件が相次ぎ起こっている。その四年後には指揮を取っていたカルロ・アルベルト・デッラ・キエーサ将軍が3人のヒットマンに射殺される。これにイタリア警察当局は憤慨、シシリー・マフィアに撲滅を宣言する。ファルコーネ判事が爆殺されるのは将軍が射殺された11年後のことになる。

ジョヴァンニ・ファルコーネ判事の写真@-A-B&爆殺現場写真@-A-B

 「ゴッドファーザー」のモデルとも言われるヴィト・ジェノヴェーゼは、ラッキー・ルチアーノことサルバトーレ・ルカニアの配下に属していた。そのルチアーノの盟友マイヤー・ランスキー(Meier Lansky 1902-1983)は後にアメリカ全土を覆う一大犯罪シンジケートをつくることになる。ベラルーシ(白ロシア)のグロズノ生まれのこの男はロシア名をマイヤー・スチョウランスキー(Meier Suchowljansky)と言い、渡米してから売春、麻薬、密造酒でギャングのボスにまで登りつめていく。そのランスキーの部下にロシア名ルーベンスタインを名乗る男がいた。あのJFK暗殺の単独犯と言われた、リー・ハーヴェイ・オズワルドを射殺したジャック・ルビーである。1927年に起きたカナダ国境銃撃戦事件は、ランスキー率いるギャング団が密造酒を満載したトラックを襲った事件だが、その密造酒業者のボスの名をジョゼフ・パトリック・ケネディーといった。後のアメリカ大統領JFKことジャック・ケネディー大統領の父親である。マイヤー・ランスキーことマイヤー・スチョウランスキーの祖父ベンジャミン・スチョウランスキー(Benjamin Suchowljansky)は、実業家としてイスラエルで死んだことになっている。
 ランスキーの生い立ちは今も謎に包まれているが、戦艦ポチョムキン(Potyomkin)の反乱が起きた1905年当時に、ランスキーのスチョウランスキー家も時代に翻弄されたことは容易に想像できる。それゆえのスチョウランスキー家の渡米でもあったろう。戦艦ポチョムキンの正式名は「ポチョムキン・タヴリチェスキー公爵号」という。オデッサの穀物積み出し港に停泊していた戦艦ポチョムキンの兵士が反乱を起こし、やがて孤立した兵士たちは処刑及びシベリア流刑という悲惨な運命を辿った。エイゼンシュテイン監督はその史実の前半部分だけを忠実に再現しながら、後半部は政府の意向で革命を鼓舞したものに仕上げられている。それが映画「戦艦ポチョムキン」であった。写真@-A ロマノフ王朝の名門軍人グレゴリー・ポチョムキン(Grigorii Aleksandrovich Potyomkin 1739-1791)は、女帝エカテリーナ2世(Ekaterina Romanovna U 1729-1796)の公然たる愛人として伝えられている。コサック出身の指導者プガチョフ(Pugachyov)によって引き起こされた農民戦争「プガチョフの乱 1773-1775」を鎮圧、クリミア併合から黒海艦隊を創設した英雄であり、戦艦の命名ともなった。

ヴィト・ジェノヴェーゼの写真@-A-B
マイヤー・ランスキーの写真@-A
女帝エカテリーナ2世の写真@-A-B

【視聴予定】
■21:00-21:50 NHK総合 NHKスペシャル「”親”を知りたい」 不妊治療発展の陰で▽父捜しの歳月▽子ども達の心の闇
■21:30-22:24 TBSテレビ 世界・ふしぎ発見!「3000年の封印・中米の謎文明オルメカ」 2万キロの旅人…巨大顔面岩17体出土
02/05/24 (金)
 昨夜訪れた馴染みの居酒屋のマスターから眼鏡を貰った。カウンターに置いてあった眼鏡をかけたら良く見えるので、冗談半分に「コレいいね。貰えないかな?」と言ったら「やるよ」と言う。これまで本を読むたびに活字が翳んで見えにくかったのが、眼鏡をかけるとはっきり見えるようになった。私の父は若い頃から眼鏡をしていた。事務所で書類に眼を通す、眼鏡をかけた父のイメージが今も定着している。父は私が25歳の頃に亡くなった。その父の柩には眼鏡を入れてあげた。父はその眼鏡をかけてあの世に旅立って行った。眼鏡といえば伊丹監督の映画にもよく登場していた。オリバー・ストーン監督の「JFK」ではしつこいほど眼鏡を登場させ、光を反射しての効果を狙っていたものだ。それはまるで心を覆い隠すような効果をもたらす。参考「JFK」評価及び解説 黒澤明監督も「生きものの記録」の中で主人公の老人に眼鏡をかけさせ、最後の精神病院の場面で異様な効果を出している。参考黒澤監督の全作品解説生きものの記録パンフレット表紙 1905年第一次ロシア革命での反乱を描いたエイゼンシュテイン(Sergel Mikhailovch Eizenshtein 1898-1948)監督作品「戦艦ポチョムキン」では、うろ覚えだが倒れる兵士の顔にレンズの割れた眼鏡があったと記憶している。眼鏡が映画史上もっとも効果を発揮したシーンだろう。参考DVD版・戦艦ポチョムキン紹介 私が映画監督なら、倒れる過程で眼鏡が斜めにずり落ちるよう設定し、落ちた眼鏡を踏み潰していく群集の靴をクローズアップしてその無惨を表現する。ケント・デリカットの度の強い眼鏡は、彼の拡大された眼を強調してそのまま面白いキャラクターになっている。驚きを表現するにも眼鏡でクローズアップされた眼は効果的だろう。JFK暗殺を描いた映画「ダラスの熱い日」では、陰謀を計画している最初のシーンで教授と呼ばれる男が黒ぶちの眼鏡をかけていた。これは一見してキッシンジャー教授(Henry Alfred Kissinger 1923-)を連想させる。キッシンジャーには黒ぶちの眼鏡がよく似合う。ロックフェラー帝国の大番頭、本名はアルフレッド・ハインツ・キッシンゲルという。謎の多いこの人物については、何故かマスコミも固く口を閉ざしたままだ。4年前の日誌には少しだけ彼の正体に触れた。彼がイタリアのモロ首相惨殺にどう関与していたか、前述したように、犯行声明を出した赤い旅団とはP2頭目ジェッリが隠れ蓑に利用したテロ組織ではなかったか。キッシンジャーの眼鏡で拡大された眼の、その奥には得体の知れない陰謀という霧が漂っているかのようだ。

キッシンジャーの写真@-A

【視聴予定】
■21:00-21:54 テレビ朝日 運命のダダダダーン!「執念」 欲望…愛憎…八代亜紀地獄からの脱出▽中国皇帝一族に嫁いだ日本人
■22:54-23:10 テレビ朝日 ニュースステーション どうなる?郵政民営化元ヤマト運輸会長生出演▽クジラ結局?
■23:00-24:10 NHK教育 金曜フォーラム 豊かな森の復活をめざして北村昌美ほか
■24:15-25:10 日本テレビ 出来事 激しい攻防日本 VS 反捕鯨国の裏側
02/05/23 (木)
 カーライル・グループとランド・コーポレーションの密接な関係はシュレシンジャーの肩書きからも容易に読み取ることが出来るが、それ以上に顧問が今のブッシュ大統領の父親となればただならぬ気配を感じるというものだ。これにビン・ラディンが関係してくるに及び、現実は遥かに小説を凌駕して我々の好奇心を掻きたててくれる。今やカーライル・グループはアメリカ国防省内部にまで浸透していると噂されている。これらの概要についてはインターネットで公表されたダン・ブリオディ(DAN BRIODY)の「政界・産業界・国防を操って巨万の富を築くカーライルグループの闇」が参考になる。カーライル・グループとビン・ラディン一族の関係は「ビン・ラディン一族も出資」の項に書かれてある。ここではビン・ラディンがすでに一族とは関係を断ったとされているが、少なくとも一族が彼によって潤ったことは確かであり、サウジアラビアにおいてはその権益ゆえに多大な影響力があると思われる。何よりテロの首謀者としてラディンを追い詰めているブッシュ大統領の父親がグループの顧問であることと、その同じグループにラディン一族が共に共存しているという奇怪さは「利害の一致」ゆえなのだろうか。表向きは敵対しているように見せかけながら、ウラでは別のシナリオを進行させている・・・そうとしか考えようがない。旧ソ連とのアフガン戦争でCIAによって支援され、育てられたラディンが、そのCIAに捨てられる。参照、田中宇著「オサマ・ビンラディンとCIAの愛憎関係」 CIAの裏切りに復讐を募らせるラディンが今度はアメリカ介入のアフガン戦争によって対峙するという表向きのシナリオに、一方ではそのアフガン攻撃に投入されたクルセイダー砲によってカーライル・グループが潤っていた、などとは誰が想像できようか。しかしここでは確かにラディン一族とブッシュ親子が共に利益を享受しているのだ。田中宇氏は「中東ドバイのアメリカン病院に持病の腎臓病で入院したラディンを、CIA要員とサウジのタラキ・アル・ファイサル王子が見舞った」という未確認情報に、その後、サウジ政府の情報機関のトップを務めていたファイサル王子が解任されたことで、信憑性があるとしている。とすれば、CIAとラディンは敵対しているだけではなく、時には互いに歩み寄る愛憎関係にあるということになる。

 人間に捨てられるかも知れない子供のことを、知ってか知らずかクロが三匹の子猫たちに母乳を与えている。餌を食べる時を除いて、クロは片時も離れず産まれたばかりの小さな子猫を抱いている。私が覗くと嬉しそうに喉をゴロゴロ鳴らし、クロの母性が誇らしげにみえる。イギリスの小説家サミュエル・バトラー(Samuel Butler 1835-1902)だったか「人間を別にすれば、あらゆる動物達は、生きていることの主たる仕事が、生を楽しむことだということを知っている」という言葉を思い出した。人間を別にしなければ、人間も動物たちのように生きるだけことだけに生き、それを仕事として楽しめるようになれるものを・・・社会がそれを許さない。「馬鹿が家を建て、利口者がそれを買う」といったイギリスの諺よろしく、西洋文明至上主義の悪しき貨幣制度が投機を促し、気が付けば今や日本は660兆円を越す負債大国となった。歌う不動産屋と揶揄された千昌夫が、2800億円を越える借金に債権放棄が適用され、約1億5000万円に激減したとか・・・千昌夫の本名は阿部健太郎、「アベインターナショナルベンチャーズコーポレーション」の社長であるが、二年前の時点で負債総額はおよそ1000億円ぐらいだった。一年毎に900億近い借金が増え、今度は国がそれをチャラにしてくれるのだという。なんという世界だ。バカバカしくてやってられないぜ。コツコツ働いてやっと家を建て、そのあげくにリストラされて家を手離し、なおローンを払い続けなければならない多くの国民の怒りと悲鳴が聞こえるようだ。まさに「馬鹿が家を建て、利口者がそれを買う」そのままに日本は悪しき世界金融システムの餌食となったわけだ。この腹立たしい諺を「正直者が家を建て、強欲で悪賢い奴らがそれを奪う」に変えておきたい。

