イラク開戦2003
03/04/05 (土)
声明で抗戦継続を呼び掛け フセイン大統領

 【バグダッド5日共同】イラクのサハフ情報相は五日、国営テレビで「侵入者への対抗措置を強化せよ」と米英軍に対する抗戦継続を国民に訴えるフセイン大統領の声明を読み上げた。大統領自身は登場しなかった。
 米軍の首都バグダッド進撃によって政権維持の正念場を迎えたフセイン大統領は、バグダッド攻防戦に向け、国民と軍の離反食い止めに必死になっている。
 大統領は声明で、首都バグダッドを「徳、信仰、ジハード(聖戦)のシンボル」と形容し、首都攻防戦の重要性をあらためて強調。「(米英軍を)疲弊させ、傷をさらに深くせよ。犯罪者は屈辱を味わうだろう」と呼び掛けた。(共同通信)
<イラク戦争>「首都攻防で数百人負傷」赤十字が公表

 赤十字国際委員会(ICRC)は5日、首都攻防戦で市内の四つの病院に数百人の負傷者が運ばれたとホームページ上で伝えた。負傷者が兵士か市民かは明らかにしていないが、市民は家にこもり、夜は猛烈な砲撃音で眠れない状態だという。ICRCによると、負傷者はバグダッド市内や近郊での戦闘や空爆で被害にあった。(毎日新聞)
首都突入の部隊、西方に移動=米中央軍

 【ドーハ5日時事】米中央軍のレニュアート作戦部長は5日、カタールのアッサイリヤ基地で記者会見し、イラクの首都バグダッドの中心部に進入した米軍部隊がその後、西方に向けて移動したことを明らかにした。 (時事通信)
バグダッド空港で自爆攻撃

 【カイロ5日時事】ロイター通信が5日、米海兵隊当局者の話として伝えたところでは、イラク進攻中の米軍部隊が掌握する首都バグダッドの国際空港で、同部隊に対する自爆攻撃が行われた。死傷者の有無は明らかでない。
 イラクのサハフ情報相は先に、空港奪還へ向け、4日にも「殉教作戦」が行われると言明。5日の記者会見では空港を奪取したと語っていた。 (時事通信)
首都中心部に「相当数」の部隊=イラクの空港奪還説を否定−米軍

 【ドーハ5日時事】米中央軍スポークスマンは5日、バグダッド中心部に「相当数」の米軍第5軍部隊がいるが、中心部を支配下に置いたとは言えないと述べた。
 その一方、「これはイラク国民を解放する継続的なプロセスだ」と語り、単なる偵察行動ではないと強調した。
 同スポークスマンは、イラク側が国際空港を米軍から奪還したと主張していることについて、「全くの虚偽だ。空港には米軍の大部隊がいる」と否定した。 (時事通信)
<イラク戦争>戦後の暫定政権を数日中にも公表か 米政府

 【カイロ支局】ロイター通信は5日、米政府はフセイン政権に代わるイラクの暫定政権を数日中に明らかにする可能性があると報じた。暫定政権の具体的な内容は不明だが、米当局者は同通信に対し「イラクの文民政権(樹立)に向けた一歩といえる」と述べた。

 一部報道では、米政府が暫定政権の組織として23の省庁設置を計画しているとされるが、同当局者は「大まかには合っているが、実際の計画より大げさに報道されている」と話した。

 ブッシュ米大統領は7、8の両日、英国の北アイルランドでブレア英首相と首脳会談し、イラク戦争や戦後復興などについて話し合う予定で、この首脳会談でも暫定政権構想が協議される見通しだ。(毎日新聞)
バグダッド進攻情報を否定…イラク情報相

 【カイロ=秦野るり子】イラクのサハフ情報相は5日1時(日本時間同日午後6時)過ぎ、バグダッド市内で記者会見し、米軍が同日午前にバグダッドに進攻したとの情報を否定した。

 さらには、イラクの精鋭部隊、共和国防衛隊が5日朝までに、バグダッドの「サダム国際空港」を米英軍から奪還したと主張した。

 同相は、「全てはうまく行っている」と語り、フセイン政権がバグダッドを完全掌握していると強調した。(読売新聞)
イスラム過激派義勇兵がバグダッド入り、イラク軍合流

 【ジャカルタ=黒瀬悦成】東南アジアのテロ組織「ジェマア・イスラミア」(JI)の傘下にあるイスラム過激派組織「ラスカル・ムジャヒディン」の幹部は4日、イラク戦争に参加するため同組織が派遣したインドネシア人の義勇兵10人が、このほどバグダッド入りし、イラク軍部隊と合流したと語った。

