イスラエルVSパレスチナ
2002/8/1イスラエル軍が自爆テロ犯の自宅を爆破
【エルサレム1日=当間敏雄】イスラエル軍は1日未明、ヨルダン川西岸ベツレヘム近郊のベイトジャラで先月30日にエルサレム中心部で起きた自爆テロの犯人(17)の自宅を爆破、破壊した。同31日の治安閣議で了承された犯人家族に対する懲罰的措置の一環で、テロ抑止効果を狙ったものだ。
一方、エルサレムのヘブライ大学で31日起きた爆弾テロで死亡した7人のうち5人が米国人だったことが1日朝までに判明した。うち1人はフランスとの二重国籍者でイスラエル人死者は2人だった。爆弾は携帯電話の遠隔操作で爆破されたらしい。
ヨルダン川西岸トゥルカレムに隣接するイスラエル領内の工場では1日朝、イスラエル人の工場主が射殺体で発見され、警察当局がパレスチナ人の犯行とみて捜査を開始した。(読売新聞)<イスラエル国防相>ヘブライ大爆弾テロでハマスへの報復を承認
【エルサレム海保真人】ベンエリエゼル・イスラエル国防相は31日夜、ヘブライ大学で起きた爆弾テロを受け、犯行声明を出したパレスチナのイスラム原理主義組織「ハマス」に対する軍事報復を承認した。一方、ハマスはAFP通信に寄せた声明で、イスラエル軍による新たな幹部暗殺が行われれば、イスラエル人を「100人殺す」と警告、緊張感が高まっている。
シャロン首相が治安当局に対し、強力な軍事報復の実施を命じたとの報道もある。ハマスが拠点とするパレスチナ自治区ガザが攻撃対象の候補にも挙がっており、報復敢行は時間の問題とされる。
これに対し、ハマスの軍事部門は声明で、幹部が1人でも殺されれば、自爆テロを含む大々的な報復攻撃を行うと宣言。「シャロン(首相)とベンエリエゼル(国防相)への戒めだ」と述べ、真っ向から挑戦した。
一方、ヘブライ大テロの外国人死者5人のうち4人は米国人で、1人は米国籍をも持つフランス人だと確認された。(毎日新聞)米大統領とヨルダン国王が会談へ
[ワシントン 1日 ロイター] ブッシュ米大統領とヨルダンのアブドラ国王がこの日会談する予定で、今後3年間のパレスチナ国家樹立を目指すブッシュ大統領案の実現に向けた方策について協議する。
アブドラ国王は、イスラエルとパレスチナの衝突をめぐる問題で前進がないまま、米国が「悪の枢軸」の一つとみなしているイラクに対する行動を起こすべきではないとの立場を示しており、28日の米CNNテレビでは、そうした行動を「いくらかばかげている」と語っている。
ホワイトハウス関係者によると、両者の会談はイスラエルとパレスチナの衝突が主な議題になる見通し。パレスチナ自治政府の改革、パレスチナ新憲法の起草、来年1月のパレスチナでの選挙実施、といった項目が検討されると語った。(ロイター)<ジェニン>国連が報告書、「虐殺疑惑」を証明できず
【ニューヨーク上村幸治】国連外交筋は31日、ヨルダン川西岸パレスチナ自治区のジェニン難民キャンプで4月に起きた「虐殺疑惑」に関して国連が報告書を作成し、この中で「虐殺」を裏付ける証拠を見つけられなかったと説明していることを明らかにした。報告書は国連総会の依頼によって国連事務局がまとめたもので、1日に公表される予定という。
報告書は、ジェニンに侵攻したイスラエル軍が、事件直後に人道支援の要員や医療活動に従事するスタッフを現場から排除した点を問題として指摘した。一方でジェニン難民キャンプに武器が集められていたことも報告しており、イスラエル、パレスチナ双方に厳しい内容となっている。
国連は、イスラエルの抵抗で現地調査ができなかったため、現地入りした人道支援要員の話や新聞記事などの公開情報をもとに報告書をまとめたと説明している。
国連は、2日にも緊急総会を開いて、報告書の内容を議論する意向だ。イスラエルによるガザ空爆やパレスチナ側からのヘブライ大学爆弾テロなど、双方の報復が激化しており、こちらが議論の中心になる可能性もある。
イスラエル軍は今年3月以降、ジェニン難民キャンプにテロリストが潜んでいるとして激しい攻撃を加え、一般市民を含む住民多数を殺害した。国連安保理はアナン事務総長に対し、現地に調査団を派遣するよう要請。しかし、イスラエルに受け入れを拒否され、調査団は解散に追い込まれた。その後、国連総会が、何らかの形の報告書をまとめるよう国連事務局に要請していた。(毎日新聞)
<爆弾テロ>死者7人のうち5人が外国人 国際社会も反発
【エルサレム海保真人】エルサレムのヘブライ大学の食堂で31日に起きた爆弾テロで、死者7人のうち5人が外国人だったことが分かった。一昨年9月末のイスラエル・パレスチナ衝突発生以来、パレスチナ過激派のテロでこれほど多くの外国人が一度に犠牲になったのは初めてで、国際社会からもイスラム原理主義組織「ハマス」のやり方に反発が起きている。
