2002/7/18-日本の原発動向
<放射性廃棄物>処分場選定で火山ある場所除外 原子力安全委
高レベル放射性廃棄物の地下最終処分場の選定について、原子力安全委員会の調査会は18日、活断層や火山がある場所を最初から検討対象としないことで一致し、周辺環境の要件をまとめた報告書に盛り込んだ。これを踏まえ、選定と処分を行う原子力発電環境整備機構は、処分場選定の第1段階の条件について方針をまとめる。(毎日新聞)
「地震起きても原発被害ない」 運転差し止め訴訟弁論で中国電力側が証言 /島根
中国電力島根原発(鹿島町片句)の周辺住民らが中電を相手取り、同原発1、2号機の運転差し止めなどを求めた訴訟の第14回口頭弁論が17日、松江地裁(横山光雄裁判長)であった。島根原発付近の活断層を調査した中電の藤原茂範土木部長に対し、被告の中電側が主尋問をした。
藤原部長は、原発付近の活断層を認識した経緯を説明し、地震の規模が活断層の長さに比例すると想定しており、地震が起きても活断層が8キロと短いため原発に被害は出ないなどと証言した。
閉廷後の報告集会で原告側は「反対尋問で、疑問点を明らかにしたい」と述べた。次回は原告側の反対尋問で8月28日。
【安藤大介】(毎日新聞)
反上関原発20年 団結確認/祝島島民の会
中国電力の上関原発建設計画(山口県上関町)に島ぐるみで反対する祝島島民の会が十六日夜、総会を開いた。会は今年で創立二十周年。「反対の輪をさらに広げ、計画を白紙撤回させるため頑張ろう」と誓い合った。
冒頭で山戸貞夫代表が「二十年反対運動が続いたのは島を大切に思う気持ちがあったから。町や漁協の合併の動きもある中、計画阻止のために団結し、住みよい島にしよう」とあいさつした。
本年度の活動方針として、予定地近くでの多目的施設「人々の集いの場」建設を挙げた。二十周年記念事業の一環。重機で地ならしを終えた現状を報告し、年内に完成させる意向を話した。
島内外での運動への積極的な参加、原発財源に頼らない島おこしなどを申し合わせ、山戸代表の再任も決めた。任期は二年。
祝島島民は一九八二年に「愛郷一心会」を結成。九二年に島民の会に名称を変え、毎週月曜日の島内デモ行進など、根強い反対運動を繰り広げている。
<放射線トラブル>被ばく事故報告は39件 原子力安全委まとめ
原子力安全委員会は18日、医療・研究機関で発生した事故などの件数をまとめた。放射線障害防止法と原子炉等規制法が施行された1958年以来、関係法令に基づく報告が201件あった。被ばく事故は39件あり、うち15件は治療が必要なものだった。盗難・紛失は63件あり、すべて回収されたのは20件にとどまった。(毎日新聞)
プルサーマル対話集会 県産労部長「刈羽村長は意見を真しに聴くだろう」 /新潟
高橋豊・県産業労働部長は17日、東京電力柏崎刈羽原発でのプルサーマル計画に絡み、刈羽村で開かれる住民対話集会について「地域住民の気持ちがどこにあるか、村長が受け止めようとしての動きだと思う」と述べた。実施に反対する三つの市民団体と県庁で面談した際に語った。
民意は、反対が多数を占めた01年5月の住民投票結果で現れており、集会で問う必要はない、との声に「(品田宏夫)村長は結果を踏まえていると受け止めている」と話した。半面、「村長が(集会で)真しに意見を聴くのだろう」とも語った。【平元英治】(毎日新聞)
原発給付金リスト問題で市民グループが19日エネ庁などに申し入れ
原発の地元住民らに給付される原子力立地給付金の受け取りを拒否した人のリストが自治体に渡されていた問題で、島根原発増設反対運動(芦原康江代表)など九県の十一の市民団体が十九日、経済産業省資源エネルギー庁などに抗議の申し入れを行う。
受け取り拒否者リストは、事務を担当する資源エネルギーの外郭団体・電源地域振興センターが各電力会社から集め、島根県など七道県に実名入りリスト、三県にイニシャル入りリストを渡していた。島根県などでは思想信条にかかわる情報も含まれていた。
申し入れでは、同センターに対して▽電力会社から個人が特定できる情報を求めない▽自治体に個人が特定できる情報、思想信条などの情報を提供しない−などを要求するほか、資源エネルギー庁にはリスト提供が人権侵害に当たらないか、考えをただす。
この問題で同省は三日、受け取り拒否の理由は聞かないなど、個人情報の扱いを必要最小限にとどめるよう改善を求める指導文書を、関係する十五道県と同センターに出した。
福島第一原発3号機 きょうから定期検査
東京電力はプルサーマルを計画する福島第一原子力発電所3号機(福島県大熊町、沸騰水型、出力78万4000キロワット)の定期検査を18日、開始する。期間中にプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を装荷し、プルサーマルを実施に移したい考えだが、福島県は「現状でのMOX燃料の装荷はあり得ない」と、現時点で受け入れ拒否の姿勢を示している。
定期検査は10月28日までの103日間。東京電力は交換する燃料集合体156体のうち32体をMOX燃料にする方針だが、実際に装荷するかどうかは、福島県エネルギー政策検討会での検討状況などを踏まえ、10月上旬までに最終判断するとしている。
東京電力は6月24日、経済産業省などに提出した3号機の定期検査計画書でMOX燃料装荷の意思を正式に表明。佐藤栄佐久福島県知事は同日、県エネルギー政策検討会が継続中であることや、核燃料サイクルについて国民の理解が十分に得られていないことなどを理由に「このような状況の中でのMOX燃料の装荷はあり得ない」とのコメントを発表した。
プルサーマルの計画のある原発としては、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)3号機も8月10日から定期検査に入る。燃料の交換は8月下旬から9月上旬で、8月下旬以降に予定される平山征夫新潟県知事ら地元3首長の会談に注目が集まっている。
[河北新報 2002年07月18日](河北新報)