イスラエルVSパレスチナ
2002/8/5

<中東情勢>イスラエル外相とエジプト大統領が会談

 パレスチナ情勢の打開を目指し、ペレス・イスラエル外相とムバラク・エジプト大統領が5日、カイロで会談した。会談後、ペレス外相は衝突の原因やアラファト・パレスチナ自治政府議長に対する考え方で両国間に相違があることを認め、事態収拾の難しさを浮き彫りにした。(毎日新聞)

イスラエル軍、西岸の自治区5都市を完全封鎖

 【エルサレム5日=当間敏雄】イスラエル軍は5日、同国北部で4日発生したバス爆破テロなどパレスチナ過激派のテロ続発を受け、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区主要7都市のうち5都市をほぼ完全に封鎖、人道目的以外の車両の通行を禁止した。ベンエリエザー国防相は「さらに封鎖を強化する」としており、パレスチナ住民の苦境が一層深刻化する懸念が強い。

 5都市は西岸北部にあるナブルス、ジェニン、トゥルカレム、カルキリヤ、ラマッラで、軍は、人道目的や医療活動などを例外として、都市間の車両移動も禁止した。これにより住民の日常生活は完全に阻害されることになった。

 軍は同日未明、ガザ地区でも南北をつなぐ幹線道路に戦車などを展開、銃撃戦が頻発している南部ラファを周辺部から切り離して完全に孤立させた。

 イスラエル軍は6月下旬以来、西岸7都市に侵攻して「再占領」を継続しているが、イスラム原理主義組織ハマスの幹部を殺害した先月のガザ市空爆をきっかけにテロが再燃、軍事力によるテロ対策が逆にテロを誘発する悪循環に陥っている。「過激派と一般住民を区別する」との説明とは裏腹に、テロ発生のたびに住民への締め付けがエスカレートする構図となっている。(読売新聞)

イスラエルが全員にワクチン接種検討、イラク対策で

 【エルサレム5日=当間敏雄】イスラエル治安当局が、イラクからの生物兵器攻撃に備え、国民全員への天然痘ワクチン接種を検討していることが5日までに分かった。イスラエル紙マアリブなどが伝えたもので、軍兵士など治安当局者や救急要員らへの先行接種が数日中にも決定される方向という。

 同紙によると、治安当局はイラクのフセイン大統領が自身の抹殺や体制転覆の危機を認識した場合、生物兵器の使用を決断する可能性があると分析し、国民へのワクチン接種の必要性を政府に勧告した。

 イスラエルは大量の天然痘ワクチンを保有しているが、米国からイラク攻撃の事前通告を受けた後では接種が間に合わないことを懸念しているという。

 イラクは湾岸戦争中の1991年1月から2月にかけ、パレスチナ紛争と湾岸戦争をリンクさせることを狙ってスカッド・ミサイル39発をイスラエルに発射したが、この時は、生物兵器などは搭載されていなかった。イスラエル情報機関は、イラクが生物兵器を開発済みと見ている。(読売新聞)

自爆テロを非難=外務報道官

 外務省は5日、イスラエル北部で4日に発生した自爆テロについて「残虐なテロ行為を断固として非難する。アラファト・パレスチナ自治政府議長に過激派取り締まりに最大限の努力を払うよう改めて強く求めるとともに、イスラエルに最大限の自制を期待する」との高島肇久外務報道官談話を発表した。 (時事通信)

国連事務総長、イスラエルとパレスチナに報復の停止を訴える

 [国連 4日 ロイター] 国連のアナン事務総長は、イスラエルとパレスチナ双方に対し、“互いに対する怒りと憎しみ”を増幅させるだけだとして、攻撃と報復の連鎖を断ち切るよう求めた。
 アナン事務総長は声明の中で、パレスチナ人過激派は“無差別テロ”の手段にでていると指摘する一方、イスラエルの報復措置の“パレスチナの普通の人々に与える影響も同様に破壊的である”としている。
 そのうえで、同事務総長は「民間人に対する攻撃は、不道徳、違法であると同時に、政治的に逆効果であると何度、指摘しなければならないのか」と問いかけた。
 イスラエル北部では4日、混み合うバスでパレスチナ人の自爆テロが発生し、少なくとも9人が死亡、50人が負傷。その数時間後、東エルサレムで10代のパレスチナ人が発砲し、イスラエル人1人を射殺。警察との銃撃戦で、この武装パレスチナ人と1人が巻き添えで死亡した。
 (ロイター)

<中東情勢>ユダヤ人入植地で銃撃 イスラエル人家族4人死傷

 【エルサレム支局】イスラエル軍によると、ヨルダン川西岸のラマラとナブルスの間にあるユダヤ人入植地で5日未明、イスラエル人の乗った車が、パレスチナ武装集団の待ち伏せ攻撃に遭い、夫婦が銃で撃たれ死亡、同乗の子供2人が負傷した。

 一方、ナブルス近くの村でも同日未明、パレスチナ人とイスラエル軍が銃撃戦となり、パレスチナ人2人が死亡した。

 4日にはイスラエル北部のメロンで、走行中の路線バスで自爆テロが発生し乗客ら9人が死亡しており、イスラエル・パレスチナ双方の対立は激しさを増している。(毎日新聞)

自爆テロなどで12人犠牲のイスラエル、報復強化の見通し

 [エルサレム 5日 ロイター] イスラエルで4日と5日未明にかけて、自爆テロや銃の乱射などでイスラエル人12人が死亡した。イスラエル政府は予定されていたパレスチナ自治政府との協議を中止し、報復措置を強化する見通し。
 4日朝、イスラエル北部で、ほぼ満員のバスがパレスチナ人の自爆テロで大破し、9人が死亡、60人近くが負傷した。
 その数時間後、東エルサレムのダマスカス門の外で、19歳のパレスチナ人がイスラエル人を射殺、警察と銃撃戦になり、このパレスチナ人と通りがかりの1人も死亡した。
 また、イスラエル軍によると、5日未明、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地付近で、車に乗っていたイスラエル人2人が射殺され、同乗の2人が負傷した。
 イスラエル首相府のギシン報道官は、4日の事件を受け、同国政府が今週予定していたパレスチナ自治政府との治安協議と、ヨルダン川西岸のパレスチナ都市の外出禁止令の緩和を中止することを明らかにした。
 また、イスラエル軍ラジオによると、ベンエリエゼル国防相は側近と会談し、報復措置の検討に入った。
 イスラエル軍の報道官は、今後予想される報復行動について詳細を語ることを避けたが、いくつかの都市の封鎖の強化はやむを得ず、ここ数週間同様、テロリストに対する戦いを続けていくと述べた。(ロイター)

イスラエルでの自爆テロに「心を痛めている」=米大統領

 [ケネバンクポート(米メーン州) 4日] ブッシュ米大統領は、イスラエルで起きた最近の自爆テロについて、「心を痛めている」と述べ、あらゆる国が「テロ停止」に向けて働きかけるべきだ、と訴えた。
 大統領は、父親のブッシュ元大統領とゴルフを行う前、記者団に対し、「中東やアラブ諸国、欧州、世界各国の平和を切望する人々のために、テロ停止に向けて可能なことをすべて実行しなくてはならない」と語った。(ロイター)