【視聴予定】
■19:30-20:00 NHK総合 クローズアップ現代 ”隔離の傷あと”ハンセン病
■22:00-22:45 NHK教育 ETV2002「アメリカはテロをどう報じたか(02)中東のテレビ局 VS 米メディア」
02/05/22 (水)
 最近、寝起きが悪い。雲の切れ目から太陽が覗きだした昨日の昼下がり、同業先輩がやってきて談笑、同じ悩みを聞く。不況は確実に深刻な生活苦となっている。不眠症にならないほうがおかしい。そう言って笑う。サラ金に手を出しての自殺未遂、職安に通い詰めても見えてこない希望・・・そんな話がポンポン飛び出してくる。みんな実話だ、それも身近な出来事だけに笑えないところがある。それでも笑ってしまうのはあまりに苦しいからだ。絶望には苦笑するしかない。今月はたった一日しか仕事をしていない。収入がないのに税金なんか払えない。オレは払わない。これからどうやって生きていけばいいんだ?教えてくれ・・・言葉に窮する。泥濘(ぬかるみ)に足を取られながら、見えない崖っぷちを歩いているようなものだ。先輩の話が延々と続く。その眼は虚ろに、庭に漂っていた。目の前を一匹の黒猫が横切り先輩を驚かす。なんだ?今の猫は・・・うちの猫でペロと言います・・・庭に面した屋根からクロが飛び降りて来る・・・あれはさっきの猫の母親です・・・二匹も飼っているのか?びっくりしたなぁ・・・チロがその目の前にやってくる・・・これはメス猫、あともう三匹産まれたての猫がいます・・・???庭の新緑が眩しい・・・人々の悩みとは裏腹に、曇のち晴の空はあくまでも青く澄み渡っていた。

 さて、昨日はニクソン政権下での三人のCIA長官のことを書いたので、彼らについてもう少しデータを補充しておきたい。参考出典は広瀬隆著「アメリカの巨大軍需産業」P231-234、これに他の資料からデータを付け加えていきたい。

リチャード・ヘルムズ
Richard Helms
写真@-A
バーゼル・クラブ(国際決済銀行)初代理事長ゲイツ・マッガラーの孫。
42-46 OSSドノヴァンの部下として活動
47-52 CIA
52 CIA工作本部長、東南アジア作戦担当企画本部長
65-66 CIA副長官
66-73 CIA長官
73-76 イラン大使、ベクテル顧問
ジェイムズ・シュレシンジャー
James R Schlsinger
写真@-A-B
63-67 ランド・コーポレーション
71-73 原子力委員会委員長
73-73 CIA長官
73-74 国防長官
77-79 エネルギー長官
ウィリアム・コルビー
William E Colby
写真@-A
47-49 OSS元長官ドノヴァン法律事務所
59-62 南ベトナム大使館員
62-67 CIA極東課長
68-71 南ベトナム大使館、民間作戦部隊組織部長
73-76 CIA長官
87 ドノヴァン法律事務所復帰

 これら三人のCIA長官に共通しているキーワードはベトナム戦争であろう。フランスが撤退後、1954年アメリカはベトナム南部にベトナム共和国(首都サイゴン)を樹立、これに対して1960年南ベトナム解放民族戦線が結成される。この当時の彼らの肩書きをみてもおよそ想像がつく。ヘルムズは東南アジア作戦担当企画本部長として戦争前のベトナム介入戦略に加担し、好戦的なシュレシンジャーはロックフェラー財閥が支配する軍需兵器のシンクタンク会社ランド・コーポレーションに属しながら、その後、原子力委員会トップとなり核兵器使用を公然と口にする危険極まりない人物であった。「ランド・コーポレーション」の前身は、日本ではGHQ(日本占領軍総司令部)でお馴染みのダグラス・マッカーサー元帥が社長をしていた「レミントン・ランド」であった。去年10月の日誌で私はビン・ラディンとカーライル・グループの関係について触れていたが、ここでカーライル・グループ会長フランク・カールリッチがそれ以前にランド・コーポレーションに属していたことを書いている。コルビーもまた南ベトナム大使館員からCIA極東課長、そして民間作戦部隊組織部長となってベトナムでのゲリラ掃討作戦に意欲を燃やしている。つまりニクソン政権下の歴代CIA長官全てがベトナム戦争以前から関わっているということだ。それゆえにCIA長官に起用されたとも言えるのではないか。
 

【視聴予定】
■19:30-20:00 NHK総合 クローズアップ現代 ”有事”で自衛隊は・国民は
■21:15-22:00 NHK総合 その時歴史が動いた 学問の神様・菅原道真の悲劇▽一方的な左遷通告▽改革の夢▽政敵のわな
■22:00-23:00 NHK教育 ETV2002 アメリカはテロをどう報じたか(01)ジャーナリストたちの白熱討論
02/05/21 (火)
 ニクソン政権下ではその辞任前年において三人もの長官が入れ替わっているが、これはウォーターゲート事件が災いしてのことだ。ヘルムズの後釜に長官になったシュレシンジャーはわずか五ヶ月の任期だが、この後、彼は国防長官に昇進している。それは、前司法長官ジョン・ミッチェルがウォーターゲート事件に加担したと告発され、ミッチェルの友人であるところのクライディーンスト前司法長官が降格したためである。その司法長官の椅子に前国防長官のエリオット・リチャードソンが座り、後釜にシュレシンジャーが座ったというわけだ。
 
リチャード・M・ニクソン大統領
(1969-1974)
CIA長官
1966-1973 リチャード・ヘルムズ
1973 ジェイムズ・シュレシンジャー
1973-1976 ウィリアム・コルビー

 ニクソンが欺瞞の勝利宣言に酔いしれていた頃のCIA長官はリチャード・ヘルムズだったが、その後間もなくウォーターゲート事件が発覚、ヘルムズ長官は窮地に立たされる。1972年に起きたこの盗聴事件は、CIA保安部の少佐担当官ジェイムズ・マッコードが逮捕されるに及んで、ヘルムズは内心震え上がったことだろう。CIAの雇われ傭兵エウヘニオ・マルティネスも逮捕され、彼らの所持品から手帳が発見されると、そこにはハワード・ハントの名前が記されていた。ヘルムズは彼を個人的にも知っていた。ピックズ湾侵攻工作に関与していたこと、CIAを辞めたあとも、CIAのためにニクソン政権下のホワイトハウスに潜り込んでスパイ活動をしていたことなど・・・ヘルムズが知らなかったのは、事件後にホワイトハウスがCIA関与を覆い隠すべく、総力をあげて揉み消し工作をしていたことだった。それらの隠ぺい工作が結果的にニクソンの立場を危うくし、しいてはCIA長官としてのヘルムズを引責へと追い込んでいく。
 この頃、シンドナはローマの英字紙「デイリー・アメリカン」を買収すべく発表していたが、その「デイリー・アメリカン」の持ち主はCIAだった。1億ドルの投資を掲げてのこの買収宣言は、アメリカ議会に同社の使途不明金数百万ドルを追求されていたCIAにとって渡りに船だった。つまりはシンドナがCIAの不正を揉み消すという策謀に他ならなかったのである。これはホワイトハウスによるウォーターゲート事件揉み消し工作と酷似して興味深い。仮にホワイトハウスにシンドナのような悪知恵の天才がいたのなら、ヘルムズはCIA長官を辞めることはなかっただろう。さらにシンドナはその二年前に二百万ドルに及ぶユーゴ国債を買っていたが、これもCIAとの巧妙な連携プレーの所産であり、CIAに提供されている。そのCIAはイタリアとギリシャの右翼団体に秘密資金を流していたが、これにもシンドナは一役かっていた。P2頭目ジェッリは「あらゆる銀行の金庫の扉は右のほうに開く」と言って憚らなかったが、その盟友シンドナもまたそれを実践証明していたことになる。1972年の大統領選挙で、シンドナはニクソンの政治資金担当者モーリス・スタンズにそっとカバンを渡した。そのカバンには百万ドルの現金が入っていた。スタンズの証言では受け取りを断ったことになっているが・・・

 翌年になるとシンドナ帝国にも綻びが目立ち始める。その小さな亀裂は1974年に入ると「シンドナ・ショック」と呼ばれる決定的な打撃となってシンドナを襲う。ミラノ株式市場が暴落したのである。それでもシンドナは平静を装い、バチカンを救ったあのウニオーネ銀行と、散々食い物にしたプリバータ・フィナンツェアリア銀行を合併してプリバータ銀行とする。暴落の波はそんなシンドナの応急処置も虚しく、全てを洗い押し流していく。シンドナの悪運も魔力を失ったかのように盟友たちの支援も効果なく、もはや打つ手はなかった。同年8月、折りしもアメリカではニクソンがウォーターゲート事件での責任を問われ辞任を余儀なくされていた。そして同年10月、ついにシンドナはスイスに逃亡する。
 シンドナ・ショックは当然ながらバチカンを根底から揺さぶった。シンドナと常に共同歩調をとってきたバチカンのマーチンクス司教は、イタリア司法当局とFBI双方から捜査を受けている。かつてシカゴ・マフィアから輩出されたこの大男は平然として答えた。「シンドナ氏とは数年前から親しくしているが、取り引きはごくわずかに過ぎない」・・・その同じマーチンクスが二年後のインタビューでは「シンドナ氏とは会ったこともない。だから損などするわけがありません。教皇庁は1セントたりとも失わなかった」・・・銀行総裁としてはこれは珍しい健忘症である。

 このマーチンクスについては私も数年前から気になっていて、すでに日誌において登場させてきた。参照、三年前の日誌ポール・マーチンクスを追う。当初、バチカンはベルナルディーノ・ノガーラ神父に財務を任せていた。ノガーラの手腕はその殆どを投機によって発揮された。第二次大戦において、バチカンのピオ12世はナチスの台頭にもそれほど拒否反応は示すことがなかった。それどころかピオ12世は大戦前のヒトラーとの条約により、膨大な教会税を摂取することが出来た。この教会税をノガーラは投機に回してさらにバチカンの資産を増やしつづけていく。1958年にノガーラが死亡すると、その10年後にはバチカンの聖なる資産の匂いを嗅ぎつけて「ゴリラとフカ」が喰いついて来た。ゴリラとは大男ポール・マーチンクス司教、フカとはカネの錬金術師ミケーレ・シンドナを指す。こうしてバチカンは彼らの獲物となって食い物にされていくことになる。

【視聴予定】
■19:30-20:00 NHK総合 クローズアップ現代 半導体・日本は生き残れるか
■22:00-22:45 NHK教育 ETV2002「どう変わるアメリカの核戦略」 ロシア・中国との力の外交の行方
02/05/20 (月)
 マフィアとバチカン銀行へと書き進めるにあたっては、私が15年間愛読している本を参考にしている。抜粋要約しながら解説を加えていくといった作業も、バチカン内部へと潜入していくあたりから殆ど本からの引用に頼っている。コーヒーのCMではないが「何も引けない、何も足せない」のである。というのは参考本デイビット・ヤロップ著『法王暗殺』(文藝春秋)があまりに完璧すぎて、言葉ひとつ書き換えることが躊躇われるのだ。それでもそのまま書くわけにはいかないので、若干変更しているが・・・やはりヤロップ氏の的確で無駄のない文章にはかなわない。ただただ敬服しながら文字を写し取っている。この本『法王暗殺』は是非とも多くの人々に読んでほしいと思う。ここには世界中のマスコミが恐れをなして書かなかった真実が暴露されている。それとバチカンが登場する映画『ゴッドファーザーPartV』と麻薬捜査の実態を描いた『フレンチ・コネクション』の二本も是非観てほしい。機会があれば私もこれらの映画を場面ごと分析してまとめてみたい。ほかフリーマントル著『FIX』と同著『CIA』を参考にしているが、特に『FIX』は世界に蔓延する麻薬の実態が詳しく書かれてある。さらに何といっても広瀬隆著『赤い楯』など、氏の一連のノンフィクション本は欠かせない資料として活用させてもらっている。ほかに5冊ぐらい比較検討のために用意してあるが、これまで自分で書き溜めたノートも利用している。つまり、質問されてもすぐに答えられるようにもなっているわけだが、何よりこのコーナーで書き進める過程での自分の疑問に応えたいためでもある。
 時として真実は、それを知った瞬間から自己責任を問われるようなところがある。ただ面白半分に吹聴できない、タブーに踏み込む覚悟も必要になるということだ。昨夜のテレビでも世界遺産「ランスの大聖堂」が紹介されていたが、神を称える美しい賛美歌を聴きながらも、バチカンの闇を知ったばかりに心の何処かで白々しく感じてしまう自分がいる。闇ばかり見ていると闇に心が慣れてしまい、真理の光の前には眩しくて心の眼も開けていられないような気もする。私自身が全てを許された悪の本体なら、きっと神の殿堂を闇で覆い尽くし「我こそ神なり」と偽りの救世主を装うだろう。自分の心に潜在的に内包する悪と善との、その葛藤を通じてしか見えてこないもの・・・そんなものを大事にしたい。この辺、プロの宗教家のようにうまく表現できないが、散文詩的な傾向のままに感じたことを書いていきたいと思っている。さて、ここでの物語はまだ始まったばかりだ。狡猾で強欲な銀行家シンドナは、その偽りの信仰心とカネを武器にバチカン内部深く浸透・・・そして残虐非道な秘密結社P2の頭目ジェッリとの宿命的な出会いが待っていた。

