★市民500人の遺体、ウズベキスタンの学校に
【モスクワ=五十嵐弘一】AP通信は15日、反政府暴動が起きたウズベキスタン東部アンジジャンの医師の話として、州庁舎を占拠した武装集団をウズベク軍部隊が鎮圧する際に死亡した市民約500人の遺体が、市内の学校に収容されていると報じた。
インターファクス通信によると、アンジジャンは軍・治安部隊が制圧、厳戒体制を敷いている。今後の焦点は、カリモフ政権が反政府蜂起(ほうき)の火種を局限させ、他地域への波及を封じ込められるかどうかに移った。
AP通信は、武装した集団が15日、東部テフェクトシュでウズベク治安部隊と交戦、兵士数人を殺害し、キルギス側へ越境したと報道。また、インターファクス通信は同日、人権団体の情報として、アンジジャンと同じフェルガナ盆地の別の市で反政府集会開催の動きがあったと伝えた。
タス通信によると、キルギスとの国境に位置し、暴動が発生したと伝えられたカラスウでは14日夜、ウズベク軍部隊が町を包囲したことから、町の中心部で住民集会に参加していた3000〜5000人の人々は解散した。
ただ、カラスウの国境検問所付近には15日も、キルギス側への越境を求める約4000人前後が残ったと伝えられる。14日までに約600人が越境したキルギス側のスザクには15日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)など国際機関の担当官が入った。
一方、ロシアのラブロフ外相は訪問先のウィーンで14日、タス通信に対し、ロシアの得ている情報として、アンジジャンでの武装集団に、アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンが参加していたと述べた。
(読売新聞)
★ウズベク 暴動死者500人以上 キルギスに600人越境
【モスクワ=内藤泰朗】中央アジア・ウズベキスタンの東部アンディジャンで起きた大規模な反政府活動で、AP通信などは十五日、民間人を含む死者が約五百人に上るとする地元医師らの証言を伝えた。
隣国キルギスに流入した難民はすでに六百人を超えたほか、十五日には、ウズベクの軍兵士を武装グループが殺害してキルギス側に越境したケースが伝えられるなど、混乱は周辺に広がっている。
アンディジャンでの暴動を軍の出動で鎮圧したことについて、同国のカリモフ大統領は「軍は暴動を制圧しなくてはならなかった」と武力行使を正当化した。真相調査のため、ストロー英外相は十五日、国際監視団の受け入れを同大統領に要求した。
証言によると、アンディジャンの小学校には五百人前後の遺体が並べられ、市内では遺体埋葬の準備が進んでいる。路上には未収容の遺体が多数放置されており、死者の増加は確実。負傷者は二千人に達するとも見込まれる。反政府デモはアンディジャン近郊のカラスウでも十四日、四千人規模で発生した。
カリモフ大統領は十四日、反政府活動の背後に中央アジアでのイスラム統一国家建設を目指す原理主義組織「ヒズブ・タハリール」(解放党)が介在すると非難した。同組織の新たな下部組織「アクラミヤ」が関与したとの見方もある。これらの組織について、アフガニスタンのイスラム原理主義組織「タリバン」との関係を指摘する分析も出ている。
一方、アンディジャン近郊の町テフェクトシで十五日早朝、武装した男たちが軍の兵士八人を殺害してキルギス側へと逃げ込んだ。
キルギス南部の難民キャンプに到着したウズベクの難民は約六百人。キルギス政府が閉鎖していたウズベクとの国境を十五日から五日間、再開を表明したことで難民の増加が見込まれる。
(産経新聞)
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