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【トピック】
<横須賀基地>米第7艦隊 兵士244人が薬物陽性反応

 3日付の米軍の準機関紙「星条旗」は、在日米軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に旗艦を置く第七艦隊で抜き打ちの尿検査をした結果、薬物陽性反応を示した兵士が過去3年間で244人に上ったと報じた。空母キティホークなど主要艦船で大麻など薬物汚染が広がっている実態が明らかになった。
 同紙によると、陽性を示したのは
▽02年度111人
▽03年度82人
▽04年度51人で計244人。
「05年度は44人」との当局の見通しも伝えた。若い兵士が多く、大麻が最多でMDMA(合成麻薬)も増えている。
 同基地によると、昨夏ごろから摘発され、除隊処分などになったのは
▽ミサイル巡洋艦「ビンセンス」の18人
▽同「チャンセラーズビル」19人
▽「キティホーク」14人。
兵士以外でも、同基地の中学校の米人教師が2月、自宅で大麻栽培をしたとして逮捕されている。
 薬物の入手先は米軍郵便を悪用した米本土と東京・六本木など日本国内の2ルート。基地関係者は「週末に都内で遊んで薬物を使用、週明けに検査で発覚する例が増えている。抜き打ち検査を強化したい」と説明する。
 同県内の基地を抱える自治体協議会は2日「薬物汚染防止教育の徹底」を米軍当局に口頭で申し入れた。【網谷利一郎】
(毎日新聞)

「ブッシュ・テープ」暴露 麻薬醜聞などでやりとり

 【ワシントン20日共同】ブッシュ米大統領が2000年大統領選に初出馬するに際し、キリスト教右派との関係や自分の麻薬絡みの醜聞への対応をめぐり、関係者と交わしたやりとりの録音テープの内容が20日、暴露され、大統領の微妙な側面が明らかになった。今後、政治問題化する可能性もある。
 父親のブッシュ元大統領の側近だった人物が、当時テキサス州知事だった大統領とのやりとりをこっそり録音していた。ニューヨーク・タイムズ紙やABCテレビが20日にその内容を報じた。
 それによると、ブッシュ氏は、側近らが選挙での支持基盤となったキリスト教右派指導者らとの会合を設定した際、一般の有権者に疎まれるのを警戒し、選挙参謀のカール・ローブ氏に「いったい何のためなんだ」と不満をこぼしたという。
(共同通信) - 2月21日

「北、国家ぐるみで麻薬密輸」米国務省、報告書で指摘

 【ワシントン=樫山幸夫】米国務省は四日、二〇〇四年の「国際麻薬取り締まり戦略報告」を取りまとめた。北朝鮮については今回も、公務員による麻薬密輸関与に言及しており、「政府ぐるみ」で組織的な密輸を行っている可能性が強いと指摘している。
 報告は北朝鮮について、〇四年六月エジプト駐在の外交官二人が精神安定剤類似薬品の密輸で摘発されて国外追放になった事件、十二月ブルガリア駐在の外交官二人がトルコ国内で、覚醒(かくせい)剤の一種を密輸しようとして当局に逮捕された事件に言及し、こうした北朝鮮政府職員による犯罪には、軍用船などが使用されるケースが多いことを指摘。「確実とはいえないが、外貨獲得のために政府の指示に基づいている可能性が強い」との見方を示した。
 報告はこのほか、ヘロインの世界最大供給国、アフガニスタンの状況に強い懸念を示している。政治状況が安定してきているにもかかわらず、昨年のアフガニスタン全土でのケシの栽培は二十万六千七百ヘクタールにのぼり、一昨年の六万千ヘクタールから大幅に増加した。これによって、ヘロインの原料となるアヘンの生産は前年より二千トン以上も増えて、四千九百五十トンにのぼった。第二位の生産国ミャンマーの二百九十トンの十七倍にものぼる。
 アフガニスタン経済の40−60%が麻薬密輸に依存している結果になっているといい、報告は「世界の安定にとって計り知れない脅威になっている」と指摘している。
(産経新聞)