 バチカンが大株主のウニオーネ銀行が経営難に見舞われた時に暗躍したのが、シンドナとアンプロシアーノ銀行頭取ロベルト・カルヴィだった。(日誌5/18参照) この二人は共にP2会員としてバチカンのカネを操り、邪魔者は頭目ジェッリが始末していた。シンドナは1960年後半にP2会員となった。シンドナとジェッリには共通点があった。当時、二人は共にインターポール(国際警察)とCIAに監視されていたのだ。のちに彼らはCIAの資金提供を受けることになるのだが、奇妙なことにCIAは60〜70年代にかけて彼らの犯罪を摘発しようとはしていない。この時に処置していればバチカン銀行がこれほどマフィアや某秘密結社に食い物にされることはなかったはずだ。1968年11月、国際警察ワシントン支部はローマの国際本部に一本のテレックスを送っている。それは「ミケーレ・シンドナ含む四名がイタリアとアメリカ間、それにヨーロッパ諸国間において覚せい剤及び幻覚剤の密輸を行っているとの未確認情報を得た。至急報告されたし」といった指示だったが、イタリア当局の返電は「容疑の事実は確認されない」であった。このテレックスは数日のうちにシンドナの手元に届くていたらくだった。本来なら国際警察はローマのアメリカ大使館及びミラノ領事館に滞在するCIAに照会し、それにCIAがシンドナたちについての調査資料を送れば済むことであった。そうすればシンドナたちの悪事は中断させられ、しいてはマフィアらの密輸ルートも一網打尽に出来たことだろう。しかし、CIAはオメルタよろしく沈黙を守り続けるのである。

 世界の麻薬市場では、ヘロインやコカインといった通常知られている麻薬に対し、塩酸ジビバノン(品名ディコナル)、塩酸シクジリンなどといった新入りが登場していた。デキストロモルアミド、オキシコドン、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、レボルファノール、メタドン、パパベリン、ペチジン、フェナゾシン、ピリトラミドなど麻薬と成り得る予備薬も無数にある。幻覚剤として最もポピュラーなのが有機溶剤による吸引で、これらは日本の「シンナー遊び」として世界中に知られている。気管吸入によって幻覚及び陶酔感をもたらす化学物質は三つに大別される。一つは接着剤に使われるトルエン、二つ目は洗剤や消化剤に使われるハロゲン族炭化水素、三つ目はスプレーなどに使われるプロパンやブタンなどのガスである。
 実は10年ぐらい前、私の会社が取り引きしていた材料屋が、トルエンを東京の暴力団に横流ししていたとのニュースが流れたことがあった。そのトルエンはおそらく新宿あたりで売りさばかれたことだろう。ニュースは地元の記者がスクープしたもので、信憑性はあったと思われたが・・・翌日にはさっそく「事実無根」だとの広告が地元新聞に載った。その後、どういうわけかニュースそのものが立ち消えとなり、このスクープが全国ニュースとならなかったばかりか、地元警察でさえ動くことはなかった。この材料屋は原子力関連会社に材料を納めては急成長し、そして最近倒産した。顔見知りの社長だけに気になっている。つい数年前には、私の自宅から100メートルと離れていない場所で覚せい剤の取り引きが発覚、現行犯で組員が逮捕された。建設関連の仕事に従事していた頃にはまともに現場を目撃したものだった。炭鉱町の名残で、私の住む地元一帯にはまだウラ社会の勢力が現存している。覚せい剤をビジネスと割り切って高い末端価格で売りさばいている密売組織と、一方ではつい覚せい剤に手を出したばかりに中毒となり、被害妄想に陥って殺意さえ抱くようになる。私はそんな実態を身近に見てきている。日本もちょっと裏に回ればシシリー・マフィアたちの悪の構図と何ら変わらない。先月24日には警察が組幹部の覚せい剤事件を揉み消すといったことまで報道されているが、ウラ社会と警察のもたれ合いは今に始まったことではない。そうした自分の体験からしても、世界を覆う麻薬帝国の存在には他人事ではない怒りを覚えるのだ。

 CIAはシンドナたちの麻薬密売の実態の全容を把握しながら、それを泳がすことでバチカンの弱みを握ろうとしているかのようだ。それはこれからのアメリカの外交上にとっては好都合でもあったろう。ためにジェッリのP2やシンドナの類い稀なる集金能力を駒として用いる戦略を立てていた。彼らのヘロインを積んだ30隻近い貨物船がレバノンから南イタリアに向かっていることも、CIAは十分承知しながら何食わぬ顔で黙認という監視を続行していた。シンドナとシシリー・マフィアたちはレバノンからトルコに至るまで隈なく密売ルートを張り巡らしている。トルコ中西部アナトリア高原の「アフヨンカラヒサル」は奇しくも「阿片の黒い地方」を意味していた。1971年に当時のニクソン政権がケシ栽培禁止を求めたときにも、アフヨンカラヒサル産のヘロインはせっせとアメリカ国内に送り続けられていた。業を煮やしたニクソンはトルコの反政府勢力に着目するとCIAも渋々動き出した。1971年初頭、アメリカの軍事支援を期待する軍部がクーデターを起こし、それに成功した新政権はケシ栽培の全面禁止を約束しながらアメリカの支援を取り付ける。これはニクソンにとっても大成功に思われたが、実際には相変わらずヘロインはアメリカ国内に流れつづけていた。推測するところ、CIAはニクソンを上回る奸智を働かせ、シンドナたちと連携プレーを行使していたと考えられる。
 ところが、アメリカ国内で合法的に製造されていた「コデイン咳止め」が不足すると、アメリカ医師会の圧力がホワイトハウスにかけられる。ニクソンは急遽インド政府にケシ栽培の増産を促すと、今度は他種の咳止め用として有毒アルカロイドのテバインを入手するため、ハカマオニゲシでケシ栽培の実験に踏み切った。さらに1974年7月、トルコ政府がアメリカ主導のケシ栽培禁止令を廃止すると、アメリカは軍事援助を含む全ての支援打ち切りを予告して圧力をかける。インドにはケシ栽培での増産を迫り、トルコにはケシ栽培の禁止を求めるという、こうしたアメリカ政府の矛盾したやり方には納得のいくものではない。元々咳止め用の薬にケシ栽培が絶対不可欠とする根拠自体がおかしなことだった。つまりはヘロインを使わない別の咳止め用の薬を使えば良いのだから・・・アメリカ政府の恫喝は無意味で効果がないことはすぐに結果となって現れた。トルコが自国のケシ栽培に制約を加えても、トルコからアメリカ国内への麻薬流失は一向に減ることはなかったのである。ニクソンはそれでも「アメリカの麻薬中毒患者が20万人も減少した」と誇らしげに勝利宣言したことは、実にバカバカしいものだった。CIAはそんなニクソンに忠誠を誓う素振りをみせながら、影ではシンドナらの麻薬密売を黙認し、かつ支援すらしていたのである。

【視聴予定】
■19:30-20:00 NHK教育 ゆうゆう「急増する働き盛りの”うつ”」 会社ストレス
■21:00-21:54 テレビ朝日 たけしのTVタックル 個人情報は金になる…暴露(秘)携帯電話データ不正入手(秘)犯罪流用&迷惑メール
■21:54-23:10 テレビ朝日 領事館拘束事件見て…世論調査結果▽クジラめぐり大論争?IWC下関総会始まる▽きょう独立▽川平慈英、W杯突入宣言
■24:15-25:10 NHK総合 変革の世紀
02/05/19 (日)
 雨もやんだ。猫族たちも元気でいる。とても可愛いし、可愛がってもいる。今は小さな命がとてもいとおしい・・・特にチロは呼ぶと必ず寄ってきて、嬉しそうに私の手に頬ずりしてくる。感極まると手を噛んだりする。そして13時現在、クロのお産を確認、全身白と、三毛猫二匹の計三匹・・・妹は産まれたらすぐ捨てると言っていたが、私は反対だ。生まれてくる命には全て、生まれるに足る意味があると思っている。さて、どうなることやら・・・
 ここ数日間、ボナーノの死去からバチカン&P2へと日誌での連載となった感があるが、これは全容を把握するためにどうしても書く必要があると思ってのことである。複数の資料を比較しながら書いているので、おそらく大筋での間違いはないと考えている。昨日はバチカンが株主となっているウニオーネ銀行救済について書いたが、そこで暗躍したシンドナの生涯を追ってみたい。

 ミケーレ・シンドナは1920年5月8日生まれ。イエズス会の学校で学び、数学の得意な彼は、メッシナ大学法学部を優秀な成績で卒業する。1942年、兵役を教皇庁国務省のアムレト・トランディニ神父に手を回して逃れている。トランディニ神父は婚約者の遠戚であった。第二次大戦最後の三年間に、パレルモの闇市からマフィア経由でメッシナに食料を送り、飢えた人々に高く売りさばいては利益を上げた。1943年6月、米軍のシチリア上陸に際し、マフィアと共に米軍物資の横流しで稼ぐ。1946年、妻リーナと共にミラノに移る。この時、彼の手元にはメッシナ大司教の紹介状が何通もあったという。ミラノでは経理事務所を始め、経営コンサルタントとして金持ち連中の脱税を助けて多額の報酬を得る。シチリア育ちの彼はオメルタ(沈黙の誓い)を守り、それゆえにマフィアからも信頼されていた。その得意先の筆頭にはガンビーノ・ファミリーが名を連ねている。ガンビーノはニューヨークとパレルモを股にかけたヘロイン密輸で利益を得、そのマネーロンダリングをシンドナに一任する。シンドナはそうしたマフィア資金を後ろ盾に次々と銀行を買収し、ミラノ大司教モンティーニが老人ホームを建設すると聞くや240万ドルの大金を寄付してバチカンの信頼を得ていく。これを契機にモンティーニ大司教はシンドナを教区の財務顧問として活用、のちにモンティーニ大司教はパウロ6世として、さらにシンドナを教皇庁財務顧問に担ぎ上げていくことになる。実は、シンドナが老人ホーム建設の寄付金とした出した240万ドルは元々CIAが提出したカネだった。CIAはバチカンに浸透するため50〜60年代にかけて毎年数百万ドルを用意、シンドナに利用価値があるとみるや抱き込んでいたのである。やがてシンドナはメッシナ銀行をも買収すると、バチカン銀行頭取マッシモ・スパーダと親交を結ぶ。
 それらの過程においてシンドナは、プリバータとフィナバンクの両銀行を舞台にした外国為替の仲介業務に関与するが、それは表向きで、彼はそれ以上に儲かるイタリア大手銀行らの不正取引の下請けに手を出していた。1966年、資本金の五分の一と定められた融資規制もシンドナにとっては無意味だった。彼らはプリバータ・フィナンツィアリア銀行で、預金者のカネを勝手に引き出してはせっせとバチカン銀行の口座に移し、バチカン銀行は15%の手数料を差し引くと、今度はジュネーブのフィナバンクのシンドナ口座に送り返した。こうした不正に顧客が抗議しても、シンドナの支配下にある銀行側はコンピューターの故障として撥ね付ける有様だった。こうしてシンドナは不正な金融取り引きによって私腹を肥やすと、やはり悪の匂いを強烈に放つP2頭目リーチョ・ジェッリに出会うことになる。

