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【02/04/24 (水) 】

イスラエル、ジェニン現地調査団の「受け入れ延期」通告
EU特使を中東訪問へ アラファト議長との会談計画
聖誕教会包囲問題で初協議 解決の可能性も

伊医師「クローン人間妊娠は世界で3人」、関与は否定
タリバーン再結集阻止、アフガン南部で現金を空中散布
シラク氏、公開討論を拒否 「逃げた」とルペン氏
アルゼンチンの経済財政相が辞任 経済危機で政情流動化

薬品管理ずさんだった、定期検査で指摘 川崎「安楽死」
日本新聞協会、個人情報保護法案などに断固反対の声明
食品表示違反、十万施設で1992件 厚労省中間まとめ
自民幹事長、週刊文春を名誉毀損で告訴、5千万円賠償も
覚せい剤事件もみ消された組幹部、傷害事件で服役中
共犯は元警察官 大阪高検前公安部長の詐欺事件
介護保険、390自治体で赤字 保険料、前倒し値上げも
トヨタのプリンス、取締役2年で常務にスピード昇格
有事関連3法案、26日に審議入りへ
法相、取材と人権侵害基準示さず 人権擁護法案審議入り
「構造改革特区」法案 政府、年度内の実現目指す
医療制度改革関連法案に反対 日本医師会

伊医師「クローン人間妊娠は世界で3人」、関与は否定

 クローン人間妊娠に成功したと報じられている、イタリアのセベリノ・アンティノリ医師は23日、国営テレビの番組に出演し、「クローン技術で、世界で3人が妊娠している」と述べた。2件が旧ソ連の国、1件はイスラム圏の国で、妊娠6〜9週としている。


 同医師は今月初め、「クローン技術で1人の妊娠に成功した」と発表したことが報じられた。しかし23日の番組では、「私は3人の妊娠計画にはまったくかかわっていない」と発言。先の発表の件が「3人」に含まれるのかどうかはあいまいだが、地元紙は「最初の件への関与も否定」と伝えた。(21:02)

タリバーン再結集阻止、アフガン南部で現金を空中散布

 アフガニスタン南部で先週末から今週にかけて、米軍が大量の現地通貨アフガニを空中から散布し、話題になっている。最近、南部ではタリバーンの再結集や米軍への自爆テロを呼びかけるチラシがまかれるなど不穏な動きが目立っており、「現金」で抑え込もうという狙いだ。

 目撃者によると、カンダハルの周辺やパキスタンとの国境近くなどで米軍の大型輸送機が連日、80万アフガニ(約3000円)とタリバーンやアルカイダの残党に対する通報や非協力を呼びかけた文書が入った封筒を投下しているという。

 物価の安い地方では80万アフガニは家族を1カ月以上は養える金額。輸送機を見つけると必死に追いかける住民が相次いでいる模様だ。


 タリバーンの主要メンバーの大半は南部のパシュトゥン地区出身で、敗走後に多くの者が故郷の南部に身を隠したとされる。米軍は以前から南部への宣伝工作を重視し、2月には100米ドル札とブッシュ大統領の似顔絵を散布。しかし、地方の村では米ドルが使えないとの意見があり、現地通貨に変えた模様だ。(20:07)

シラク氏、公開討論を拒否 「逃げた」とルペン氏

 フランスのシラク大統領は23日、遊説先の仏北西部レンヌで演説し、5月5日の仏大統領選第2回投票での決選相手、極右「国民戦線」のルペン党首との公開討論を拒否する方針を示した。公開討論は74年大統領選以来の恒例で、ルペン氏側は「論争が怖くなったのか」と攻撃している。

 シラク氏はこの日、「不寛容と憎しみに対しては、取引も妥協も対話も不可能だ。国民戦線と協力しあうことがあり得ないのと同様、代表者との討論はあり得ない」と述べた。ルペン氏は同日テレビで「哀れなことにしり込みしたようだ」と笑いとばし、「市民が選んだ候補との論争を避けるのは、真実に対してやましいことがあるからだ」と非難した。


 23日の世論調査では、市民の約7割が2人の公開討論を望んでおり、シラク陣営内でも「応じるべきだ」との声が少なくなかった。(17:25)
イスラエル、ジェニン現地調査団の「受け入れ延期」通告

