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【トピック】
ハリリ暗殺は、レバノンに米軍基地を建設するため
---阿修羅掲示板より、投稿者 Wotan

ハリリは、凡アラブ主義者でレバノンの愛国主義者であり、北レバノンでの米軍基地建設計画に断固として反対していた。

ブッシュ政権と米軍は、レバノン北部での基地建設に次のような戦略的意義を持っている。
1)イラクへの通過点でありロジスティクスの確保。2)米兵の休養基地
3)始動したばかりのBTCパイプラインの防衛。4)シリア不安定化の工作拠点。
報道によれば、この基地についてはカタールの空軍基地と同規模のものが計画されているという。
(そして、この建設を受注するのが、二つの会社。ジェイコブ・エンジニアリング・グループ(Jacobs Engineering Group of Pasadena, California)とベクテル。前者は、すでにサウジアラビアでアラムコの仕事、イラク占領、ボスニア、トルコなどなどで受注。)
アメリカとイスラエルのメディアは、ハリリ暗殺をシリアによるものというストーリーを紡いでいるが、多数の中東の観察者たちは、ハリリ暗殺はシリアの利益にはならず、ブッシュとシャロンの両政権が全ての点でそこから利益を得る、とみている。
レバノン情報組織のハイレベルからの情報によると、ハリリ暗殺はブッシュとシャロンの両政権によってオーソライズされた、きわめてソフィストケイトされた爆発で暗殺されたのである。これは、2002年のホベイカ暗殺(当時、ブリュッセルの人権裁判所で,シャロンに対する証言を準備中)と同じ、ルージュシリア情報部(? )によって遂行された。
さらに、このような、ハリリやホベイカのような政治的指導者の暗殺をホワイトハウス内部でオーソライズしてきたのが、カール・ローヴ、ネオコンのエリオット・エイブラムス(Elliott Abrams)国家安全保障担当大統領副補佐官であたり、とくに後者は、秘密工作や暗殺について、シャロン政権とホワイトハウスを結ぶキーリエゾンである。「エイブラムスはその秘密工作を実行するかどうか、イスラエルにウィンクで指示する」と、ある情報源の一人は語る。

【ハリリ首相暗殺関連】
レバノン全軍、前首相暗殺で警戒態勢
ベイルート米軍本部爆破事件を事前に知っていたイスラエル
動画&図解含む
○05/03/05
-米国防総省、シリア侵攻、政権打倒計画の準備完了 衛星写真はレバノン前首相爆殺犯はモサドを示唆
-図解、ハリーリー暗殺とイスラエル


今年2月14日に暗殺されたハリリ氏

シリア内相自殺=ハリリ氏暗殺に関与か

【ダマスカス12日】シリア国営通信によると、カナン内相が12日、ダマスカスの執務室で自殺した。関係当局が捜査しているという。

 カナン内相は1982年から2003年まで、レバノン駐屯軍情報機関のトップを務めた。同内相は9月、他のシリア高官とともに、2月にレバノンのハリリ元首相がベイルートで暗殺された事件について、国連調査団の事情聴取を受けたばかりだった。
 米財務省はカナン氏がベイルート駐在中、汚職やテロ支援にかかわっていたと批判している。ハリリ元首相暗殺では、シリア政府の関与が指摘されているが、同国政府は否定している。〔AFP=時事〕

