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【トピック】
刑務所での拷問規定に英国も関連 ---ML・アラブの声

米軍によるイラク人収容者に対する拷問(torture)の使用をめぐって物議をかもしたバグダードのアブ・グレイブ刑務所における,苛烈な尋問テクニックを許可した規定の草案作成に,英軍将校も関わっていた

昨晩(英国時間19日)明らかになったところによると,犬を使う,眠らせない,負担のかかる姿勢を取らせるといった,ジュネーヴ条約に違反した尋問手法を,拘束されている人々に対して刑務所の警備担当者が用いることを許可した決定的な文書には,英軍将校は誰一人として関わっておらず,またその文書を見た者も英軍将校にはいないとする主張を,英国政府は取り下げることを余儀なくされた。
昨年,警備担当者が強制的に収容者を裸にして性的な行為をまねさせている写真が明らかになり,同刑務所は悪名をとどろかせた。また,収容者がをけしかけられ噛まれいる写真もある。
英国のアダム・イングラム国防閣外相(The Armed Forces Minister*1, Adam Ingram)は,ウェールズ民族党(Plaid Cymru)所属のアダム・プライス議員*2に宛てたレターで,バグダードの連合軍法務局配属の英陸軍の法律家が,その文書の草稿の作成時に「自身の上官からのコメント」を寄せたということを認めた
当該の将校が文書に賛成していたのか反対していたのかはわかっていないが,関与があったことが判明したことにより,英陸軍の指揮系統の誰が,アブ・グレイブで用いられた尋問テクニックのことを知っていたのか,またその時期はいつかということについて,重大な疑問が持ち上がっている。
当該の英軍将校は,週に一度上官に報告しており,拘束者の扱いを規定している国際法が守られていないと感じた場合には,上官に知らせる責任があった。
プライス議員は「政府が今,以前の声明は不正確であると認め,英軍の上級の法務担当者が草稿作成段階で何らかの役割を有していたことを認めるとは,非常に憂慮すべき事態です」と述べた。「感覚遮断などのテクニックを用いることは英国の軍法に照らして違法です。ジュネーヴ条約違反でもあります。警告のベルはなり続けていたはずです。米軍の行動に英軍の指揮系統は注意を向けているものと思っていたのですが。」
問題の文書は,「尋問と対レジスタンス・ポリシー(Interrogation and
Counter-Resistance Policy)」と名づけられているもので,イラク人拘束者の尋問を監督する連合軍司令部(the coalition's Combined Joint Task Force 7 (CJTF))によっ てまとめられた。同文書にはグアンタナモ湾(=キャンプXレイ)で用いられているテクニックから多くが流用されている。同文書は 2003年9月14日に書き上げられたが,承認されるまでにいくつかの草案が作成されている。

米軍の尋問テクニックの使用について米当局が行なった調査の結果であるフェイ・レポート(The Fay Report:04年8月のBBC記事からPDFファイルへのリンクあり)では,連合軍司令部はグアンタナモで用いられている尋問テクニックを「ほぼそのまま写した」としている。これに加えて,尋問ポリシーの文書をまとめた将校らが用いるべきであると考えたほかのテクニック,すなわち「犬を使うこと,負担のかかる姿勢を取らせること,どなりつけること,大音量の音楽を流すこと,照明を利用すること」といったものが,相当数付け加えられている,とフェイ・レポートは述べている。
米当局は,連合軍司令部の文書によって現場で用いられた尋問ポリシーは,収容者の虐待に「間接的につながった」と結論付けている。
(2003年の)10月12日に,その頃にはすでにアブ・グレイブ刑務所内では虐待(a culture of abuse)が表面化していたが,米中央軍司令部(Centcom)が当該文書の内容に非常に驚いたために,文書をトーンダウンするよう命令している。
2003年7月から2004年1月にかけて連合軍法務局に配属された当該の英軍将校の氏名は,英国防省は明らかにしていないが,連合軍上級法務顧問で米軍のリカルド・サンチェス司令官への報告を行なっていたマーク・ウォレン大佐(Colonel Marc Warren)に報告をしていた3人の副官の1人であると理解される。サンチェス司令官は,アブ・グレイブで起きていたことについては,2004年1月に軍の査察官に写真が渡されるまで気づかなかったとしている。
【注】
*1:
英国の国防省の「大臣」はministerではなくsecretary(The Secretary of Defence)で,ministerは閣僚ではない「閣外大臣」。ちなみに国防大臣はジェフ・フーン(Geoff Hoon)。
*2:
アダム・プライス(Adam Price)議員は,2004年夏にブレア弾劾の動議を出した議員です。→そのときの私のウェブログ記事|BBC記事|プライス議員に賛同した保守党のボリス・ジョンソン議員の書いたもの
一連の拷問/虐待をめぐる米軍の文書については,The National Security Archiveなどにまとまっています。