 イスラエルのランクリ国連大使は23日夕(日本時間24日朝)、国連本部でアナン国連事務総長と会い、パレスチナ自治区ジェニンでイスラエル軍による虐殺があったかを調べる国連現地調査団の受け入れを延期すると通告した。イスラエル政府は先に受け入れを表明していたが、22日に発表された緒方貞子・前国連難民高等弁務官ら調査団の中心メンバー3人が国連色の強い人権派だったため、「政治的な人選だ」と一転難色を示していた。

 ランクリ大使はアナン氏に人選の根拠をただすとともに、「調査団には軍事、対テロ活動の専門家をいれる必要がある」と主張。そのうえで、イスラエル政府が25日に国連本部に使節団を送り、ジェニンでの状況を国連側に説明すると通知した。

 これに対し、アナン氏は延期と使節団を受け入れるとともに、調査団のメンバーを増やすことも検討する意向を示した。しかし、調査団を「27日には中東入りさせたい」と、週内の派遣を強く主張した。

 調査団はイスラエルが受け入れを表明したのを受け、安全保障理事会が派遣を決議。国連事務方が緒方氏、団長のアハティサーリ元フィンランド大統領、ソマルガ前赤十字国際委員会委員長に軍事顧問、警察顧問が加わる構成を決めた。24日にジュネーブの国連本部で打ち合わせ、今週中に現地入りする予定だった。


 一方、パレスチナのアルキドワ国連代表は延期通知に「安保理決議と国際法を甚だしく無視している」と述べ、「ただ脅しているだけかも知れないが、事実解明の作業を台無しにしようとしている」と批判した。(10:56)

アルゼンチンの経済財政相が辞任 経済危機で政情流動化

 経済危機が続くアルゼンチンのレメス・レニコフ経済財政相が23日、辞任した。銀行預金の取り付け騒ぎに対応するための法案審議が国会で行き詰まっているため、責任をとったと見られている。ほかにも有力閣僚が辞意を漏らしているとの情報や、ドゥアルデ大統領が主要閣僚入れ替えを検討などの観測もあり、経済、政治情勢とも不安定化している。

 アルゼンチンでは22日から全銀行の業務が停止している。国民の間で、政府が金融システム崩壊を防げないのではないかとの不安が広がり、各地で預金の取り付け騒ぎが起きたためだ。政府は、定期預金を国債に替える法案を国会に提出、可決され次第、今週末にも業務停止を解除するとしていた。

 ところが国会で多数を占める与党正義党内部でさえ、「銀行救済に偏りすぎている」と反対する意見が多く、法案は国会に提出しただけで、実質審議に入れないでいた。

 与党の有力者や州知事らが大統領公邸に集まって、経済財政相の後任人事などを話し合うとともに、信用不安を避けるための別の法案についても検討しており、早急に国会提出を目指している。


 同大統領の地元では、1000人余りの失業者がデモ行進をした。国会周辺など首都中心部などでも「国債なんていらない」とする抗議行動が続いている。(10:52)

EU特使を中東訪問へ アラファト議長との会談計画

 欧州連合(EU)は23日、ソラナ上級代表(共通外交・安保担当)を中東に派遣し、パレスチナ自治政府のアラファト議長との会談をめざす方針を決めた。スペイン・バレンシアで同日閉幕したEU・環地中海諸国外相会議後の記者会見でEU議長国スペインのピケ外相が明らかにした。

 イスラエルのペレス外相が、EUとアラファト議長との会談を認める考えを会議で示したのを受けたものだ。イスラエル政府は、先に中東を訪問したソラナ氏らEU代表団とアラファト議長との会談を拒否していた。


 会議では、パレスチナ自治区からの完全撤退や和平交渉に消極的なイスラエル政府を批判する声がアラブ諸国から出た。ペレス外相は記者団に対して、自爆テロ根絶の必要性を強調するとともに、シャロン首相の醜い似顔絵を掲載した欧州の雑誌を示しながら「欧州に反ユダヤの動きが広がっている」と不快感を表明した。(23:47)
聖誕教会包囲問題で初協議 解決の可能性も

