2002/7/25-日本の原発動向
「もんじゅ」 今秋、原子力安全シンポジウム 安全審査の内容を説明 /福井

 高速増殖炉「もんじゅ」の運転再開に向けた改造工事計画に対する2次安全審査をしている国の原子力安全委員会の松浦祥次郎委員長は24日、安全審査内容を一般に説明する「原子力安全シンポジウム」を今秋にも県内で開催する方針を明らかにした。
 関西電力大飯原発での記者会見で明らかにした。安全委は従来から原子力について市民と意見交換するシンポジウムを全国で実施している。
 松浦委員長は「もんじゅの安全審査はどう進んでいるか、安全性総点検はどう進めるかを説明、一般の方から質問や意見を聞きたい」と述べた。
 一方、この日、県内の原発問題を議論する県原子力環境安全管理協議会が敦賀市内であり、もんじゅの運転再開問題などについて質疑があった。
 経済産業省原子力安全・保安院の渡辺格・新型炉等規制課長が出席。もんじゅ改造工事の申請を「妥当」と判断した1次安全審査結果のほか、ナトリウム漏れ火災事故の直接原因となった温度計について、核燃料サイクル開発機構から出されていた「設計および工事の方法の変更」申請を認可した点を説明した。
 吉村清委員(高速増殖炉など建設に反対する敦賀市民の会代表委員)は「温度計の安全性についても、保安院だけでなく原子力安全委員会が二重に保証することを県民は望んでいる」と指摘。渡辺課長は「温度計の認可についても近く、同委員会に報告する」と述べた。 【久田宏、日野行介】(毎日新聞)
原発の立地地域振興策など協議−−県エネルギー政策検討会 /福島

 県は、第19回エネルギー政策検討会(会長・佐藤栄佐久知事)を開き、原子力発電所の立地地域の地域振興策などを協議した。
 佐藤知事は「立地地域が(原発の)企業城下町になっていることを実感した。10年、20年後には廃炉が現実問題になるだろう。体力のあるうちに自立的な振興を考えなくてはならず、県もそれを助けていきたい」と述べた。
 会議は22日開かれ、原発1基を作ると、固定資産税や電源三法に基づく交付金などで約910億円の財源効果があるといったデータを紹介。「原発の設置で人口が増え、町財政が豊かになった一方で、町の商工業の振興への波及効果は少ない」と報告された。また、佐藤知事は「原発1基に約4500億円かかる。電力自由化の流れの中で、今後も電力会社が本当につくっていけるだろうか」と原発増設に疑問を挟んだ。【米村耕一】(毎日新聞)
地質地盤の調査、沖付地区で開始−−県ITER室 /青森

 日欧露が共同開発する国際熱核融合実験炉(ITER)の国内候補地が六ケ所村に決まったのを受け、県ITER誘致推進室は23日夜から、同村沖付地区で地質地盤調査を始めた。県は広大な建設用地を確保できる同村新納屋地区を国に提案していたが、むつ小川原港から遠く道路整備も遅れているため多額の建設費用がかかるとの指摘があり、弥栄平、沖付を加えた3地区の中から選定することになった。
 調査は県の依頼を受けた茨城県つくば市の民間調査会社が実施。3カ所を1週間ほどで終え、8月上旬には調査結果を県に報告する予定だ。
 調査方法は一辺10メートルの正三角形を描き、その中心と各頂点、各辺の中間点に計7個の高感度振動計を設置。揺れの伝わる速さ、強さを1時間に1回測定し、約10メートルの深さの地盤の固さなどを調べる。【宮本寛治】(毎日新聞)