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【トピック】
核兵器製造ノウハウ取得か イラン、80年代に

 【ウィーン27日共同】AP通信は26日、外交筋の話として、核開発疑惑の指摘されるイランが、パキスタンのカーン博士を中心とする「核の闇市場」を通じ、1980年代後半までに核兵器製造に必要な知識・情報などすべてのノウハウを入手していたと伝えた。
 国際原子力機関(IAEA)は28日から定例理事会を開くが、各国ともイラン核問題では、同国と、英国など欧州3カ国の協議を見守る姿勢を示しており、新たな決議案などは提出されない見通し。
 しかし、米国は既に次回の6月理事会までに協議に大きな進展がない場合は、同問題の国連安全保障理事会への付託を求める意向を理事会各国に伝達。今後のIAEA査察でイランが核兵器製造に関係する何らかの情報を入手していたことが判明すれば、秘密核開発の「決定的証拠」としてイランが追い詰められる可能性もある。

★イラン、今後半年で核爆弾の製造技術を習得=イスラエル外相

 [ロンドン/テヘラン 16日 ロイター] イスラエルのシャローム外相は16日、イランが今後半年で核爆弾を製造できるようになるとの見解を示した。
外相は訪問先のロンドンで記者団に対し、「イランが2009年、10年あるいは11年に核爆弾を持つかどうかは問題ではない。大きな問題はいつイランが核爆弾の製造技術を持つようになるかだ」と述べた。
その上で「今後6カ月であらゆる試験、実験を終了して、核兵器製造技術を習得するだろう」と述べた。

★イラン、米国によるイランの核施設攻撃の可能性をけん制

 [テヘラン 13日 ロイター] イラン外務省の報道官は13日、米国によるイランの核施設攻撃の可能性をけん制した上で、イランの核開発問題を巡り、欧州連合(EU)の英国、ドイツ、フランス3国と現在行っている交渉が妥結する可能性がある、と指摘した。
 米国がイランへの軍事行使の可能性を排除していないことについて、報道官は「わが国は、米国が火遊びをしないようにと伝えるよう欧州側に明確に通告してある」と述べた。
 ただ、ドイツは、イランの核開発問題を国連安全保障理事会に付託する可能性を指摘しており、欧州側が態度を硬化すれば、イラン問題を巡る米欧間の溝は縮まることになる。
 13日付のワシントン・ポスト紙は、米軍がイラク領内の基地から無人偵察機をイラン上空に飛ばし、イランの核活動に関する情報を収集している、と伝えていた。

★「核の闇市場」健在/サウジ関与も捜査と米誌

 【ニューヨーク6日共同】7日発売の米誌タイム最新号は、パキスタンのカーン博士による「核の闇市場」の発覚から1年以上たった現在も、核技術取引に暗躍するネットワークがなお存在していると報じた。米当局は博士が核技術をサウジアラビアをはじめ、アラブ諸国に供給した可能性についても捜査している。
 同誌によると、カーン博士が主宰したカーン研究所に近い筋は、所長は摘発されたものの核技術の供給者と仲介者のネットワークは健在で「何も変わっていない」と述べた。「核のハードウエア(関連設備)は依然入手可能だ」(博士の元側近)という。

イランが中距離ミサイル実験に成功 北朝鮮の技術採用か
JULY 09, 2003 21:41---東亜日報

イランが最近、中距離ミサイルの最終的な実験に成功したことが確認されたなか、今後2以内に核兵器の生産にも成功するだろうとの見方が7日提起された。
イラン外務省の報道官は同日、数週間前に射程1300〜1500kmの中距離ミサイル「シャハフ−3の最終的な実験に成功したことを確認した。
米ニューヨークタイムズ紙が報じたところによると、このミサイルは、サウジアラビアとイラク駐留の米軍やイスラエルが射程に入れている。
イランは、同ミサイルがあくまでもイランの専門家によって製造されたと強調しているが、北朝鮮の技術が使われただろうというのが大方の見方だと、 同紙は伝えた。
米国務省は先週、北朝鮮と中国の各企業がイランにミサイルの技術を販売したとし、制裁措置を取ったと発表した。
一方、イランの民主主義の促進に向けた「イラン民主法案」を米上院に上程したサム・ブラウンバック米上院議員は8日、イランが05年末までに核兵器を保有するようになるかもしれないとの見方を強調した。
ブラウンバック議員はこの日、イラン政府が、昨年公開された二つの核基地のほかに、さらに二つの秘密核基地を持っているというイラン反体制派ムジャヒディン・ハルク(MKO)の政治組織「国民抵抗協議会(NCRI)」の主張を取りあげ、このように話した。


