2002/7/19-日本の原発動向
中部電力、申請却下求める=浜岡原発差し止めめぐり−静岡地裁
中部電力浜岡原子力発電所(静岡県浜岡町)で起きた1号機の配管破断・漏水事故を受け、「浜岡原発とめよう裁判の会」(白鳥良香代表)が同原発の運転差し止めなどを求めた仮処分申請の第1回口頭弁論が19日、静岡地裁(笹村将文裁判長)で開かれた。
同電力側は答弁書で「浜岡原発は東海地震に対して十分な耐震性を有しており、適切な保守・点検で機器の健全性を確保している」と同原発の安全性を強調。「東海地震が想定を超える(原発被害をもたらす)という指摘には理由がない」として、申し立てを却下するよう求めた。 (時事通信)
ITER送電「東通原発からは困難」−−東北電力が県に回答 /青森
県が六ケ所村に誘致を進めている国際熱核融合実験炉(ITER)に東通原発からの高圧送電線敷設を求めている問題で、東北電力は「技術的に困難」と県に回答していたことが18日、分かった。県は今後、国や関係機関と対応を協議する。
東北電力青森支店によると、9日に石川勇雄支店長らが蝦名武・県商工観光労働部長を訪ね、「東通原発から送電するむつ幹線は重要。大きな使用電力につなぐのは危険が大きい」と検討結果を報告した。東北電力は「県には理解してもらったと思う」と話している。
県は当初計画した上北変電所からの送電は敷設距離が長く、県側の財政負担が重いため、協力を要請していたが、同社は「ITERにトラブルがあると他の電力系統に影響が出る」とむつ幹線からの送電に難色を示していた。【湯浅聖一】(毎日新聞)
国庫負担削減に異論/全国知事会議
18日開かれた全国知事会議は「国から地方への税源移譲」など国に対する提案・要望22項目などを議決した。会議では、政府が検討している地方交付税や国庫負担金の削減に対し「教育を犠牲にしなければならない地方も出てくる」(加戸守行愛媛県知事)などと強い異論が相次いだ。
経済特区に関しても「(特区導入で)規制緩和が後回しになるのであればおかしい。国は早く特区のメニューを示してほしい」(平山征夫新潟県知事)と指摘するなど、構造改革をめぐって活発に意見交換した。
会議には38道府県の知事と九都県の副知事らが参加した。
席上、道州制については「各県がばらばらの現状では結局、政府が力を増す。できるところから早く道州制を実現すべきだ」(平松守彦大分県知事)「われわれが本当に議論すべきなのは道州制だ」(北川正恭三重県知事)と積極的な取り組みを求める意見が続いた。
東京都がカジノ導入へ向けた法整備の要求を特別提案したことや、外形標準課税の導入では賛否両論が交わされるなど、会議は実質討議の場となり、予定より1時間半、長引いた。カジノ法整備は要望から除かれた。
国への提案・要望は(1)税源移譲(2)有事法制整備で地方公共団体との協議の場の設置(3)地方交付税など地方一般財源の充実確保-など。緊急決議は「2003年度の外形標準課税の導入」と「個人情報保護法制の早期整備」だった。
来年開催地は岐阜県に決定
全国知事会は18日の会議で、来年7月の全国知事会議を岐阜県で開催することを決めた。中部地方では愛知、富山、石川の3県に続いて4県目の開催となる。
国の施策・予算に関する提案・要望
【政策提案】分権型社会の構築について
1、地方分権の一層の推進 国から地方へのさらなる権限移譲や、地方税財源の充実確保等の課題を処理し地方分権改革の一層の推進に積極的に取り組む。
2、国の法令制定時等における地方意見の反映 法令の制定改廃等を行う場合は、地方公共団体の意見を十分聴取し反映する仕組みを制度的に保障する。
3、地方税源の拡充強化等 地方への税源移譲を行い、地方税源を拡充強化する。その際も財政調整機能などを果たす地方交付税制度を堅持し所要総額を確保する。
4、法人事業税への外形標準課税の導入 中小法人等の税負担に配慮しつつ、全国的な制度として2003年度税制改正で導入を図る。
5、武力攻撃事態への対処に関する法制整備
武力攻撃事態の概念や、国と地方公共団体の具体的な責務、役割分担など地方公共団体や地域住民にかかわりの深い事項を早期に明確にする。協議の場を速やかに設け、意見聴取するなど地方公共団体の意見を十分反映する。また国民の不安を払拭(ふっしょく)し、国民的合意が得られるよう国会議論を十分尽くす。
【政策要望】
▽地方行財政
1、地方税財政対策 (1)地方一般財源の充実確保等 地方税や地方交付税など地方一般財源の充実確保を図る(2)国庫補助負担金の改善等 存続する国庫補助負担金について運用・関与の改革を推進。直轄事業負担金を廃止する。
▽農林・商工
1、農業振興 (1)新たな食料・農業・農村政策の推進(略)(2)WTO新ラウンドにおける農業交渉(略)
2、林業振興(略)
3、水産業振興(略)
4、中小企業の振興(1)中小企業の活性化 人材育成をはじめとする各種支援策を推進し新規創業事業への支援を強化(2)中小企業の経営基盤の強化(略)
5、資源エネルギー対策の推進 (1)電源立地対策の推進(略)(2)新エネルギー開発利用の推進(略)(3)原子力政策についての国民的合意形成の推進(略)(4)原子力発電所等の安全確保(略)(5)原子力防災対策の充実 原子力災害対策特別措置法の趣旨を踏まえ、原子力防災対策の実効性を高める取り組みを進める。
▽建設・運輸
1、地方振興の推進(1)情報通信技術(IT)を活用した地域振興の推進(略)(2)地域における科学技術の振興(略)(3)特定地域振興対策の推進(略)
2、社会資本整備の推進等(1)高速道路網整備等の推進 高規格幹線道路等をはじめとする道路網整備は整備計画、予定路線を計画通り進め、早期整備を図る(2)鉄道整備等の推進、総合的物流システムの形成の推進等(略)(3)都市環境整備等の推進(略)(4)下水道事業の推進と下水汚泥等の有効利用(略)(5)国土保全対策の推進(略)(6)水資源対策の推進(略)(7)公共事業にかかる長期計画の見直し(略)
3、災害対策の推進(1)災害対策の推進(略)(2)大規模災害に対する総合的復興支援制度の確立(略)
▽社会・文教・環境
1、社会福祉および保健医療対策等の拡充(1)社会福祉施策等の推進等(略)(2)保健医療体制の整備等(略)(3)食品の安全性の確保(略)
2、人権問題に関する施策の推進(略)
3、雇用対策の推進(略)
4、教育改革の推進(略)
5、環境保全対策の推進(1)新環境基本計画の推進(略)(2)地球温暖化対策の推進等(略)(3)廃棄物対策等の推進(略)
▽国際化・基地・領土
1、地域国際化の推進(略)
2、基地対策の推進
基地周辺、演習に際しては、住民の安全確保・環境保全対策を推進するとともに、基地周辺の生活環境の整備事業を拡充する。また、米軍基地の整理・縮小・返還を促進し、返還後の跡地利用について積極的な支援措置を講じる。日米地位協定の抜本的な見直しを行う。周辺事態安全確保法等の運用にあたっては、適時・的確な情報提供に努めるとともに、地方公共団体の意向を十分尊重する。
3、北方領土および竹島領土関係の推進(略)(琉球新報)