03/02/05 (水)
今日のTV番組選別昨夜のニュースステーションでは元アメリカ国務省・北朝鮮担当のケネス・キノネス氏が寧辺(ヨンビョン)核開発センターの貴重な写真を公開していた。彼は1999年以降、のべ半年間にわたって核施設を視察、その時に撮った写真であるという。彼は北朝鮮の核施設があまりに粗末なのにショックを受けたと語る。
コンクリートは崩れかけ、機械は1950年代の旧式のものだった。異常事態に対応した防護壁もなく、特に天井は脆い構造になっていた。使用済み核燃料棒貯蔵施設には随時8000本の燃料棒が貯蔵されているが、驚いたことに燃料棒が腐食して水素ガスが発生していた。使用済み核燃料は化学薬品で再処理され、その全てが再処理されると長崎型原爆6個分の製造が可能になる。施設内の何処にも放射能測定装置は見当たらず、彼らは査察団が用意した黄色い防御服さえ着ようとしなかった。北朝鮮では「黄色は臆病者の色」と云うのだ。核研究施設の入り口には巨大なコンクリートの金正日の肖像画があった。こういう肖像画は北朝鮮でもここでしか見られなかった。これは金正日が北朝鮮の核計画を始めたことをはっきり示すものだ。だからこそ核施設の入り口に金正日の肖像画が掲げられているのだ。彼個人のプロジェクトなんだ。核開発は金正日にとって権力と支配の象徴となっている。
核燃料貯蔵施設 先月1月31日付のニューヨーク・タイムズ紙は、米国の偵察衛星が北朝鮮の寧辺で、核施設の貯蔵庫から運び出された使用済み燃料棒とみられる積み荷を運ぶトラックの大規模な動きを探知した、と報じた。北朝鮮が核兵器の製造に向けたプルトニウム抽出の準備を始めたのではないかとの見方が米政府に浮上しているという。使用済み燃料棒の再処理に向けたものであれば、3月中に兵器級プルトニウムの生産が始まるとみられている。貯蔵施設と再処理施設は九龍江を挟んでそれぞれ南北に2キロほど隔てた所にある。北に5メガワットの国産試験用原子炉のある「核燃料棒貯蔵施設」があり、そこから南に2キロ隔てた所に「使用済み燃料再処理施設」が存在する。ここは別名「放射化学実験所」とも呼ばれている。さらにそこから南に1キロほど下った場所に「12月企業所」という施設が並んでいるが、実際には「燃料棒製造及び組立施設」となっている。ちなみに「1月企業所」とは平山(ピョンサン)のウラン鉱山を指し、第2軍団司令部が管轄、隣接して巡航ミサイル基地がある。また「4月企業所」とは順川(スンチョン)のウラン鉱石精錬中間工場を指している。寧辺の核開発センターについてはニュース記事「北朝鮮の核施設、寧辺が拠点 プルトニウム隠し持つ?」に関連して、去年10月19日の日誌で詳しく解説している。なお当時の略図ではまだ分かっていないこともあって、一部訂正を含め、新事実を付加した新たな略図をつくる予定である。
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