ブシェール原発
Bushehr
イスファハンの
ウラニウム転換設備

亡命イラン人組織に誇張の暴露をさせる

 イランが核兵器開発を進めていると最も強く主張しているのは、亡命イラン人のゲリラ組織「ムジャヘディン・ハルク」(MEK)と、その傘下の政治団体である「イラン国民抵抗評議会」(NCRI)である。NCRIは昨年11月17日に「イラン政府は、パキスタンから核兵器の設計図を買って核兵器を製造中で、来年中には完成する予定」と発表した。またこの直後、パウエル国務長官が「イランは、自国製のミサイルに核兵器を搭載する技術を開発しているという情報を見た」と発言し、これもNCRIが持ち込んだ情報であると報じられている。
 だが、これらの情報には裏付けがない。NCRIによると、イランは2001年にパキスタンから核兵器に使える濃縮ウランを買ったというが、この時期はアメリカがパキスタンの核兵器開発について詳しい調査を進めていたときで、ひそかに濃縮ウランを売ることなどできるはずがないと米国内の専門家から指摘されている。
 NCRIが発表を行ったのは、イランの核兵器開発疑惑を軍事ではなく外交で解決しようとしているEU3カ国(英仏独)が、イランとの間で「イランがウラン濃縮を中止する代わりに、EU側はイランに経済援助を行う」という約束を取り交わして署名した2日後のことだった。NCRIとその背後にいる米タカ派は、EUの外交努力を潰すために、根拠の薄い発表を暴露的に行ったのだと考えられる。
 NCRIの上部組織であるムジャヘディン・ハルク(MEK)は、もともとイランの共産主義者の組織だったが、イスラム革命の後、反政府団体としてイランから追放されてイラクに亡命し、フセイン政権にかくまわれて1980年代をすごした。湾岸戦争の後、こんどはアメリカにかくまわれ、米軍がフセインの攻撃からクルド人を守るために作った北イラクの自治区で活動し、アルカイダと連携することもアメリカが黙認した。アメリカでは、国務省はMEKをテロ組織の一つに指定したが、国防総省のネオコンらは、それを無視して裏からMEKを支援した

イラク潰しと同じ方法でイランを潰す
 NCRIはイラン国内に密偵がおり、イランのどこに核施設があるかといったことについては正しい情報を発表したときもあるが、それらの核施設の中でどんな開発が行われているかについては知るすべがないはずだ、という指摘もある。たとえば、NCRIは「イスファハンの近くに地下の核開発施設がある」「そこで核兵器用のウラン濃縮が行われている」という情報を流しているが、イスファハンの近くに核施設があるのは事実としても、そこで核兵器開発が行われているという見方は、根拠のあるものとは考えにくいということである。
 イラン政府は、ロシアなどからの技術協力を受けて発電用の原子炉を建設中で、核燃料サイクルも確立しようとしている。亡命者組織が「核兵器開発」と主張しているものは、実は発電用に開発しているもので、誰にもそれを止める権利はないとイラン政府は主張している。「イランでは石油が豊富に採れるのに、わざわざ原子力発電を行おうとするのはおかしい」というタカ派からの指摘に対しては、イラン政府は「国内で採れる石油を輸出に回して外貨を稼ぐため」と反論している。
 イランの核開発が、100%発電用なのか、タカ派が主張しているようにこっそり核兵器の開発も兼用しているのか、それを確定することは簡単ではない。しかし、イランはこれまで何回もIAEAの査察を受けており、公式に疑惑を持たれた部分に対しては潔白を証明している。
 NCRIなどの外部勢力が「あそこで核兵器開発をしている」「こっちでもやっているらしい」と指摘するのは簡単で、その指摘が外れても、彼らはバックにアメリカのタカ派がついているので、大して問題にされない。IAEAとイラン政府が振り回されるだけである。こうしたタカ派の作戦が成功すると、イランは核兵器を開発しているという見方が国際的に確定し、アメリカが軍事侵攻しやすくなる。
 この構図は、イラクが「大量破壊兵器を開発している」という濡れ衣をかけられて侵攻されたときの仕掛けと全く同じである。イラクのときは「イラク国民会議」(INC)という亡命者組織がウソや誇張の情報をマスコミに流し、世界の人々に「フセインは悪者」というイメージを定着させた。INCのトップだったアハマド・チャラビは、以前からのネオコンの仲間だった。CIAや国務省からは「INCの指摘はいい加減だ」という主張も出されたが、ホワイトハウスの方針決定権を握った国防総省のネオコンやチェイニー副大統領は、CIAを解体し、パウエルを辞めさせることでそれに応えた。