 この幹部は、「ほかにも約200人のジハード(聖戦)志願者が待機中だ」としている。(読売新聞)
<イラク戦争>大量の米部隊がバグダッド中心部に 攻略作戦開始

 米中央軍のソープ報道官は5日、米陸軍第3歩兵師団などの部隊が同日午前(日本時間同日午後)、バグダッドの中心部に進攻したことを明らかにした。米CNNテレビなどは「大量の部隊が首都に入った」と伝えた。米英軍の予想外に早い首都突入作戦で、フセイン・イラク政権は崩壊の危機に直面している。

 ソープ報道官は軍部隊の進攻について「偵察活動ではない。かなりの部隊が市中心部近くにおり、引き返す計画はない」と言明、本格的な首都攻略戦であることを明らかにした。

 米軍部隊は首都防衛と大統領警護を任務とする精鋭部隊のイラク軍特別共和国防衛隊などと交戦しているが、イラク側の抵抗は「散発的」で前進を続ける方針という。

 ロイター通信によると、複数の米軍当局者は、バグダッド市内の戦闘で米兵4人が負傷、うち1人は重体だと述べた。

 報道官は進攻した部隊の規模や作戦内容などは明らかにしなかったが、ロイター通信によると、先頭部隊はM1戦車エーブラムズ20両以上とブラッドレー装甲戦闘車10両で、首都南部の高速道路を通じて市内に進攻した。

 4日夜からの集中的な空爆を受けて、米軍の首都突入作戦が始まった。(ドーハ共同)(毎日新聞)
首都空港に米軍部隊1500人=周辺地域にも支配拡大−統参本部

 【ワシントン4日時事】イラクに進攻している米軍は4日、首都バグダッド近郊の「バグダッド国際空港」(サダム国際空港)を制圧し、陸軍第3歩兵師団の部隊など約1500人が空港の防御を固め始めた。
 さらに、増援部隊として陸軍第101空挺(くうてい)師団などから数百人が到着。空港に武器などを運び込む態勢もほぼ整った。
 また、米統合参謀本部のマクリスタル作戦副部長は4日の記者会見で、米軍が同空港周辺にも支配地域を拡大していると強調した。ただ、空港周辺では散発的に戦闘が続いているもようだ。 (時事通信)
イラク遺跡に荒廃の危機…米軍は「聖塔」保護で進駐も

 戦火が激しさを増すイラクは、メソポタミア文明発祥の地。旧約聖書の「バベルの塔」があったとされる古都バビロン、世界遺産の隊商都市ハトラ……。政府登録遺跡だけで約1万か所を数える“遺跡の宝庫”が、戦争で傷つくことを心配する声は強い。(ワシントン 大内佐紀、国際部 樋口郁子)

 米シカゴ大や日本の国士舘大などの考古学者グループは先月、空爆や地上戦が貴重な遺跡群に影響しないよう求める声明を、ブッシュ米大統領に送った。米統合参謀本部のマクリスタル作戦副部長は3日、「史跡、モスク(イスラム教礼拝所)などは標的リストから入念に外した」と説明。イラク南部をほぼ掌握した米軍も、約4000年前のジグラット(聖塔)が現存する古代都市ウルに、遺跡保護のための部隊を駐留させるなど配慮を見せている。ただ、国士舘大の藤井秀夫名誉教授(古代西アジア史)は「都市が栄えた遺跡のそばには、必ずと言っていいほど軍事施設がある」として、空爆の爆風などが周囲の遺跡に悪影響を及ぼす危険性を指摘。イラク側の民兵などが遺跡やモスクに立てこもり、破損などの被害を受ける可能性もある。

 さらに懸念されるのは、戦後の混乱が引き起こす遺跡の盗掘や遺物の盗難だ。湾岸戦争直後の反体制派暴動のさなかには、11か所の博物館が襲撃を受け、バグダッド中央博物館から“疎開”していた遺物や古文書などが紛失している。

