チェイニーの飽くなき野望
イラク復興事業計画は総額1000億ドル、日本円にして約12兆円に及ぶ巨大プロジェクトだ。その始動時点でKBR(ケロッグ・ブラウン・アンド・ルート))は総額のおよそ15%もの契約をしている。これに大手総合建設会社ベクテルを加えれば、二社だけで現在契約済みの事業費殆どを独占契約したことになる。他社を寄せ付けないこの異常な独走ぶりが、米エネルギー大手「ハリバートン」元最高責任者チェイニーによるものであることは疑う余地がない。
去年2002年2月、元ガボン大使ジョセフ・ウィルソンは、ブッシュ演説草稿にイラクのウラン購入という捏造案を注進したのはチェイニーだと証言している。
私はチェイニー副大統領のオフィスから「イラクのウラン購入情報」を聞かされた。そこで私はニジェールで8日間、現地調査をした。その結果「そんな取り引きは有り得ない」との結論に達した。
その翌年2003年1月、ウィルソンの報告を無視するかのように「イラクがウランを購入した」捏造文がブッシュ大統領の演説に盛り込まれた。その後、ホワイトハウスはウィルソンの妻を「CIAの工作員」とリークした。今年9月29日、司法省は捜査に乗り出したが、これは前年2月のウィルソン証言に対するチェイニーの報復である、ことは容易に想像される。チェイニーは自ら捏造した「イラクによる大量破壊兵器」に関して、臆面もなく言い放つ。
脅威に対する最後の対抗手段は破壊することに尽きる。交渉する必要などまったくないのだ。
自らイラクの脅威を捏造しておきながら、その脅威を破壊するという自作自演は見事なものである。劣化ウラン弾でイラクの市街地を汚染しながら、イラク国民はもとより自国の兵士まで放射能汚染の危機にさらす為政者の筆頭チェイニー・・・彼はその血塗られた手をもって、今度はイラク復興事業という巨大戦争利権を手中にしようとしている。
【関連】米が隠すイラク戦争恐怖の兵器=9/28-29-30
|