★きょうから法王選出会議「コンクラーベ」 「カリスマ後継」混沌
「高齢」条件/「改革」の声/南米から当選も
【パリ=山口昌子】ヨハネ・パウロ二世の死去に伴う次期ローマ法王の選出会議(コンクラーベ)が十八日、バチカンのシスティーナ礼拝堂で始まる。世界中から集まる八十歳未満の枢機卿百十五人が外部から遮断された状態で選出に当たるが、政治的影響力も備えたカリスマ性と世界的人望があった前法王だけに後任選びは容易ではない。
世界で選挙権のある八十歳未満の枢機卿は百十七人だが、うち二人は病気で欠席するので百十五人。三分の二以上を獲得したものが当選する仕組みとなっている。
最有力候補はドイツ人のラッツィンガー枢機卿(78)。前法王の側近で法王庁の教理省長官。前法王同様に教義に忠実で人工中絶などに反対の「保守派」。すでに五十票の票集めをしたとのうわさも流れている。
関係者の間で後継者の第一条件としてひそかにあげられているのが、高齢という点。前法王の在職が二十七年と長期間だったため後任は短期間が好ましい。在職期間が長期になりそうな若い枢機卿より高齢者というわけだ。この条件に加え、「空飛ぶ聖座」といわれ、多忙だった前法王の後には「休憩」を欲している法王庁関係者も多い。ラッツィンガー枢機卿はこの条件にも当てはまる。
高齢者としてはフランス人でパリのノートルダム大寺院の前大司教のリュスティジェール枢機卿(78)もいる。温厚な人柄で人望もあり、ロンドンのブックメーカー(賭け屋)ではラッツィンガー枢機卿と並んで最有力候補だ。
「今度は(伝統どおり)イタリア人」との期待がかかるイタリア勢は二十人。前法王時代、「ナンバー2」と言われた「保守派」のソダーノ法王庁国務長官(77)やルイーニ・ローマ司教総代理(74)、バティスタ=レ・バチカン司教省長官(71)などがこれらの条件を備えている。
一方で前法王の批判につながるため生前は影を潜めていた「時代に即した改革を実施すべし」との声も若手の枢機卿からは高まっている。イタリア勢には「穏健改革派」として最有力候補のミラノのテッタマンツィ大司教(71)に加え「リベラル派」のベネチアのスコラ大司教(64)らもいる。
しかし、七八年のコンクラーベでは二人のイタリア人枢機卿が最後まで争った結果、ポーランド人の前法王が選出された経緯があるだけに必ずしも有利ではない。
カトリック教徒が最多の南米から選出される可能性もある。ブラジル人でサンパウロのフンメス大司教(70)らの名前があがっている。
(産経新聞)
★次期法王選出「コンクラーベ」へ枢機卿全員が集団生活
【ローマ=藤原善晴】ローマ法王ヨハネ・パウロ2世死去に伴う次期法王選出会議「コンクラーベ」が18日から始まるのを前に、会議に参加する枢機卿115人が17日、バチカン市国内の宿舎「サンタマルタ館」に入った。
館内では全員が一堂に会しての夕食会も行われ、いよいよ外界と隔絶され、法王選びに精神を集中させる集団生活が始まった。
これに先立ち、枢機卿の一部はローマ市内の教会に分散してミサと説教を行った。地元メディアや一般市民は有力候補の下馬評に熱中しているが、各枢機卿は「コンクラーベは政治的行事ではなく信仰の行事」、「神と聖霊の導きで決める」などと語るにとどまった。
18日以降、次期法王が決まるまで枢機卿たちはサンタマルタ館と、コンクラーベ会場のシスティナ礼拝堂との間の行き来を繰り返す。
(読売新聞)
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リュスティジェール
枢機卿(78)
Jean-Marie Lustige |
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ルイーニ
ローマ司教総代理74
Camillo Ruini |
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スコラ
ベネチア大司教64
Angelo Scola |
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フンメス
サンパウロ大司教70
Claudio Hummes |
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