イスラエルVSパレスチナ
2002/8/16米・エジプト対立表面化、追加援助を停止
【カイロ16日=平野真一】ブッシュ米政権がエジプト当局による人権活動家収監を理由に同国からの追加経済援助要請を拒否したことで、両国間のきしみが表面化している。親米・穏健派アラブの中核エジプトは、米国にとってアラブ世界最大の盟友であり、中東政策の要としてイスラエルに次ぐ援助をつぎ込んできた。米国の強硬姿勢の背景には、パレスチナ紛争や対テロ戦争への対応をめぐる不満もあるとの見方が強い。
問題の発端は、エジプト治安当局が一昨年、著名な民間研究所「イブン・ハルドゥーン・センター」のサアド・エッディーン・イブラヒム所長(63)を、政府の許可なく欧州連合(EU)から総選挙監視のための資金提供を受けたとして逮捕したこと。昨年の一審、先月末の差し戻し審とも、横領や国家の名誉を傷つけた罪などで禁固7年の実刑判決を受けた。
所長が米・エジプト2重国籍だったこともあり、米国はEUとともに「民主化運動弾圧」と批判。ホワイトハウスは15日、エジプトから求められていた1億3000万ドルの追加援助を拒否すると発表した。年間約19億ドルの経済・軍事援助本体は続けられるが、新規援助は人権問題改善とリンクさせる方針を打ち出したものと言える。
国際人権団体はムバラク・エジプト政権が人権弾圧を進めていると度々批判してきたが、米国は同盟国への配慮からこれまで厳しい態度を取ってこなかった。ここに来て態度を強めた背景には、パレスチナ問題で駐イスラエル大使を召還するなど反イスラエル姿勢を強め、対テロ戦争でもあまり積極的でないエジプトへの不満があると見られる。(読売新聞)
イスラエル兵が5歳男児射殺、祖父ら2人重傷
【エルサレム16日=当間敏雄】パレスチナ自治区ガザからの情報によると、ガザ南部ハンユニスで15日午後、5歳の男児がイスラエル兵の銃撃で頭を撃たれ死亡、男児の祖父ら2人が重傷を負った。目撃者の話によると、隣接するユダヤ人入植地に駐留する兵士が住宅地に向け発砲した。イスラエル軍は武装パレスチナ人から銃撃を受けたため応戦したと説明しているが、パレスチナ側は突然の発砲だったと主張している。
ガザ南部キシュフィム検問所付近では同日夜、イスラエル領への侵入を図ったパレスチナ人2人が軍兵士に射殺された。2人は爆発物や手りゅう弾、銃で武装しており、テロを計画していたと見られる。
一方、パレスチナ自治政府のシャース国際協力相は同日、パレスチナ放送とのインタビューで、自治政府がイスラム原理主義組織ハマスとの間で行っていた自爆テロ停止に向けての協議や、ハマスを含むパレスチナ全政治勢力を取り込んだ「民族統一内閣」樹立への試みが失敗に終わったことを明らかにした。(読売新聞)
イスラエル、イラクの攻撃懸念で種痘開始
[エルサレム 15日 ロイター] イスラエル政府は、米国がイラクに対して攻撃を行えば、イラクがイスラエルを攻撃するとの不安が高まるなか、天然痘(とう)予防の種痘を開始し、近いうちに一般人向けで放射性元素吸収防止のための錠剤を配布する、と明らかにした。
厚生省は、保険医療関係者700人に種痘を済ませ、警察官、救急隊員、病院スタッフなど、さらに15万人についても種痘を実施するかどうか、政府の判断を待っている、としている。
厚生省のイド・ハラリ報道官は、「種痘の対象者について正確なリストはまだできていないが、対象者は1万5000人から15万人になる」と語った。
同国の原子力エネルギー委員会は、国内2カ所の原子炉の近在に居住する人々を対象にして、放射性元素吸収防止のためのヨード剤を配布する、とした。しかし、イラクからの脅迫を受けた対策ではない、と否定している。(ロイター)