★仏暴動で初の死者 車への放火、一晩で最多の1400台
フランス全土を巻き込む若者たちの暴動は、11日目となった6日夜から7日朝にかけても収まらず、車への放火で過去最多の1408台が燃やされた。また、4日夜に暴徒に殴られ意識不明となっていた男性が死亡した。一連の暴動で死者が出たのは初めて。国民議会(下院)は8日に本会議を緊急招集し、政府の対応を審議する。
AFP通信によると、7日死亡したのはパリ北郊セーヌサンドニ県のスタンに住む男性(61)。4日夜、自宅近くで車への放火などを警戒していたところを、ずきんで顔を隠した暴徒に殴られた。サルコジ内相は7日、男性の妻に犯人追及を約束した。
内務省によると、6〜7日の車への放火は、パリ周辺で前夜より23%減ったのに対し、それ以外の地方では33%増えた。全体に占める割合も地方が70%と、一連の暴動で初めてパリ周辺を上回った。南部のマルセイユやトゥールーズ、サンテティエンヌ、北部リールなどでの被害が目立つ。
被害が出た自治体は前夜より3割増の274。警察官の負傷者も36人と最悪だった。市役所や学校、郵便局など「公」の性格を持つ施設が標的とされている。
パリ南方エソンヌ県のグリニーでは、警官隊への襲撃に散弾銃が使われるなど、暴徒の凶悪化も目立つ。警察は395人を逮捕した。
シラク大統領やドビルパン首相は警察力の強化を表明したが、テレビの映像を見た地方の若者が次々と騒乱に加わり、治安当局は有効な手立てを欠いた状態だ。
フランスの経団連にあたる仏企業運動(MEDEF)のパリゾー会長は7日、仏ラジオに「事態は極めて深刻だ。国内経済、特に飲食・観光業界への影響は重大。何より優先すべきは公共秩序の回復で、順番を誤ってはいけない」と述べた。
(Asahi.com) |
▲パリ郊外で若者が暴動 失業や警察に不満
移民が多いパリ郊外のセーヌサンドニ県などで、1日深夜から2日未明にかけて若者が暴れ、60台以上の車が燃やされる騒ぎとなった。失業や貧困とともに日頃の警察活動への不満が背景にあり、サルコジ内相への風当たりも強まっている。
暴動のきっかけは10月27日、同県クリシーで警察に追われていると思い込んだアフリカ系少年3人が変電所に逃げ込み、2人が感電死した事件だ。以来、現地では警察と若者集団の衝突が続き、31日から1日にかけても約70台の車が放火された。
クリシーでの暴動を受け、サルコジ内相は2少年の遺族との面会を試みたが拒まれた。このためドビルパン首相が1日夜に遺族を首相府に招き、内相が同席する形となった。首相は「2人が感電死した状況をすべて明らかにする」と約束、警察と住民の対話を深めるよう内相に指示した。
サルコジ氏は大都市周辺の暴力を追放する「郊外の大掃除」に意欲的。今回の暴動でもテレビに緊急出演し、警察活動を擁護した。「街のゴロツキは容赦しない。これまで以上の決意で取り締まる」とも語り、遺族の感情を逆なでした。
事件が起きるたびに現場に飛び、警察関係者を激励して回るのがサルコジ流。身の回りの犯罪に不安を持つ国民にこのスタイルが支持され、同氏を07年大統領選の有力候補に押し上げたが、今回は持ち前の強硬姿勢が裏目に出た形だ。
しかも大統領候補を争うドビルパン首相に主役を譲り、面目を失った。サルコジ氏周辺は、一連の出来事が大衆人気に影響しないか懸念している。
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ニコラス・サルコジ内相
Nicolas Sarkozy |
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