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【トピック】
ウクライナ最高会議が内閣不信任案可決、首相解任迫る

 大統領選をめぐる混乱で政治危機を迎えているウクライナは1日、国会にあたる最高会議が内閣不信任決議案を可決した。選挙で「当選」したヤヌコビッチ首相の解任や、野党主導の「国民信任内閣」の樹立を盛り込んでおり、選挙の無効を訴えている野党陣営が提出した。決議を履行するかどうかは、同首相寄りの大統領に判断を委ねているが、首相は政治家として致命的な打撃を受けた。政府の国際的信用力の低下も必至とみられる。事態収拾をはかる欧州諸国の代表らは首都キエフ入りし、調停を本格化させた。

 「内閣の解散を求める決議」で、与党議員が多く欠席するなか、229票の賛成多数(総投票数238票)で可決した。野党陣営の切り崩しで一部の与党議員も賛成に回った模様だ。野党支持者による「国会封鎖」で与党議員が議場に入れなかった、との情報もある。

 決議はクチマ大統領に対し「国民の信任を受けた新政府の構成」を要請。欧米各国が公正な選挙実施への圧力を増すなか、新政権のもとで選挙をやり直す「包囲網」といえる。リトビン議長は「新しい大統領が決まるまでの暫定的な期間、与野党を含めた連立政権を構成することを盛り込んだ」という。

 一方、ヤヌコビッチ首相は1日、大統領選の決選投票で野党の地盤の西側地域に不正があったとして、「選挙無効」の訴えを最高裁判所に起こした。最高裁は野党側の求めで投票の不正を審理しているが、対抗して訴えたとみられる。両陣営が「選挙無効」を求めたことで、大統領選の仕切り直しの可能性が高まっている。クチマ大統領は同日、野党が求める決選投票のやり直しは拒むが「最初からの再選挙には応じる」として、選挙そのものの再実施を検討する考えを明らかにした。

 また、混乱を収拾するために訪れた欧州連合(EU)のソラナ共通外交・安全保障上級代表は30日夜、クチマ大統領と会談。与党候補のヤヌコビッチ首相と野党候補のユシチェンコ元首相による再選挙を改めて求めた模様だ。ポーランドのクワシニエフスキ大統領は仲介に先立ち、「早い時期に決選投票をやり直すことを提案する」と述べ、ユシチェンコ氏の主張に沿った調停を目指す考えを表明した。

ウクライナ

★ウクライナの混乱飛び火? ルーマニアでも再選挙論議

 ルーマニアで28日行われた大統領選と上下両院議員選で、二重投票などの不正が行われたとして30日、大統領選で2位になった野党候補が選挙のやり直しと選挙管理委員会の総辞職を求めた。隣国ウクライナの大統領選をめぐる混乱が飛び火した形だ。

 AFP通信によると、2位だった中道右派連合のバセスク民主党党首が記者会見で、35万票の二重投票があったと主張した。

 大統領選では、上位2人による決選投票が12月12日に行われることになっており、バセスク氏は決選投票に進む。1位になった与党・社会民主党のナスタセ首相に対する攻撃とみられる。欧州安保協力機構(OSCE)の選挙監視団は、選挙は「いくつかの問題はあったが、よく組織され、きちんと実施された」と評価している。



アメリカによる4カ国目の政権転覆計画

 アメリカの勢力がウクライナの選挙で野党ユーシェンコ陣営を支援し、ユーシェンコを勝たせるために支持組織に政治活動の訓練を施してきたことは、以前から知られていた。私も今年4月の記事でそのことに触れている。

 アメリカは、2000年にユーゴスラビア(セルビア)で野党勢力を結集させ、当時のミロシェビッチ大統領を追い落とす選挙に成功し、昨年11月には似た手法でグルジアのシュワルナゼ政権を潰してサーカシビリ政権を誕生させた。今年10月にはベラルーシの議会選挙でも同じ展開を試みたが、野党諸勢力間の結束が得られず失敗した。アメリカにとって今回のウクライナ選挙は「選挙を使って旧ソ連系諸国の政権を転覆する作戦」としては4回目となる。

