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【トピック】
25万人が恩典廃止に抗議 ロ政権下で最大規模

 【モスクワ12日共同】ロシア全土で12日、公共交通機関の無料利用など年金生活者の恩典を廃止、現金支給に切り替えた社会保障改革に抗議する集会があり、計25万人(内務省集計)が参加した。改革が実施された今年初めから地方で高まっていた不満が、プーチン政権下で最大規模の街頭抗議行動に拡大した。
 今のところ、反政府の機運が政権交代に直結する可能性はないが、支持率の陰りを危ぐする大統領は、各地で官製の大統領支持集会を開催させるなど沈静化に懸命だ。
 内務省によると、全国約70カ所で共産党など野党陣営が組織した集会があった。モスクワ中心部では約3500人が集まり、ジュガーノフ共産党委員長らが大統領辞任などを要求した。

★「血の日曜日」彷彿 特恵制度廃止、全土に抗議デモ拡大 露政権ピリピリ

 【モスクワ=内藤泰朗】ロシア革命の発端となった血の日曜日事件から二十二日で百年。同事件は生活に苦しむ市民のデモが発端となった。いままたロシアでは旧ソ連時代から続いていた特恵制度廃止に反発する年金生活者の抗議デモが全土に拡大しており、プーチン政権は、事件を想起させる市民の不気味な動きに神経をとがらせている。 
 事件は一九〇五年一月二十二日、首都ペテルブルク(現サンクトペテルブルク)で起きた。政治的自由や戦争の中止、八時間労働日の実施などを皇帝ニコライ二世に求めて冬宮前に集まった群衆に軍が発砲し、百人以上が死亡。首都は大混乱に陥り、後の革命の序章となったとされる。
 その百年後の今月十日から始まった高齢者らによるデモは、モスクワで、国際空港に通ずる幹線道路の実力封鎖だけでなく、全土の各地方都市に波及し、サンクトペテルブルクでは十五日、デモに参加していた年金生活の男性が車にひかれて死亡、初の犠牲者が出た。
 これまでに、数十の都市で数百人から一万人規模のデモが連日のように行われ、二十一日には政情が不安定な南部カフカス地方で、昨年の北オセチア共和国ベスランでの学校占拠事件を阻止できなかった責任を追及し、ザソホフ共和国大統領の退陣を求めるデモにまで発展している。
 混乱のきっかけとなったのは、露政府が今月実施した社会保障制度改革だ。地下鉄など公共交通機関の無料乗車や薬の無料制度など高齢者や軍人らに対する特恵を廃止する代わりに、毎月一定の補助金を支給するというもの。だが補助金の額はわずかで、年金生活者らの財布を直撃した。
 二〇〇〇年に発足したプーチン政権下で国民の不満がこれほど拡大したのは初めて。隣のウクライナで反政権勢力の「オレンジ革命」が成就したばかりでもあり、警戒を強める政府は連日、閣議を開いて対応策を検討している。
 プーチン政権の危機感の強さは、イワノフ国防相が学生の反発を気にして、徴兵猶予をいっさい認めない「全員徴兵制」の導入を一年先送りしたことにも表れている。高齢者に加え、若者たちまでがデモに参加するようになれば、「革命」のにおいがさらに強まるためだ。
 プーチン政権は、事態に慎重に対応しつつ地方の有力者たちの責任を問う構えを見せており、デモの拡大を契機に中央集権化がいっそう強化されることも予想される。
---産経新聞

★ロシア:特典廃止に抗議、年金生活者らのデモ広がる

 【モスクワ杉尾直哉】
 プーチン大統領は00年の就任以降、7〜8割の高い支持率を維持し、抗議運動は極めて異例だ。デモ参加者は高齢者らに限られているが、ロシアの国政をゆるがす可能性もあり、今後の広がりが注目される。

 抗議デモは正月休みの最終日の10日、首都モスクワで最初に起こった。市民約2000人が、市北部でシェレメチェボ国際空港と市街地を結ぶ幹線道路を約2時間封鎖、警察隊に排除された。ロシア第2の都市で、大統領の出身地サンクトペテルブルクでは16日、市民約1500人が目抜き通りのネフスキー大通を約1時間封鎖した。ウクライナの民衆革命のシンボルカラーとなったオレンジ色のテントを張って街頭に居座る住民も出た。デモは17日にも南部のカザンや極東ハバロフスクに広がった。

