02/12/01 (日)
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サウジ、市場での影響力拡大へ=原油増産急ぐ−Wポスト
 【ワシントン30日時事】30日付の米紙ワシントン・ポスト(電子版)は米政府や中東諸国の当局者らの話として、米国のイラク攻撃の可能性などで原油市場の先行きに不透明感が広がる中、サウジアラビアが世界市場での影響力を一段と強めようとしていると伝えた。米エネルギー省によると、サウジは過去数カ月間に米国への最大の原油供給国となっており、12月は一段の供給拡大を申し出ている。

 この原油供給推進の黒幕はサウジの投資家ゼネラル・コントラクディング社のスリマン・オラヤンだろう。彼はオクシデンタル石油やモービル石油に投資し、J・P・モルガンとチェース・マンハッタン銀行の大株主として君臨している。ちなみにチェース・マンハッタン銀行の筆頭株主は我らがデヴィッド・ロックフェラーだが、二番目の大株主がスリマン・オラヤンであった。スリマンの母親はヘヤ・ガネムといい、世界のならず者と烙印を押されたウサマ・ビンラディンの母親がアリア・ガネムであった。この二人の母親の名前の符合はガネム姉妹を想像させるに十分ではあるが、今のところその証拠はない。【関連】ビンラディン一族とカーライル・グループ(今年5月23日の日誌)スリマン・オラヤンはハリド王子(イブン・サウドの甥-8月27日の日誌参照)と事業を興しているが、1980年にその投資会社の会長として迎えたのがかつての財務長官ウィリアム・サイモンであった。ロックフェラーとモルガンという世界の大富豪が支配する投資会社ブライス・イーストマン・ディロンの副社長を歴任していた。そして昨日の日誌で少し触れたエネルギー&国防産業のドン・チェイニー副大統領が会長の石油採掘会社ハリバートンの重役椅子にもサイモンは座っている。こうした背景から必然的に導き出されるのがスリマン・オラヤンであり、彼を取り巻くただならぬ顔ぶれからも今後の動向が気になる存在となろう。

<新日本石油>カザフから原油を初輸入 中東依存脱却図る
 新日本石油は28日、中央アジアのカザフスタンから日本で初めて原油を輸入することを明らかにした。来年2月に最初の100万バレルが到着する。日本は原油の約87%を中東に依存し、イラク情勢が悪化すると輸入に支障が出る可能性があるため、石油元売り各社は中東以外からの調達を模索している。カザフスタンは大量の埋蔵量が確認され、将来的に日本への輸入拡大が期待されている。
 新日本石油が輸入するのは、欧米企業が開発したテンギス油田(日量25万バレル生産)で、将来は60万バレルを生産する。カスピ海沿いのパイプラインで黒海に面したロシア・ノボロシスクからタンカーに載せ、スエズ運河を経て日本に運ぶ。日本まで約40日間かかり、中東の約20日間の倍だが、新日本石油は「運賃と原油代を合わせた到着価格は中東産原油よりも安い」という。同社は今月からアンゴラ、ナイジェリアなどのほか、12月にはロシア黒海沿岸から輸入するなど調達先の多様化を進め、11月〜来年2月は中東依存度を現行の約87%から約10ポイント下げる方針だ。 【川口雅浩】
●原油の中東依存度
 73年の石油危機当時は73%だったが、「エネルギーの安定確保」のため、石油元売り各社がインドネシアや中国、メキシコなどからの輸入を拡大し、85年は68%に低下した。しかし、90年代以降、再び80%以上に上昇。輸入先の多様化は、日本のエネルギー安定供給の課題となっている。