カナン内相が自殺体で発見されたダマスカスの建物
救急車で自宅まで運ばれるカナン内相の葬列

【追記】12日、シリア内相死体で発見さる


今月12日、自殺体で発見されたカナン内相Ghazi Kenaan


シリアの危機 ---2005年10月15日  田中 宇
以下抜粋・・・
 カナーンは1982年から2002年までの20年間、シリア軍の諜報機関のレバノン駐在代表をしていた。レバノンは1982年に南隣のイスラエル軍がアメリカ軍を巻き込んで進駐し、傀儡政権を樹立しようとしたが、テロ攻撃を受けて米軍が撤退し、その後イスラエルも撤退した。イスラエルの力が弱くなるのと入れ替わりに、東隣のシリアの支配力が強くなったが、約20年間におよんだレバノン支配をずっと現地で指揮していたのがカナーンだった。
【アメリカの政権中枢では1980年代以来、イスラエルのためにアメリカの外交を変容させようとするリクード右派のユダヤ系勢力が伸張し、彼らの権力拡大を防ごうとする主流派(中道派)と隠然と対立してきた。1982年の米軍のレバノン侵攻は、レーガン政権の成立に寄与したイスラエル系勢力が政権中枢に入り込み、米軍をイスラエル軍のために働かせ、レバノンをイスラエルの傀儡国家にするための戦略だった。この侵攻が失敗した後、レーガン政権内では「イラン・コントラ事件」などのスキャンダルを通じて主流派が巻き返したが、彼らはシリアのレバノン支配を容認することで、イスラエルの再拡大を防いだ】

 カナーンはシリアのレバノン支配の頂点に長くいたため、今年2月にレバノンのラフィク・ハリリ前首相が暗殺された事件への関与が疑われていた。

 2003年3月のイラク侵攻直後から、アメリカは「次はシリアだ」と言わんばかりに、フランスなども誘い、シリアに対して「レバノンから撤退せよ」と圧力をかけ続けている。この過程で、それまでシリアに支配されていたレバノン内政が混乱し、その中でハリリは暗殺された。暗殺事件の発生を受けて、アメリカはさらに強くシリアにレバノン撤退を求めるようになり、シリアは「国際社会」の圧力に屈するかたちで、今年5月にレバノンから軍隊を撤退した。

 シリアのレバノン撤退後もアメリカは「ハリリ殺害はシリアの犯行だ」と主張し続けている。ハリリ暗殺は、シリアが絡んでいるかもしれない高度に政治的な事件なので、当事国のレバノンの捜査機関では手に負えず、代わりに国連が捜査にあたっている。ドイツの検察幹部であるデトレブ・メフリスを団長とする国連の調査団は9月にシリアを訪問し、カナーンを含む数人を事情聴取した。

 メフリス調査団の捜査はほぼ終了し、10月21日国連安保理で調査報告が行われることになっている。米政府の中からは、ハリリ暗殺事件の直後から、シリア政府の犯行であると断定する発言が相次いでおり、米マスコミでも、事件直後から「ハリリ暗殺で得をしたのはシリアだから、犯人はシリア政府に違いない」といった論調があふれ、ワシントンポストやニューヨークタイムスを筆頭に、全米の多くのマスコミが、シリアの犯行だと断定している

カナーンはハリリ殺害に関与していない

 カナーンは死ぬ3時間前、レバノンのラジオ局に電話して自分のことを取材させ「これが私の最後の発言になるだろう」と意味深長なことを述べている。この時点で、自殺するつもりか、尋問されて殺されるかもしれないと感じていたのかもしれない。自殺、他殺どちらにしても、カナーンはかなり追い詰められていた感がある。彼の死には、シリア政権中枢の内部事情が絡んでいることは間違いない。

 アメリカのマスコミでは、メフリス調査団の報告書には、暗殺はシリアの政府ぐるみの犯行であると明記されることは確実だとみられている。シリアの犯行とされた場合、アメリカは国連に国際法定の設置を求め、そこでシリア政府内で暗殺に関与した人々を裁くよう主張するだろうが、そうなるとシリアのアサド大統領は、カナーンを犯人として差し出すことになるかもしれない。カナーンは、そうした動きを悲観し、報告書発表の約1週間前に自殺したのではないかという分析記事があちこちで出ている。

 しかしカナーンは、暗殺されたハリリと親しかった。カナーンがハリリを殺したいと考えていた可能性は低い。

 スンニ派イスラム教徒であるハリリは、若いころレバノンからサウジアラビアに渡って建設会社を興し、1970年代の石油価格高騰時のサウジの建設ラッシュの中で大儲けした後、内戦後のレバノンに戻り、破壊されたレバノンの復興で儲けながら政界にも進出し、3回首相になった人物である。ハリリがレバノンに戻ってから首相になっていく過程で、カナーンはハリリの手腕を評価し、支援していた