英軍の拷問テクニックについては,北アイルランドでの例(シン・フェイン党のジェリー・アダムズ党首の体験談)があります。少し引いておきます。
服を脱がされ,頭に黒いをかぶせられた者もいる。袋は光を完全に遮るもので,頭から肩までこれをかぶせられるのだ。壁に向かって四肢を広げて立つと,脚を下から蹴られる。睾丸や腎臓を警棒や拳で殴られ,股間を蹴られるベンチに寝かせられ,身体の下にラジエータや電気ヒーターが置かれる。がねじ曲げられ,がねじ曲げられ,肋骨をしたたかに殴られ,肛門に物を突っ込まれ,マッチでをつけられ,ロシアン・ルーレットをやらされる。ヘリコプターに乗せられ宙吊りにされた者もいた。中空高く飛んでいると思っているが,実は地上5〜6フィートでしかなかった。彼らは常に袋をかぶせられ,手錠をかけられ,途切れることのない高音のノイズを聞かせられていた

 数が多すぎて余程の内容で無いとニュース価値が無いのでお伝えしていませんが、同様のニュースは毎週のように流れています。昨日もアムネスティー・インターナショナルが、米軍によるイラク人女性への性的暴行を告発しています。仕方が無いので米軍も初めて認めました。
 理由を告げない無差別拘束も連日数十人も起きています。イラクの人口は2500万人ですから、今後もどんどん刑務所を建設しないと間に合わないでしょう。イラク全土が刑務所のようなものですが。何度も報告したように、米軍はファッルージャなどの攻撃時に、老人、子供、女性を人質にとって人間の盾にしています

【見出し】
*イラク高等教育省の最新報告書:2年間で46人のイラク人大学教授が暗殺された
*UAEの衛星テレビ局アルアラビーヤ:2日間の空爆後、米軍がバグダード西方のハクラーニーヤを包囲、一部住民が逃げ出す
*亡命中のソマリア大統領、14年ぶりに帰国
*イスラエル政府高官、カタール政府の公式招待で秘密訪問
*シリアがシリアとレバノンの戦略的重要性を持つ国境地域を除きレバノンから全面撤退案をアラブ連合会議に提示する準備
*キルクーク州知事、全州の政府機関でクルド語を公式言語として使用の強制を指令 一切の反対を拒否 州内の多数の地域にクルド人は存在せず 
*24日キルクークの緊急警察司令官、爆弾による暗殺を奇跡的に逃れる 護衛2人死亡2人負傷 写真3枚
http://www.iraqpatrol.com/php/index.php?showtopic=7997

★イラク人収容者虐待、英兵2人に有罪判決
 【ロンドン=土生修一】独オスナブリュックにある英軍基地の軍法会議は23日、イラク南部バスラでイラク人収容者を虐待したとして同基地所属の英兵士2人に有罪判決を言い渡した。
 起訴されている残り1人も虐待を認めており25日に判決が出る。量刑は未定。3人は、2003年5月、イラクの英軍施設内でイラク人収容者を裸にしたり、殴りつけたりするなどの虐待行為を行った。
 他の兵士がこの様子を写真に撮り、帰国後、現像に出したため、写真店の通報で虐待が発覚した。
(読売新聞)
★英軍法会議、イラク人捕虜虐待で目撃証言
 [オスナブリュック(ドイツ) 27日 ロイター] イラク人捕虜に虐待を行ったとされる英兵3人に関する軍法会議で、ゲリー・バートラム小銃兵が同僚の罪状について証言。略奪容疑で収容されていた人々が性行為のしぐさを強要された状況などを説明した。
 一方、被告側の弁護士は、バートラム小銃兵自身も1人の被収容者をひどく殴打し、別の人々に電気ショックを与えたことを自慢していた、と述べた。
 3人は2003年、バスラ近郊にある基地からの支援物資略奪を阻止する作戦中に拘束したイラク人を虐待し、性的に辱めた容疑に問われている。この問題は、証言したバートラム小銃兵が虐待の写真を撮影したことから表面化した。