イスラエル・メディアによると、死亡した5人の外国人のうち2人は米国人とフランス人だったことが確認された。ほかの外国人の国籍は明らかにされていないが、ロイター通信によると、米国人の死者は全部で3人という。エルサレム市役所の担当者は「日本人はいない模様だ」と話している。このほかイスラエル人の大学関係者と学生が犠牲になった。
一方、約80人の負傷者の中には軽傷の日本人女性2人や重傷の韓国人2人が含まれるなど、かなりの数の外国人がいる模様だ。これは大学の通常講義が夏休みに入っているにもかかわらず、夏期講座が開かれており、外国人の留学生や研究者の多くがヘブライ語などを学びに来ていたためとみられる。
これまでの警察の調べでは、犯人は食堂のほぼ中央にあるテーブル上に爆弾の入ったバッグを置き去りにし、時限式かリモコン式で爆発させたとみられる。ブッシュ米大統領をはじめアナン国連事務総長、ソラナ欧州連合(EU)共通外交・安保上級代表は一様に犯行を非難した。大学という場所に加え、多くの無関係の外国人を巻き添えにしたことで、ハマスの犯行は逆効果との見方が強まっている。(毎日新聞)国連報告書、ジェニン難民キャンプ侵攻で医療活動の妨害を指摘へ
[国連 31日 ロイター] 国連は、8月1日に発表するイスラエル軍によるジェニンへの侵攻についての報告書で、パレスチナ側が主張する「虐殺」には触れないものの、侵攻後に援助組織や医療関係者の活動を妨げた点について、イスラエルの過失を指摘する見通し。
複数の外交筋が明らかにした。
報告書は、パレスチナ人がヨルダン川西岸ジェニンの難民キャンプ内に武器を大量に集めていた、と指摘すると見られている。イスラエル側は、この武器の備蓄を挙げジェニン難民キャンプへの侵攻の正当性を主張している。
ある外交筋は、パレスチナおよびイスラエル双方が好意的に受け止めないと見られる事象を含んでいるとしたうえで、「確実にイスラエルの過失を指摘するものだが、双方が歓迎しない内容だと見られている」と述べた。
同時に、「虐殺」があったとする結論が下されることはなく、そうした行為があったとする証拠もないと断定する見通し。(ロイター)
エルサレムの大学で爆弾テロ7人死亡、邦人女性病院へ
【エルサレム31日=当間敏雄】エルサレム市内にあるヘブライ大学のカフェテリアで31日午後、爆弾テロがあり、学生ら少なくとも7人が死亡、外国人留学生を含む約90人が負傷した。警察当局は、カフェテリア内に置かれていたバッグが爆発したとの見方を示した。
イスラム原理主義組織ハマスが、イスラエル軍によるガザ市空爆(23日、ハマス幹部ら15人死亡)への報復と認めた。一昨年秋に武力衝突が始まって以来、大学が大規模テロの標的になったのは初めて。昼食時でカフェテリアは学生らでこみ合っており、静かなキャンパスは一瞬にして血に染まった。
東エルサレム側にある同大学は1925年に開校した名門総合大学。最高学府まで狙われたことに関係者は衝撃を受けている。
エルサレムでは30日にも自爆テロがあり、犯人1人が死亡、5人が負傷した。イスラエル放送によると、同国首相府の高官は激しく報復すると言明した。
在テルアビブ日本大使館によると、日本人女性2人が現場近くにいて、耳が聴こえにくくなる症状を訴え、病院で手当てを受けた。爆弾テロに邦人が巻き込まれた初のケースとなる。(読売新聞)国連事務総長、イスラエルのヘブライ大学での爆発事件を非難
[国連 31日 ロイター] アナン国連事務総長は、エルサレムのヘブライ大学で発生した爆発事件を非難するとともに、イスラエルとパレスチナの双方に「暴力と報復の連鎖の終結」を呼びかけた。
国連のエッカード報道官によると、アナン事務総長は爆発事件に衝撃を受け、全ての関係方面に対し「恒久的な解決策についての交渉の道に戻るよう」呼びかけた。
この日発生した爆発では7人が死亡し、80人以上が負傷した。
事務総長は、民間人に対するこのようなテロ攻撃を全面的に非難する、と述べたという。(ロイター)米大統領、イスラエルのヘブライ大での自爆テロを強く非難
[ワシントン 31日 ロイター] 米政府は、パレスチナ人によるイスラエルでの自爆テロ事件を非難するとともに、ブッシュ大統領は中東和平実現にむけた努力を今後も続ける意向にある、と明らかにした。
フライシャー大統領報道官は、「大統領は、エルサレムで今朝発生した攻撃を可能な限り強く非難している。これは、恐ろしいテロ行為そのものだ」と述べた。
ヘブライ大学で起きた自爆テロで少なくとも7人が死亡、80人以上が負傷している。(ロイター)