カルロ・ガンビーノの写真@-A-B
 
02/05/18 (土)
 今日は午前中からどしゃぶり雨、厚い鉛色の雲に覆われて家の中は真っ暗だ。正午近く、ようやく雨は小降りとなったが、家の中はまだ暗く、スタンドの灯りを付けてこれを書いている。

 ジョゼフ・ボナードについて調べて分かったことは、彼は一般に知られている「ゴッドファーザー」のモデルなどではなく、同じマフィアからも蔑まれている麻薬密売と売春を踏み台にしてのし上がった男だということだった。その彼が属していたガンビーノ・ファミリーはインツェリッロ・ファミリーと組んで、バチカン絡みの資金に関与していたことは前述した。16日の日誌、1978年に彼らが雇ったマフィアがパレルモで殺された事件のことである。
 この時マフィアが持っていた小切手は、バチカン経由でスイスのアミンコール銀行に送られたものだった。アミンコール銀行は銀行家ミケーレ・シンドナの持ち物だ。このアミンコール銀行は、1968年に経営難に陥った「ウニオーネ銀行」に資金を投入して救済している。ウニオーネ銀行の大株主はバチカン銀行であり、ためにバチカンはシンドナに頼んだのだった。ウニオーネ銀行が潰れるようなことがあれば、その火の粉がバチカンまで飛び火する。そればかりではない、イタリア経済が大混乱になることは明らかだった。シンドナはまずプリバータ・フィナンツィアリア銀行から入手した不正な利益500万ドルを用意すると、自分の「マブシ・グループ」のフィルターを透過してバチカン教皇庁へと送り込んだ。シンドナは秘密結社P2の会員だったが、そのツテを利用して、同じP2会員のロベルト・カルヴィ頭取にアンプロシアーノ銀行からも資金を送るよう指示した。こうしてバチカン銀行に恩を売ることでP2のバチカン内での活動もやり易くなるというものである。P2の指導者リーチョ・ジェッリはシンドナと盟友でもある。数千人の会員数を誇るP2は、その多くがカトリックへ改宗しバチカン内部へと浸透していた。中でも「自由世界の最大の実力者たち」と呼ばれる300人は、政財界全てにおいて指導的立場にある実力者だと言われている。
 P2の隠然たる力は絶大だった。「ハンブローズ銀行」も動いた。シカゴ・マフィアたちはハンブローズ銀行を経由してイタリアのシシリー銀行にカネを送っていた。そのシシリー銀行の親会社は当時イタリアでトップの売上げを誇る「トリノ・サンパオロ銀行」であった。ちなみにこの銀行は「トリノのもう一つのバチカン銀行」と言われている。会長はジャン・ザンダノ、何とハンブローズ銀行の重役も兼務していた。そのハンプローズ銀行会長チャールズ・ハンブローの肩書きをみれば、これも何とトリノ・サンパオロ銀行の重役も兼務しているではないか。こうして実力者たちは申し合わせたような連携プレーを行使できるというわけである。
 ウニオーネ銀行救済作戦は映画会社「パラマウント」を支配する「ガルフ・アンド・ウェスタン」をも動かした。パラマウントは映画「ゴッドファーザー」シリーズを大ヒットさせているが、その利益の一部も親会社ガルフ・アンド・ウェスタンを経由してバチカンへと流れた。シシリー・マフィアの実態をドラマチックに模倣したこの映画は、その映画化にあたっては本物のマフィア幹部たちの諒承を取り付けることは不可欠だった。それに「三本指のコッポラ」を思い出させる監督フランシス・コッポラほどの適任者はいなかったであろう。ボナーノ属するガンビーノ・ファミリーとインゼリッロ・ファミリーの財務顧問はシンドナであった。こうしてシンドナはバチカンに恩を売り尽くし、P2会員によるバチカン浸透をやり易くしただけではなく、その報酬も莫大なものになっていった。

【視聴予定】
■19:30-21:50 NHK総合 NHKスペシャル「日韓・新しい歩みが始まった」 新たな関係をつくる人々▽単身韓国に渡った日本人女優▽韓国TVで人気爆発名物講師は日本人▽普通の友人になろう・日韓高校生交流▽競争から協力へ・夢の技術共同開発に挑む鉄の男たち日韓でIT世界制覇を(中断8.45〜9.00) 
■23:00-23:30 NHK教育 ビジネス塾
02/05/17 (金)
 学生時代あまり英語を勉強しなかったことが災いし、昨日のボナーノ死去に関する海外のニュースの英訳が不完全で、意味不明のまま書いてしまったことを補填したい。私の場合、学生時代と言っても最終学歴が中学なので、殆ど学生時代という思い出はない。家の火災も理由の一つにはなるだろうが、本当の理由は単に学校の勉強が嫌いになっただけに過ぎない。別に学歴へのコンプレックスはないし、それより好奇心のほうがそれを凌いできた感がある。足りない学力は想像力で補えば良いと思っているが、やはり分からないと好奇心がそれを許さないようだ。というわけで、昨夜から気になっている点を書く。

 ジョゼフ・ボナーノが「ジョー・バナナ」と呼ばれているのは、どうやら彼が麻薬や売春などのマフィアとしては蔑まれている犯罪に手を染めていたかららしい。バナナは男性の生殖器を象徴しているところから、ボナーノが自分につけられたあだ名を嫌っている理由も分かってくる。「男の中の男」といった意味合いを含む「ボスの中のボス」といったシシリー・マフィアの呼称も、ボスへの尊敬を表した言葉として考えれば頷ける。そういう意味でボナーノは「ボスの中のボス」とは言い難い「バナナ」などという蔑称を頂くことになったのだろう。この辺、私の勝手な解釈ではあるが、異論があればメールでアドバイスしてもらえれば幸いである。
 ところで「バナナ戦争」Banana Warのことだが、これはボナーノが関与してきたおよそ「男らしくない」犯罪を含む、マフィアの「汚い内部抗争」を表わしているようだ。ボナーノ誘拐事件では、1964年10月に彼がニューヨークの大陪審で証言をする前に起こっていることから、いろいろ憶測されてきた。6週間農家に拘束された後に解放されたというこの誘拐事件が、実はボナーノとその仲間たちによる自作自演ではないか?といった憶測も飛び交った。ボナーノ自身は、彼のイトコと反ボナーノ派による犯行だとしているが、口封じのためならシシリー・マフィアのやり方では即処刑されていたはずだ。イタリア国内のマフィア組織を大別すると四つに分かれる。
シチリアの「コーザノストラ」COSA NOSTRA
ナポリの「カモッラ」CAMORRA
カラブリア地方の「ヌドランゲタ」NDRANGHETA
プーリア地方の「サクラ-コロンナ-ウニータ」SACRA CORONA UNITA
 確かに他の三つのマフィア・グループも侮れないが、シシリー・マフィアの「コーザノストラ」に楯突くほどバカではない。格が違うのだ。ボナーノを誘拐するほどの命知らずはいないとみていい。本人はもとより、その家族の命も危うくなるのだ。とすれば、あとは内部抗争しかない。
 その内部抗争で熾烈を極めたのが「ドン・マッシーノ」ことトマッソ・ブシェタを巡る報復戦争で、1984年7月、近親者を殺された彼がオメルタ(沈黙の誓い)を破ったことから366件の逮捕状が出る。キリスト教民主党でもあった前パレルモ市長ビート・チャンニミーノが逮捕されるに及び、シシリー・マフィアの内部抗争からイタリア警察へと飛び火した三つ巴の報復戦争が展開する。結果的に治まってみれば、ボナーノ以上に悪賢い知能犯ルチアーノ・リッジが天下を取り「ボスの中のボス」となっていた。彼はしっかりとボナーノの育てた麻薬帝国を引き継いでいた。彼の麻薬ビジネスは南米に及び、特にコロンビア産のコカインでは途方もない利益をあげている。

 夜が明けてきた。そろそろ仕事が入ってきても良さそうなものだが・・・まさか元請けが倒産寸前ということはあるまい・・・今はその「まさか」が起こっても不思議はない御時世なんだね。ちと今日あたり探りを入れてみるか。疲れてはいられないけど、生身だからね・・・それでも疑心暗鬼は避けていきたいと思っている。垣間見える誠意だけを頼りに生きていくしかない。雨も降りだした。5月17日午前6時の不眠症。 
 思いっきりテレビ「今日は何の日」で團伊玖磨が取り上げられていた。今日は彼の命日であった。彼については、ただならぬ閨閥からここで何度も書いてきた。さりげなくテレビに流れる実写映像も、私にとっては貴重な資料となる。
参照、團伊玖磨さんの通夜に弔問客次々團伊玖磨一族の写真

【視聴予定】
■22:00-23:00 NHK総合 NHKニュース10 ▽総領事館事件・折衝続く日中交渉▽景気は底を打った?日本経済の展望▽W杯代表トルシエの決断
■23:00-24:10 NHK教育 金曜フォーラム「田んぼは日本のいのち・食農教育」
02/05/16 (木)
 ジョゼフ・ボナーノ死去ということで、もう少し彼について書いてみたい。

 アメリカにおいては「ラッキー・ルチアーノ」のことサルバトーレ・ルカニアの配下として、フランク・コステロやアルバート・アスターシアと肩を並べる。イタリアにおいては「カルロ・ガンビーノ」の配下として、ルチェーゼやコロンボと肩を並べるジョゼフ・ボナーノ・・・映画「ゴッドファーザー」の真のモデルであるところのヴィト・ジェノベーゼの死をもって、「ボスの中のボス」の座はガンビーノに移り、ボナーノの地位も確実に上昇していく。この当時、ガンビーノ・ファミリーはインツェリッロ・ファミリーと同盟を結んでいたが、その橋渡しとなったのが昨日の日誌で書いた麻薬の総元締めカルミネ・ガルンテだった。ガルンテの手腕は麻薬ルートをトルコやレバノンにまで拡大する勢いで発揮された。元々ガルンテはボナーノの部下だったが、そのことでもボナーノの地位は確たるものとなっていく。
 1978年5月、シチリアの首都パレルモでシシリー・マフィアのメンバーが惨殺死体で発見されるが、それはガンビーノとインツェリッロ両ファミリーが雇った男だった。彼がなぜ殺されたかは定かではないが、その懐には一枚の小切手が入っていた。調べた結果、小切手はバチカン銀行を経由してスイスのアミンコール銀行に送られたもので、それはシチリア生まれの銀行家ミケーレ・シンドナがヘロイン密売の利益を送ったものと思われた。それから二ヵ月後、捜査にあたっていたバリスコ中佐がローマ市内を車で移動中に射殺、「赤い旅団」が犯行声明を出すと、その8日後にはパレルモ警察次長ボリス・ジュリアーノが射殺され、後任としてP2メンバーが任命される。全てはP2会員でもある銀行家シンドナの関与を示唆していたが、ニューヨークでのインタビューに応じた彼は白々しくも「暗殺は卑劣な行為であり、私の最も憎むべきものである」と言ってのけている。彼は二年前のインタビューで「私にタテつく者は覚えているがいい」と凄みをきかせていたのをスッカリ忘れたようだった。