 一方、ロシア南部・ダゲスタン共和国の首都マハチカラでは15日ロシアの特殊部隊が、チェチェン独立派と見られる武装勢力グループを民家に追い込み、周囲からの総攻撃でせん滅した。当局側は「犯人は(昨年9月の)北オセチア学校占拠事件に匹敵するテロ攻撃を計画していた5人」と発表し、バズーカ砲や機関銃を撃ち込む様子がテレビで放送されたが、がれきから5人の遺体は見つかっておらず、「派手なパフォーマンスで、国民の不満を解消させようとした」と疑問視する見方も出ている。
---毎日新聞

黒字に悩む??ロシアの2005年度国家予算

  ロシア連邦の歴史は庶民の収奪の歴史である。エリツィン大統領とガイダル首相代行は、1992年製品価格と賃金の国家統制廃止(価格と賃金の自由化・ショック療法と呼ばれる)をおこなった。これは「企業管理者」たちによる気違いじみた製品価格高騰を招いたが、エリツィンは半年間賃上げ要求を差し控えて忍耐することを国民に呼びかけた。労働組合と一般庶民は、おめでたい限りであるが、だまってこれに従った。その結果事実上の賃金凍結が行なわれ、庶民は一朝にして「全般的貧困化」状態に陥った。もちろんそれまでの「タンス預金」もパーになってしまった。
その後「企業民営化」が行なわれた。労働者各人は自分が働く企業の「帳簿価格」の分け前として株式を受け取り、あるいは「市場化証券」を受け取って「企業の株主」となったが、短時日のうちに、企業幹部たちがこれを二束三文で買い集めて企業を支配するようになり、結局ソ連時代の「企業管理者」層が新しいロシアでは「企業主」となった。
この中から、今日の百万長者たち(「オリガルヒ」など呼ばれる独占資本の頭領たち、たとえば石油王ホロドコフスキーや、オネクシムバンク創設にはじまり第1副首相を経て現在は「持ち株会社インテルロス」の総裁となっているポターニンテレビ王として君臨して追放されたベレゾフスキーなどがその代表格)が現れた。このような「財界エリート」の出現過程では、エリツィンの下で「企業民営化」過程と「地方交付金」を担当していた副首相チュバイスなどが大きな役割を果たした。例えば、次のような例がある。ロシア政府は、北方地方にたいしてあらかじめ「越冬資金」を支出していた。ここまではいいのだが、そのカネを地方に送ることを、一般の私営銀行に委託した。これらの銀行はこの金を秋まで自分で運用して金利を稼いだ。ひどい場合には、地方に送らずにフトコロに入れてしまった例も報じられている。チュバイスは現在「電力公社」社長として電力網を握っているが、今では「ロシア国民に最も嫌われている人間と言われている。

  華やかな支配層・エリートたちの出現とはうらはらに、ロシアの一般国民の貧困状態は決して他の文明諸国に追いついたわけではない。社会的な不安定もや地方格差も改善されたわけではない。毎年極北地域や極東地域などでは冬になると停電や暖房切れ騒ぎが起きる。
国家予算を見ても、まず第一にチェチェン戦争という大出費とともに、マフィアや悪徳実業家の跋扈を抱えて、非常に大きな軍事費・治安費が維持されている。20世紀始め以来、どんな小さな戦争でも世界的な意味を持っている。国内にせよ、国外にせよ、およそ戦争をやっている国が、安定して長期的に栄えた例はない。戦争状態においては財政規律も社会規律も、経済倫理も維持することはできない。ロシアでは中小銀行の取り付け騒ぎも最近頻発している。「戦争で儲けた」とされる米国でさえも、第1次大戦の後しばらくしてバブルがはじけて大恐慌に見舞われている。
「黒字財政」について言えば、予算の均衡は国家財政において基本的な要求であると筆者は考えている。国家の赤字財政は結局は庶民にその帳尻を持ってくるものであり、現在と未来の国民に災難をもたらすものである。この点では、筆者はプーチンの行きかたのほうが日本の政府よりはましであると評価してている。(ロシアの国家財政の構成及び規模と日本の国家財政を比較することは、私たち一般人にとっては困難である。但し、「日本国勢図会」第61版の記述を引用すれば、「日本の一般会計の公債金は2003年度当初予算では36兆4450円、うち赤字国債は過去最大の30兆円台に達した。一般会計に占める国債の割合は、44.6%で、予算の半分近くを借金で補うことになる」と言うことである)。

