★ボパールの悲劇は続く
20年前の1984年12月3日、インド中部の都市ボパールで
ユニオン・カーバイトの農薬工場が爆発事故を起こしました。猛毒のメチルイソシアネートが飛散し、そのあと
少なくとも15000人が亡くなったことについて
[GEN 391]・[GEN 392] に書きました。事故のあと生まれた人たちが今年成人に達します。
[GEN] の過去ログ → http://www.kcn.ne.jp/~gauss/wen/index4.html
同社の本社はアメリカのテキサス州にあります。そのためテキサス州のテレビ局KLTVが、化学工場の爆発について注意を促す次のような記事を掲載しました。
KLTVの記事原文 → http://www.kltv.com/Global/story.asp?S=2618250
――事故の直後、多くの人が毒ガスで肺をおかされ、咳き込み、あえぎながら脱出した。化学工場の爆発がいかに恐ろしいものか、この事故が如実に示している。
そのあとも、10万人を超える人たちが呼吸困難や疲労といった症状や、心疾患・結核といった重篤な病気で苦しんで来た。いまも悲劇は続いている。
そのため、アメリカの産業界や連邦政府は安全策を講じ、ボパールの悲劇が続かないよう対策をたてた。とはいえ、化学工場に対して9-11事件のようなことが起きればひとたまりもない。ボパールの事故原因について今も議論があり、はっきりしたことは分からない。ユニオン・カーバイト社は、この悲劇について道義的な責任があることは認めているが、不満を持つ従業員のサボタージュを今も非難している。
環境団体やインド政府、事故にあった人たちなどは、周辺地域にたいして見掛け倒しの安全策しかなく、充分な対策が採られていないことを批判している。こうしてボパールの残した負の遺産は、これからも続く。
---世界の環境ホットニュース[GEN] 447号
★2002年12月9日
インド・ボパール大惨事の記念日 数千人が抗議のデモ
★PRTR導入の歴史
PRTRとは何か?
PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)とは、「有害性のおそれのある化学物質が大気や水などの環境中にどのくらい排出されたのか、廃棄物に含まれて移動した量はいくらあるのか、を登録して公表するしくみです。
環境への排出とは、工場の排ガスに含まれて大気へ排出される場合、工場の排水と共に河川に放流される場合、自動車の排気ガスに含まれて大気へ排出される場合、農薬として土壌(及び大気)に散布される場合、一般家庭で使用されている防虫剤が昇華して大気へ排出される場合などがあります。
制度を作るキッカケは、ユニオンカーバイト社インド現地法人のボパールにおける化学物質漏えい事故でした。この事故では、3000人の死者が出る大惨事になりました。また、この事故から8カ月後に、本国ウェストバージニア州で同様な事故が再発し、アメリカでは「化学工場がどのような種類と量の化学物質を保有し排出しているか知りたい」という世論が高まり、「緊急対処計画および地域住民の知る権利法が成立しました。 |
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