 こうして、シシリー・マフィアとイタリア警察の報復戦争から、秘密結社の下部組織P2そしてバチカン銀行と、SF映画を凌ぐ展開が今日まで続いている。映画「ゴッドファーザー」シリーズの最後の場面にはバチカン銀行も登場し、マフィアとバチカンの事情を少しでも知っている者にとっては興味深いものであったろう。私はシリーズの全作を観たわけではないが、今後観る機会があれば史実と照らし合わせてみたいと思っている。

 つい先ほどインターネットでボナーノ死去に関する海外のニュースを検索したので、全訳は無理ながら情報を少しだけ追加しておきたい。ジョゼフ・ボナーノ(Joseph Bonanno)は通称ジョー・バナナ(Joe Bananas)と呼ばれ、カルロ・ガンビーノ(Carlo Gambino)とThomas Luccheseらの1964〜1969年の「バナナ戦争」(Banana War)に関与したことから付けられたあだ名だといわれる。ボナーノはこのあだ名をひどく嫌っていたようだ。先に書いたように、ボナーノは彼らガンビーノ&インツェリッロ両ファミリー配下の大幹部でもあった。ボナーノはそれ以前にアメリカのアル・カポネの下で銃器密輸にも関わっていた。BBCニュースではボナーノ誘拐にも触れているが、この件はマフィア絡みの自作自演の疑惑もあり、いずれ説明するとしてここでは省く。またボナーノは1980年に法廷妨害のかどで禁固刑を受けたとされているが、これはおそらく59人ものマフィアが逮捕された「ラトッレ法案」絡みのパレルモ裁判のことだろう。この時にはボナーノばかりか、そのボスであるガンビーノとインツェリッロも逮捕されたはずだ。そもそもマフィア撲滅作戦を後押しした「ラトッレ法案」が成立したのも、陣頭指揮を取っていたデッラ・キエーサ将軍をシシリー・マフィアが暗殺したためであった。デッラ・キエーサ将軍は「赤い旅団」を敗北に追い込んだことで有名になったが、すでに前述したが、1978年のバチカン銀行絡みで殺されたバリスコ中佐の例のように、「赤い旅団」犯行声明は暗殺のためのカモフラージュにされてきた節がある。パレルモ裁判で打撃を受けたシシリー・マフィアの報復は、結審後にも及び、逮捕に尽力をつくしたロッコ・キンニッチ担当首席治安判事は彼らが仕掛けた90キロ爆薬によって車ごと吹き飛んだ。
 検索した情報にはクイーンズレストランでの反ボナーノ派たちとの銃撃戦で巻き添えをくったもの含めて13人の犠牲者が出たこと、これに関与した二人の息子サルバトーアとジョセフ・ジュニアについても触れられている。1985年、彼らはコカイン密輸や不動産詐欺などの容疑をかけられ、サルバトーアが有罪となったことなどが書かれてある。
【写真】ジョゼフ・ボナーノの遺影三枚

 まだ書き足りないことや説明不足の点もあるが、長くなるので今日はこのくらいにしたい。

【視聴予定】
■19:30-20:00 NHK総合 クローズアップ現代 沖縄(02)基地被害をくいとめろ
■21:54-23:10 テレビ朝日 ニュースステーション 領事館拘束事件で次々わかる日本のお粗末な人権感覚と外交▽ジェニンで何があったのか
■22:00-22:45 NHK教育 ETV2002「沖縄・復帰を記した人々(02)豊かさを求めつづけて」  大石芳野 
02/05/15 (水)
「ゴッドファーザー」のモデル、ジョゼフ・ボナーノ氏が死去
 米映画「ゴッドファーザー」シリーズの「ドン・コルレオーネ」のモデルとされ、米国の暗黒街の大首領だったジョゼフ・ボナーノ氏が11日、アリゾナ州南西部ツーソンの私邸で死去した。AP通信などの報道によると、同氏の弁護士が同日発表したもので、97歳だった。死因は不明。 イタリア移民のボナーノ氏は、ニューヨーク・ブルックリン地区を拠点に、アリゾナ、カリフォルニア両州やカナダまで勢力を拡張し、イタリア・マフィアの全米5大ファミリーの大物ドンの1人となった。1950年代から60年代初頭にかけて、20以上の派閥の利害を調整する「コミッション」のトップも務めた。非合法ギャンブルや高利による融資、ヘロイン密売を通して巨富を築き、ファッション業界や乳製品販売事業でも大もうけした。 内幕を自伝で明らかにした初めてのドンでもあり、「ファミリーのファーザーとして国家元首のようだった」などとつづった。カルロ・ガンビーノ、ラッキー・ルシアーノなど他のドンはすでに死去、または暗殺されており、イタリア・マフィアの「黄金期を築いた第一世代最後の死」(関係筋)とも言われる。

 この記事ではジョゼフ・ボナーノが「ゴッドファーザー」のモデルとしているが、実際には1962年に心臓病で死亡したヴィト・ジェノヴェーゼのことだと言われている。映画の解説では、主人公ヴィト・コルレオーネ(本名ヴィト・アンドリーニ)は、1901年、アメリカ入国時に検査官の手違いでコルレオーネ村の地名と間違えて登録されたことになっている。ほぼ史実に基いた映画であることは詳し過ぎる解説でも想像がつく。参考The Godfather「映画を読む」その1Godfather編

 11日に死去したというジョゼフ・ボナーノは、「ボスの中のボス」と呼ばれていたカルロ・ガンビーノの配下にあり、部下のカルミネ・ガルンテを麻薬の総元締めとしていた。映画「フレンチ・コネクション」ではフランスの黒幕が警察の追跡を逃れたところで幕を閉じているが、この映画も事実に基づいたもので、実際の黒幕はジャン・ジャーンという名で後に逮捕されている。このジャーンが右腕とするヘロイン精製技術者アンドレ・ブースケが警察の監視下に置かれ、シチリアで5トンのヘロインが押収、マフィア大幹部ジェルランド・アルベルティが逮捕される。この時、警察に協力したホテル支配人がマフィアの報復を受け、射殺されている。ブースケも逮捕され、その自白を元に警察はヘロイン・ルートがイタリアとアメリカ全土に延びていることを突き止めるのだ。ここで先のカルロ・ガンビーノが登場、警察はガンビーノがアメリカ6州の犯罪組織を支配する「ボスの中のボス」であることを知る。そのガンビーノの配下とはいえ、これだけでもジョゼフ・ボナーノが大物だったことが窺い知れよう。しかも、ボナーノの悪運の強さはそれに留まらない。1976年にガンビーノが死亡すると、アメリカとイタリアの警察は共同歩調を強めながらシシリー・マフィアの撲滅作戦を推進していく。ここで警察とマフィアのシチリアを舞台にした血を血で洗う報復戦争が展開するのだ。やがてバレルモ裁判によってガンビーノ・ファミリーはその影響力を一時的に失い、それが結果的にファミリー内のライバルが減少したボナーノの勢力を強めることになってしまう。かくしてジョゼフ・ボナーノはガンビーノの闇の遺産を引き継ぎ、イタリアとアメリカを股にかけた一大犯罪シンジケートを支配していくことになる。

 映画「フレンチ・コネクション」と「ゴッドファーザー」はいずれもシシリー・マフィアを扱っているが、四年ほど前には「ゴッドファーザー」原作者のマリオ・プーゾ氏が死去している。この時の日誌で、私は監督フランシス・コッポラの一族と思われる「三本指のコッポラ」について書いた。これらに関しては広瀬隆著『ハリウッド大家族』が詳しい。現実が映画より興味深い筋書きを示す好例でもあろう。その「三本指のコッポラ」ことフランチェスコ・パオロ・コッポラもまたシシリー・マフィアであった。ご承知のようにシシリーとはシチリア(Sicilia)のことだが、その首都パレルモは先のガンビーノ・ファミリーの報復戦争を裁いたパレルモ裁判が行われたところである。マフィア(MaFIa)という言葉も、大戦中の名残で「フランス人の死はイタリア人の叫びだ(Morte alla Francia,Italia anolla)」という合言葉の頭文字から取っている。
 1781年から1784年にかけてのシチリア半島の総督はドメニコ・カラッチオロで、後にその一族マリア・カラッチオロという女性がエリック・ロスチャイルドという男性と結婚する。赤い盾ロスチャイルド家の登場である。やがてこのカラッチオロ一族はイタリア出版業界にも食い込み、財界巨頭デベネディッティ(de Benedetti)と共にイタリア・マスコミ界の黒幕的存在となる。デベネディッティはアンプロシアーノ銀行の副頭取でもあったことから、ロンドンのブラックフライヤーズ橋で死体となって発見された頭取ロベルト・カルヴィとは知友だということになる。バチカン銀行絡みのこの事件は、カルヴィ頭取が某秘密結社の儀式そのままに死んだことで処刑されたとの噂が絶えない。写真 松本清張著『霧の会議・下』341ページには次のように表現されている。

 水に漬けるのは、異端者への懲らしめ「悪魔の洗礼」である。ダンテの『神曲』の「地獄篇」にも、罪業を犯した亡者が「濠」の中に漬けられてもがき苦しむ場面がある。石を男の身体に詰めるのは、去勢の象徴という。---
 (中略)P2の掟による処刑に少しの乱れもなかった。
 ダンテの『神曲』地獄篇第18歌以下----「悪の濠」にかかった橋を渡ると、さまざまな地獄の圏谷(たに)をまわる。ダンテが鬼どもといっしょに濠に沿って行くと、亡者どもはたちまちみな煮えたぎる瀝青(れきせい)の下へ身を隠した。だが、とり残された一人は髪に鉤をひっかけられると、まるで獺(かわうそ)そっくりに水から上へ吊るし上げられる。(第22歌)

【視聴予定】
■19:30-20:00 NHK総合 クローズアップ現代 ▽沖縄発(01)自立経済への挑戦
■21:15-22:00 NHK総合 その時歴史が動いた ▽ヒトラーを逮捕せよ▽大戦前夜ドイツ陸軍が仕組んだクーデターとは?
■22:00-22:45 NHK教育 ETV2002「沖縄・復帰を記した人々(01)変わらぬ基地と向きあいながら」
■22:54-23:55 日本テレビ 出来事 虐待&育児放棄の子ども達
02/05/14 (火)
 阿修羅掲示板に「金賢姫 KAL858便爆破 捏造発覚!」なる投稿があったが、それによれば「政府はこの事件を金正日の直筆指令によるテロ事件と発表したが、北朝鮮の犯行であるとの物証も、爆破したとの確実な証拠もない」として、暗に安企部(元KCIA)の関与を示唆している。これらの疑惑は当初から私も抱いてきたことであり、証言者の元公務員ヒョン・ジュニ氏は600ページに及ぶ原稿を書き終えたという。