  1989年、当時ソ連科学アカデミー経済研究所所長であったアバルキン(彼はその後の副総理の職を経て現在は再びロシア科学アカデミー所長である)が来日したとき、その通訳を務めた私は、随行していた同研究所ボガチョフ副所長から、次のような話を聞いたことがある。すなわち、来日の直前に、アバルキンが研究所全員を総動員してデータを集約し、ソ連共産党中央委員会の数日間にわたる会議において、ソ連国家財政について「深刻な批判」を行なったが、ソ連首脳部は聞く耳を持たなかった、と言うことである。このとき、アバルキンは日本の経済学者との対話において、「生産財(この場合はA部門)の優先的発展は社会主義の基本的法則ではない」と述べて、ソ連の伝統的財政政策であった重工業、実質的には軍事産業重点主義を否している。(専修大学社会科学研究所月報311)。このことからも、アバルキンの「深刻な批判」の内容は推察できる。アバルキンはこのとき日本における公開の講演会ではソ連経済の見通しについて楽観的な報告をしていた。しかし、講演後、近しい仲間で夕食をしたとき、当時朝日新聞記者であった白井氏が、「あなたの言われる楽観論がもし外れたら、ソ連はどうなるか」と質問したことがある。アバルキンは一瞬苦渋に満ちた顔をしたが、「そのときには労働者たちは自分の工場でシガレットライターでも作って日銭稼ぎでもせざるを得なくなるであろう」と答えた。
  結局その翌々年ソ連は崩壊し、労働者たちは「日銭稼ぎ」をしなければならない事態になった。アバルキンが実はそれを予想していたことが伺われる。この「深刻な批判」の後、アバルキンは、ソ連の環境のなかで、機会あるごとに、経済政策の基本として「身の程にしたがって生きる」ことを強調していた。ロシアになって、この意味での「黒字財政」が実現したのは、プーチンになってからである。現在アバルキンは、プーチンを基本的に支持して、「国に秩序を与えた」として彼を称揚しているが、その中にはこの財政均衡主義も含まれていると思われる。しかし同時にプーチンが「社会経済政策を変えることに未だ成功していない」、としてまず「ロシアの経済学者、なによりもまずロシア科学アカデミーの研究施設に集まっている主導的な経済学者の声に耳を傾ける必要がある」とアバルキンは述べている(「ロシア・ユーラシア経済調査資料」864号」)

  現在のロシアは、サミットで肩肘を張って列強と付き合い、西側金融界における「格付け」の向上などに懸命であり、また、EU(ヨーロッパ連合)との競り合いに火花を散らしている。予算黒字の継続状態はこのようなロシアの国際活動には、一応の追い風であることはたしかである。(財政均衡は、EU加盟の条件となっている)。現在の黒字財政は、ロシアの西側との関係における「金融上の評価」、「信用」を高めるものではある。しかし、現在の国家予算の内容が本当にロシアの「身の程」に相応しているであろうか。このことは充分吟味する必要がある。
その内実を見れば、「石油バブル」にロシアの経済の重要な部分が乗っかっていると言う点で、ソ連時代と本質的に変っていないことを示すものだと見るべきであろう。例えば、農業生産はソ連解体以降90年代を通じてずっと低下を続けてきた。今世紀に入って穀物の収穫は増加したが、今年はまた落ち込む懸念が出ている。これは、ロシアの食糧安全保障の深刻なもろさを示している。

  プーチンが「経済における政府のプレゼンスの程度を大幅に低下させて、市場経済の深化・発展を図る」ことに取り組んでいることは確かで、大局的には評価すべきであろう。しかし、多くの役人や省庁がいろいろな「プロジェクト」を打ち出してカラ手形を乱発し、結局国全体を潰してしまったソ連時代の悪習から、ロシアの中央や地方の政治家や役人たちが抜け切れているとはいえない。

  地方交付金の大きさを見れば、国会議員たちの面目にかけての「国家予算獲得競争」の激しさも思いやられる。ロシアの議員たちは「支持母体のための政府交付金と好条件の獲得」こそ自分たちの使命であることをはばかるところ無く公言し、「族議員活動(ロシア語では「ロビー活動」)なくして政治なし」と言ってている。彼らは「祖国」とか「国家」とか言う言葉が好きであるが、本当に国家と国民の大局的な利益と言う立場からモノを考えている連中は少ない。国家予算の収支状況が好調となれば、いっそう「我が田に水(カネ)を引く」ことに精を出すであろう。

