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【トピック】
「ヤンダルビエフ暗殺犯は所在不明」ロシア司法担当者

2月16日に連邦刑務所庁のユーリー・カリーニン長官が明らかにしたところによると、2004年2月にカタールでチェチェン独立派の元大統領ヤンダルビエフを暗殺し、昨年12月にロシアに帰国した二人の特務機関の士官の所在は、不明である。この二人は、カタールの法廷で下された有罪判決をロシア側が引継ぎ、終身刑をロシアの刑務所で受けさせるという条件で、12月23日にカタールからロシア政府専用機で移送されていた。「4人のロシア市民がカタールから運ばれてきたわけだが、彼らはこちらのどの施設にもいない。彼らはどこかで療養中なのではないか。たぶん法律的な手続きはほぼ終わっているはずだが、まあ、これまでカタールの司法から引き継いだ刑期をロシアの刑務所で過ごした受刑者の前例がないもので」と長官は語った。
---Chechen Watch というコミュニティのウィークリー レポート

★ヤンダルビエフ暗殺容疑者、カタールで逮捕される

 現代のチェチェン独立運動の創始者の一人であり、96年に初代のドゥダーエフ大統領が爆殺された後、臨時大統領となったゼリムハン・ヤンダルビエフ。この人物が、2月17日に亡命先のカタールで自動車に仕掛けられた爆弾によって暗殺された。26日の共同通信によれば、カタールの警察当局が逮捕した容疑者3名はロシアの情報機関員だった。ロシア外務省は関与を否定し、容疑者の引渡しをカタール側に要求している。
 再び独立派有力者に対する暗殺が繰り返されたことになり、現在の独立派の大統領マスハドフに対しても暗殺工作が仕掛けられている可能性が憂慮される。なお、2月28日にカタールの放送局、アル・ジャジーラが報じたところでは、ロシア政府はカタール国籍のロシア在住者2名を拘束した。カタール政府への報復措置と見られる
--チェチェンニュース Vol.04 No.05 2004.03.01

カタールとチェチェン --カタールの情報機関

 ロシア特務機関は、チェチェン人テロリストの支援で、この国家に本拠地を置く慈善基金を再三非難した。「セヴォードニャ」紙のインタビューにおいて、元ソ連KGB第1総局長レオニード・シェバルシン中将は、以下のことを確認した。

「外国特務機関の関与の程度は、様々であり得る。第1に、彼らは、現地からの情報収集を実施しているはずである。それ故、トルコ人とアメリカ人は、トルコおよびペルシャ湾領土からチェチェンに対する放送を監督している。第2に、物的援助。例えば、今積極的に戦闘員を援助している慈善協会「カタール」は、私がまだアフガニスタンにいたとき、ムジャヒディンに援助を提供していた。しかしながら、特務機関は、テロリストに金を渡すのではなく、武器で支払うことを好んでいる。」

 2001年、FSBダゲスタン局は、共和国検察庁と密接に協力してダゲスタンのチェキストにより行われた指向性業務の結果、ダゲスタン共和国における「MIOS」、「カタール」、「ベネヴォレンスInt.Fnd.」及び「アル-ハイリヤ」の活動がロシア連邦の利益に応えないものと認められ、それに従い、司法秩序において、ダゲスタン領内におけるその事後の機能化が停止されたと表明した。

 2003年、FSBは、イチケリアの首都に代表部を有したクウェート社会改革協会が、バクーに何百万もの額を送金し、後で密使によりグローズヌイに持ち込まれたルートとなっていたという情報を流布した。一方、国際慈善協会「カタール」は、同名の国からダゲスタンのノヴォラク及びツマンディン地区のチェチェン人戦闘員に数百万ドルを送金した。