 盗難文化財の輸出入を阻止する「文化財不法輸出入等禁止条約」や、武力紛争時の文化財保護について定めた「ハーグ条約」などが存在するが、盗掘文化財の市場を一掃することは困難だ。米英軍の監視が行き届かない場合、盗掘が横行する可能性は否定できない。(読売新聞)
<イラク戦争>「近くイラク全土を完全掌握」米国務長官が明言

 【ワシントン佐藤千矢子】イラクの首都バグダッド南西の国際空港を制圧した米地上部隊は4日、イラク側の散発的抵抗が続く中、数百人規模の部隊増強を図るとともに、空港周辺に支配地域を拡大した。パウエル米国務長官は同日、米英軍が「間もなくイラク全土を完全に掌握する」と明言した。

 また米統合参謀本部のマクリスタル作戦副部長は同日、イラク最精鋭の共和国防衛隊(6個師団)について、先に米国が「壊滅状態」とした2師団以外の4師団も「著しく戦力を低下させた」と強調した。

 同副部長は「国際空港には相当数の米地上部隊が展開し、周辺地域に支配を広げつつある」と述べた。米海兵隊は首都南東のクートからバグダッドへと北上を続け、2方向から首都攻略を目指す動きを加速させた。

 ロイター通信によると、米陸軍第3歩兵師団など約1500人が展開する同空港には、陸軍第101空てい師団などから数百人が増派される。同空港はバグダッド攻略の前線基地として使用される公算が大きい。

 クートからバグダッドを目指す海兵隊第1遠征軍は、共和国防衛隊アルニダ師団の抵抗にあったものの、同遠征軍当局者がロイター通信記者に語ったところでは「同師団はもはや効果的戦力ではない」という。

 しかし米CNNテレビは、共和国防衛隊が首都から空港へ向かっていると伝えており、米軍との戦闘が再燃する可能性もある。イラクのサハフ情報相は4日、イラク側が米英軍に「殉教攻撃」をかけると警告していた。(毎日新聞)

<イラク戦争>補正の戦費支出、大幅な裁量を 米議会に大統領 

 米議会上下両院がイラク戦争の戦費を賄うための約800億ドルの戦時補正予算案を可決したことを受け、ブッシュ米大統領は4日、「議会の果敢な行動が米軍のイラク戦勝利に不可欠な資源を与えてくれた」と歓迎する声明を発表した。そのうえで、ホワイトハウスや国防総省に資金支出の大幅な裁量を認めるように求めた。(毎日新聞)

首都パニック寸前?避難民の車列は10キロも

 【カイロ=平野真一】米英軍とフセイン・イラク政権の首都決戦が間近に迫る中、バグダッドでは4日夜、空爆と対空砲の応酬が続き、市民は不安な夜を過ごしている。疎開する市民も続出しており、首都はパニック寸前の状態となっている模様だ。

 空爆によって電話が通じないのに加え、大規模停電の影響で水道も止まり、日常生活に大きな支障が出ている。バグダッドからの報道によると、3日夜から停電が続いていた同市内では、4日夜になって一部で電気が復旧した。日中には発電機を求める市民が店に押し掛けたという。

 政府は停電が市民にもたらす心理的影響を懸念。国営テレビによれば、大統領府は4日夜、「バグダッドが明るいことが重要だ」として、発電機を備えている官公庁、企業、個人に対して「夜間停電時には必ず自家発電に切り替えよ」とする異例の命令を下した。

 市内約30か所の病院も停電の直撃を受けている。仏AFP通信によれば、国際赤十字委員会(ICRC)のバグダッド駐在医療コーディネーター、ペーター・タルブラ氏は4日、「自家発電はそう長くもたない」として、このまま停電と断水が続けば「人道的破局が起きる」と警告した。

 一方、激戦の巻き添えになるのを避けるため、他の都市に避難する市民も続出。米AP通信によれば、4日日中には、自家用車やバス、トラックに家財道具を満載して、米英軍の進撃ルートとは逆方向の首都北東ディアラ州方面へ逃げる車列が約10キロにもなったという。(読売新聞)

<イラク戦争>アルジャジーラが取材活動再開 取材禁止撤回で

 カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」は4日、イラク国内で停止していた特派員の取材活動を再開させた。同テレビ局は3日、イラク情報省が記者1人の国外退去などを何の説明もなく決めたことに抗議し、記者計8人の取材活動を中止していた。しかし、イラク当局が4日に決定を撤回したのを受け、活動再開を決めた。(毎日新聞)
<イラク戦争>フセイン大統領が街頭へ 国営テレビが放映

