【ウィーン会川晴之】国際原子力機関(IAEA)は18日、イラン核問題に関する報告書を理事会各国に配布、イランが核の「闇市場」を通じて核爆弾の製造解説書などの核開発情報を入手していたと初めて指摘した。また、ウラン濃縮計画などについて「未解明の部分が残る」としてイランに対して一層の情報開示を求めた。問題を国連安保理に付託するか否かを討議する24日からのIAEA定例理事会にも影響を与えそうだ。
毎日新聞が入手した報告書は全5ページ。報告書によると、イランは70年代から80年代半ばまでにかけて、パキスタンのカーン博士による核の「闇市場」を通じて
▽ウラン濃縮施設の詳細な設計図
▽広島型原爆の製造に不可欠な高濃縮ウランを半円球状に成型する技術の解説書
――などを入手していた。イランがIAEAに示した資料で分かった。イランは「核の闇市場の仲介者が持ち込んできた」と説明、イラン側から求めたものではないと主張している。
報告書はさらにイランが
(1)中部イスファハンで16日からウラン転換作業を再開したことを確認
(2)ウラン濃縮・転換に使用する軍民両用機器が保管されているとみられる軍事施設の査察を拒否した
(3)重水炉の建設は継続している
――などと列挙している。ウラン濃縮関連活動の中止を求めるIAEA理事会決議を無視している実態を示し、全容解明に向けたイランの協力が不十分であると指摘している。
24日からのIAEA定例理事会を前に欧米諸国は外交努力による解決を模索する一方、イランが交渉に応じない場合には国連安保理への付託を目指す姿勢を取っており、イラン側の対応が今後の焦点となる。
(毎日新聞)
|