イスラエルVSパレスチナ
2002/8/2

イスラエル軍ナブルス侵攻、パレスチナ人2人が死亡

 【エルサレム2日=当間敏雄】イスラエル軍は2日未明、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ナブルス中心部に戦車や装甲車約150両で侵攻、過激派の掃討作戦を開始した。激しい銃撃戦も発生し、少なくとも武装パレスチナ人2人が死亡した。

 エルサレムのヘブライ大学で7月31日に発生したイスラム原理主義組織ハマスによる爆弾テロ(米国人留学生ら7人が死亡)への報復作戦の一環。ナブルスは、ハマスやパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの活動拠点で、軍高官は「テロ網の除去が作戦目的」と語った。

 部隊は4方向から市内に侵攻し、中心部の旧市街を完全包囲して過激派摘発のため民家を1軒ずつ捜索。兵士らは過激派の狙撃を避けるため一部で民家の内壁を破壊しながら移動しているという。「爆弾製造所」とみなした建物の破壊なども意図している模様だ。

 軍はナブルス近郊の村でも同未明、ハマス活動家宅を急襲、活動家が「逃走を図ったため」射殺した。

 一方、軍は同未明、西岸自治区のヘブロンとトゥルカレムでパレスチナ人の民家を爆破した。ヘブロンの民家は昨年11月にエルサレムで起きた銃撃事件の犯人の家族宅。トゥルカレムの民家は、昨年3月にネタニヤで起きた自爆テロの犯人の家族宅という。また、西岸を管轄する中央軍司令官は1日、テロ犯の家族ら2人を西岸からガザ地区へ追放する命令書に署名した。実施されれば一昨年秋に衝突が始まってから初のテロ犯家族の追放処分となる。イスラエル当局は、こうしたテロ犯家族への“懲罰”が、過激派にテロ決行を躊躇させる抑止効果を狙ったものであることを認めている。(読売新聞)

<米大統領>ヘブライ大学での爆弾テロ「怒り狂っている」と激怒

 【ワシントン中島哲夫】ブッシュ米大統領は1日、二重国籍者1人を含む米国人5人が死亡したエルサレム・ヘブライ大学での爆弾テロについて「私は今、イスラエルと同じくらい怒っている。怒り狂っている」などと発言した。テロ行為を非難する中で「偽りの宗教の名において人殺しをする者たち」という刺激的な表現も用いた。直接的な人命被害を受けた米国の立場がイスラエル、パレスチナの和平仲介を進めるうえでマイナスに働く可能性もある。

 ブッシュ大統領はヨルダンのアブドラ国王との会談を前にホワイトハウスで共同記者会見し、こうしたコメントをした。ただ、怒りの表明に続いて「しかし和平は可能だとまだ信じている」と言及した。また「イスラエルは自衛しなければならない」と述べた直後には、「関係当事者はすべて、和平の展望を心のうちに保つべきだ」と補足してイスラエルの過剰反応をけん制した。

 ブッシュ大統領は1日、アブドラ国王と会談したほか、イスラエルのペレス外相とライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)の会談に一時同席した。中東和平構想に関する米国、イスラエルとアラブ諸国、パレスチナの意見の相違は大きく、沈静化しないテロやイスラエルによる激しい軍事行動が妥協を困難にしている。(毎日新聞)

<国連報告書>ジェニン事件「虐殺なし」 イスラエルは歓迎

 ジェニン難民キャンプの虐殺疑惑に関する国連報告書について、イスラエル外務省は1日、「虐殺がなかったことが立証され、誤解が解けた」と歓迎する意向を表明した。イスラエル外務省高官は「パレスチナ指導部の主張が、まったくひどいプロパガンダに過ぎなかったことが認められた」と評価した。(毎日新聞)

米大統領、イラク政権打倒めざしあらゆる選択肢を検討との方針を示唆

 [ワシントン 1日 ロイター] ブッシュ米大統領はヨルダンのアブドラ国王との会談に際して、イラクのフセイン政権打倒のために、あらゆる選択肢を検討するとの方針をあらためて示唆した。
アブドラ国王は1日付のワシントン・ポスト紙のインタビューに応じ、米政府がイラクに対する軍事攻撃に踏み切ることに国際的な批判が高まっていることを無視し、これを実行することは「大きな過ちを犯すことになる」と指摘していた。
これに対してブッシュ大統領は、「国王陛下に対しては、あらゆる選択肢を検討するとの米政府の姿勢をあらためて申しあげる。陛下には私の考え方に変化がないことをご理解いただけるだろう」と述べた。
一方アブドラ国王は、ブッシュ大統領が「大局的な見方に立ち、最終的には中東和平と地域の安定が最優先課題と認識するであろうこと」に自信を表明した。(ロイター)

米大統領、中東和平実現は可能との見方に変化はないとの姿勢示す

 [ワシントン 1日 ロイター] ブッシュ米大統領は、イスラエル・エルサレムのヘブライ大学の食堂で31日に発生した爆発事件で、米国人5人を含む7人が犠牲になったことについて「強い憤りをおぼえる」と述べたうえで、中東和平の実現は可能との見方に変化はない、との姿勢を示した。
 ヨルダンのアブドラ国王との会談を前に、記者団に対し、「イスラエル国民と同様、強い憤りをおぼえている。罪のない命が失われたことに激怒している。しかしそれでもなお、(中東)和平の実現は可能だと確信している」と述べた。
 イスラエル軍が報復攻撃に出た場合、これを支持するのかとの質問に対しては、イスラエルには自衛権があると指摘したうえで、「しかしすべての関係者に対し、和平を念頭におくべきだと伝えたい」と述べた。
 この事件については、イスラム原理主義組織ハマスが犯行声明を発表している。(ロイター)