★アフガンのケシ畑3倍、北朝鮮は政府関与…米麻薬報告

 【ワシントン=菱沼隆雄】米国務省は4日、2004年の国際的な麻薬取引やマネーロンダリング(資金洗浄)の実態に関する年次報告「国際麻薬統制戦略報告」を公表した。
 報告は、北朝鮮について、北朝鮮外交官がエジプトやトルコで麻薬密輸に絡んで摘発された事件に触れ、昨年の報告に続き、「不正行為に北朝鮮政府が関与していると見られる」と指摘した。
 昨年10月の史上初の大統領選を経て、民主国家としての再建を目指すアフガニスタンについて、国家経済の40%から60%を麻薬に頼り、ケシ畑も前年の約6万1000ヘクタールから約20万6700ヘクタールと約3倍に増えたと指摘。「アフガンは麻薬国家のふちに立たされている。世界の安定にも大きな脅威になっている」と強い懸念を表明した。
(読売新聞)

★北朝鮮に新包囲網検討 米、資金源封じ込め狙う

 【ブリュッセル21日共同】米政府が、北朝鮮による香港やマカオなどでのマネーロンダリング(資金洗浄)を阻止するため、中国や韓国、台湾などと連携した新たな包囲網の形成を検討していることが21日、分かった。米政府高官や6カ国協議関係筋が明らかにした。北朝鮮の核保有公式宣言を受け、これまでの麻薬取引や通貨偽造の摘発に加え、北朝鮮の資金源を封じ込めるのが狙い。
 ブッシュ政権は当面、6カ国協議再開を最優先し、19日から訪朝している中国の王家瑞・共産党対外連絡部長の調停の行方を注視する構えだが、中国の調停が不調に終わった場合、新包囲網により、中国も巻き込みながら圧力を強める可能性がある。
(共同通信) - 2月21日

★<米麻薬報告書>アフガニスタンは「麻薬国」寸前と警告

 米国務省は4日、世界各国の麻薬生産・取引に関する05年版の報告書を発表、世界一の麻薬生産地に戻ったアフガニスタンは増産の勢いが止まらず「麻薬国」になり果てる寸前だと警告した。北朝鮮については昨年同様、外貨稼ぎのために国策としてケシ栽培や麻薬類の取引を行っている疑いが濃厚だと指摘した。
(毎日新聞)

★2016年12月29日(木)13:30に、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成13年法律第137号)第3条第2項第2号に基づき送信防止措置を講じました。


★資金洗浄摘発が過去最多 暴力団関連が6割占める

 昨年1年間に組織犯罪処罰法麻薬特例法に基づくマネーロンダリング(資金洗浄)事件の摘発が計70件で過去最多だったことが24日、警察庁が初めてまとめた「組織犯罪の情勢」でわかった。
 犯罪収益の仮装・隠匿が計55件、犯罪収益の収受が15件。このうち暴力団関連は43件で6割に上り、貸金業法違反と出資法違反というヤミ金融関連が21件を占めた。
 約94億円の資金洗浄が判明した五菱会ヤミ金融事件では、犯罪収益で割引金融債を購入し、再び現金化し海外銀行に入金させた。警察庁は「ヤミ金融が暴力団の重要な資金源になっている」と分析している。

★密輸:大麻4キロ持ち込みの容疑者逮捕−−東京税関成田支署など /千葉

 東京税関成田支署と県警薬物銃器対策課などは22日、大麻約4キロ(末端価格約1600万円相当)を密輸しようとしたとして、神奈川県厚木市旭町5、電気工事業、竹村俊秀容疑者(32)を関税法と麻薬取締法違反(密輸)容疑で逮捕したと発表した。
 調べでは、竹村容疑者は今月3日、パリから成田空港に到着した際、4袋に小分けした乾燥大麻を、キャリーバッグの二重底部分に隠して持ち込もうとした疑い。バッグの中にはせっけんや芳香剤を消臭剤として入れていた。昨年、国内で中古パソコンを売った外国人の男から「密輸を手伝ったら報酬50万円を出すと持ち掛けられた」と供述しているという。【内藤絵美】
2月23日朝刊
(毎日新聞)
【過去ログ関連】04/07/09 旧五菱会系ヤミ金の不正送金さらに43億、4人再逮捕