 イスラエル軍放送によると、ヨルダン川西岸ベツレヘムの聖誕教会のパレスチナ人立てこもり問題の打開をはかるイスラエル軍とパレスチナ側の初めての協議が23日午後、ベツレヘム市内で行われた。アラファト議長がパレスチナ協議団に問題解決のために全力を尽くすよう指示しているとされ、解決に動く可能性も出ている。

 今月2日からパレスチナ人200人以上が立てこもり、軍が包囲している。中には宗教者や民間人とともに約30人の武装勢力がいるとされ、イスラエルは投降を求めている。


 教会内には重傷者を含む数人のけが人がおり、食料なども底をついているといわれる。23日午前中にアルメニア人修道士3人が屋根に上って脱出した。22日夕には、イスラエル軍と教会内のパレスチナ側の間で激しい銃撃戦があるなど、緊張が高まっている。(21:11)

薬品管理ずさんだった、定期検査で指摘 川崎「安楽死」

 川崎市内にある川崎協同病院で患者が筋弛緩(しかん)剤を投与され、死亡した「安楽死」事件で、98年の患者死亡直後に行われた市の定期検査で、院内の毒劇薬管理がずさんだと指摘されていたことが24日、わかった。市は22日の記者会見では「当時の薬品管理に問題はなかった」としていたが、訂正した。

 市によると、調査したのは事件発生2日後の98年11月18日。院内で毒劇薬と普通薬を区分して保管していないこと、劇薬の表示もないこと、ナースステーションの毒薬を施錠管理していないことなどが判明した。この調査時に市は事件を知らなかった。

 筋弛緩剤などの毒劇薬は、薬事法により普通薬とは分けて保管し、保管を示すマークをつけることが義務づけられている。

 これまでの病院の調査で、主治医はナースセンターや集中治療室などにしか置いていない筋弛緩剤を一般病棟で使ったことが分かっている。


 市は、ずさんだった薬品管理が筋弛緩剤の使用をより容易にした側面があったとみて、さらに調べる。(23:16)
日本新聞協会、個人情報保護法案などに断固反対の声明

 日本新聞協会(会長=渡辺恒雄読売新聞社長、154社)の理事会は24日、個人情報保護法案と人権擁護法案について、「憲法で保障された『表現の自由』に政府が介入する道を開くもの。断固反対する」とする緊急声明を公表した。

 社長クラスで構成する理事会が声明を出すのは、87年5月の朝日新聞阪神支局襲撃事件以来で15年ぶり。協会には新聞112社、通信4社、放送38社が加盟する。

 声明は「個人情報保護や人権擁護を名目にして、報道の自由を不当に制約する」と批判。個人情報保護法案では、政府が報道目的であるかどうかを実質的に判断することや、人権擁護法案が、創設される人権委員会に、報道による「人権侵害」の判断を委ねていることを指摘。「国民の『知る権利』はあらゆる機関から独立したメディアが存在してはじめて保障される」と結んでいる。

     ◇    ◇

 日本新聞協会の緊急声明の全文は次の通り。

 個人情報保護法案と人権擁護法案について、日本新聞協会は繰り返し「報道の自由」に十分配慮するよう求めてきた。それにもかかわらず、政府提出の両法案は、われわれの主張をほとんど無視し、憲法で保障された「表現の自由」に政府が介入する道を開くものとなっている。

 個人情報保護や人権擁護を名目にして、報道の自由を不当に制約したり、報道機関を監督する主務大臣を置いたり、取材・報道活動を独立行政委員会の裁量にゆだねるなど、報道機関の死活にかかわり、断固反対する。


 報道による人権やプライバシー侵害の問題は、報道機関の自主的な対応で解決を図るべきである。民主主義の根幹をなす国民の「知る権利」はあらゆる機関から独立したメディアが存在してはじめて保障されるとわれわれは固く信じる。(22:14)

食品表示違反、十万施設で1992件 厚労省中間まとめ

 雪印食品の牛肉偽装事件や相次ぐ不正表示の発覚を受け、食品衛生法に基づく食品表示について全国調査をしている厚生労働省は24日、3月分の中間まとめを公表した。製造加工業者やスーパーなどの販売業者計10万3100施設を調査し、1992件の表示違反が見つかった。