米兵、イラク人女性を暴行?=軍が調査開始
 【ワシントン22日時事】イラク駐留米兵がイラク人女性に暴行を働いた疑惑が浮上、米軍当局は22日までに、調査を開始した。国防総省当局者が明らかにした。
 昨年4月以降、イラクのアブグレイブ刑務所などで米兵による収容者虐待が相次いで表面化、米軍は内外から厳しい非難を浴びたばかり。暴行が裏付けられれば、批判が再び強まるのは必至だ。 
★主犯格兵士に禁固10年 虐待事件で米軍法会議
 【ワシントン15日共同】イラクの旧アブグレイブ刑務所で起きた米兵によるイラク人虐待事件の軍法会議が15日、米テキサス州フォートフッド陸軍基地で開かれ、14日に虐待などで有罪の評決を受けていた主犯格の元憲兵隊所属チャールズ・グレーナー技術兵(36)に禁固十年と不名誉除隊の判決が言い渡された。同技術兵は判決後直ちに収監された。
 グレーナー技術兵は裸にしたイラク人をピラミッド状に重ねたり、首にひもを巻き付けるなどの虐待行為で主犯格だった。虐待したイラク人の横でポーズを取る写真が米メディアに掲載されていた。
 検察側は最終陳述で「グレーナー技術兵のしたことは軍に泥を塗るものだ」と断罪し、最高刑の禁固15年を求めた。
虐待漏らすなと脅迫 イラクで米軍取調官
 【ニューヨーク8日共同】バグダッドのイラク人臨時収容施設で今年6月、米軍の取調官がイラク人を虐待、これを目撃した米国防総省の国防情報局(DIA)当局者2人を脅迫し、他言しないよう求めていたことが7日明らかになった。
 米人権擁護団体、全米市民自由連合が公表したDIAの「情報メモ」で分かった。日付は6月25日で、旧アブグレイブ刑務所での米兵によるイラク人虐待問題が発覚して間もない時期。
 DIA幹部からのメモのあて先は米国防総省の情報担当高官。メモによると、DIA当局者は軍取調官がイラク人の顔を治療が必要なほど殴ったのを目撃したが、取調官は当局者に室内から退去するよう命令。

イラク治安当局も拷問 人権団体が報告書
 【カイロ25日共同】人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(本部ニューヨーク)は25日、イラク治安当局に拘束されたイラク人の多くが拷問を受けていたとの報告書を発表した。
 旧フセイン政権下での政治犯拷問や、戦後の米軍による旧アブグレイブ刑務所での虐待が問題となったが、拘束されたイラク人の待遇は暫定政府発足後も改善されていないことが明らかになった。
 電線やホースを使って体をたたいたり、陰部電気ショックを与える拷問が行われていた。座る場所のない部屋に押し込まれたり、食事や水を与えられなかったケースもあるという。

★イラクの女性めぐる環境、改善みられず=アムネスティ
 [ロンドン 22日 ロイター] 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは22日、イラクでは、旧フセイン政権が崩壊してから約2年が経過しているにもかかわらず、女性をめぐる状況は改善していない、と報告した。
 報告は、「イラク、数十年の苦しみ」と題されており、旧フセイン政権による制度的な抑圧は終わったものの、その代わりに、米軍によるものも含め、殺人の増加や性的虐待が起きていると指摘する。
 アムネスティは、「イラク戦争後にみられる無法状態や殺人の増加、拉致、レイプにより、女性は移動の自由を制限され、通勤、通学もままならない状況となっている。また女性は、米軍指導下のイラク人部隊による性的暴力の脅威にさらされており、米軍に拘束されている女性は、性的虐待を受けているほか、レイプされている可能性もある」と述べた。




イラク南部バスラ英軍施設内でのイラク人への拷問写真
米軍の拷問に抗議して壁画を描くアーティスト
捕虜の待遇に関するジュネーヴ条約・抜粋

捕虜の待遇にかんするジュネーブ条約とは?