▼民主化という名の世界破壊
 以上説明してきたように、ブッシュ政権が主張した「イラク、イラン、北朝鮮は危険な大量破壊兵器を持っており、政権転覆によって強制的に民主化する必要である」という「悪の枢軸」の戦略は、ウソと誇張に基づいた主張であることが明らかになっている。
 イラク、イラン、北朝鮮は「民主主義」の面で欠点のある国だという指摘もあるが、この点でも「政権転覆」は解決策になっていない。イラクは多民族国家であり、アメリカが独裁的なアラウィ政権を就任させねばならなかったことから明らかなように、ある程度の独裁が必要である。その意味でフセインは正しいことをしていたといえる。イランは独自の限定的な民主主義をやっており、外国からの政治介入は必要ない。北朝鮮は前回の記事に書いたように、中国型の経済優先の開放が進められることが望ましく、先に政権転覆すると壊滅的な結果しか生まない。
 アメリカが世界を民主化したければ、まずアメリカが無茶苦茶にしたイラクを、せめてフセイン時代のような安定した国に戻してやることから始めなければならない。1月末にイラクで予定されている選挙は、しだいに失敗が確定的になっており、このままでは状況はますます悪化する。
 ところが、1月20日の就任演説でブッシュ大統領は、イラクの立て直しについて何も述べなかったどころか、2期目の4年間で、民主化されていない国々に対する政権転覆作戦をさらに拡大続行することを表明した。
 国務長官に就任するライスは、米議会での公聴会での発言で「悪の枢軸」を拡大し、イラン、北朝鮮、キューバ、ミャンマー、ベラルーシ、ジンバブエの6カ国を「いまだに圧政の国々」(outposts of tyranny)と呼び、これらの国々は強制民主化が必要だと主張した。(関連記事)
 チェイニー副大統領は、次に政権転覆が行われるのはイランであり、イスラエルがアメリカに代わってイランを攻撃するかもしれないと述べている。これには「アメリカの犬」と言われたイギリスの外相でさえ「イランに対する軍事攻撃は考えられない」と述べている。しかし、イラクの前例から考えると、今後アメリカが単独でイランに侵攻する可能性もある。
 しかしアメリカがイランに侵攻したら、イラクのようなゲリラ戦の泥沼をもう一つ抱えることになり、自滅的な結果に陥ることは目に見えている。私はこれまで何回か、ブッシュ政権は自国を自滅させたがっているように見えると書いてきたが、ここでもその傾向が見てとれる。
---実は悪くなかった「悪の枢軸」 2005年1月25日  田中 宇より

A・Q・カーン博士略歴

2月4日、パキスタンの核開発の父と呼ばれるA・Q・カーン博士が、テレビにでて、「報告されている核拡散に関連した活動の多くが実際に起きた」と認め、それは、自分の要請で起きたことだと述べました。

自分の行動は、「よかれと思ってやったことだが、誤っていた」とし、「この件で役割を引き受けてくれた私の部下は、私と同じく、よかれと思って、私の支持に従い行動していた」と説明しました。また、「これらの活動について、いかなる政府の高官も、許可を与えたということは決してないということをはっきりさせておきたい」とも述べています。彼の経歴を簡単にまとめておきます。
出典:スティーブ・ワイスマン/ハーバート・クロスニー共著『イスラムの核爆弾』(日本経済新聞社1981年刊) グローバル・セキュリティーのページ

1936年ボパール(当時英領インド)で生まれる。 1960年代初めドイツの技術系大学に留学 1963−67年オランダのデルフト工科大学で冶金学専攻 1972年ベルギーのルーベンにあるカトリック大学で博士号取得
 オランダ、アムステルダムのFDO社(特殊エンジニアリング)に就職
(デルフト時代の同級生が冶金部門の責任者)
 FDOは、ベレニグデ・メタルファブリケン・ワークスプールの子会社で、英独仏のウラン濃縮合弁会社ウレンコに主要機器を納入 1972年5月8〜9日ウレンコ社アルメロ工場に初めて訪問
その後、ウレンコ社の分離機用特殊冶金開発に関わる
その過程で関連文書の翻訳に従事。設計図や納入会社の情報も得る。 1974年インド第一回核実験
 スパイ活動に入る? 1975年 8月パキスタンがウラン濃縮計画に乗りだした徴候
(ブリュッセルのパキスタン大使館が高周波変換器についてオランダの会社に問い合わせ) 1975年10月経済省が、カーンを分離器関係以外の部門に移すようFDO社に要請 12月15日妻ヘニー(南ア出身)、娘二人とともに旅に。 1976年3月1日FDO社を公式に辞職  7月31日ラワルピンジーで工学研究所設立(ERL:ウラン濃縮技術確立が目的:その後小型ウラン濃縮プラントをイスラマバード東南数キロのシハラに、大型実用プラントをシハラ近くの小村カフタに作る。) 1981年5月1日 ERL、A・Q・カーン博士研究所(KRL)と名称変更 1998年5月パキスタン、インドの核実験に対応する形で核実験(ウラン爆縮型) 2001年3月米国の圧力で出されたムシャラフ大統領の命令で退職
参考: *ISISのデイビッド・オルブライトが入手したKRLのビラ(ブリティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ誌(2003年3/4月号に掲載)

ウラン濃縮計画から生まれた機器類の販売用:ビラにでている機器類の中には、多くの国では機微な技術と見られ厳しい輸出規制の対象となるものが少なくないとオルブライトは言う。
----:原水禁HPより

カーン博士
【私的めもらんだむ】
田中宇氏は大手メディアとは逆の見解になっているが、世界中の情報をつぶさに調べ、かつ分析しての彼の見解はいつもながら見事だと思う。たとえそれが結果的に予想とは違った展開になったとしても、私は彼の真実を知ろうとする真摯な姿勢に信頼感を覚える。イランの核疑惑にしても、私はうっかり大手メディアの報道を鵜呑みにするところだった。大手メディアが御用メディアとなって権力に傾斜する危険のことを、我々一人々が考えなくてはならないのではないか。


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