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イランがミサイル発射実験 国際社会の反発必至

 【テヘラン20日共同】イランのシャムハニ国防軍需相は20日、中距離弾道ミサイル「シャハブ3」の発射実験を同日、行ったことを明らかにした。イラン学生通信などが伝えた。ロイター通信によると、今回のミサイルは命中精度の改良を行ったという。
 イスラエル全域のほか、南東欧諸国の一部を射程におさめるとされている。同ミサイルの新たな発射実験により、核開発とともに、核兵器の運搬手段となり得るミサイル開発に懸念を強める欧州など国際社会のイランへの反発が高まりそうだ。
 国防軍需相は「オブザーバー出席の下、実験に成功した」と強調した。
イラン核開発動向 2004/10/9-10/20

イラン
イラン大統領
Mohammad Khatami
イランのテヘランで行われた軍事パレードで見られる中距離弾道ミサイル「Shahab-3」
イスラエルの高等戦略
2002年9月30日  田中 宇

 軍事部品をイスラエルから送り出したイスラエル企業PADの、アビハイ・ウエインスタイン(Avihai Weinstein)という経営者が、以前にも似たような事件で逮捕されながら、イスラエル当局の手によって不起訴処分になっていた。 ウエインスタインは32歳で、1996−97年装甲車用のエンジンなどをイランに輸出しようとしたとしてイスラエル当局によって2000年に逮捕されている。このときは、ウエインスタインの親戚であるエリ・コーヘン(Eli Cohen)という人物も一緒に逮捕されているが、コーヘンは1992年にも、アメリカ製のホーク型ミサイルをイランに密輸しようとした容疑で、アメリカ当局に逮捕された経験を持つ。

 スラエルの核兵器開発などについて1991年に書いた本「サムソン・オプション」(セイモア・ハーシュ著)によると、イスラエル情報機関のアリ・ベンメナシェ(Ari Ben-Menashe)と、ロンドンの新聞デイリー・ミラー紙のニコラス・デービスという人物が、イスラエル政府承認のもとに、イランに武器を偽装輸出する会社「オラ・リミテッド」を設立し、当時のイランのラフサンジャニ国会議長との間で4000基のミサイルを売却する計画などを進めたという。(同書日本語版368ページ、文藝春秋刊)
 イスラエルは、イランとかつて友好関係にあった。イスラエルとイランでアラブを挟み撃ちする、という戦略のもと、イスラエルはイランと軍事的な同盟国だった。
 ところが1979年にイスラム革命が起こり、イランは反イスラエル・反アメリカのイスラム原理主義国になってしまった。スラエルにとって、イランはアラブ諸国と反目し続けている点で、地政学的に「使える国」であることは変わりなかった。間もなくイラン・イラク戦争が起き、イスラエルはこの戦争を長引かせるために、イランに武器をこっそり供給する、まさに「敵に塩を送る」プロジェクトを開始した。
 イランの武器は、大半がイスラム革命前の親米政権時代に、アメリカから輸入したものだった。イスラム革命でイランは反米の国となり、アメリカからの修理部品が輸入できなくなった。イラクとの戦争が長引くと、この点がイランの弱点となったため、イスラエルがアメリカ製の軍事部品をイランに密輸する関係が始まった。イランとイスラエルは、表向きは仇敵どおしで、両国とも政府の公式レベルでは、相手方と武器の売り買いをやっていることなど決して認めない。だが、裏の関係はその反対だった。
 この枠組みの中で、1986年に「イラン・コントラ事件」が起きている。この事件は、アメリカのレーガン政権が、武器輸出の禁止対象だったイランに武器を売る一方、その代金をニカラグアの反共ゲリラ「コントラ」を訓練する秘密資金として使っていたことが暴露されたもので、アメリカからイランに流れた武器の一部はイスラエルを経由していたことが分かっている。
 「サムソン・オプション」によると、イスラエル人の武器商人は、アメリカ製の武器だけでなく、冷戦時代のソ連から武器を買ってイランに売るビジネスも展開していた(同書357ページ)。
 イスラエルの戦略は、イランとイラクを戦わせ、ペルシャ湾岸を支配できる強い国を作らせないというアメリカの「均衡戦略」とも合致していた。

 8月末イスラエルからイランに軍事部品が密輸されようとしたのは、時期的な理由がありそうだ。アメリカのイラク攻撃との関係である。アメリカ政府のイスラエル系高官(ネオコン)が以前から支援していたイラクの反体制組織「イラク国民会議は、米軍がイラク攻撃を開始したら、イランを通って北イラクに脇から軍事侵攻し、北イラクに「新政府」の拠点を作り、そこから米空軍の支援を受けつつバクダッドに進撃する計画を立て、すでにイラン側の承認を取り付けたという。
 このことから、イラク反体制の兵力がイランを通行させてもらうために、もしくはイランの装甲車を使ってイラク反体制の兵力がイラク北部に入る作戦を実行するために、イランが必要としている軍事部品が密輸されようとしたのではないか、と思える。

イスラエル
北朝鮮ミサイル船拿捕とイラク攻撃
2002年12月17日  田中 宇
北朝鮮は世界有数のミサイル輸出国

 北朝鮮はイエメンのほか、イラン、エジプト、パキスタンにミサイルを売ったことがあるが、イラクには売っていない北朝鮮はイラン・イラク戦争の際、イランに武器を売り続けたため、イラクから嫌われている、というのがその理由だとされている。 北朝鮮は現在、世界有数のミサイル輸出国だが、もともと北朝鮮がスカッドミサイルの開発能力を取得したのは、1970年代にエジプトから技術供与を受けたからだったが、エジプトは自国ではミサイルを作れず、北朝鮮から完成品を買っている。北朝鮮はこのほか、パキスタンにミサイル開発技術を提供する代わりに、パキスタンが中国から受け取った核兵器の開発技術を北朝鮮に供与するという、技術の交換も過去に行っている。

北朝鮮


【視聴予定】
19時
30-00 クローズアップ現代 巨大クラゲ大量発生のなぞ NHK総合テレビ
この2年連続で大発生したエチゼンクラゲが今年も日本海に現れ始めた。体長2m、重さ150キロに達する巨大クラゲは去年、定置網や底引き網を埋め尽くし巨額の漁業被害をもたらした。なぜ大発生が起きるのか?国は今年度から11の研究機関の共同プロジェクトを発足、また同様の被害に苦しむ韓国との共同研究も本格化させ、謎の解明に乗り出した。
その結果、世界で初めてエチゼンクラゲの人工発生に成功するなど、謎に包まれていたその生態が明らかになってきている。
日本やアジア各地で始まるクラゲ研究の最前線をさぐり、巨大クラゲ大発生の謎と対策にせまる。
(NO.1984)

スタジオゲスト: 上 真一さん(広島大学・教授)



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