 1980年代に内戦がひどくなるまで、レバノンの首都ベイルートは、中東の金融取引の中心地として繁栄していた。内戦後、レバノンを支配したカナーンらシリア政府は、ベイルートを再び繁栄の都に戻し、その儲けをシリアも享受したいと考え、ハリリのような政治力のあるやり手のビジネスマンを重用した。

 カナーンは個人的にも、ハリリとのつながりでレバノンでビジネスを展開していた。メフリス調査団の尋問に対し、カナーンはハリリから過去に受け取った高額の小切手の束を見せ、自分はハリリからこんなに金をもらっており、ハリリと親しかったのだから、殺すはずがないと証言した。これに対して調査団の尋問者はカナンに対し「あなたは容疑者ではないから安心してよい」と述べたと報じられている。こうした点をふまえると、カナーンがハリリ暗殺計画を立案ないし関与したとは考えにくい。

【関連】
シリア情勢---ベイルート通信
謎の「自殺」の真相(シリア、10月13日)

 カナアーン内相の突然の死亡から一日経過し、死亡をめぐる状況が少しずつ明らかにされている。
 カナアーンは12日午前9時近くにいったん出勤した。「レバノンの声」放送で発言したのは執務室からだ。インタビューを受けたのではなく、自分から連絡してコメントを求めたらしい。その後いったん私邸に戻り、小一時間ほどで帰ってくるとひとりで執務室に入った。ほどなく銃声が聞こえたので官房長が執務室に入り、ピストルを口に向け発砲し倒れているカナアーンを見つけた。片手にはピストルが握られており、まだ息があったという。すぐに病院に運ばれたが途中で絶命した…シリア政府当局は、カナアーンの死因はピストル自殺であると結論づけた。

カナアーン内相自殺?(10月12日)

 12日午後、シリア国営通信はガーズィ・カナアーン内相が執務室で自殺したと報じた。

 カナアーン内相はレバノン駐留シリア軍の軍事情報局長として1982年から2002年まで、事実上のレバノン総督として君臨。レバノンにおける汚職・横領行為や、ハリーリ前首相暗殺事件との関与も疑われていた。
 米国は今年に入ってから米国内のカナアーンの銀行口座を凍結した他、メレス捜査団もレバノン中央銀行に要請して、カナアーンの口座情報開示措置をとっていた。メレス捜査団によるシリアでの事情聴取(下記記事参照)の際には、カナアーンも聴取を受けたと見られている。
前日の11日夜、レバノンのテレビ局NTVは、カナアーン内相がメレス捜査団に対し、
「レバノンにおける汚職行為に関わっていたことや、親シリア政治家を当選させるため2000年選挙法を作成したこと」
などを認めた、と報じた。ただし、ハリーリ元首相からはサイイド・レバノン前公安長官(ハリーリ暗殺容疑で拘留中)らとともに莫大な額の賄賂を受け取っていたことも認め、

「そのハリーリを自分が殺すはずが無い」
と、ハリーリ暗殺事件との関与は否定したという。

★ハリリ元首相暗殺事件、レバノンが元治安当局幹部を逮捕
---中国国際放送局
2005-09-04
レバノンのハリリ元首相暗殺事件を調査しているエイド調査官は3日、治安当局の元幹部4人の逮捕命令を出しました。
 エイド調査官はこれに先立って、この4人を正式に告訴すると発表したミルザ検察総長と会っています。
 シリアのメディアが3日伝えたところによりますと、シリア政府は、ハリリ元首相暗殺事件の調査を担当している国際調査委員会の責任者ベリス氏のダマスカス訪問を要請しており、シリアと国際調査委員会との協力を表明したということです。

2005-09-02
レバノンのメルザ検察総長は1日、ハリリ前首相の殺害疑いで、4人の前安全部門高官を正式に逮捕し、起訴することを決めました。
これはメルザ検察総長がハリリ氏殺害事件国際調査委員会の責任者であるメリス氏が当日態度を表明した数時間後にこの決定をしたものです。
メリス氏は当日、「この4人の前安全部門高官はハリリ氏を殺害の計画に参加した疑いがある。」と述べた上で、「これより更に多くの人がこの案件に巻き込んまれたことを信じている。しかし、これまでに、シリア人がこの事件に関与する証拠はない」と述べました。



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