★イラク各地で戦闘、バクバでは20人死亡
イラク駐留米軍と武装勢力との戦闘は15日、ファルージャ以外の各地でも続き、中部バクバで20人が死亡した。衝突が続く中、米軍は同日、マイヤーズ米統合参謀本部議長がバグダッド入りしたことを明らかにした。議長は現地の米部隊を視察するほか、アラウィ首相らイラク暫定政府幹部と会談するという。
一方、バグダッドで9日に拉致されていたアラウィ首相の親族3人のうち女性2人が解放されたとの情報について、首相報道官は事実であることを確認した。首相のいとこの男性については解放されたとの情報はない。
バクバでは15日朝、武装勢力が複数の警察署などを襲い、米軍は2回にわたり空爆した。北部のモスルでは15日朝、少なくとも4回の爆発が発生した。AFP通信によると、前日の衝突では、警官7人と武装勢力の30人以上が死亡した。
バグダッドでは14日、米軍管理区域グリーンゾーン付近で爆発があり、民間警備員が死亡。同市南部では15日、住宅地に連続して砲撃があり、4人の子供を含むイラク人6人が死亡したという。
一方、バグダッド国際空港は15日、1週間ぶりに民間機の運航が再開され、イラク航空のアンマン行きなどが離陸した。 |
アメリカのファルージャ制圧における勝利宣言とは裏腹に、イラク全土に戦禍が拡大しつつある。むしろアメリカは意図的に混乱を作り出すのが目的だったように思えてくる。兵士も市民も見境なく撃ち殺している現状では、そう思わざるを得ない。
以下、阿修羅掲示板より
★ファルージャとイラク占領:今後のシナリオ
ハマ解決
1982年、シリア大統領ハファズ・アル=アサドは、ハマ市で2万人もの人々を殺し、その過程でハマ市中心街を破壊し尽くすことで、ムスリム同胞団に関係する宗教活動家たちが起こす可能性があった全国的な蜂起を弾圧した。この「ハマ解決」のイラク版として、米国とイラク人の仲間たちはファルージャを比較的速やかに制圧するかもしれない
反乱勢力を暴力で粉砕できるとしても、来年の春また反対が起きたときに、それは「選挙で選ばれた」イラク政府の問題となる。米軍兵士は、米軍兵士の犠牲を減らすために、一ダースあるいはそれ以上ある米軍基地に引きこもるだろうが、暴力が手に負えなくなるならば、いつでも呼び出されることになる。そうなると、イラクは、コロンビア、イスラエル、スリランカをはじめとする、進行中だが「統制可能」な政治的暴力の起きている地域と同じようになるだろう。その間、アメリカ合州国は、世界第二の石油埋蔵国にのさばることになる。現在ブッシュ政権に可能な最上のオプションがこれである。
ジェニン・シナリオ
ファルージャがほとんど制圧されながら、より小規模な戦闘が数週間から数カ月にわたって裏通りで続くとすると、イラク全土で混沌と無政府状態が増大するかもしれない。それにより1月の「選挙」は撤回あるいは延期を余儀なくされることになろうが、それでも、状況が完全に米国にとって統制しきれないものになる可能性がある。アラウィ政府はバグダードでは何とかそれなりに権力を掌握し続け、米軍はイラクを無期限に占領し続ける事態になりうる(混沌の中で米軍が撤退するわけにはいかないという議論によって)。反対勢力は時間がたてば次第に消耗し、それによって、「独立後」のシステムが米国の利益に都合の良いものになる地盤ができる。
米国の石油企業は石油埋蔵がまだ確認されていないイラクの90%を静かに探索しているという。砂漠の石油ではなく都市部の暴力に集中しているメディアによる赤面ものの調査を受けることなく。米国人の犠牲はやはり限定されたものとなり、メディアの注目もあまり過度ではないだろう。したがって、現在の状況では、ジェニン・シナリオは、ブッシュ政権にとって静かなけれども重要な勝利と見なされるだろう。
「英国型」解決(1920年の再来)
ファルージャ侵略が逆噴射し、より広範囲なスンニ派の反乱あるいはさらにはスンニ派とシーア派の反乱にまで至るかもしれない。1920年、イラクを占領していた英軍が大規模な武力を使って国を制圧しようとしたときに実際に起きたことであり、結果は占領者(そして被占領者)にとって壊滅的なものとなった。あるいは、ファルージャの抵抗がより強固だったり米軍士官たちが予想したよりも重武装していて、戦闘を長引かせ、ナジャフ包囲の時と同様に妥協的解決が必要になるとすると、やはり蜂起が促されることになる。あるいは、イラクの反対勢力が、計画時間が数カ月あったのだから、ファルージャには最小限の兵力しか残さずに、米軍とそれに同盟するイラク人に対して後で行動を起こそうと考え、イラクのスンニ派地域(およびシーア派地域)でさらに規模の大きい持続的な行動に出たときも----この可能性はますます強まっている----結果は同じものになるだろう。
「フランス型」シナリオ
遅かれ早かれ、ブッシュ政権はさらに不安定な「フランス型」シナリオの叢林に引きずり込まれるだろう。このシナリオでは、占領の人的犠牲についてますます人々が知ることとなり、すでに圧倒的なレベルに達している政治的汚職もあいまって、イラクの全面主権回復に向けた移行の次段階を国際化したいということになるだろう(最近イラクから逃げ出したアラウィの元トップ顧問は、イラクの絶望的な汚職について、私に「新政府はサダム政府と同じだ。違いと言えば、顔だけだ」と語った)。「フランス型」シナリオは、フランス・ドイツ・スペインにコフィ・アナン国連事務総長が加わって仲裁にあたり、イラクで続けられる惨劇に刺激された世界中の反戦運動に支持されるだろう。反乱勢力の活動が続く中で、米国とアラウィ政府がイラクを安定化させるのに完全に失敗した[実際には米国とアラウィ政府がイラクを不安定化させている主要因]という認識に基づいて、停戦と主権国家への移行の国際化への圧力が高まるだろう。フランス大統領シラクが米国の覇権に対抗する勢力を構築したいと述べ、コフィ・アナンが米国の振舞いにますます不満を強めている中、そうした展開が起きやすくなるだろう。同時に、イラク暫定政権のスンニ派メンバーの辞任もあり得、また、スンニ派が米国が組織した選挙に全面ボイコットする可能性もある。そうした動きを求める国連安保理決議案には米国と英国が拒否権を行使するだろうが、そうした方向を支持する流れは、選挙に向けた占領の体制に大きな変化をもたらす可能性がある。
---TomDispatch11月10日分析【全文】 |
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バクバBaqubaで燃える車とレジスタンス |
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煙があがるFalluja西部の市街地 |
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破壊されたFathat Baiji の石油パイプライン |
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Fathatで米軍の指揮下で遺体を収集するイラク人 |
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