イスラエルVSパレスチナ
2002/8/21<中東政策>米国が民主化促す計画発表へ 米紙報道
【ワシントン布施広】21日付のワシントン・ポスト紙は、パウエル米国務長官が9月にも、中東の民主化や政治改革を促す事業計画を発表すると報じた。ブッシュ政権はアラブ諸国に反米感情が根強いことを懸念、一連の事業を通じて、新たな米・アラブ関係の構築をめざす方針だ。しかし、アラブ側が米国の「内政干渉」と受け取れば、改革は逆効果に終わる可能性もある。
米政府が検討する事業計画には、経済、教育、政治面の改革推進が含まれ、政治活動やジャーナリズム、労働運動の指導・訓練も行う。これらのパイロット事業には約2500万ドルを投入する方針で、現行の総額10億ドルの中東支援も効率的に見直すという。事業の対象となる国は明らかでない。
ブッシュ政権は今月、エジプトの人権状況を理由に、同国が求めていた追加支援を拒み、伝統的に良好な米・エジプト関係に波乱が生じた。米政府は、保守的なイスラム的統治を行うサウジアラビアなどにも不満を持っている模様だが、西側の民主主義や人権の観念をそのまま適用すれば、アラブ・イスラム諸国の反発は避けられない。
同紙によると、ブッシュ大統領は、親米陣営のエジプトやサウジなどとの関係悪化を懸念、事業計画は「控えめ」に推進するという。しかし、ある当局者は「現実的」に対処するとしながら「従来より、明確にものを言う」と同紙に語り、グローバリゼーション(地球規模化)に対応した中東世界をつくる必要性を強調している。
「テロとの戦争」を続ける米国は、軍事力だけでなく、各種の改革を通じて反米感情の緩和を目指す姿勢を明確にしたことになる。しかし、イスラエルの武力使用と占領を事実上黙認しながら、アラブ・イスラム世界の改革を目指すブッシュ政権の姿勢が、新たな反米感情を生む危険性も捨て切れない。(毎日新聞)<中東情勢>ニダル氏の「死因は自殺」 イラク副首相
【エルサレム海保真人】バグダッドからの報道によると、イラクのアジズ副首相は20日、パレスチナ・ゲリラの指導者、アブ・ニダル氏(65)がバグダッドで死亡したとの報道を認めるとともに、「彼は自殺した」と、初めてイラク側の公式見解を明らかにした。
アジズ副首相は詳細な説明を避けたが、イラク当局筋によると、ニダル氏は昨年、偽造旅券で入国して、すぐに見つかり、軟禁状態に置かれた。その後、外部組織と接触し、イラク政府に対する陰謀を企てていたとの嫌疑をかけられ、先週、自殺したという。
パレスチナ側の一部情報でも、ニダル氏はシリアとヨルダンのイラク反体制組織と接触していたとの情報はあるが、がんを苦にした自殺説も出ている。生存中もなぞの多かった人物だけに、死の真相も、はっきりしないようだ。(毎日新聞)