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【トピック】
金総書記の義弟、張成沢氏が失脚 韓国情報当局が確認

 北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)朝鮮労働党総書記の妹の夫で、最側近の一人といわれた張成沢(チャン・ソンテク)同党組織指導部第1副部長が失脚していたことを24日、韓国国家情報院が初めて確認した。

 国会情報委員会の非公開審議の中で明らかにされた。朝鮮日報が25日付で報道し、当局者も認めたところによると、張氏は軍内に派閥を作ったとして総書記の怒りを買い、仲間の将官級7〜8人と一緒に更迭されたという。韓国の情報当局者は「みな粛清された」としているが、具体的にどのような措置がとられたのかは不明だ。

 張氏はかつては最も金総書記の信頼が厚いと言われていたが、今年に入って職務停止説、自宅軟禁説などが流れていた。
(asahi.com)

金正日体制、統制に緩み 情報流出 変化の兆し

 夫人の死亡、義弟の更迭、妹の疾病…。北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議が難航する中、同国内では、最高権力者である金正日総書記の周辺で不透明感を増す出来事が目立っている。権力内部や住民の体制批判も拡大しているとされる。“負の情報”が相次いでいることで「北朝鮮の体制にひびが入った」という指摘も出ている。 (社会部・城内康伸、ソウル・篠ケ瀬祐司)

 「金正日総書記に異変が起きたようだ」

 九月末、日韓の一部メディアと関係当局に、不穏な情報が飛んだ。
 間もなく、デマと判明したが、北朝鮮に詳しい情報筋は今回の流言に関して「最近の金正日ファミリーをめぐる不透明感が背景」とみる。
 金総書記の親族のうち、高英姫(コ・ヨンヒ)夫人が死亡したことを日韓の関係当局がほぼ確認している。妹の金敬姫(キム・ギョンヒ)労働党軽工業部長はアルコール依存症と精神障害のためパリで治療を受けていたことも分かった。
 また、義弟の張成沢(チャン・ソンテク)労働党組織指導部第一副部長は総書記の指示で職務停止に遭っており、総書記の後継者問題をめぐる権力内部の対立が原因とされる。

 「平壌の体制を支える軍の一部やエリートの間に、金正日に関する批判が次第に公然化し、広がりつつある」
 米シンクタンク、ハドソン研究所の首席研究員が八月に出したリポートは、このような分析を載せた。
 ある当局者は「北朝鮮の幹部たちが内輪の話になると、総書記を蔑称(べっしょう)で呼ぶケースが増えている」と言い、リポートの分析に説得力を与えている。

 住民統制の緩みを示唆するエピソードも表面化している。
 北朝鮮の内部事情に詳しい関係筋によれば、平安北道・竜川(リョンチョン)駅で四月に起きた列車爆発事故の復旧現場で、支援物資を横流しする国家安全保衛部員に対し、住民が抗議しているのを、現場入りした非政府組織(NGO)が目撃したという。
 国家安全保衛部といえば、反体制活動や思想傾向の監視を行い、北朝鮮住民がおそれる組織の一つ。関係筋は「以前では考えられないことだ」と目を丸くする。

■脱北で対応軟化?
 北朝鮮を今春、脱出した住民(脱北者)によると、北朝鮮で「(脱北者に対する)寛大な措置を原則とする」という方針が二月に出たという。
 それによると、初めての脱北に失敗した住民には、訓戒だけで放免される「訓放措置」、「再犯者」も特殊な場合を除いて寛大な措置で、三度目以上になれば「労働鍛錬隊」と呼ぶ収容組織で強制労働に従事させられることになる。
 脱北の抑止に向けて北朝鮮は昨年一月にはいったん、取り締まりと処罰を強化するために国境警備隊を人民武力部から国家安全保衛部の所属に移管した、といわれる。
 朝鮮半島関係筋は処罰緩和について「脱北者に対する度を越した厳しい対応はまかり間違えば、国内に抵抗勢力を量産することにつながる、という判断が北朝鮮当局に働いたのだろう」と推測する。

 対外的な動きをみれば、さる五月に二度目の日朝首脳会談が平壌で行われ、金総書記は中国やロシアの代表団との会談も順調にこなしている。「北朝鮮に特段の変化はみられない」というのが、日韓に共通した公式的な見解だ。
 ただ、公安、情報当局筋の間には「体制に入ったひびが広がるのは時間の問題」とする見方は少なくない。
 韓国紙「東亜日報」は先月中旬、米国の朝鮮半島担当者らが在ソウルの米大使館で意見交換を行い、北朝鮮体制が非常に不安定だとの分析で一致したと報道。「崩壊の兆しとまでは言えないが、北朝鮮内部で何らかの尋常でない動きが進んでいるようだ」という出席者の発言を紹介している。

■金総書記周辺をめぐる最近の異変
【2001年】
10月ごろ 金正日総書記の正妻とされる高英姫氏の実妹が米国に亡命
【03年】
10月27日 金総書記の側近の金容淳・朝鮮労働党書記(日本・韓国担当)が交通事故で死亡と発表
【04年】
2月ごろ 金総書記の実妹の夫で、事実上のナンバー2とされる張成沢・労働党組織指導部第1副部長が金総書記の指示で職務停止に
4月22日 中朝国境近くの北朝鮮・竜川駅で列車が大規模爆発
6月   日韓関係当局が高英姫氏死亡をほぼ確認
9月初旬まで 金総書記の実妹・金敬姫労働党軽工業部長がアルコール依存症と精神障害のためパリで治療を受ける
9月12日 韓国メディアが北朝鮮北部・金亨稷郡で大規模爆発があり、きのこ雲が上がったと報道。17日に韓国政府高官が同地区で爆発はなく「きのこ雲」も自然の雲の可能性が高いと指摘。北朝鮮側は水力発電所建設の発破と説明
  25日 金総書記の長男・正男氏によく似た男性が一人で北京空港に出現
9月末  「金総書記に異変」との情報が一時広がる
(東京新聞)

 張成沢(チャンソンテク)と、金正日の妹であるところの金敬姫(キムギョンヒ)の間には1977年生まれの張琴松(チャンクムソン)と一歳下の張(チャン)がいる。今年27歳と26歳のこの二人はどうなったのか。そんな金王朝失脚の兆しの中で、ガボンのピン外相(国連総会議長)は、次回6カ国協議について北朝鮮から「非常に前向きなメッセージ」を受け取ったと表明している。強硬姿勢を軟化させてまで国際社会に協調しようとする金正日の真意は何処にあるのか。拉致問題で揺れる日本としては、この時期が外交攻勢の最大にして最後のチャンスになる。金王朝が失脚してからではそれこそ拉致問題は跡形も無く消滅してしまうのだから・・・


張成沢

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