  これはロシア経済の発展にとって決していいことではない。このような経済と政治の「癒着」は、とりわけ地方政治の腐敗の克服を妨害するものとなっている。この現状は、一面では外国からの投資の安全度に不安を持たせる要因ともなっている。これは極東の状況に端的に現れている。わが国からロシア極東の都市に進出したホテル資本の大きな部分は、地方官僚と結託した現地経済界によって「合法的に」乗っ取られてしまった。(北海道新聞情報研究所、情報研ブックレットB:「ロシア極東−市場経済化の10年」、55ページ)

  また他面では、この腐敗を利用して外国の資本が入り込んできた場合には、国民経済の倫理的基盤と国民の利益を擁護する点での脆弱さとなるであろう。現在、プーチンが石油資本の代表者ユコス社長ホロドコフスキーを逮捕したり、一部のオリガルヒに厳しい態度をとっているのは、このような点でのロシアの弱点、特にオイルマネーの国外流出や外資を含め大資本による資源のつまみ食い、政治にまで影響を与えるような私的独占化などの危険を承知しているからであろうと私は見ている。ホロドコフスキーの投資行動において、「短期マネー」を追う投機的手法が目立つことは、わが国の研究者からも指摘されている。これは、アップストリーム開発に足を置く石油資本にはふさわしくないものである。
( http://www.jnoc-rp.jp/papers/2002/200211sakaguti_russiasekiyu.htm - この労作はその後ネット上から削除された模様です。:筆者)
  この「短期マネー」を狙う方法のひとつを例に挙げれば、鉱区の資源調査を行い、資源量を発表すれば、その会社の株式の市場評価価格が上がることがあるのを利用する方法である。日本でもしばしば利用される。

  石油マネーの流出と似た現象として、日本とロシアの間では、魚類が不法に日本に輸出されていることが知られている。2002年4月7日の北海道新聞社説が指摘しているところでは、1999年の日本の統計によれば、ロシアからのわが国の水産物輸入高が約21万7千トンであるにかかわらず、ロシアの統計による対日輸出量は2万9600トンである。すなわちロシアの税関が捕捉しているのは、実際の対日輸出量の14パーセント以下に過ぎない
全体的に見ると、ロシアの経済の脆弱性と問題点は、「数字」の好調さにもかかわらず、非常に大きいと見るべきであろう。
さて、一見したところロシアはわが国とは異なる状況にあるように思われるかもしれないが、このように見ると、わが国の状況と似ている点も多い。我々にとっても、この「プーチンの黒字財政」の行方は、やはり他山の石として見守る価値があろう
---ロシア語翻訳とロシア語 そしてロシアに関する出羽弘のページ


【私的めもらんだむ】
「社会は大きく二つの階級から成立している。食欲以上に晩餐会の多い連中と、食事の回数より食欲のほうが旺盛な連中と」
【セバスチャン・シャンフォール】 フランスのモラリスト 1741-1794

「平等はあらゆる善の根源であり、極度の不平等はあらゆる悪の根源である」
【ロベスピエール】Maximilien de Robespierre 1758-1794
フランス革命のリーダー

「コイズミにおける内面国家には、右翼少年のような情念はあっても、守るべき憲法がない。失業者、貧困者、弱者への思い入れに著しく欠ける。彼ら彼女らが生活苦と絶望のあまり、いくら自殺し、一家心中しようとも、いささかも憂えるということがない。コイズミの内面国家では、敗者ではなく、勝者こそが主人公でなければならぬのである」
【辺見庸】「単独発言」52頁

 コイズミをプーチンに置き換えると、そのまま上記ロシアの特恵制度廃止抗議デモのスローガンになる。これまでの英雄プーチンの連呼を振り返れば、今回の25万人デモは画期的なものではなかろうか。ちなみに男性の背に乗って少女が掲げる黄色い旗は、ウクライナはオレンジ革命のシンボルである。それにしても辺見氏のその後の病状が気になって仕方がない。
【視聴予定】
19時
30-00 クローズアップ現代 夢の光誕生か▽新青色LED ---NHK総合テレビ
去年12月末、東北大学金属材料研究所が発表した研究成果が、世界の半導体研究者を驚かせた。「酸化亜鉛による、世界初の青色LED(発光ダイオード)開発の成功」。これは、中村修二教授が開発した従来の青色LEDの10分の1のコスト10倍の発光効率で光る画期的なもの。
今回の成功は、今後、照明分野やDVDなど映像記憶メディアの世界で数兆円の市場を動かす可能性があると言われる。川崎雅史教授(43)グループによる開発成功までの苦闘と、新たなLEDが生み出す技術革新の可能性を探っていく。
(NO.2035)

スタジオ出演 : 谷田部 雅嗣(解説委員)
     


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