 この事件では私も今月1日の日誌でパスポート疑惑について書いている。特に金賢姫KAL機事件ねつ造疑惑Aでの、金賢姫の服毒自殺には私も疑問を抱いていた。結論から言えば「金賢姫は毒物を飲んでいなかった」のである。つまり、彼女は最初から服毒自殺をする意志はなかったということだ。これには決定的な証言がある。彼女が運ばれたサルマニヤ病院の救急部長ヤコビアン氏は「金賢姫が運び込まれた時点で、彼女の血圧、体温、顔色は極めて正常で、毒物を飲んだ形跡は全くなかった」と明言しているのだ。世界中のマスコミはこの事実を無視、韓国政府の発表そのままを鵜呑みにしたことになる。
 さらにヒョン・ジュニ氏は、同伴者の老人・金勝一についても「初めから金勝一は自殺班、金賢姫は自白班と決められたシナリオではなかったのか」として、金勝一が安企部の言うような四ヶ国語に堪能どころか英語すら話せなかったことに触れている。実は、かの老人・金勝一は韓国語すら話せなかった節があるのだ。当時のバーレーンでも金勝一が韓国語を話した言葉を聞いた者は誰一人いない。ところが・・・彼の蜂谷眞一という日本人パスポートに偽造の疑いがかかった時のことである。知らせを受けて急遽駆けつけた砂川三等理事官が、パスポートが偽造されたものらしいことを日本語で訊ねると、金勝一老人は小さな声で「そうですか」と日本語で応えたというのだ。これはどういうことだろうか?つまり、金勝一の発した言葉が、韓国語でも英語でもない、唯一日本語の「そうですか」なのである。その間もなく、青酸カリで服毒自殺した彼は、それこそ死人に口なしで確めようもないが・・・ひょっとすると彼は日本人ではなかったか?という疑問も起こってくるのだ。少なくとも日本に生まれ育ったゆえに堪能な日本語を話せる・・・

 今になって何故発表したかについてヒョン・ジュニ氏は「殺伐とした軍事政権時代だったことと、公職者の身分だったことで話せなかった。監査院を辞めてからも、いちずに「北朝鮮の犯行」と信じている国民情緒にうかつに異議を唱えれば、アカ呼ばわりされる危険性があって『今は時期ではない』と考えた」と語っている。彼はその時期が今だと判断したのだろう。勇気の要ることである。何よりこの事件の真相を熟知しているはずのマスコミが沈黙している中にあっては、私などは尊敬の念すら出てくる。この事件での疑惑はまだまだある。公表する時期ではない分も含めて、時流に沿って、真実もまた明らかにされていくことだろう。

【視聴予定】
■21:15-22:00 NHK総合 プロジェクトX「史上最大の脱出作戦13時間のドラマ」 三原大噴火▽妻に別れ▽激闘再び
■22:54-23:10 テレビ朝日 ニュースステーション 鈴木宗男氏の議員辞職勧告決議案と”ムネオ疑惑”の行方▽領事館拘束事件は▽失業と正しい”職安”?
02/05/13 (月)
 従兄の死について、ここ数日、私は自分の心と向き合うことを続けてきている。強いられている、と言ったほうがいいかも知れない。それは「誰かに強いられている」というのではなく、自分自身への強迫観念みたいなもの・・・内なる潜在的な意識が頭をもたげてきたというような感覚である。言葉で整理しようと思ってもまとめられない何か、自分の心の根源的なところで目覚めつつある、そんな心持ちだ。

 6日の日誌で私は同情について「相手の悩みまで落ちながら、その悩みに溺れることなく昇華する」必要性のことを書いている。思ったままを散文詩的に書いているので、自分でも漠然として心が整理出来ないでいた。これを理解する術としては「音楽療法」が参考になるかも知れない。悲嘆にくれている者を元気づけるために音楽を聴かせようと考えるとき、一般の常識ではリズミカルな楽しい音楽を聴かせようと思うはずだ。ところが、実際にはまったく逆のことが起こる。悲しみを癒すための楽しい(はずの)音楽が、その違和感ゆえにさらに悲しみが増長されてしまうのだ。黒澤明監督の映画『酔いどれ天使』の中で、三船敏郎扮するヤクザが結核だかの末期症状のまま、ドヤ街を放浪するシーンがある。余命幾ばくもない自分の命を悟ってさ迷うヤクザのその場面に、黒澤監督は大胆にも「カッコーワルツ」という軽妙な音楽を被せるのだ。これがさらにヤクザの絶望感を引き立たせるという意外な効果を生む。普通なら悲しい場面には悲しく沈んだ音楽を流すことを考えるはずだが、そうすると奇妙にも涙こそ誘いはするがやがては「悲しみが癒されていく」のである。これらの現象は、悲しむ心に悲しい音楽を同調させる「同質の原理」で説明されている。

 それは「相手の悩み」に「自分を同調させる」といった同情心にも繋がるだろう。まずは他人と自分という感情波動を同調させるという接点から、心の交わる環境が形成される。この段階を踏まえない「励まし」は逆効果になる。末期癌の母は見舞い客に感謝しながらも「大丈夫とか頑張れとか言われても、何を頑張ればいいのかねぇ」と呟いていたことを思い出す。頑張れば何とか希望が見出せるような場面では「頑張る」気力も出てくるだろう。しかし、そうした可能性のない絶望にとって「頑張れ」という励ましはむしろ暴力的でさえある。絶望的な悲しみには「頑張る」ことを放棄した、ある種の覚悟が要るようだ。事実、母が他界する前に言ったことだが・・・母は死期が迫っていることに対して「覚悟している」と私に毅然と言い放ったのだった。そうは言っても不安が拭いないことは察すること余りある。病室の朝に目覚めるたび、母は自分の手をさすって「ああ、今日も生きている!」と内心喜んでいたと告白した。その母も今は亡い。
 仏教にあっては「この世に何一つ不変性はない」諸行無常を説くが、それは絶えず変化してやまない現世を的確に言い表している。その不変性のない人生において、それでも尚且つ絶対不変の存在を希求する人間に、既成宗教の有りようは無惨でしかない。少なくとも私の体験上、そう思わざるを得ない。それら既成宗教が拠り所とする偶像は、それが「絶対なるものの存在」の証しとしているかぎり、真理は複数にまたがっていることになる。人類の数ほど神々が巷に溢れているかのようでもある。絶対不変の存在意識を想定するとして、真理は唯一「ひとつ」であり、その「1なるものの存在」においても矛盾する。それでは何が真理なのか?何をもって真理の真理たる証明とすればいいのか?この問いかけは、人それぞれの内面的葛藤をもって続けられていくことだろう。

 科学の発達は日増しにその加速度を上げつつ、かつてのSF小説を凌駕する勢いで我々を驚かせてくれる。命の領域にも科学のメスは無遠慮に射し込まれ、倫理的問題と激しくぶつかりあっている。こういう時に「神は死んだ」ことにすれば科学はさらに驚異的な発達を、極限まで遂げるに違いない。科学者など一部のインテリにとっては「神は存在しない」という前提でしか、自分の存在を肯定できないのだから・・・「神は存在してほしい」願望の持ち主は悉く科学発展の邪魔になる。現代においての「進歩」とは、まさしく「神の不在における科学の自由意志」のことではないのか。これ対して「神の実在を希求する自由意志」が正面からぶつかりあうのは宿命的でもある。その人間の自由意志こそが、これから人類の精神構造を二分する終末的な闘争となっていくような気がする。

【視聴予定】
■19:30-20:00 NHK総合 クローズアップ現代 戦犯法廷が元国家元首を裁く
■22:00-22:45 NHK教育 ETV2002「スターリン・死のカルテ」 謀殺か病死か・初公開資料が語る真実
02/05/12 (日)
 昨夜は従兄の孤独な死に自分をみていた。日曜のけだるい朝にあっても、それが消えない。

 進んでいるように見えても、実際には退歩しているのかも知れない。人生途上で足踏みしている躊躇は、そうした不安があるからだ。大地に足が付いていない不安、道筋が見えてこないために歩み出せない躊躇・・・振り返っても父や母の残像すら見えない。いつになっても子供だね。道に迷った子供の自分が、泣きながらまだ親を探している。子供だから、親が死んだという意味が分からない。生まれてしまった悲しみだけを抱えて、道に迷ってベソをかいている。ふと誰かが自分を俯瞰しているような気がして、空を見上げても何も見えやしない。心がこんなに感応しているというのに、見えないものが有るんだ。有っても見えないものは心で感じるしかない。それなのに、そんな心を何処かに落としてしまったようだ。道に迷っているのは自分の心を探すため・・・誰か私の心を知りませんか?

 夢想・・・遥か宇宙から地球を望み、その地球に居る自分を、その心を宇宙意識に照合した場合・・・私という人間の罪は明白だ。心に肉体を纏った瞬間から、私は人間という試練に立たされた・・・そんな想いに囚われた時に、私は内なる潜在意識に少しだけ目覚める。何という生き方を自分はしてしまったのか、何より命の根源的なところで悪しき考えを継続してきたことへの罪悪感・・・これは決して誤魔化せない。聖なる領域への帰結という誓いも、自由意志を許された人間にはもはや何の歯止めにもなりはしない。かくして人間はこの物質界において欲望のままにその心を自ら汚していく。罪の誕生だ。そしてそれは宿命でもあるかのように・・・自分自身にさえ嘘を嘘で塗り固めて平然としていられるようになれば、それは立派な人間というもの・・・人間の自由意志には神への冒涜でさえ許されているようだ。だからこそ、宇宙を凌駕するほど広くて深い聖なる意識のことを、夢でもいいから思い出させてほしい。遥か無限の彼方から、時空を越えた何かが語りかけている。あまりに静かなその囁きは、人間の耳には届くことはない。ほんの少し心の扉を開けた時だけ、感じられるというのに・・・人はみな貝のように固く心を閉ざし、仮面の微笑で取り繕っている。私も例外ではない。自分の偽善に自己嫌悪している時にも、私は地球の動物的側面に支配されている。命の根源にあるものを忘れてしまっている。人間にとっては絶対的であるように思える死でさえ、その虚無的響きを凌駕する永遠が内包されていることを・・・眠れない夜の時空を超えたSF的夢想が教えてくれる。
02/05/11 (土)
【試作ムービー】
眠れない夜に』効果音入り、読み込みに少し時間がかかる。ここに戻るときはブラウザの「戻る」をクリックするか、左フレーム内の「日々雑感」をクリックしてほしい。
 こんな駄作をつくったのは、文字通り眠れない日が続いたためだ。その原因の殆どは不況で仕事が無くなっていることへの焦り、憤り、不安でもある。そういう意味では自分自身を癒すためにつくったようなものかも知れない。いずれ次の仕事も出てくるだろうが、その空白期間が長すぎる・・・小泉総理はそんな零細企業の実態を把握しているのか?痛みを強要するばかりで、具体的な対策が何ら見えてこない。瀕死の患者を見殺しにする医師のようなものではないか。話が横道に逸れた。

 従兄が死んだことで知人に話を訊く。弔問客があまりに少ないことに疑問を抱いたからだ。特に親しかった友人たちが来ていない。孤独のうちに死んだ従兄は、どうやら自ら人間関係の絆を断ち切っていたようだ。頑なに友さえも拒みつづけた人間不信の原因は何処にあるのか?考えれば考えるほど分からなくなる。しかし、考えて分からないことでも、同じ血をひく従弟として直感的に感応する部分がある。言葉では説明しがたいその直感は、おそらく的を得たものだろう。火葬場で焼かれていく従兄の、その炎の音を聴きながら、高価なステレオでひとりジャズに聴き入っていた従兄の孤独がイメージとして浮かんだものだ。人間社会にあって、その絆を自ら切るという行為は自殺に酷似する。ある意味で、人は人との関連性においてしか生きられないとも言える。心を閉ざして自分の殻に閉じこもる・・・こうした性癖は確かに私自身にも思いあたる。自分の欠点を含めて、人間不信に陥るきっかけは何処にでも転がっている。そうした不確かな人間社会にあっても、時として垣間見える誠実さを見逃さないかぎり、人は何とか生きていけるのではないか。また、そうでなくてはならないと思う。死ぬより辛い悩みを抱えながらも、生きることに絶望しないということは忍耐の要ることだ。勇気と言い換えてもいいだろう。それが出来ないばかりに私は、今日もどうしようもない自分を自覚するばかりなのだが・・・