★警視庁薬物事件 公安部巡査部長も大麻購入

 警視庁白バイ隊員の巡査長、今給黎修被告(31)の薬物事件で、警視庁公安部の福家豊巡査部長(31)=東京都町田市三輪緑山=が同被告から大麻を購入していたことが新たに分かり、警視庁は二十二日、麻薬特例法違反容疑で福家巡査部長を書類送検するとともに、同被告を追送検し、この二人を懲戒免職にした。監督責任を怠ったとして警視(57)ら四人を警視総監訓戒などの処分にした。
 調べでは、福家巡査部長は今年一月上旬、東京都渋谷区恵比寿西の飲食店で、同被告から大麻樹脂(約十グラム)を三万円で買った疑い。福家巡査部長は平成十四年三月から極左過激派の捜査を担当する公安一課に所属。調べには、「十五年末に警察学校の同期だった同被告に勧められて初めて吸った。過去数回使用しており今回買った大麻も一月中に自宅ですべて吸引した」と使用も認めている。
 逮捕が見送られた理由について、警視庁では「本人の供述のみで、尿検査や押収物で裏付けできなかった。警察官だからあえて立件した」などと説明している。
(産経新聞)




麻薬戦争からテロ戦争へ
2002年11月5日  田中 宇

 アメリカ軍が、麻薬取り締まりの「戦争」から撤退し始めている。10月20日のロサンゼルス・タイムスによると、米国防総省は、昨年の911事件以来の「テロ戦争」に注力するため、これまで毎年10億ドルずつ予算をかけてきた麻薬取り締まり作戦を縮小し始めている。(関連記事)

 米軍は1988年から、コロンビアやメキシコといった、アメリカ合衆国に向けたコカインの密輸拠点になっている中南米諸国などに進出し、麻薬組織と戦い、地元の捜査当局に対して訓練をほどこすという作戦を展開してきた。米国では、毎年総額190億ドル(2兆円強)の麻薬取り締まり用の予算が計上されてきた。国防総省が使っていた10億ドルという額は、沿岸警備隊や出入国管理当局など、他の政府組織に割り当てられた麻薬対策予算よりも多く、軍はアメリカの「麻薬戦争」の中心的な役割を担ってきた。

「麻薬戦争」は、冷戦終結とともに始まった。麻薬問題は1989年ごろからアメリカのマスコミなどで深刻な問題として取り上げられるようになった。1988年にブッシュ(父)が大統領に当選したころの世論調査では、麻薬問題に関心がある人は米国民の3%しかいなかった。だがその後、ブッシュ(父)政権が重要な政策課題のひとつとして麻薬問題を取り上げ、「麻薬戦争」(War on Drugs)という名前をつけてマスコミにどんどん報道させた結果、米国民の40%が麻薬問題に関心を持つまでになった。

▼軍の「失業対策」としての麻薬戦争

 こうした宣伝戦略の裏には、冷戦終結によって軍事力を必要とする場が激減し「失業」状態に陥る可能性が増してきていた米軍に、次の「仕事」を与えるという政治的な目的もあったと思われる。(関連記事)

 アメリカには第二次大戦以来、軍事産業と国防総省、それから軍事産業からの政治献金を受けて当選した政治家などによって構成される「産軍複合体」(軍産複合体)と呼ばれる巨大な利権集団が存在しており、彼らは政治力だけでなく、経済的にもアメリカを支える役割を果たすようになった。アメリカの大統領には、米軍の「仕事」を拡大させるよう、常に圧力がかかっている。この圧力に対応して発動された作戦のひとつが、麻薬取り締まりのためにコロンビアなどで米軍が軍事作戦を行うなどという「麻薬戦争」だった。