 4カ国の政権転覆作戦の詳細を見ると、やり方が非常に似ていることが分かる。まず、
1-
分裂しがちな野党諸勢力を一人の候補のもとに結集させるべく、アメリカ大使館(国務省)が事前に根回しをしておくとともに、その国のマスコミの中の野党シンパをネットワーク化しておく。
●2-
野党陣営の中堅リーダーとなる若手勢力を養成し、最初の成功例であるユーゴスラビアの若手指導者をグルジアやウクライナに派遣してデモのやり方などを習得させる。
●3-
野党陣営には一つの単語からなる象徴的な名前をつける。ユーゴスラビアでは「抵抗」という意味の「オトポル」、グルジアでは「もうたくさんだ」という意味の「クマラ」、そしてウクライナでは「今がチャンスだ」という意味の「ポラ」(Pora)という名前を運動体につけている。
●4-
選挙戦が始まると、アメリカの共和党系のIRI、民主党系のNDI、欧州系のOSCE、米政府系の援助団体であるUSAID、人権団体の「フリーダム・ハウス」、ジョージ・ソロスのNGO「オープン・ソサエティ」などが選挙活動の監視にあたる。
●5-
政府系の候補が勝ち、野党系が負けた時点で、それらの団体がこぞって「選挙不正があった」と主張し始める。英米のマスコミは、選挙前から「選挙不正がありそうだ」と報じ、選挙後は「やっぱり不正があった」と大々的に報道を開始する。
6-
野党陣営は、前もって計画していた手法に従って首都を席巻する大規模な政治集会を組織する。今回のウクライナでは、野党支持者はオレンジ色の衣類(セーターやマフラー、帽子など)を何か着用することを呼びかけ、野党支持の経営者がいる店のウインドウにもオレンジ色の飾りが置かれ、誰が支持者かすぐにわかるような工夫が凝らされる

 など、4回目ともなると、継承された政治運動の技術がかなり高くなっていることが感じられる。

 国内マスコミの中では、比較的反政府なテレビ局などが不正を報じ始め、国営報道機関のジャーナリストの中にも野党側に寝返る者が相次ぎ、そのころになると警察や官僚の中からも鞍替えを表明する者が増え、議会や行政府が野党のデモ隊によって占拠され、混乱の中で本当は野党の候補が勝っていたと宣言される。

 欧米諸国はそれを承認し、最後には政府系候補を支援していたロシアも野党勝利を承認せざるを得なくなり、欧米から圧力をかけられた政府系候補が敗北を認め、政権転覆が実現する。こうしたシナリオが、ユーゴスラビア、グルジアと繰り返され、今回またウクライナでそのシナリオに沿って事態が動いている。

【全文】ウクライナ民主主義の戦いのウソ
田中宇の国際ニュース解説より

【日々雑感】
11/25-混乱収拾へ会談調整 ウクライナ元首相と大統領
-与野党候補、収拾協議へ 全土に非常事態導入も ウクライナ大統領選


【私的めもらんだむ】
7時
 日本のメディアは全く触れていないが、オランダ王室のベルンハルト殿下(Dutch Prince Bernhard)が死去したそうだ。彼はここ日々雑感に幾度となく登場してきたが、まだ存命中だったとは思わなかった。王室においては武器商人という側面をもつ変り種、というか泥棒貴族の筆頭にあげられる黒幕なんだね。ベルンハルト殿下はユリアナ前女王の夫にして、ベアトリクス現女王の父親。それにしても欧米では彼の死去が大々的に報じられているのに、日本のマスコミはまだベタ記事でさえ扱っていないとは信じられない。日本の皇室とも親交が深かっただろうに・・・
 今朝も例年ほどではないが冷え込んでいる。今日は晴れそうなので、一気にベースを仕上げてしまおう。それを終えたら洗濯、掃除・・・その前にやっぱり猫の餌とウンチの始末か、そこで一句「目覚めと共に浮かぶは猫のウンチかな」字あまり。


Dutch Prince Bernhard
【視聴予定】

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