 今回の調査は3月から4月末までの予定で、都道府県や保健所のある市に指示して、立ち入り調査を実施。違反例では、表示そのものがない(317件)、期限表示がない(438件)、製造加工者が書かれていない(340件)など、記載漏れが目立った。製造加工者の誤記(326件)や期限表示の誤記(132件)もあった。

 いずれも都道府県などが口頭や文書で改善を指導した。違反には、鶏肉偽装が問題になった「鹿児島くみあいチキンフーズ」の5件、丸紅畜産の1件も含まれている。


 厚労省は「業者の表示についての意識が不十分であることを示す結果だ。表示の徹底を指導していく」としている。(21:10)

自民幹事長、週刊文春を名誉毀損で告訴、5千万円賠償も

 自民党の山崎拓幹事長は24日、同日発売の週刊文春に掲載された山崎氏の女性交際問題の記事で名誉を傷つけられたとして、同誌の木俣正剛編集長ら記事執筆に関係した4人を名誉毀損の疑いで警視庁に告訴した。また、発行元の文芸春秋と木俣氏らを相手取り、5000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

 記事は、山崎氏と10年前に出会った女性が山崎氏との交際を告白したという内容で、女性が持っているという録音テープの会話などが紹介されている。

 山崎氏は同日、「記事は全くの事実無根で、驚きと怒りを禁じ得ない。事実関係は裁判で明らかにしたい」と話した。山崎氏は同誌が3月に報じた別の女性問題の記事についても名誉毀損での告訴と民事訴訟をする予定。


 これに対し、木俣編集長は「記事には絶対の自信を持っている。女性が所有していた録音テープの声紋鑑定や、筆跡鑑定の結果は山崎氏本人のものであると裏付けており、多数の証拠も存在する。山崎氏は虐げられてきた女性のことを考え、これ以上傷つける行為をやめて、潔い出処進退を考えるべきだ」とコメントしている。(20:33)

覚せい剤事件もみ消された組幹部、傷害事件で服役中

 埼玉県警春日部署が逮捕時の手続きミスを隠すために暴力団幹部(61)の覚せい剤使用事件をもみ消した問題で、この男が釈放されてから2年半後に傷害事件を起こし、実刑判決を受けていたことがわかった。現在、服役中で、事件をもみ消して釈放した同署の誤りが改めて問われそうだ。

 暴力団幹部は97年7月に他人の家の庭に入り込んで取り押さえられ、覚せい剤取締法違反(使用)容疑で緊急逮捕された。しかし、その翌日、春日部署の事件もみ消しで釈放された。

 2年半後の00年2月18日夜、暴力団幹部は春日部市内で仕事上のいさかいから、知人の男性に植木用はさみで切りつけたとして同署に殺人未遂容疑で緊急逮捕された。男性は腕などに約10日のけがをした。暴力団幹部は傷害罪で起訴され、懲役2年2カ月の実刑判決を受けた。


 97年に暴力団幹部を釈放した際、身柄は兄が引き受けた。県警監察官室によると、署員は暴力団幹部が再び覚せい剤を使用して騒ぎを起こさないかどうか確認するため、3時間ほど尾行してから引きあげた。(18:52)

共犯は元警察官 大阪高検前公安部長の詐欺事件

 マンション購入の登録免許税をめぐる詐欺容疑などで大阪高検前公安部長の三井環(たまき)容疑者(57)が逮捕された事件で、大阪地検特捜部が共犯の疑いで逮捕した神戸市須磨区、会社役員田中徹容疑者(57)は兵庫県警の元警察官だったことが24日、わかった。

 田中容疑者は66年に警察官になり、生田署などに勤務した後、74年に自己都合で退職したという。

 調べでは、田中容疑者は暴力団とつながりがあるとされ、神戸市中央区の競売マンションをめぐって三井前部長と暴力団組長亀谷直人容疑者(55)との買い戻し交渉で、前部長の代理人を務めたとされる。


 田中容疑者が勤めていた生田署は、このマンションがある地域を管轄している。(14:31)