 テンギス油田とノボォロシスク1580キロを結ぶカスピ海パイプライン・コンソーシアム(Caspian Pipeline Consortium)略してCPCルートは、総工費26億ドルをかけて1995年5月に工事が着工された。アメリカはその三年前、1991年に就任したばかりのカザフ大統領ヌルスルタン・ナザルバエフとの間で、テンギスとコロレフスコエ油田開発のための契約に調印している。ここまではシェビロン(ソーカルとガルフ石油が合併)の独壇場で、テンギスシェヴロイルという開発プロジェクトを稼動させようとソーカル重役でもあるカーラ・ヒルズ通商代表が圧力をかけていた。調印を前にしてロバート・モスバッカー前商務長官やベーカー国務長官らも暗躍していた。モスバッカーはブッシュ大統領の親友として、調印後にはその息子もアゼルバイジャンのパイプライン利権屋として登場する。彼はブッシュ共々テキサス油田の利権屋であり、アメリカ石油協会理事と全米石油協議会会長を歴任した大物であった。ベーカー国務長官に至ってはその名門閨閥をフルに活用してモスバッカー、英国首相ジョン・メイヤー、仏外相ローラン・ディマ、イスラエル首相シモン・ペレスらを新設したジェームズ・ベーカー研究所に迎えている。アメリカがカザフの油田にかける意気込みが伝わってくる。カザフだけで200億バレルの石油埋蔵量が確認されているが、2000年7月にはカスピ海探査区域で推定500億バレルという途方もないカシャガン油田が確認され、日本石油公団が半分近くを出費している「インペックス北カスピ海石油」でも色めき立っている。累積赤字6158億円という、これまた途方もない赤字を抱えた石油公団だが、いかにカザフの安い原油を手に入れても穴埋めとはならないだろう。カシャガン油田をめぐってはエクソン・モービル、BPアコモ、フィリップス石油メジャー三社によるカザフ政府閣僚への熾烈な賄賂攻勢が展開中との噂が絶えない。カスピ海油田にはもう一つBTCルートがある。バクー(Baku)からトビリシ(Tbilisi)を経由してトルコのジェイハン(Ceyhan)に至るこのルートは、その地名の頭文字を取ってBTCルートと呼ばれる。ちなみに日本が輸入するカザフの原油にも硫黄分が多いなどの問題が残されているようだ。サウジの原油増産の理由も、こうしたカスピ海油田を視野においた焦りともいえよう。そういう意味でも中東の原油に頼らなくても済むほどに、今後の中東情勢はさらにきな臭くなっていくという予測が出てしまうのだが。
【参照】カスピ海油田ルート略図
 今夜のテレビ番組では観たい番組が重複している。バチカンのことも知りたいし、北朝鮮のことも知りたい。こういう時は録画と裏番組視聴を併用するしかない。バチカンに関しては「美しい神の国」とあるように、TBSらしいきれいごとで済ませるだろう。バチカンの実態についてはこれまで何度か日誌に書いてきている。今年5月の日誌には、映画「ゴッド・ファーザー」のモデルともいわれるマフィアの頭目ジョゼフ・ボナーノの死去から、マフィアとバチカン銀行、そしてCIAなどの絡みで書いている。【参照】5月15日-16日-17日-19日-20日-21日 これらも後でまとめてみたい。

【追加】イラク総攻撃予想マップ
【視聴予定】
選別対象局→NHK総合 NHK教育 テレビ朝日 日本テレビ TBSテレビ フジテレビ
17:30-18:24 TBSテレビ 報道特集 新幹線八戸延伸の現実▽児童虐待どう防ぐ?
21:00-21:50 NHK総合 NHKスペシャル「エイズ・世界はどう立ち向かうべきか」 アフリカの悲劇▽タイ感染者の闘い
22:30-24:00 フジテレビ EZ!TV 日本海に謎の袋プカプカ…追跡”北朝鮮と覚せい剤”▽実録・大型スーパー経営破たんから2年…従業員5000人命運かけ”再建”への闘い70日
23:00-24:00 TBSテレビ 世界遺産スペシャル バチカン・世界で最も小さく最も美しい神の国のすべて
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