【パリ福井聡】フランスのシラク大統領は14日テレビを通じて演説し、暴動を鎮めるため導入した緊急事態法に理解を求める一方、「困難を抱える地域の子供たちすべてに、彼らの出身がどこであろうとすべて共和国の息子であり娘だと伝えたい」と述べ、差別解消を訴えた。大統領が直接テレビで国民に訴えかけたのは、先月末の暴動発生以来初めて。
大統領は「暴徒は自分たちの隣近所で車や学校やスポーツセンターに火を付け、深刻な不快感を与えた」と反省を求め、改めて法秩序回復に向けて全力を尽くす姿勢を強調。一方で今回の暴動を「フランスのアイデンティティーにかかわる危機」と呼び、移民社会が直面する差別という「毒」と闘うことを誓った。
演説は同日、フランス政府が暴動で導入した緊急事態法の3カ月延長を閣議決定したことを受けて行われた。ドビルパン首相は15日から各党党首との会談に入るが、最大野党の社会党は「延長反対」を表明している。
これまでシラク大統領は、暴動への対処で前面に出ず、指導力の弱体化が指摘されていた。
(毎日新聞) |