【視聴予定】
■20:00-2045 NHK教育 未来への教室 全盲の科学者バーメイ▽指先が解明した進化の謎▽貝がらに刻まれた生命の神秘
■21:00-21:50 NHK総合 NHKスペシャル「無差別テロは裁けるか」 イタリア司法界の挑戦▽反テロ法が生んだ社会の闇
02/05/10 (金)
 テレビで最近人気上昇中の陶芸界のプリンスとかで、辻厚志(25)なる若者が紹介されていた。左端写真。一見して毛並みの良さを感じさせてくれる顔立ちだが、やはり彼は著名な陶芸家・辻厚成(59)写真を父親とするサラブレッドだった。母親は多香子さん、彼は如才のない処世術で各界の有名人との交遊を深めており、いずれ父親を凌ぐ斬新な陶芸家として世に知られていくだろう。ちと気になるのはその活動範囲の広さで、彼はガーディアン・エンジェルス東京支部設立当時のリーダーで、現在もその一員として活躍していることである。写真 ガーディアン・エンジェルスについては、余計なお世話であるところのボランティア警備組織という認識しかない私だが、その根源的なところで何かしら偽善めいたものも感じている。良しにつけ悪しきにつけ、これからの彼が近い将来多大な影響力をもつであろう予感でこれを書いている。
【関連サイト】東京陶芸家、辻 厚成氏の作品展「土と炎」予告私のスタイル・辻厚志

【視聴予定】
■21:00-21:54 テレビ朝日系列 運命のダダダダーン!「禁じられた恋」 大統領と女優危険なW不倫▽マリリンに会いたい海を渡る犬
■22:00-23:00 NHK総合 NHKニュース10 ▽鈴木宗男氏問題・次の展開は▽沖縄・米統治下のハンセン病患者はいま
02/05/09 (木)
 午後、注文していた安価なノーブランドの背負子が着荷、さっそくMTBを折りたたんで装着テスト。15キロしかないはずのMTBが重くて立ち上がれず、腰を痛める。それでも何とか立ち上がったが、やはりバランスが悪く、左右の均衡がとれないことに気付く。しかし、キャリーがあるので出来るだけ地面を転がして利用すればいいだろう。さらにMTBのタイヤを外してテストした際、ブレーキ調整に狂いが生じる。やはりMTB持参の旅行はちと無理かな?と思われる。これから問題点をクリアして、何とかしていきたい。

 今夕より周辺機器を接続しようとしてシステムダウン、再セットアップの危機に見舞われる。当たり前だが、再セットアップすればデータが全て消える。これを回避したいがための悪戦苦闘であった。あれこれ弄くりまわして、何とか一部復旧したが・・・うむ、またシステムダウンするかも知れない。 C型肝炎とミドリ十字について書こうと準備していたが、時間的に無理なようだ。少しまとめてから書きたいと思う。今夜はこれくらいにして、風呂はいって寝てしまおう。疲れた。
02/05/08 (水)
皇居で勲一等親授式 天皇陛下が豊田章一郎氏らに
 春の叙勲の勲一等の勲章親授式が8日午前、皇居・宮殿正殿「松の間」であり、天皇陛下から受章者18人に勲章が手渡された。旭日大綬章は、経団連会長などを務めた元トヨタ会長の豊田章一郎さんら7人。瑞宝章は、元宝塚歌劇団会長で阪急電鉄会長の小林公平さんら11人。
 天皇陛下はかぜのため御所からの外出を控えていたが、午後も予定通り、宮殿で勲二等の受章者にお祝いの言葉を述べたり、夜には宮内庁式部職楽部も出演する日韓両国の雅楽演奏会に皇后さまと出席したりするという。

 旭日大綬章を授受した豊田章一郎氏に関しては、先月の日誌4月26日とそれ以前にも連続して書いている。瑞宝章を授受したという小林公平氏は確か初めてだったと思うが、彼は阪神電鉄の創業一族の小林家に婿入りしている。小林公平氏の父親は元三菱銀行取締役の三村弥平氏で、公平氏の夫人が東宝創業一族の旧姓・松岡喜美子さんである。喜美子夫人はその松岡家から、阪神電鉄の創業一族の小林家へ養子に迎えられている。現在の阪神電鉄会長の小林公平氏と喜美子夫人は、そのどちらも小林家の血を継続していないように思えるが、実際には喜美子夫人は創業者・小林一三の孫娘になる。というのは、阪急電鉄創業者・小林一三氏の息子・小林辰郎が、松岡家の養子となって喜美子夫人が誕生したからである。ややこしいようだが、互いの養子縁組が閨閥を複雑にしているにすぎない。松岡といえば元プロテニスの松岡修造を思い浮かべるが、彼にとって喜美子女史は叔母となろう。この松岡家と津村順天堂の津村家とは近しい親戚でもあり、ほかサントリーの鳥井家、日本生命の弘世家など華麗な閨閥を誇る。
 その弘世家と鴻池組の鴻池家もまた親戚で、今年の正月には鴻池組二代目社長夫人鴻池敏子さんが死去した。伝説の小林一三の末娘・春子さんがサントリーの鳥井家に嫁いだことから、日本生命の弘世家とも閨閥が結ばれていったわけだ。見事なものである。鳥井家の直系でありながら母方の親戚の養子となっていた佐治敬三は、早世した長男の後を継いで社長となっていたが、1999年11月3日に死去した。

【視聴予定】
■21:15-22:00 NHK総合 その時歴史が動いた ヒトラー独裁者への道▽発見・幻の裁判記録野望はミュンヘンから始まる
■22:00-23:00 NHK総合 NHKニュース10 ▽なぜ?昆虫に大異変が…
02/05/07 (火)
 この連休、いろいろあった・・・先月の従兄の急死が尾を引いて、まだ放心状態でいたところに連休となり、訪ねてきた友と決別に至ったりした。友人は訪ねてくるなり、のっけから「いつ解雇されるか分からない」不安を吐露していた。不況による生活苦が友の性格をギスギスしたものに変えていたのだ。決別したのだから、もはや友とは呼べない。昔から「苦労は買ってでもしろ」と言うが、あまり無理すると人間不信の土ツボに嵌る。奴の無理も限界に近いことは分かっていた。それでもまだ養わなければならない息子と娘がいる。高校を出るまではと必死に頑張っている。おまえも大変だろうが、あまり無理をするなよ・・・そんな同情心も奴の心を変えることはなかった。ちょっとした言葉にも傷付くような奴の精神状態にあって、いつか無遠慮な私の言葉が突き刺さっていたのだろう・・・奴は急に怒り出し「二度とこんなところには来ない」と捨て台詞を残して去った。消えたと言ったほうがいい。それも仕方のないことだと思っている。

 その翌日、今度は例の急死した従兄の弟がやってきた。彼は兄が死んだことが、まだ信じられずにいる。夢のようだと放心している。誰にも心の内を打ち明けられずに、私を頼ってやってきたと言う。訪ねてくる者を私は決して拒まない。「来る者は拒まず、去る者は追わず」は亡き父の信条でもあった。昨日はかつての友が去り、今日には別の人間が心の痛手を抱えてやって来る。それでいい・・・淡々として人生を流れていくだけだ。

 そんな連休が終わって、今、雨が降り続いている。ずぶ濡れになった猫族たちが枕もとにやってきて、互いに舐めあい、毛並みをそろえている。嬉しそうに喉を鳴らしながら、枕もとの敷布団を濡らしている。生きることだけに生きているような猫族たちを眺めながら、死んだように生きている自分にも気付くのだ。

【視聴予定】
■19:30-20:00 NHK教育 ゆうゆう 在日3世の心の旅路▽ロック歌手から牧師へ
■22:00-22:45 NHK教育 ETV2002「日本のよさを伝える(01)里山と生きよう」 柳生真吾・八ケ岳の林で
■22:54-23:28 日本テレビ系列 出来事 酪農大家族の”究極”牛乳
02/05/06 (月)
 何も要らない・・・心ひとつ、それだけで生きていける世の中ならどんなにいいだろう。そんな純粋な心の持ち主が、涙を流しながら私の傍らで話している。午後の日差しが眩しく、新緑の庭を映し出していた。ああ、気持ちが良いなあ・・・やさしい心根が嬉しいよ。ほら・・・耳を澄ませば鳥のさえずりも聞こえるよ・・・生きることに疲れて初めて気付くこともあるんだ。

 何もしたくはない。そんな今日という空間に、真っ赤な薔薇の花を浮かばせよう。意味なんて無いさ。意味付けする必要もないくらいに、ただ薔薇を見詰めていたい・・・感覚だけに生きてみて、気付くこともあるんだ。さっきまで死ぬことばかりを考えていた自分が、そうすることで生きることに目覚めている。不思議だね・・・

 同情一つにしても、相手の悩みにまで降りていかなくてはならない。生半可な気持ちでは出来ないんだ。心痛が伝わるまで、ずっと涙で溢れる悩みの奥深くまで沈んでいく。それでも溺れちゃいけないよ。溺れる寸前で相手の心痛を掴んだら、今度はそのまま昇華していくんだ。希望の光が射し込む方へ・・・その熱で絶望というやつを溶かすために。
02/05/05 (日)
 いつも寝坊する日曜の今日、起きがけにテレビのスイッチを入れたらサンデープロジェクトをやっていた。不良債権の対象となっているのは実は大手より中小企業が殆どなのだと、何を今さらとは思ったが、観ているうちに思わず膝を乗り出した。金融庁の金融検査マニュアルが、潰さなくてもいい中小企業をかえって倒産に追い込んでしまっていると言うのだ。銀行が融資しようとしても検査マニュアルの要注意に引っかかれば融資できなくなる。殆どの会社が経営難を必死で乗り越えようとしている昨今、それら全てが要注意として網をかけられてしまえば動きはとれなくなる。頑張ろうとしている会社を「一気に潰してしまえ」といった金融庁は、かえって日本の不良債権を増大させていくことになる。運転資金さえあれば何とか維持していける、といった会社をあえて倒産させる必要がどこにあるのか?中には優良企業とされてきた中小までもが、運転資金を受けることが出来ないばかりに倒産に追い込まれた例もあるという。数年前に自殺した同級生社長の言葉がよみがえる。「給料分含めて3000万は絶対に必要なのに、それを断られてしまった。どうすればいいんだ?」掌を返したような銀行の扱いに怒っていた同級生だったが、その一週間後、彼は自殺して果てた。おそらく私の会社も要注意にランク付けされているだろう。全責任は私にある、と言ってみたところでどうにもならぬ。来週あたり決算書持参で商工会に出向くつもりでいる。当面は運転資金の借り入れとなるだろうが、本当は設備資金に拡大しての大幅な融資を期待したいところだ。そうなると具体的な計画書も必要になるだろう。オレは何をしたいのか?根源的なところでの自問自答がまだ続いている。

 夕暮れ時、突然奴がやってきた。生活に疲れ果て、何より心が見えなくなっていた。そして、友と呼べなくなった無惨だけを残して、奴は去って行った。もう二度と会うこともないだろう。心を失った仮面に向き合うほど苦しいものはない。心を分かち合えなくなったらサヨウナラ・・・みんな透明な風になれ。