 元チェチェン副大統領ゼリムハン・ヤンダルビエフは、居住地として特にカタールを選んだ。カタールにおいて、ヤンダルビエフは、かなり快適な条件下で3年間暮らした。当局は、彼と彼の家族に外交地区に家を提供した。以前、ヤンダルビエフは、アラブ首長国連邦に住んでいたが、後に彼の居住権は取り消された。それにも拘らず、ロシアにおいて、ジョハル・ドゥダーエフの側近には、ダゲスタンでの武装反乱の準備、匪賊部隊の創設の共犯及び法保護機関職員の生命に対する侵害の被疑事実が提示された。

 2001年末ヤンダルビエフは、ダゲスタンへの侵入の他の組織者と一緒に、インターポールのラインで手配された。ヤンダルビエフがドゥブロフカでの人質略取に関与したという情報も存在する。2003年、ロシアの動議により、分離主義者のリーダーは、国連の専門家により国際テロリストのリストに編入された。ヤンダルビエフは、2003年2月13日自家用車で爆殺された。爆発は、51歳のヤンダルビエフと一緒に彼の13歳の息子ダウドと2人の警護官がいたジープの内部で起こった。ダウドが車を運転し、ゼリムハンは隣に座っていた。ヤンダルビエフは、ドーハの「ハマト」病院に運ばれ、そこで死亡した。2月26日、カタール当局が2月19日夜に3人のロシア特務機関職員を拘束し、その内2人にヤンダルビエフの暗殺の組織の被疑事実を提示したことが明らかになった。

【写真】暗殺のターゲット大集合 ---東長崎機関

秘密共同体「イチケリア」

 副大統領ヤンダルビエフは、次のように、政府システムと法保護機関で支配的だった状況を描写している。「閣僚と副首相は、互いに内緒で、首相の職務を奪おうと試みた。その各々のバックには、部隊が立っていた。マガダエフのバックには回教連隊が、ドシュカエフのバックにはバプサシュル・ベノエフスキー名称支隊がいた。アルバコフとムルダロフは、バサエフ、ハンカロフ、ゲラエフの支持を当てにしていた。タメルラン・オシャエフは、イリヤスとアブ・アルスヌカエフを当てにして過激な活動を展開した・・・。法保護機関では、戦力機構による積極的活動の模擬、全面的な適法性の違反、その活動に対する監督の不在、若干の公務員の犯罪界との関係等、奇妙な状況が形成された。その外、MVD、DGB、スペツナズ、OMON、特別任務大隊、回教戦車連隊等、全ての戦力機構は、その警備を口実に、石油製品の横領に関与した。ほぼ全ての部隊が、石油製品パイプラインの略奪に関与していることが分かっている」。
 通常、秘密共同体において無条件で遵守され、彼らにとって普通であった従属の原則は、現地条件が数世紀に渡り形成されたこの社会制度の古典的なパラメータに一致していなかった以上、秘密共同体「イチケリア」(TOI)に応じて、強く変形したものとなった。


yandarbiev
【私的めもらんだむ】
 カリーニン長官の「これまでカタールの司法から引き継いだ刑期をロシアの刑務所で過ごした受刑者の前例がない」との弁明には開いた口が塞がらない。カタールでの終身刑有罪犯人が、ロシアに引き継がれたとたん行方不明になり、あげくは「何処かで療養しているのではないか」と嘯く。結局のところロシア政府はヤンダルビエフ殺害犯を無罪放免したというか、どっちみち政府の指示で暗殺を実行した特務機関工作員なのだから、カタールがロシアに彼らを引き渡した時点で筋書きは決まっていたようなものだ。こうした連邦刑務所庁ユーリー・カリーニン長官のしらばっくれた暴言は、そのままロシア政府の意向を反映したものであり、これからのプーチン独裁体制がより強権発動をするだろうことの前触れであろう。

【視聴予定】
19時
30-00 クローズアップ現代 美術館大ピンチ▽市民の選択 --NHK総合テレビ
詳細

22時
25-50 人間講座 内橋克人・共生経済(03)「浪費なき成長」に向けて-NHK教育テレビ


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