(このほか、冷戦後にアメリカの政権が発動した米軍の「失業対策事業」としては、ボスニアやソマリアなどで展開された「平和維持活動」がある)

 麻薬戦争が、米軍の「失業対策」だったという見方は、広く認識されているものではない。だが、失業対策だったと考えると、今の時期に米国防総省が麻薬戦争から足を洗うと言い出すことが、自然なことだと分かる。昨年の911事件以来、米軍は「テロ戦争」という新しい巨大な「事業」を与えられており、アメリカの国防予算は急増した。もはや中南米の蒸し暑い山間部で、ゲリラとの苦しく長い戦争を続ける必要など、ないといえる。

 ここ10年ほど、米国内におけるコカインの末端価格の相場はほとんど変動していない。米軍が麻薬戦争に勝利をおさめているとしたら、コカインの供給不足が起こり、末端価格が上がるはずだ。そうなっていないということは、米軍は麻薬戦争に勝っていないことになる。米軍の当局者も、それを認めている。失業対策だったからこそ「道路を掘り返してまた埋める」的なものの方が望ましく、短期間に勝利をおさめない方がよかったのかもしれない。(関連記事)

▼米当局と麻薬の深い歴史

 アメリカの当局と麻薬との関係は、もっと深く、もっと以前から存在してきた。

 冷戦初期の1950年代には、CIAが台湾(中華民国)当局と協力し、ミャンマーとタイの国境地帯に広がる「ゴールデントライアングル」で、中国共産党を倒すための「秘密の戦争」の一環として麻薬栽培を行い、それによって得た資金を「チャイナ・ロビー」と呼ばれた米国内の台湾系政治団体を通じて政治献金として米政界に流し込み、それをテコに、米国内の役所や大学などから、冷戦の拡大に反対する人々に「共産主義者」のレッテルを貼って追い出す「マッカーシー旋風(赤狩り)」を加速させた

 第二次大戦で日本が敗れた後、中国大陸では4年間にわたって共産党軍と国民党軍が「国共内戦」を展開し、共産党が勝って中華人民共和国を創設したが、この国共内戦の末期、国民党勢力の中心は中国南西部の雲南省にあった。その多くは内戦終結の直前、米軍の輸送機などで台湾に移動したが、一部は雲南省から西隣のビルマ(今のミャンマー)のシャン州の山岳地帯に逃げた。彼らは、1950年に朝鮮戦争が勃発した後、米軍顧問団の指示に従って雲南省を攻撃したが、中共軍に撃退された。

 シャン州に残った国民党軍には、もう一つの任務があり、それが麻薬の栽培だった。国民党は、日本と戦っていた第二次大戦中にも、雲南省に退却して抗戦していた。当時、英米の支援を受けていた国民党は、イギリスの植民地だったビルマに出入りし、麻薬を栽培して軍資金を作っていた。国民党は、この麻薬栽培を戦後も続け、拡大していった

 戦後、ビルマは1948年に独立したが、1962年までシャン州を含む各地の少数民族などの抵抗運動が続き、統一した状態ではなかった。ビルマ政府は、国民党軍がシャン州に居座ることに抗議し、国連で問題にしたが、内戦中だったので軍を派遣して追い出すことができなかった。

 当時のビルマ政府が国連に報告したところによると、シャン州の国民党軍は、アメリカの支援を受けていた。米軍は1951年にシャン州のモンサットという町にある飛行場を整備し、国民党の本拠地がある台北と、ビルマの隣の親米国であるタイのバンコクから毎週、米軍の輸送機が発着し、武器や要員を運び込むようになった。

 1962年にビルマの内乱は収束に向かった。ビルマ軍はシャン州の国民党軍を攻撃し、国境の向こう側のタイやラオスに追い出した。だが、そのころには国民党が直接ケシの栽培にたずわらなくても、シャン州の地元の人々が栽培してラバでタイに運び出してくる体制が作られていた。