介護保険、390自治体で赤字 保険料、前倒し値上げも

 介護保険を運営する全国2800余の市町村・広域連合などのうち、01年度の介護保険特別会計が事実上の赤字となった自治体は390に上ることが、朝日新聞社の集計でわかった。全体の約14%にあたる。当初の見込みより介護サービス利用が多かったことなどが原因で、03年4月に65歳以上の介護保険料を改定する際、これらの自治体では値上げとなる公算が大きい。うち5町村が今年4月、1年前倒しで値上げに踏み切っていた。

 介護サービスの利用は、制度定着に伴い増える傾向にあり、保険料も全国的に値上げ基調となっている。赤字で引き上げる自治体では、負担と給付のバランスをめぐる議論が活発化しそうだ。

 各都道府県に、保険財政の赤字に備えた財政安定化基金の貸し付け状況を尋ね、集計した。サービスの利用が増えて市町村の介護保険特別会計に赤字が出た場合、本来65歳以上の1号保険料で賄うべき範囲は基金から借り入れ、後年度の1号保険料に上乗せして返済することになっている。

 基金の借り入れ自治体は地域によって偏在し、県下の4分の3の40市町村が該当する沖縄県や、72市町村でつくる広域連合がまるごと赤字に陥った福岡県のほか、九州、四国などに目立つ。一方、関東や東北では少ない。借り入れ市町村ゼロは6府県だった。

 4月に保険料値上げに踏み切ったのは、北海道鶴居村、茨城県山方町、岡山県真備町、勝田町、柵原町の5町村。


 介護保険は、各市町村が3年間の事業計画に基づいて必要な予算をはじいて運営する。1号保険料の額もこの計画に沿って算定し、原則3年ごとに改定する。保険料値上げは、サービス利用が計画通り順調に伸びている自治体でも予想される。(03:04)

トヨタのプリンス、取締役2年で常務にスピード昇格

 トヨタ自動車は24日までに、創業家の豊田章男取締役(45)が常務に昇格する人事を内定した。章男氏は豊田章一郎名誉会長の長男。取締役就任からわずか2年のスピード昇格で、「将来の社長候補の1人」として順調にコマを進める。トヨタでは豊田家の求心力が依然として強い。


 トヨタを創業した故・豊田喜一郎氏の長男が章一郎氏で、章男氏は豊田家でも直系にあたる。00年に取締役に就任した際も、近年では異例の若さだった。「実直で精力的」という評判で、取締役として、インターネット事業のGAZOOや、今秋にも生産開始する中国など、将来のトヨタを左右する要職を担っている。(22:25)

有事関連3法案、26日に審議入りへ

 衆院の議院運営委員会(鳩山邦夫委員長)は24日午前の理事会で、「武力攻撃事態法案」「自衛隊法改正案」「安全保障会議設置法改正案」の有事法制関連3法案について、26日の衆院本会議で趣旨説明と各党の質疑を行うことを決めた。

 理事会では、オブザーバーの自由、共産、社民各党が「対案を出したいので、それを待って一緒に議論して欲しい」(自由)、「憲法違反の疑いのある法案だ」(共産)、「重要法案であり、拙速な議論は避けるべきだ」(社民)などとして反対した。だが、理事会の正規メンバーの自民、民主、公明各党が賛成したため、26日の本会議開催が決まった。


 3法案を具体的に審議する「武力攻撃事態への対処に関する特別委員会」(瓦力委員長)は23日に設置されている。(16:24)

法相、取材と人権侵害基準示さず 人権擁護法案審議入り

 新たな人権救済機関の創設を柱とする人権擁護法案の趣旨説明と質疑が24日、参院本会議で行われた。焦点の一つになっている、報道機関の取材活動と人権侵害行為の線引きについて、森山真弓法相は「個別具体的事案の事実関係に即して適切に判断される」と述べるにとどめ、具体的な基準は示さなかった。政府・与党は今国会での成立を目指しているが、野党側は救済機関の独立性などを問題視し、反対する構えだ。同法案は個人情報保護法案、青少年有害社会環境対策基本法案と合わせた「メディア規制3法案」とされる。そのトップを切っての審議入りで、個人情報保護法案も25日に衆院で審議入りすることが決まった。

