昨日の時点で、サダム国際空港の制圧をもってバグダッド市街戦が予想されているが、ために100万人規模の避難民が続出するのではないかと云われている。バグダッドの人口が500万人からして、5人に1人がバグダッドから逃げ出す計算になる。実際に避難する映像が流れているわけではなく、ペンタゴンにとって「そうなってほしい」誘導のための情報操作と受け取っても不自然ではないだろう。出来るだけ一般人を巻き添えにしたくないための情報操作と思われるが、何より米軍が恐れているのは長男ウダイが統率しているという民兵組織である。その人員数はペンタゴンも全くと云っていいほど把握しきれていないようだ。バグダッド死守を宣言する現イラク政府に、一般市民の民兵志願が増加すれば、それは自爆テロなどの肉弾戦へと泥沼化してしまう。
それを避けるためにもバグダッドからの避難民100万人という情報を意図的に流し、先手を打つ。「三十六計」で云うところの「無中生有」、「誑く(あざむく)は、誑くにあらず、その誑くところを実するなり。少しく陰、太だ(はなはだ)陰、太だ陽なり。無にして有を示すは、誑なり。誑は久しくすべからずして覚られ易し、故に無はもってついに無たるべからず。無中に有を生ず、すなわち誑よりして真たらしめ、虚よりして実たらしむ。無はもって敵を敗るべからざるも、有を生ずれば敵を敗る」簡単に云えば「無いものを有るように見せかける」ということ。以上、秘本兵法三十六計「第二部、敵戦の計」の中の「第7計、無中生有」のあらましである。避難民がまだ出ていない時点で、避難民続出の情報を流しイラク軍をあざむき、しかしながらあざむき通すのではなく、虚から実へと移行するよう工作する。
兵法に照らし合わせてもイラクの劣勢は否めないが、こうした米軍のあざむきに呼応して決死隊による首都の死守を図るイラク軍は、かえって自国を自滅へ追い込む形勢になってしまう。敵のあざむきに対処するにはより冷静さが求められる場面でもある。しかし、バグダッド死守がイラク軍による誑きとすれば様相は一変する可能性が出てくる。イラクのバグダッド死守貫徹があざむきなら、それは主力の転移ということになろう。つまり、現状では考えにくいことだが、すでにイラク軍の主力拠点はバクダッドではなく他に移されているのではないか?ということだ。秘本兵法最後の計「敗戦の計」には第33計の「反間の計」がある。「疑中の疑なり。これに比すること内よりすとは、自ら失わざればなり」すなわち「疑陣のうちに疑陣を設け、損害を出来るだけ少なくして反撃に備える」 私個人の勝手な推測では、バグダッドにフセイン大統領とその家族は居ない、と思い至っている。バグダッドの地下に網の目のように張り巡らされている、巨大な地下壕迷路を伝ってすでに逃亡している可能性のことである。
大統領宮殿攻撃の映像公開 米中央軍、ダム掌握も
【ドーハ3日共同】米中央軍のブルックス准将は3日、米特殊部隊がバグダッドの北西約90キロのタルタルにある大統領宮殿を急襲したが、指導部は見当たらなかったと述べた。准将は暗視カメラで撮影した宮殿攻撃時の映像を示し、作戦の成果を強調した。准将はまた、イラク北部のユーフラテス川流域のハディサにあるダムを3月31日に米軍特殊部隊が掌握した際のビデオ映像も公開した。准将は米地上軍のバグダッド突入時期については、米中央軍のフランクス司令官が判断するとして明言しなかったが、フセイン政権がイラク軍を統制できない兆候が強まっていると強調した。(共同通信)
この映像は私もテレビで見たが、その際に地下壕らしきものも一部写っていた。しかし、私がこれまで得た地下壕の資料からして規模が小さすぎる。あんなものではない、というのが私の正直な感想だ。1個師団程度なら容易に行き来できる大規模なものであるはずだ。もっとも、目的を果たせば用済みなのだから、地下壕の出入口など爆破するなり、閉ざしてしまえばいいわけだ。それでも痕跡は残る。最初に宮殿に突入した特殊部隊も、何かしら特別の極秘任務を担っていたと想像される。したがってマスコミ向けの支障のない映像とは別に、それら地下壕の全貌を映した映像があるのではないか?と憶測している。91年の湾岸戦争の時のように、今回も本物のフセイン大統領が生き延びるとすれば、むろん彼が政権に返り咲くことはないにしろ、予めそのように計画されていたことも考えられる。密かに囁かれているサダム・フセインのイスラエル・エージェント説の真偽のほどは知らないが、これでフセインの役目が終わるであろうことだけは確かだ。
【参照・地下壕関連=3月29日の日誌】
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