北朝鮮の核施設、寧辺が拠点 プルトニウム隠し持つ?
米カーネギー国際平和財団などの資料によると、北朝鮮の核開発は50年代早々に始まったとみられるが、開発疑惑が問題になったのは80年代に入ってからだ。米情報機関は北朝鮮の核開発について、核兵器1、2個分のプルトニウムを実験炉から抽出し、隠し持っている疑いが強いとみている。
平壌の北約90キロにある寧辺(ヨンビョン)の放射化学研究所が拠点で、5メガワット級の実験用原子炉のほか、建設途中の50メガワット級の大型原子炉、使用済み核燃料再処理施設、燃料棒製造工場、燃料貯蔵施設、研究用原子炉などの施設がある。94年の枠組み合意でその大半の使用、建設が凍結された。使用済み核燃料には核兵器5、6個分にあたる25〜30キロのプルトニウムがあるとみられるが、枠組み合意に基づき米朝両政府は00年までに密封作業を終えた。 寧辺の北西約20キロの泰川(テ・チョン)にある200メガワット級の原子炉も同合意で建設を凍結した。同約40キロの金昌里(クムチャンニ)では、地下に原子炉や再処理施設を建設しようとした疑いが浮上したが、交渉の末、北朝鮮は00年までに2回、米政府の立ち入り訪問を認めた。 寧辺では、94年の米朝枠組み合意がなければ、大型原子炉が完成し、年間で核兵器50個分のプルトニウム生産が可能だった。その場合、イラン、リビア、シリアなどにプルトニウムが渡る可能性があったとしている。また、01年に出た米議会報告書は、北朝鮮がプルトニウムをロシアから密輸する可能性にも触れ、実際に密輸を試みた疑いのある事例も指摘している。
衛星写真の左上(写真では見えないが)、九龍江の河を境に8メガワットの研究用原子炉(ロシア製)や試験用原子炉(国産)がある。写真中央の軍隊兵営は通称「ビル500」と呼ばれ、ワシントンのNPIC(国家写真解析センター)において地下に廃液貯蔵タンクがあるとみられている。衛星写真があまり鮮明ではないが、場所を特定してみた。【参照=寧辺の核開発センター】 この軍隊兵営に隣接して長さ180メートルに及ぶ放射化学実験所があり、ここでは核爆弾の材料ともなるプルトニウム抽出が行われる。その抽出過程で輩出される高レベル放射能廃液が、隣接する軍隊兵営の地下タンクに貯蔵されているものと思われている。この貯蔵タンクを建設している様子が1989年の衛星写真で確認され、1992年にはタンクを埋めているところが映し出されていたという。これらは同年、1992年のIAEA(国家原子力機関)の核査察でも見つからなかったが、周辺の樹木が枯れていたところから偽装工作の疑いが持たれている。北朝鮮全土の核開発実態を把握するには北朝鮮核開発地図を参照にされたい。
【参照=北朝鮮の核開発動向(2002/10/16-10/18)】
【視聴予定】
■19:30-20:45 NHK総合 スペシャル「どうする食の安全」
BSE・偽装表示・違法農薬…なぜ?▽激論主婦
VS 行政▽意外?関係者が語る事件の真相▽クイズで知る表示と農薬の実態
■22:00-23:24 TBSテレビ ブロードキャスター
遠かった故郷…涙と笑顔の陰にある思いとは▽バリ島現地取材”神々の島”で爆弾テロ
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