 この問題は、1972年にアメリカ・イェール大学のアルフレッド・マッコイ(Alfred McCoy)という学者が「東南アジアの麻薬政治」(The Politics of Heroin in Southeast Asia)という本を書いたことで明るみに出た。(この項について詳しくは光文社新書の拙著「米中論」を参照)

▼ラオス、キューバ、ニカラグア、レバノン・・・

 1950年代後半から60年代にかけては、ベトナム戦争の流れで、ゴールデントライアングルの東側にある国ラオスで、共産主義政権を作ろうとする中国に支援されたグループと、反共政権を作ろうとするアメリカに支援されたグループとが戦いを展開した。米軍機による激しい空爆も行われたが、これらのアメリカの作戦は、米国内では議会もマスコミも知らない秘密作戦だった。このときの工作資金も、麻薬によって作られたカネだった可能性がある。(関連記事)

 麻薬を使った米当局の資金作りは、中南米でも行われた。1959年のキューバ革命でカストロ政権ができた後、米国の意のままにならない同政権をつぶすため、CIAなど米当局は、革命時に海をわたってフロリダ州などに亡命してきていたキューバ人たちを使い、政権転覆をはかった。

 亡命キューバ人の中には、麻薬取引を手がけるマフィアもおり、CIAは彼らが中南米からアメリカ本土に麻薬を密輸して資金を作ることを黙認し、この裏資金を使って亡命キューバ人を秘密裏に訓練し、カストロ政権をつぶそうとした。だが、1961年に実行された亡命キューバ人勢力によるキューバ侵攻は失敗し(ピッグス湾事件)、CIAによる工作が暴露された。(ケネディ大統領暗殺の背景として、この事件後のCIAと大統領の確執があったという指摘もある)

 ピッグス湾事件には、当時アメリカ南部から中南米にかけての地域で石油採掘を手がけていたブッシュ元大統領(父親の方)も、非公式なCIA要員として関与していたという指摘もある。それが事実だとしたら、1989年にブッシュ(父)が大統領に就任した直後から、冒頭で紹介した米軍による麻薬戦争が始まった理由も分かる。ブッシュ(父)にとって、麻薬問題は、裏も表も分かっているテーマだったことになるからだ。

 1981年にレーガン政権ができると、アメリカの支配力を維持拡大するため、世界各地でアメリカの代理をする民兵組織を養成し、その資金確保のため、麻薬栽培が行われるようになった。

 その顕著な例が、中米のニカラグアである。ニカラグアでは1979年に革命がおきて社会主義政権ができたが、レーガン政権下のCIAは、これをつぶすため、1981年に地元の民兵組織を束ねて反共組織「コントラ」を結成させた。そしてコントラに、キューバ革命以来続いていた中米からアメリカ本土への麻薬密輸を手がけさせ、それを資金源にニカラグアの社会主義政権を倒すためのゲリラ戦が展開された。CIAは「共産主義と戦う」という名目のもと、米国内の麻薬問題の拡大を煽った。(関連記事)

 中東のレバノンでは、アラファトらパレスチナ人ゲリラ(PLO)が、隣国イスラエルへの攻撃を強め、これに対してイスラエルがレーガン政権下のアメリカを巻き込みつつ、1982年にレバノンに侵攻したが、この時期のレバノンでも麻薬栽培が盛んになり、イスラエル傘下の民兵組織「南レバノン軍」などの資金となった

▼山賊とネオコン

 アフガニスタンにソ連軍が侵攻し、アフガン人や、オサマ・ビンラディンに代表されるアラブ人などからなるゲリラ「ムジャヘディン」が、アメリカのてこ入れで組織され、その資金源としてアフガニスタン国内での麻薬栽培が活発化したのも、この時期である。

