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【トピック】
「大流行は時間の問題」 鳥インフルエンザでWHO幹部

 鳥インフルエンザ対策を協議する専門家の国際会議が7日、ジュネーブの世界保健機関(WHO)本部で始まった。李鍾郁(イ・ジョンウク)WHO事務局長は演説で「鳥インフルエンザが人から人へ感染する力を得て大流行するのは時間の問題。どの国も例外ではない」と述べ、世界各国へ準備と協力を呼びかけた。

 世界銀行は、鳥のウイルスの変異による新型インフルエンザが03年の新型肺炎SARSのように流行した場合、世界の国内総生産(GDP)を合わせた額の2%にあたる年間8000億ドル(約96兆円)もの経済損失が出るとの推計を示した。ロイター通信によると、世銀は、米国だけで10万〜20万人が死亡し、損失が1000億〜2000億ドル(約12兆〜24兆円に上るとする報告書を作成したという。

 会議はWHOと国連食糧農業機関(FAO)、世銀などの共催で、100カ国以上から医療機関の専門家や保健当局者ら600人以上が参加。3日間の日程で、国際的な監視や協力態勢の強化、感染対策、抗ウイルス剤の供給増加などについて話し合う予定。


▲中国の鳥インフルエンザ 湖南省の3人、感染の可能性

 新華社通信によると、中国衛生省の報道官は6日、鳥インフルエンザ(H5N1型)が発生した湖南省湘潭県で肺炎になった男女3人(うち1人は死亡)について「鳥インフルエンザに感染した可能性を排除しない」との見方を明らかにした。中国当局は10月末、「感染なし」と発表していた。

 感染の可能性が浮上したのは、12歳の少女と9歳の弟の姉弟、36歳の中学教師。肺炎とみられる症状で入院し、少女が死亡した。

【中国】鳥インフルエンザで中国農業部「偽物ワクチンに注意」

 鳥インフルエンザの発生が確認された遼寧省では5日から、発生地域となった錦州市黒山県を「封鎖」。他地域との往来を規制するほか、隣接する瀋陽(しんよう)市との間に消毒検疫所を設けるなどの措置をとっている。黒山県ではこれまでに家禽類100万羽あまりが屠(と)殺処分となった。

 遼寧省政府は今回の鳥インフルエンザ発生への対応として、財政予算から8050万元を捻出し、ワクチン確保などの費用に充てる。

 中国農業部では鳥インフルエンザが中国各地で発生し、ワクチン需要が高まっていることについて、「国内メーカーで鳥インフルエンザのワクチンの生産許可を受けているメーカーは、哈尓濱維科生物技術開発公司、広東永順生物製薬有限公司など、9社しかない」と改めて表明。「その他のメーカーの製品はすべて偽物だ」として、注意を呼びかけている。(編集担当:恩田有紀・如月隼人)
(サーチナ・中国情報局)



▲鳥インフルエンザ対策、米ロ協力 生物兵器研究所を活用

 米ロ両国がシベリアにある旧ソ連の生物兵器研究所を活用して鳥インフルエンザウイルスのデータベース作りを進めている。冷戦後に役割を失った軍事技術や人材を平和目的の研究に役立てようという試みだ。主要な渡り鳥ルートが交錯する中継地のシベリアで感染状況をいち早くつかめれば、ロシア国内だけでなく日本や欧州などでの大流行を防ぐことにもつながると期待されている。

 シベリア・ノボシビルスクにある国立ウイルス・生物工学研究所。通称ベクターと呼ばれる同研究所は冷戦時代、世界中のあらゆる病原体を収集し、生物兵器への転用やワクチン開発に当たっていたことで知られる。

 プロジェクトを指揮する米国務省のジェイソン・ラオ部長によると、同研究所の周辺からモンゴル国境にかけての養鶏場や農場数百カ所と契約し、七面鳥、ガチョウ、ニワトリ、カモ、チドリなどを対象に病死した鳥の肝臓や肺などのサンプルを昨年から収集。計約2000例を集め、研究所で病原体を培養してそのDNA情報をデータ化した。