 人権擁護法案は参院で先に審議される。本会議後、法務委員会に付託された。

 同法案は報道機関の取材の中で、繰り返し「電話をかけ、ファクシミリを送信すること」が「過剰な取材」にあたるとしている。福山哲郎氏(民主)が「どの程度繰り返せば過剰な取材か」とただしたのに対し、法相は「犯罪被害者が置かれている状況や電話やファクシミリの内容、その反復・継続の程度など、個別具体的事案の事実関係に即して適切に判断される」と述べるにとどめた。

 また、報道機関による人権侵害について、福山氏が「特別救済の対象から外し、一般救済にとどめるべきだ」としたのに対し、法相は「まず報道機関の自主規制が図られるべきだ」と指摘。「人権侵害の実情と自主規制の現状に照らすと、犯罪被害者など弱い立場にある人の一定の人権侵害では、人権救済制度の中で実効的な救済を図る必要がある」と述べ、自主規制が現状では不十分との認識を示した。

 さらに、法相は「報道や取材に何ら新たな規制を設けるものではない。表現の自由に十分配慮している」と強調した。

 また、井上哲士氏(共産)が「取材規制が政治家の金権事件や公権力の人権侵害を覆い隠すことになる」と指摘したのに対し、法相は「取材対象があくまで本人なら特別救済の対象にはならない」と説明した。


 一方、刑務所などでの人権侵害に対して所管の法務省が「身内」に対して実効ある救済を図れるかどうか疑問として、民主党などが人権委員会を内閣府の外局とするよう求めた。この点について、福田康夫官房長官は「法務省に人材やノウハウの蓄積があることを考慮した」と説明した。(13:17)

「構造改革特区」法案 政府、年度内の実現目指す

 地域を限って特定分野の規制を緩和、撤廃する「構造改革特区」について、政府の経済財政諮問会議(議長・小泉首相)は、地方経済の活性化につながるとして、年度内に実現する方向で検討に入った。24日の諮問会議で民間議員や平沼赳夫経済産業相が具体策を提案する。今秋の臨時国会に関連法案を提出することをめざす。「政治主導」で各省庁や地方自治体と調整を進めるため、内閣府に事務局を設ける計画だ。

 民間議員4人が24日に特区について提案するのは(1)地方自治体の自主性の尊重(2)できるものから、早期に実現(3)実現に向け政治(大臣)主導による強力なリーダーシップ−−など。

 6月にまとめる経済活性化戦略のなかで実施要項を示し、これに基づき、地方自治体が特区の地域や規制改革の計画をつくり、国に申請する。計画の認定や政府内の調整を図るため、内閣府内に「構造改革特区事務局(仮称)」を設置する。

 一方、平沼経産相の提案は、総合規制改革会議などで自治体や企業の意見・要望を聞き、6〜7月に制度案をまとめ、特区認定の手続きを定める法律案を今秋の臨時国会に提出するという内容だ。国の制度や他地域に支障が出る場合を除き、原則として特区を認めるよう主張する。

 民間議員や経産相の例示によると、港湾作業を大幅に簡素化・効率化する「港湾特区」や、酪農経営などの大規模化を進める「農業特区」のほか、民間資本や非営利組織(NPO)が学校を設立・運営する「国際教育特区」、民間業者による雇用の総合サービスを認める「人材ビジネス・雇用創出特区」、最先端の医療技術や新薬を使う病院などを集める「先端医療特区」などが想定されている。


 ただ、特区に対しては、規制を担当する各省庁には「1国2制度」の問題を指摘する慎重論もある。(07:02)

医療制度改革関連法案に反対 日本医師会

 日本医師会は23日、衆院で審議入りした医療制度改革関連法案について、「財政対策に終始しており、抜本改革とは呼べない」として、同法案の成立に反対する声明文を発表した。青柳俊副会長は記者会見で「廃案は求めないが、審議の過程で部分修正が取り上げられることを期待する」と語った。


 声明文は、70歳以上の高齢者の医療費1割負担(一定所得以上の人は2割)や自己負担限度額の引き上げを「すでに応分以上の負担をしている」と批判。また、サラリーマンらの医療費3割負担の来年度実施が明記されたことについても、「保険料負担と合わせた家計の負担は5割に達し、公的医療保険の原理原則を崩壊させる」と指摘。保険料の徴収がボーナスを含む年収ベースになれば、3割負担導入の必要性はないとしている。(23:37)