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【トピック】
マスハードフ大統領殺害 

2005年3月8日(6日?)、1997年に世界が認めた民主的選挙でチェチェン共和国大統領に選出され、第2次チェチェン戦争の6年間をチェチェン国内に踏みとどまり戦争指導を続けてきたアスラン・マスハードフは、首都ジョハール(グローズヌイ)北郊ジョイクル・アウル(トルストイ・ユルト)村内の民家の地下室で数名の側近と潜伏中にロシア治安部隊に踏み込まれて殺害された。公表された死体写真を見る限り大きな傷は認められない。つい数日前までロシア特務機関、傀儡機構は、ノジャイ・ユルト地区といった南東部山岳地帯でマスハードフと彼の警護部隊を包囲したと大々的に伝えていた。現実には、グローズヌイと丘一つを挟んだだけの、頻繁に掃討作戦の行われている、しっかりと占領軍が押さえているはずの村の中で彼は活動していた。大作戦の結果と言うより、偶発的な遭遇の結果が最高指導者殺害につながったようだ。

彼の死をもって一つの時代が終わり、新たな時代が始まろうとしている。それはロシア側にとっても、チェチェン側にとっても共通している。モスクワのラジオ放送「モスクワのこだま」は、早速意見調査を行い、80%以上が、これでチェチェン情勢は激化するというモスクワ市民の感想を引き出している。同じ放送は早速、ロンドンにいるマスハードフの代理人の一人、アフメド・ザカーエフに連絡を取り、マスハードフの死を確認すると共に、チェチェン側が最高指導者マスハードフの死も常に起こりうる可能性の一つとして覚悟していたことを報じている。初代大統領ドゥダーエフは、第一次チェチェン戦争開始2年あまりでロシア側に殺された。昨年は、ドゥダーエフの後を代行として引き継ぎ、1997年の民主的な選挙を成功させたヤンダルビーエフが亡命先のカタールで殺された。戦争遂行の最高機関であるチェチェン共和国国家防衛評議会(GKO=MS)は、あらかじめ定められた規定により次の指導者を選び出す。ザカーエフは、その影響力と実績を考慮しても、チェチェン抵抗運動の影のナンバー2、シャミリ・バサーエフが自動的に後継者となることはないとした。2002年にGKO=MSが構成された時には、バサーエフはその議長代理であったが、彼は今はGKO=MSの構成員ではないからだ。

マスハードフの殺害は、正に死の直前まで、「チェチェン戦争の解決は戦争ではなく交渉による解決でなくてはならない」と説き続けた人物を、ロシアが自ら葬ってしまった所に特徴がある。イスラム系通信社「カフカス・センター」の創設者であり、バサーエフ派のイデオローグであるモフラディ・ウドゥーゴフは、自らの追悼文「マスハードフの殉教」で
http://www.kavkazcenter.com/russ/article.php?id=31213 で、ロシアとの戦争が交渉で解決できると固く信じて疑わなかった唯一のチェチェン人がマスハードフであったと記した。

当面、チェチェン共和国国家防衛評議会(GKO=MS)のマスハードフ死去に関する声明 http://www.kavkazcenter.com/russ/article.php?id=31212 に見られるとおり、チェチェン独立派はマスハードフらが既に策定し配布済みの今年度春夏季作戦計画を実施して行くであろう。しかし、マスハードフというロシアとの戦争範囲の拡大に最後まで抑制的姿勢を貫いた人物の欠如は、もはや完全にコーカサス戦争のロシア全土への拡大を意味することになるだろう。それは必ずしも「過激派」イデオローグ、ウドゥーゴフの考えとはいえない。ラジオリバティーのマスハードフの死を巡っての緊急対談では、ザカーエフ、バビツキー、ゴリツら論客のだした結論は、「ロシアは最終的に自らを血みどろの袋小路に追い込んだ」であった。
http://www.chechenpress.co.uk/news/2005/03/09/05.shtml

「チェチェンプレス」によせたアレクサンドル・リトビネンコの追悼文の表題は「私はロシアとロシア人を哀れむ」であった。 http://www.chechenpress.co.uk/news/2005/03/09/03.shtml
 彼が指摘するように、プーチンとその取り巻き以外に、ロシアで自らだけは安全と、のんびり構えていられる人はいなくなった。チェチェン人は自らの血族が出した恥も栄光も七代にわたって連帯責任で共有する。プーチンは欺瞞に満ちた謀略と世論工作の積み重ねで大統領の地位を獲得したとはいえ、2度にわたる選挙で選ばれた国家指導者だ。ロシア民衆が選び出したのだ。ロシアは無責任国家である。誰も人の責任を自ら負うことはない。パトルーシェフ(FSB長官)の責任は、プーチンは負うことはない。しかし、チェチェンの民衆は自分たちの文化意識で、ロシアの民衆にプーチンの犯した罪への連帯責任を要求するだろう。

チェチェン戦争の10数年とは、何もチェチェンの大統領や指導者を殺したということではない。人口百万に満たなかった共和国の市民25万以上を殺害したジェノサイドの10数年である。 ヒットラーを産みだしたドイツ国家とドイツ人は、現在もその愚行の代価を払い続けている。プーチンを産みだしたロシアとロシア人も、将来的には必ず愚行の代価を払わなくてはならない時が来るだろう。ジェノサイドは人類に対する罪であり、それに時効はないのだ。