【視聴予定】
■14:00-15:00 NHK教育テレビ こころの時代「路傍の草として生きる」  ▽木月道人の足跡 竹中正夫 
■17:30-18:24 TBS系列 報道特集 小泉政権の天王山▽ジェニン潜入虐殺疑惑は
02/05/04 (土)
 そろそろ旅をしようと考えている。小さな旅、春の日差しを浴びながら自転車を走らせる自分をイメージする。足が弱いので自転車は手放せない。つまり旅行にも自転車持参することになる。私のMTBは折りたたむとサイズは約半分になる。しかしその折りたたみ式のMTBをどうやって運ぶか?これが難題で、宅急便で送ろうとすればサイズが一回り大きく、対象とはならない。最も簡単なのは引っ越し荷物扱いで、これなら梱包せずにそのまま旅先に送ることが出来る。ところが値段が高く、26インチの自転車なら1万円は軽く越してしまう。私がこれから利用しようとしている長距離バスの片道運賃が2000円以内なのと比較しても5倍にもなってしまう。バスのトランクを利用する手もあるが、バス会社に問い合せてみたら、バスの種類によって大きな荷物は運べない場合もあるという。困った。なにか良い方法はないものか・・・そこで考えついたのが背負子でMTBを背負ってしまおう、ということだった。私のMTBはアルミ製で15キロしかない。インターネットで背負子を調べたら、ちょうど適当な物件が見つかった。値段も普通の半分程度、40キロにも耐えられる背負子である。MTBを折りたたんだサイズと背負子のサイズを比較したら、やはりはみ出すことが分かった。これをどうするか・・・サドルと泥除けを外して何とかなることも分かった。あとは背負子にMTBをくくり付ける問題だけだ。
 実際に長距離バスに乗った場合を想定してみる。中継所までMTBで走行、そこでMTBを折りたたんで背負子にくくりつける。荷物はそれだけではない。旅館に泊まっていてはカネなどいくらあっても足りない。そこは以前に買っておいた一人用テントの出番となる。これらはバスのトランクに収用することになるだろう。寝袋はかさばるので持っていかないことにした。その分、衣類を厚着すれば何とか寒さは凌げる。去年野宿した体験から、真夏でも夜明け前はけっこう冷えることが分かっている。これも以前に購入しておいたカイロ式暖房ベストを着用すれば解決する。食事はもっぱらコンビニを利用することになるだろう。かくして荷物は背負子のMTBと、テント類を詰めたザックの二つになる。
 今度の旅には目的がある。資料収集のためのデジカメは絶対に欠かせない。かなりの写真を必要とするので8メガと16メガのメモリカードを別に用意した。おそらくそれでも足りないだろう。期間はおよそ一週間、具体的な計画はまだ立てていないが、案ずるより生むが易しの喩えもある。背負子を注文したが、取り寄せに約一週間かかるとのこと。最終的に旅立つ日は今月の中旬以降になるだろう。そこに仕事が割り込むようなことがあれば旅行は延期となるのは言うまでもない。夏以降には東京に行く予定も立てている。すべて自前のテントなどを利用しての貧乏旅行だ。旅には何が起こるか分からないといっ冒険心を掻き立てるものがある。人生とよく似ている。出会いと別れと、その繰り返しの人生にあって、自分自身の心と向き合うことの大切さにも気付くのだろう。 
02/05/03 (金)
 寂寥感に耐えられなくなった夜、わずかな生活費を握って夜の街に出る。やはり一つ上の従兄の急死が応えているのだ。考えても答えの出ない、どうしようもない生死のことを考えながら・・・どうしようもない自分が漂っている。いつもの居酒屋の賑わいも今夜はやけに虚しいだけ・・・混雑する人々の中にあっても違和感は拭えない。連休だけに今夜はいつもより人通りが多いようだ。この中にオレの昔を知っている奴はいないだろう。急な階段で背後から突き落とされたこと、日の丸が掲げられた某事務所で頭を割られたこと、闇討ちにあって繁華街の路上に転がったこと、オレには野垂れ死にがふさわしい。この世にオレを恨んでいる奴が何人かいるはずだ。フイに訪れる死を期待しながら人込みの中を漂う。行く先々の店で「それ以上飲まないで帰りな」と言われる。それほど飲んではいないのだが、眼が据わっているようだ。眼つきの悪いゴリラのような体格の男が肩を揺すって歩いている。それがショーウィンドウに写った自分の姿、こいつは誰だ?オレじゃない・・・最後の店でウラ社会の話をしていたら、すっかりその筋の人間に間違えられ、酒代がタダになった。おまけに帰りはママが付き添ってタクシーを呼んでくれた。ナイーブで傷つきやすい心を看破されないために、オレはワルぶっているに過ぎないのに。そんな演技がいつの間にか板についてしまったようだ。誰もいない我が家に帰って、癒されることのない孤独を抱え倒れるように眠った。

【視聴予定】
■21:00-21:54 テレビ朝日系列 運命のダダダダーン! 風と共に去りぬ−女優ビビアン・リー華麗な主役獲得(秘)作戦とは▽金塊200億
■21:54-23:10 テレビ朝日系列 ニュースステーション 朝日新聞襲撃事件15年
■23:30-24:30 TBS系列 筑紫哲也NEWS23 阪神支局襲撃事件
02/05/02 (木)
 今日は一日中、工場屋根の点検と修復をしていた。春とはいえ屋根の上は太陽が照り付け、かなり暑い。スレートには苔がこびり付き、止め金も錆びて腐食している。生存中の父がここに工場を建ててから、すでに25年は経っている。25年も雨風に晒されてきたことになる。修復しながら工場そのものが生きもののように思え、いとおしくなった。そういえば先月末のテレビ番組「こころの時代」では、華厳の教えで「物質もまた人間と関連性がある」としていた。日頃は屋根など意識したことはないが、その屋根がなければ人間は雨に打たれ、風に吹かれて眠るどころではないだろう。屋根の止め金1個でさえ重要な役割を果たしている。さらにその屋根を支える柱など、様々なパーツとの関連によって構築されている建物を考える時、人と物質の関連も実感できる。私がここで何度か書いてきたインド伝説の賢人ボース卿に至っては、百年以上も前に「生物と物質に境界はない」ことを証明して見せている。これを決定付けたのが彼の研究成果であるところの一枚の曲線グラフだった。ある日、彼の実験室を訪れた王立協会の書記フォスター卿は、そのグラフを見て「半世紀前から知られている筋肉反応曲線に何か目新しいことでもありますかな?」と冗談を言った。するとボースは「失礼ながら、それは金属の錫(すず)の反応曲線なのです」と反論、フォスター卿はそれを聞くや椅子から飛び上がらんばかりに驚いたという。そのことはまさに「生物と物質に境界はない」ことを意味していた。正確に言えばこの場合「生物と金属に境界はない」ことを立証したのだ。さらにボースは植物と動物の反応の類似性に注目、その実験過程で植物の反応を一億倍に拡大するという途方もない実験装置を開発している。これらの実験装置は現在もインド政府の管理によって大事に保存されている。ボースに関してはピーター・トムプキンズ&クリストファー・バード共著『植物の神秘生活』の第六章「一億倍に拡大された植物生命」に詳しい。この本は私が15年前に購入してからボロボロになるまで読んできた本で、何度もテープで補修しながら今も傍らに置いてある。600ページに及ぶ分厚い本だが、それを忘れさせるほどの知的興奮と想像力を呼び覚ましてくれる。つまりは「この世の全てに命でないものはない」ということを示唆しているのだ。

【視聴予定】
■23:24-23:58 日本テレビ系列 出来事 カメラが見た生命の驚異
■23:30-24:40 フジテレビ系列 ニュースJAPAN C型肝炎(21)錬金術
02/05/01 (水)
 昨夜は雨音を聞きながら眠っていたが、今朝は徐々に天気が回復、正午近くには五月の強い日差しが射し込む。猫族たちはまだ寝入っている。最近は私の枕もとで三匹ともに丸まって眠ることが多くなった。おかげで布団は猫の毛だらけになっている。母猫クロのお腹は日増しに膨らみ、その歩く姿はツチノコのようで滑稽だ。そろそろ友人が一升瓶抱えてやってくる頃でもある。別に示し合わせているわけではないが、奴の気持ちは何となく分かる。おそらく連休の終わりごろ・・・玄関口で「いるか?」という声がするはずだ。その友人は家族共々に猫の毛アレルギーだとか、我が家を訪れるにはそれなりの覚悟が要るらしい。前もって来訪を告げてくれれば良さそうなものだが、いつも「これから行くぞ」なので掃除する暇もない。もっとも私が日頃から掃除していればこんなことにはならないのだが、無精を宣言している自分だけに部屋はゴミ箱をひっくり返したような惨状となっている。掃除をしようにも旧式の掃除機は音が凄まじく、猫族たちもその音には飛散するように逃げていく。粘着ローラーでも使って猫の毛だけは何とかしておきたい。

 時効を二日後に控えた朝日新聞阪神支局襲撃116号事件は、今夜、テレビ朝日系列のニュースステーションでも特集された。見終わっての感想は「やっぱりね」の一言に尽きる。およそ予想されたことだが、それにしても残念なことである。何が残念なのか・・・それには116号事件が起こる前の朝日新聞と、事件後の朝日新聞の体質がガラリと変わってしまったことに関係がある。今夜は事件の犠牲者であるところの小尻記者への追悼の意味でも、総力をあげて事件の真相に迫ってもらいたかった。この事件の鍵は(前にも書いたが)、事件前に朝日新聞がシリーズとして追っていたグループに関係がある。このグループは今や全世界にネットワークを張り巡らしている。「赤報隊」などという呼称は隠れ蓑であり、マスコミや警察がその赤報隊という幻を追えば追うほど迷路が待っているだけだ。巧みな誘導戦略である。
 これと同じことがバーレーンを飛び立った大韓機の爆破事件でも起こっている。当時、犯人と目される初老の男性「蜂谷眞一」と若い女性「蜂谷真由美」という、二つのパスポートをめぐって日本のマスコミは動いていた。蜂谷眞一という人物は日本に実在し、バーレーンで服毒自殺した人物とは別人だった。この時点でパスポートが偽造だったことが明らかになったわけだが、それ以前にマスコミは東京在住の「ハチヤシンイチ」を調べていた。当時の電話帳では東京23区にハチヤシンイチは一人しか登録されていなかった。東京に実在していたのは「蜂谷信一」で、「眞一」ではなかったが、不思議なことに、駆けつけた大勢のマスコミの中にはNHKだけが入っていなかった。警察も来なかった。なぜ警察とNHKが唯一の手がかりであるはずの「ハチヤシンイチ」の自宅に駆けつけなかったのか?彼らは最初から「本当のことを知っていた」のではなかったか・・・「蜂谷真由美」のパスポートでも同じような混乱が待っていた。彼女のパスポートは最初から偽造であることが見破られている。しかし、その中の一部データは日本から盗まれたものだった。盗まれた当人は男性で某大手通信会社の社員だった。しかし当人は何処で盗まれたかも皆目見当がつかないようだった。奇妙なことに、この男性がよく立ち寄る喫茶店の隣が「真由美容室」だった。これは「真由美」とも読める。ご承知のように、後に「蜂谷真由美」の偽造パスポートを持っていた女性は北朝鮮スパイ「金賢姫」ということになっている。「蜂谷眞一」という偽造パスポートの持ち主は最後までその正体は分からないまま今日に至っている。
 殆どの日本人は「日本はスパイの天国だ」などと言ってもピンとこないだろう。それだけにスパイにとっては活動しやすい国にもなってしまう。阪神支局116号事件の「赤報隊」と、大韓機爆破事件での「偽造パスポートを巡る混乱」との類似性も、そんな「スパイ天国ニッポン」という背景があるのだ。

【視聴予定】
■21:54-23:10 テレビ朝日系列 ニュースステーション ▽まもなく時効朝日新聞阪神支局襲撃犯人は誰…
■23:30-24:40 フジテレビ系列 ニュースJAPAN 医師が証言C型肝炎