 アフガニスタンでは1988年にソ連軍が撤退した後、ムジャヘディンどうしの内戦となった。1994年にパキスタンとアメリカの肝いりで登場した「タリバン」が内戦を終わらせたが、オサマ・ビンラディンをかくまったことからアメリカとの関係が悪くなり、911事件後にタリバンもつぶされた。こうした歴史の中で、アフガニスタンでの麻薬栽培は続けられ、ビンラディンやタリバンの資金源となり、今またカルザイ政権の言うことを聞かないアフガン各地の武装組織の資金源として栽培され続けている。

 その意味で、麻薬栽培の撲滅はまさに「テロ戦争」の一環であるはずだ。米軍が「テロ戦争に傾注するために麻薬戦争から手を引く」というのは間違っているとも思える。だがそれは「おもて」の世界だけで考えたときの話だ。そもそも米当局は、世界各地で反米勢力と、親米の地元勢力を戦わせる代理戦争の戦略の中で、麻薬栽培を親米勢力の資金源にしてきたという「うら」を見れば、米軍は最初から真剣に麻薬を撲滅しようなどとは思っていなかったことが分かる。

 コントラやムジャヘディン、南レバノン軍などは、いずれも安定した国家を作れる実力を持った組織ではなく、山賊の集まりのようなものだ。アメリカ政府は、それまでの冷戦の経験から、内戦に介入する際、実力のある地元組織を支援して代理戦争をやらせると、内戦が終わった後、アメリカの言うことを聞かない独立国ができてしまい、アメリカが威圧するとソ連寄りになってしまう可能性が大きいことを知った。そのような失敗を繰り返さぬよう、山賊のような勢力を支援し、彼らに麻薬栽培を教えて資金的に自活させ、戦わせたのだと思われる。

 レーガン政権下でこうした外交政策を担った人々は、約15年の歳月を経て、現在のブッシュ政権で再び外交政策を担うようになった。以前の私の記事に何度か出てきた「ネオコン」(新保守主義派)と呼ばれる人々である。「米イラク攻撃の謎を解く」で紹介したネオコンの面々と、「復権する秘密戦争の司令官たち」で紹介した司令官たちは、同じ系統である。

 彼らの多くは、国防総省に巣くう人々であるが、米政府上層部での彼らの台頭は、911事件後にアメリカの諜報機関の中心がそれまでのCIAから国防総省傘下に移り始めたことと連携している。アフガニスタンなどの戦争で、米軍の特殊部隊の存在がよく報じられるが、この特殊部隊は、任務の一つとして、かつてCIAが担当していた戦地における諜報活動を行っている。現在、アメリカの諜報予算の8割は、国防総省とその傘下の組織に入っている。911以降、力を削がれたCIAでは、国防総省に対する不満の声も大きくなっている。

【私的めもらんだむ】
 北朝鮮が国がらみで覚醒剤を日本に密輸していたことは、日本国内で覚醒剤摘発が頻発していた20年以上も前から噂になっていた。当時から逮捕されるのは末端の密売人止まりで、肝心の元締めであるところの北朝鮮が新聞記事になることは皆無だった。それは同時に外交及び政治的な背景を感じさせるに充分であった。国内においても、暴力団幹部にまで捜査の手が及ぶことも稀だった。あの当時の警察の及び腰は上層部からの圧力はもとより、暴力団から北朝鮮を結ぶ線が浮き彫りになることを恐れたゆえであったろう。拉致問題の経過で北朝鮮の覚醒剤密輸関与が指摘されている現在、過去の隠蔽工作の実態含めてその全貌を明かにしてもらいたいものだ。
 麻薬密輸が国がらみなのは北朝鮮だけではあるまい。イギリスの阿片戦争から、特攻隊出陣前にヒロポンを注射した日本の例など、過去の歴史も教えてくれる。私もこれから関連資料を手元に置いて、私の見聞きしたことも含めて少し詳しく具体的に書いていきたい。

【視聴予定】
21時
15 プロジェクトX特選「ツッパリ生徒と泣き虫先生」 伏見工ラグビー部▽熱血・山口良治魂の声

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