マスハドフ殺害はロシアとの交渉中の騙まし討ち 「UAE紙」
 11日付のアラブ首長国連邦のアル・バヤーン紙

 ヨルダンに在住する前チェチェン国会議長の補佐官で、ヨルダン在住のチェチェン人指導者のバドルッディーン・ビーノー氏は、「マスハドフは戦闘中に殺されたのではなく、ロシア側との交渉の席上で騙されて殺されたのだ」と本紙に暴露した。
 「マスハドフの暗殺は、ロシア政府が発表した3月8日ではなく3月6日に起きた。暗殺後マスハドフの妻のクサーマと連絡を取り、マスハドフの暗殺は共謀した第三者が出席したロシアとの政治交渉の席上に起きた旨を伝えた」
 マスハドフの妻は次のように語ったと伝えられて居る。「マスハドフには護衛が3人しか付いていなかったし、武器も携帯していなかった。殺害現場に残されたという武器やチェチェンの国旗は真実ではない。彼は殺害後殺された場所とは別の場所に運ばれたのだから

【短報】
*9日バグダード中心部のスデイル・ホテルが抵抗勢力の攻撃で瓦礫と化す 米諜報機関や請負業者40人以上が死亡 写真4枚
http://www.albasrah.net/maqalat_mukhtara/arabic/0305/badran_100305.htm
*サマーワの日本軍基地10日午後大爆発 原因など詳細不明 im
*暗殺を免れたイラク計画相の補佐官:大臣に発砲したのは戦闘員ではなく外国人警備員。理由は知らない。イラク警察は事件直後暗殺未遂と発表、その後外国人警備員による誤射と訂正
*チュニジアとリビアが今後最初にイスラエルと完全な関係を締結する国になる 「ハアーレツ」
*エジプト外相、米国はエジプトの保護者ではないと遂に非難 「ワシントン・ポストWP」 【片や日本は?】
*米国、スーダンで核実験報道を「米議会で速記者が核実験が行われたネバダ州のセダン(発音不確か)とスーダンを聞き間違えたのが原因」と否定。スーダンは米国の弁解を受け入れず国際的な調査の可能性を示唆 スーダンでは癌が34%増加
*スーダン農務相:米国が1990年にスーダンに贈った食糧援助は内外の分析によると放射能を含有していたので送り返した 「ロイター」 【大変な援助があったものだ。スーダン人はモルモットではない】
*ペンタゴンはレバノン系元米兵のサダム逮捕劇否定する声明
*ライス長官:イランと外交的解決を支持するためにEUに協力する
*イラクでの前例がありCIA情報は信用できないので欧州の情報機関は独自にイランの核開発を調査 「AFP」
*世界的な医師グループ、イラクの民間人犠牲者数は公式発表よりもはるかに多く精密化調査を求める 「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」
*イスラエル、撤退声明と裏腹に入植地建設に1600万ドルを計上 「イ放送」
*イラクのイスラム革命最高評議会のハキーム党首:次期イラク政府は出来るだけ早く外国軍の撤退を求める完全な権利を有す。イラク人は米軍の恒久的基地の建設を望まない 「サウジのオカーズ紙」
---アラブの声ML 齊藤力二朗より

★後継大統領は、シェイク・アブドゥ-ハリム(最高シャリアート議長)

ロンドンのアフメド・ザカーエフ氏はチェチェン共和国文化情報出版相職務執行者として声明を出してチェチェン共和国の戦時最高機関である国家防衛評議会(GKO=MS)の規定により、GKO=MSによる3月9日のマスハードフ大統領死去の確認により、最高シャリアート(イスラム法廷)議長アブドウル-ハリム・サドゥラーエフが、チェチェンの平時自由選挙の時までチェチェン共和国(イチケリア)の大統領職務を執行者であると確認し全チェチェン国民の新指導者への結集と祖国解放への一層の団結を呼びかけた。
http://www.chechenpress.co.uk/news/2005/03/10/05.shtml

チェチェン共和国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


【チェチェン関連日誌】
2005/02/22
-「ヤンダルビエフ暗殺犯は所在不明」ロシア司法担当者





アスラン・マスハードフ
Aslan Maskhadov
1997年11月撮影
近況撮影と思われる
マスハードフ
Tolstoy-Your村に侵攻するロシア治安部隊
ロシア側発表、マスハードフが潜伏していたとされる武器庫入口
マスハードフの遺体
(別の場所から運ばれた?)
マスハードフ殺害の各報道新聞


【私的めもらんだむ】
 ウィキペディア(Wikipedia)の国旗は写真と違う。写真のように白ラインに挟まれた赤というのが正しいのだろう。

 マスハードフ大統領が武器庫で殺害されたとのロシア発表は、大統領の妻クマーサの「交渉中に殺された」とする証言によって覆された。殺害日まで偽っていたとのこと、クマーサ夫人証言の信憑性は、これまでのロシア政府の欺瞞に満ちた実績そのものがそれを裏付けるだろう。譲歩しようとする穏健派マスハードフを殺さねばならぬロシア政府の(プーチンの)理由とは何なのか?石油パイプライン利権もさることながら、交渉すら認めないでその場を血で汚すロシア政府の冷酷と傲慢さが許せない。また決して許されるべきではない。これだけでプーチンはチェチェンとの和平は全く望んでいないことが分かる。
【視聴予定】
21時
00 プレミアムステージ超時空ミステリーSP世紀の天才・ダビンチ最大の謎と秘密の暗号 ▽最後の晩餐に隠した謎の女性”M”の正体▽闇の秘密結社を暴く▽モナリザ微笑の仮面▽悪魔すむ大洞窟潜入大ベストセラーの真実恐怖の予言

【ダビンチ関連】
ダ・ビンチは暗号技術の先駆者
ダビンチは『プリウレ・ド・シオン団』と呼ばれる秘密結社の総長???
レオナルド・ダ・ヴィンチ 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


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