 採取から12時間以内にウイルスの特定が可能で、今年夏には、研究所そばの農場で死んだニワトリとカモから毒性の強い「H5N1型」の鳥インフルエンザウイルスを検出。ロシア国内での最初の流行を突き止めた。

 2年間にわたる定点観測のサンプルは、毒性の強いウイルスが出現する前後のデータを含んでおり、変異の過程などを探る上で極めて重要な資料となりうるという。シベリアは欧州、アジアなどにまたがる渡り鳥ルートの中継地に当たる。ウイルスの型などを早い段階でつかむことで、鳥の渡航先での大発生を抑える「早期警戒システム」の役割も期待できる。

 旧ソ連の核解体を中心に支援する「ナン・ルーガー基金」の活動を生物兵器施設に拡大したプロジェクトで、危険な病原体の研究開発を進める国務省のバイオ産業構想(BII)の一部だ。BIIには、01年の同時多発テロ事件とその直後の炭疽(たんそ)菌事件(未解決)を受けた緊急補正予算として3000万ドル(約35億4000万円)が計上され、02会計年度から活動が始まった。米国立保健研究所(NIH)などとの合同で、新型肺炎SARSやエイズウイルス(HIV)の研究なども進めている。今後は、農場労働者らを対象にサンプル採取の訓練を強化するほか、同研究所でのワクチン製造も視野に入れている。

 BIIの責任者のラオ部長は「兵器を向き合わせていた冷戦時代の遺産から脱皮し、共通の脅威と戦うために米ロが協力する。我々は、その最初の世代だ」と話す。




▲鳥インフル薬を独自生産 タイの国営製薬会社

 【バンコク4日共同】タイの国営製薬企業GPOのモンコーン社長は4日、「鳥インフルエンザ治療薬の生産を来年1月から始める」と述べ、治療薬の独自生産に乗り出す方針を明らかにした。鳥インフルエンザにも効くスイス製薬会社ロシュの「タミフル」の成分であるリン酸オセルタミビルの原材料をインドの製薬会社から購入、来年2月までに最大100万カプセルを生産する。
 タミフルの国内価格が高騰しており、ロシュと正式合意がないまま独自生産を決めた。保健省当局者は「タミフルはタイ国内で特許登録されておらず(特許侵害などの)問題はない」としている。


○昨夜のクローズアップ現代では「闇ワクチン」をテーマにしていた。今年6月に茨城で確認された弱毒性H5N2型が、1983年にペンシルベニアで猛威をふるったものと同種と分かった。弱毒性が感染を繰り返すうちに強毒性となるのだ。
茨城で鳥インフルエンザ H5N2型の弱毒性

 農水省は6月26日、茨城県水海道市の採卵鶏農場、(有)アレバメントカントウで弱毒性の鳥インフルエンザが発生したことを確認した。ウイルスはH5N2型で、昨年1〜3月に山口などで発生した強毒性タイプとは異なる。周辺10農場への立ち入り検査でも、2次感染は見つかっていない。

 発生農場では2万5,000羽を飼養しており、4月からこれまでに804羽が死亡した。飼養鶏はすべて殺処分される。発生農場から半径5キロ以内は清浄性が確認されるまで移動制限がかけられる。

 H5N2型のために作られた闇ワクチンは未熟な製造プロセスでH5N2型ウィルスが生き残り、闇ルートで日本に運ばれての感染だと思われている。ワクチンは特殊な薬品を混入してウィルスを死滅させ、その殻だけを取り出してワクチンとして用いる。その殻を体内に注入すると新たなウィルスを消滅させる抗体となる。薬品が不十分だとウィルスが生き残るというわけだ。これら闇ワクチンで増殖したH5N2型は感染を繰り返すうちに強毒性となり、やがては数十種類の変異したウィルスとなる可能性があるという。そうなればワクチンの製造も間に合わなくなる。
 今回、中国で騒がれている闇ワクチンが強毒性H5N1型ウィルスのものであることを考えれば、弱毒性H5N2型ウィルスの強毒化と共にそれこそタミフルも役に立たない、ワクチン製造の壊滅的な打撃となるはずだ。



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