強制労働や虐殺、人体実験など、未曽有の人道犯罪が行われた第二次世界大戦の惨禍を経て、一九四九年にスイスのジュネーブで傷病兵や捕虜、非戦闘員の保護を定めた四つの条約が締結されました。「戦争犠牲者保護条約」「一九四九年のジュネーブ諸条約」と総称され、赤十字の活動についても規定しているため「赤十字諸条約」とも呼ばれています。十九世紀以来の赤十字に関する条約や捕虜条約などをさらに発展させたもので、戦争を違法化する現代国際法の基本的な条約といえます。
 四条約には多くの共通規定があり、共通の第三条では、非戦闘員や武器を放棄した兵士、傷病兵に差別なく人道的に待遇すべきことや、暴行・虐待・拷問・「侮蔑的で体面を汚す待遇」などの禁止を定めています。
 とくに第三条約は「捕虜の待遇に関する」条約となっています。戦争当事国の正規軍を構成しない民兵や義勇軍などにも捕虜待遇の資格を広げ、捕虜をとらえた個人や部隊の責任いかんにかかわらず抑留国がつねに待遇に責任を負うこと、捕虜は氏名・階級などを除く情報を黙秘でき、個人用品も引き続き所持できることなど、詳細な規定があります。日本は一九五三年に条約締約国となっています。
 政府・与党は七月に、イラク特措法の成立を強行しました。政府によれば、特措法イラクに派遣される自衛隊員は、捕虜になってもジュネーブ第三条約の諸規定は及びません。政府はイラク派遣と憲法との矛盾を取り繕うため
▽イラクで自衛隊が行う活動は武力行使にあたらない
▽紛争当事国にならないよう「非戦闘地域」で活動する
−としましたが、そうすると紛争当事者を対象とする条約の“らち外”となるからです。国際法上も不安定な活動に日本をまきこむ、イラク派遣を許さないたたかいが重要です。

【私的めもらんだむ】
平和省は戦争、真理省は虚構、愛情省は拷問、豊富省は飢餓を所管事項としている。これらの矛盾は偶発的なものではなく、また通常の偽善から発生したものでもない。いずれも二重思考の意識的な実践なのである。それというのも、ただ矛盾を調整させることによってのみ権力は無限に保持していけるからだ。
--ジョージ・オーウェル「1984年」

 『1984年』が描いた全体主義国家では、報道や教育、娯楽、芸術は、すべて真理省の管轄である。わが方の情勢にぐいっと引きつけていえば、新聞もテレビも文部科学省も「真理省」に属するというあんばいだ。そこでは「真実」が国家の管理下に置かれ、政府に不都合な歴史的事実、統計などは、消去されたり、変造、捏造されたりする。個人が過去を正しく記憶したり、反省したりするのは「思想犯罪」にあたるのだ。---中略--- 『1984年』の全体主義国家は、どこかの国に似ている。いや、どこかの国がこの小説に似てきているのだ。新聞社やテレビ局のビルの壁に、真理省のこんなスローガンが大書されていないか、われわれはいま、しっかり眼を凝らす必要がある。
戦争は平和である
自由は屈従である
無知は力である

----辺見庸著『永遠の不服従のために』33-35頁「二重思考・ダブルシンク」より抜粋

【視聴予定】
19時
00 サイエンスZERO「ZEROスペシャル・環境浄化に挑め」  真鍋かをり

22時
00 ETV特集「いいもんだよ、生きるって」 夜回り先生・水谷修の感動の講演会に密着▽薬物乱用リストカット援交…眠れぬ子たちの悲鳴と向きあった半生▽江川紹子



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