★イラク巡る疑惑で辞任せず=国連事務総長
[国連 21日 ロイター] アナン国連事務総長は21日、年末の記者会見を行い、イラクの石油食糧交換プログラムをめぐる疑惑が国連に影を落としたと認めながらも、辞任しない意向を改めて表明した。
国連が資料提出を怠っていたとする米議会共和党からの批判について事務総長は、ボルカー前米連邦準備制度理事会(FRB)議長を長とする独立調査委員会が来年1月末ごろに暫定報告を発表し、内部調査結果も公開する、と述べた。
事務総長は「米国は国連を必要としており、国連は米国を必要としている。われわれは、協力する手段を見つけなければならない」と語った。
石油と食糧の交換プログラムは、イラクに対する国連制裁の影響を緩和するため1996年に開始されたもので、イラクは石油を輸出し、食糧や医薬品、雑貨などを購入することが許可された。プログラムの管理は、国連と国連安全保障理事会が行っていたが、フセイン政権崩壊後の資料には、プログラム期間中にリベート制や過剰請求、贈収賄などが行われていたと記載されている。
★イラク石油食糧交換不正疑惑 アナン氏「調査に協力」
米大統領は会談せず、不快感表明か
【ワシントン=樫山幸夫】国連のアナン事務総長は十六日、ワシントンの外交評議会で講演、国連のイラク石油食糧交換プログラムの不正疑惑に関して、独立調査委員会に全面的に協力する旨を表明、協力しない職員は解雇する強い方針を明らかにした。アナン事務総長は同日、パウエル国務長官と会談したが、ブッシュ大統領との会談は実現せず、不正疑惑、イラク国民議会選挙への国連の対応などをめぐる米側の不快感の表明ではないかなどと取りざたされている。
アナン事務総長は「この不快な不正疑惑にはすべての人が関心を持っていると思うが、われわれは徹底的に究明する考えだ」と強調。「独立調査委員会による調査は、かつてない規模になるが、国連職員には全面的に協力するよう指示してある。それに従わない場合は解雇を含む処分が科されることになるだろう」と強い決意を示した。
この疑惑については、米連邦準備制度理事会元議長のポール・ボルカー氏を長とする独立委員会が調査に当たっており、米上院も独自に調査しているが、事務総長の子息の関与も指摘されていることもあって、米国内ではアナン事務総長の辞任を求める声も出ている。
一方、アナン事務総長は、これに先立ってパウエル国務長官、ライス次期国務長官(国家安全保障問題担当大統領補佐官)らと会談、イラク情勢、国連改革問題などについて意見交換した。
アナン事務総長は来年一月三十日のイラク国民議会選挙に向けて現地の国連スタッフの活動地域を拡大することなどについて説明したが、パウエル長官は「国連は選挙成功に向けての手段をとった」と述べるにとどまり、評価するには至らなかった。米国はこれまで、選挙に向けた国連職員の大幅増員を主張していた。
アナン氏は、ブッシュ大統領との会談が実現しなかったことについて、「さまざまな機会に会っており、電話でも話し合っている」と述べ、平静を装った。
(産経新聞)
★国連不正事件 米、分担金一部凍結も 議会に法案提出へ 関連資料提供求める
【ワシントン=古森義久】国連がイラク石油食糧交換プログラムでの不正事件の調査に協力しない場合は、米国政府の国連への分担金支払いを減らすという法案が、米国議会に提出されることとなった。この結果、同事件をめぐる国連と米国の対立がさらに鮮明となってきた。
同下院のジェフ・フレイク議員ら計四人の共和党議員は六日、記者会見して、「国連石油食糧交換解明責任法案」を近く下院本会議に提出する方針を明らかにした。
同法案は六日現在、すでに七十七議員が共同提案者として署名したという。
フレイク議員らの発表によると、同法案は総額二百十億ドルもが不当に流れたとされる石油食糧交換プログラムの不正を追及し、責任を解明することを目的とし、国連に対し関連資料を米議会の調査のために提供することと、関与した国連職員の刑事、民事の法的責任の免責措置を解除することを求めている。
米国議会では上下両院の複数の委員会がそれぞれ同事件の調査を進め、国連にも資料の提供を求めているが、国連側は元米国連邦準備制度理事会議長のポール・ボルカー氏による調査に協力しているため、資料類を米議会には渡せないとしている。
同法案はもし国連側が資料提供などを拒んだ場合、米国政府が国連に払うはずの分担金二〇〇五年分総額の10%にあたる約四千万ドルを凍結させ、払うのを止める一方、二〇〇六年にも同じ状況が続けば、その倍の20%相当八千万ドルの支払いを停止することをうたっている。
国連の分担金は米国が全体の22%にのぼる巨額を出しており、次いで日本が約20%を払っている。
同法案は共和党の大多数のほか民主党側にも賛同者が多いとみられ、提出されれば、可決は確実と予測される。
(産経新聞)
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