 イラク国営テレビは4日夜、フセイン大統領が首都バグダッドの街頭に突然現れ、市民に熱狂的な歓迎を受ける映像を放映した。

 自らの身の安全に細心の注意を払っている大統領が、群衆に囲まれる映像は極めて珍しい。米軍が首都近郊のサダム国際空港を制圧する中、自らの健在ぶりを示すことで、依然国内を掌握していることを内外にアピールする狙いがあるようだ。

 国営テレビは、大統領が米英軍の爆撃を受けた現場を視察したとも伝えている。映像の一部には背景に黒煙が見え、開戦後にイラク軍が空爆対策として石油を燃やした煙の可能性がある。

 この映像がいつ撮影されたのかは不明。大統領には「影武者」がいるとされており、映像の人物が「本物」かどうかも論議を呼びそうだ。

 映像は、軍服にベレー帽をかぶり、数人の護衛を従えただけの大統領が車を降り、通りを歩き始める場面で始まった。

 その後、興奮した市民が大統領の周囲に集まり始め、握手を求めたり、中には後ろから大統領に抱きついてキスする男性も。数百人に膨れ上がった群衆は「血も心もサダムにささげる」とこぶしを振り上げて大合唱。

 大統領も終始リラックスした表情で市民の歓声に応え、子どもを抱きかかえたり、高い所に上がって群衆に手を振るなどして、庶民的な指導者像を演出した。(バグダッド共同)(毎日新聞)
<イラク戦争>フセイン大統領の生死がカギ 市街戦目前の米英軍

 米英軍は3日、イラクの首都バグダッドのサダム国際空港を制圧したことで首都決戦に向けた足場を整え、次は市街戦を巡る攻防がヤマ場となる。米英軍は市街戦回避のためイラク市民の蜂起を期待しているが、それにはフセイン大統領の生死がカギを握り、米英軍にとってもこれから難しい局面を迎える。(毎日新聞)
フセイン大統領が街頭へ 「本物」かどうか議論も

 【バグダッド4日共同】イラク国営テレビは4日夜、フセイン大統領が首都バグダッドの街頭に突然現れ、市民に熱狂的な歓迎を受ける映像を放映した。
 自らの身の安全に細心の注意を払っている大統領が、群衆に囲まれる映像は極めて珍しい。米軍が首都近郊のサダム国際空港を制圧する中、自らの健在ぶりを示すことで、依然国内を掌握していることを内外にアピールする狙いがあるようだ。
 国営テレビは、大統領が米英軍の爆撃を受けた現場を視察したとも伝えている。映像の一部には背景に黒煙が見え、開戦後にイラク軍が空爆対策として石油を燃やした煙の可能性がある。
 この映像がいつ撮影されたのかは不明。大統領には「影武者」がいるとされており、映像の人物が「本物」かどうかも論議を呼びそうだ。
 映像は、軍服にベレー帽をかぶり、数人の護衛を従えただけの大統領が車を降り、通りを歩き始める場面で始まった。(共同通信)
シーア派寺院破壊で報復も

 【テヘラン4日共同】イランの国政に影響力を持つラフサンジャニ最高評議会議長は4日、テヘランでの金曜礼拝で、米英軍に対し、イラクのイスラム教シーア派寺院を傷つけた場合には報復があると警告した。国営イラン通信が伝えた。イランはシーア派を国教としている。
 議長は「(イランにとって)米国はイラクより危険で、イラク戦争で米国が勝者となることを望まない」と述べ、戦争にあらためて反対する立場を示した。(共同通信)
空港制圧後も凄惨な戦闘=イラク首都攻略へ重大局面−米英

 【カイロ4日時事】イラク戦争は4日、米陸軍が首都バグダッド中心部の南西約20キロのサダム国際空港をほぼ制圧した後もイラク軍の抵抗が続き、激しい戦闘が起きた。小銃で武装しただけのイラク部隊が米軍戦車部隊に突撃する場面もあり、空港攻防戦は凄惨(せいさん)な戦闘になったもようだ。米英軍は空港を確保したことで、今後、フセイン政権打倒へ首都市街戦を開始するかどうかを決断する重大局面を迎えた。 (時事通信)