★両軍が始動?(東シナ海ガス田問題)2005年01月26日
結構重要な動きなので取り上げて見ます。重要というのは、「両軍が動いている」ということです。
まず日本の動き。昨年からノルウェーの民間調査船を借りて海洋調査を行ってきましたが、あくまで民間船でした。しかしながら今回は戦闘艦ではないものの、軍艦であり「海自が関与している」という意味は大きいと思われます。今回の問題に自衛隊が関与したのは始めてのはずです(P3Cの活動は通常の哨戒の範囲であり、東シナ海問題の為の特別活動はまだないはずです)
一方、中国海軍も軍艦を出してきました。こちらは最新鋭の戦闘艦ということで、明らかに強硬姿勢に出ている日本への「牽制」の意味があると思われます。私は昨年日本の調査船が東シナ海で調査をしているときに中国海軍の妨害があるのではと懸念していましたが、実際にはありませんでしたので、中国海軍がこの問題に介入してくるのもこれが初めてと言えるかもしれません。
お互い本気の姿勢になってきたと言えると思います。(中国は前から本気だったので日本もやっとと言うのが正しいかもしれません)
また、そういう状況の中で外相会談での解決の道も探られています。昨年の内閣改造前までの川口外務大臣はこの問題について売国会談かと思われるような内容の会談を中国とやってのけ、国民を驚かせたものでしたが、町村外務大臣には期待しています。
---アジアの真実より
★始まった東シナ海・春暁石油ガス田の開発---以下抜粋
平 松 茂 雄 杏林大学総合政策学部 教授
「ストローのように吸い上げられる」
東シナ海の排他的経済水域・大陸棚を日本と中国で二等分する「日中中間線」にわずか数キロメートルの中国側海域で、中国が2004年5月から春暁石油ガス田採掘施設の建設に着手した(図1)。日本側海域には4社の日本企業が先願権を得て鉱区を設定しているが、それから30年以上を経ているのに日本政府が鉱業権を与えないため、そこに埋蔵されている石油資源が中国側から吸い取られる恐れが出てきた。中国側海域で遠からず開発が始まることをこれまで筆者は何回も、機会あるたびに指摘してきたが、政府もマスコミも一部を除いて関心を示さなかった。開発が現実となった時点で、ある新聞の現地取材に同行した筆者が使った「ストローのように吸い上げられる」という表現が強い刺激を与え、世間の関心がにわかに高まり、日本政府はようやく関心を示すようになった。
最初に「日中中間線」について、説明しておく必要があるであろう。東シナ海の海底は中国大陸から緩やかに傾斜して、わが国の南西諸島の西約100キロメートルの地点で、深く窪んでいる。このくぼみは沖縄舟状海盆あるいは沖縄トラフと呼ばれ、南西諸島とほぼ平行にそって存在する。長さ1,000キロメートル、幅150キロメートル、深さ1,000〜2,000メートルである。
中国側海域に林立する採掘施設
春暁の工事は遅れるとはいえ、いずれ完成する。続いて第2期工事、残雪と断橋の採掘施設の建設である。他方計画では2005年から平湖の拡張工事(第2期工事)が始まる。平湖より7,000メートル離れた海域に八角亭という採掘プラットフォームが建設される。日産80万立方メートル。ここから平湖まで海底パイプで連結され、平湖から上海に輸送される。さらに同様に2005年から平湖の北百数十キロメートルに位置する「紹興61」で採掘が始まる(図1)。2000年代の後半から、東シナ海の真ん中の中国側海域に、石油施設が林立することになりそうである。
他方わが国では、2004年7月から開始された春暁に隣接する日本側海域の地質調査が完了する。次は石油資源の有望な大陸棚のボーリングである。ボーリングを行い、さらに採掘に進まなければ、日本は中国に押しまくられるだけである。境界画定は政治交渉でと日本側がいくら望んだところで、自国の大陸棚の地質構造、資源状況を掌握していなければ、政治交渉は初めから成り立たない。だが日本がボーリングを行い、採掘に着手すれば、中国はたんに非難するだけでなく、実力阻止に訴える可能性がある。日本はそれに備える必要がある。これには高度の政治判断が必要となろう。

★資料・東シナ海ガス田開発 East Asia News Watch
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