イスラエルVSパレスチナ
2002/8/6

<国連総会>イスラエル非難決議を採択 圧倒的多数が賛成

 【ニューヨーク上村幸治】国連総会は5日、中東問題を協議する緊急総会を開き、イスラエル非難決議を賛成114、反対4(米国、イスラエルなど)、棄権11で採択した。安保理決議と違って法的拘束力はないが、100カ国を超える圧倒的多数が賛成したことで、国際世論がイスラエルに厳しい見方をしていることが明らかになった。

 決議は南アフリカがまとめたもので、パレスチナや欧州連合(EU)も共同提案国に名を連ねた。イスラエル軍に対して、パレスチナ自治区から即時撤退するよう求めるとともに、医療・人道支援の要員がパレスチナ住民のいる地域にいつでも自由に入れるようにすべきだとした。

 同時に、イスラエルとパレスチナ双方による「市民へのあらゆる攻撃を非難する」という項目も書き込まれた。

 この日の総会は、国連がパレスチナ自治区ジェニン難民キャンプの虐殺疑惑に関する報告をまとめたのを機に開かれた。

 国連報告は、ジェニン疑惑について「虐殺」という言葉を使わず、虐殺があったとするパレスチナ側の主張を事実上、退けた。しかし、パレスチナの一般住民20人ほどが殺されたことは示唆している。

 イスラエルが、国連ジェニン調査団の受け入れを拒否し、最後まで調査に抵抗した経緯があり、総会ではアラブ諸国以外からも、厳しいイスラエル批判の声が出た。(毎日新聞)

イスラエル武装ヘリがガザの工場を空爆、5人負傷

 【エルサレム6日=当間敏雄】イスラエル軍は5日夜、パレスチナ自治区ガザ市南東部にある金属工場を武装ヘリでミサイル攻撃、破壊した。パレスチナ人少なくとも5人が負傷した。軍は、パレスチナ過激派の「武器製造拠点」を攻撃したとの声明を出し、ガザ地区の「テロ基盤」破壊を継続することを強調した。

 ガザ市空爆は、イスラム原理主義組織ハマスの軍事部門トップを殺害した先月23日未明の攻撃以来。今回の攻撃ではミサイル少なくとも3発が撃ち込まれ、建物が炎上、市内に爆発音が響きわたった。

 一方、イスラエル北部ウムエルファヘム郊外の交差点で5日夕、乗用車が爆発し、パレスチナ人1人が即死、運転席のアラブ系市民が重傷を負った。パレスチナ人が自爆用に身に付けた爆弾が誤って爆発した模様だ。警察当局は、パレスチナ人がテロを実行しに行く途中だったと断定した。

 イスラエルでは4日にも北部ツェファト近郊でバス爆破テロがあり、自爆犯を含め10人が死亡するなど過激派のテロが活発化したため、軍が5日、ヨルダン川西岸北部の主要都市をほぼ完全に閉鎖したばかりだった。

 また、ロイター通信によると、西岸のナブルスでは同日、外出禁止令を破ったパレスチナ人グループにイスラエル軍兵士が発砲、14歳のパレスチナ人少年が死亡したという。(読売新聞)

<米国務省>アーミテージ国務副長官がアジア5カ国歴訪へ

 【ワシントン佐藤千矢子】米国務省は5日、アーミテージ国務副長官が今月22日から28日までスリランカ、インド、パキスタン、中国、日本のアジア5カ国を歴訪すると発表した。27、28両日の訪日では、外務省の竹内行夫事務次官と外交・安全保障問題を包括的に協議する「日米戦略対話」を行う。次官級の戦略対話の開催は初めて。

 日米戦略対話は昨年6月の日米首脳会談で合意されたが、同時多発テロ発生に伴い日程調整が難航、合意から1年以上を経て実現することになった。対話では、アジア・太平洋地域に限定せず、中東情勢などの地域課題や、テロ対策やミサイル防衛など地球規模の課題について、幅広い意見交換を行う予定。米国のイラク攻撃の可能性と、それに伴う日本の対応についても突っ込んだ議論が行われる見通しだ。

 25〜27日の北京訪問では、江沢民・中国国家主席が訪米して10月25日にテキサス州クロフォードで開かれる米中首脳会談に向け、中国政府高官らと意見交換する。

 また22日にスリランカのコロンボ、23日にニューデリー、24日にイスラマバードを訪問。先のパウエル国務長官によるインド、パキスタンなど歴訪での両国間の対立解消に向けた調停努力をさらに進めたい考えだ。(毎日新聞)

<中東情勢>イスラエル軍、ガザをミサイル攻撃 報復続く

 イスラエル軍は5日深夜、パレスチナ自治区ガザ市を武装ヘリでミサイル攻撃した。パレスチナ側の情報では、この空爆でパレスチナ人4人が負傷した。イスラム原理主義組織「ハマス」などが行った爆弾テロに対する報復攻撃とみられる。イスラエル軍は空爆を「テロ基盤を破壊するための作戦で、今後も続ける」と説明した。(毎日新聞)

イスラエル、イラクの生物兵器に備えて天然痘ワクチンを追加製造

 [エルサレム 5日 ロイター] イスラエル保健省は、イラクが米国の攻撃を受けた場合、報復としてイスラエルを生物兵器で攻撃するとの観測があることから、新たに天然痘ワクチンを製造していることを明らかにした。
 保険省の報道官は、イスラエルにはすでに600万人を超える国民に十分な量のワクチンがあり、およそ30万人の外国人労働者、観光客などのために追加製造を行っている、と述べた。(ロイター)