2002/7/13-日本の原発動向
伊方原発3号機が送電を再開−−四国電力 /愛媛

 四国電力は12日、第6回定期検査中の伊方原発3号機(加圧水型軽水炉、89万キロワット)が同日午前9時に送電を再開したと発表した。
 停止日数は、当初予定より1日前倒しして50日間。今後は出力を上げながら各種試験を行い、8月6日に国の総合負荷性能検査を受けて定期検査を終了、通常運転に入る見込み。
 約2年前、使用済み燃料プール内で塩化物応力腐食割れが見つかった。予防保全の観点から、原子炉格納容器内にあるプールの溶接部分を樹脂で被膜。今後も数回の定検で実施することにしている。核燃料集合体157体のうち54体を交換した。定検費用は約50億円。 【門田修一】(毎日新聞)
浜岡原発運転差し止め仮処分 「十分な耐震性ある」−−中電が答弁書 /静岡

 ◇中電、請求却下求め答弁書
 中部電力浜岡原発について、市民ら約1000人が運転差し止めの仮処分を静岡地裁に申し立てていた件で中部電力は12日、「浜岡原発1〜4号機はいかなる地震に対しても十分な耐震性がある」として、請求の却下を求める答弁書を静岡地裁に提出した。昨年11月に1号機の配管破断事故などについても「安全性に問題は生じておらず、老朽化とも無縁」としており、全面的に争う姿勢を示した。
 答弁書で中電側は、1、2号機の運転再開禁止と3、4号機の東海地震発生までの運転停止を求めている原告側の主張について「多重事故による炉心溶解という仮定を積み上げたもの。事実誤認があり具体性がない」と却下を求めた。
 耐震設計については「1〜4号機とも想定東海地震を上回る地震を考慮しており、想定を超える地震の可能性は無い」とし、1、2号機の老朽化についても「長年の使用で異常発生が懸念される機器については適宜修理、取り替えをしており、老朽化問題は発生していない」と反論した。次回の弁論は19日に静岡地裁で開かれる予定。【北川仁士】(毎日新聞)
2005年度運転開始予定の5号機、圧力容器を据え付け−−中部電力 /静岡

 中部電力は12日、05年1月に運転開始予定の浜岡原発5号機(改良型沸騰水型軽水炉、出力138万キロワット)の圧力容器(約900トン)を、原子炉建屋内の台座に据え付ける工事を行った。
 圧力容器はウラン燃料を収める原子炉の心臓部で、外径7・5メートル、高さ21メートルの低合金鋼製。石川島播磨の横浜第一工場で製造され、今月3日に御前崎港から同原発敷地内まで陸上輸送された。この日は、関係者など約90人が参加してつり上げ開始セレモニーを挙行。1000トン級の大型クレーンで圧力容器をゆっくりとつり上げ、約50メートル離れた建屋内の台座に約5時間かけて据え付けた。
 一方、反原発の市民グループ「浜岡原発を考える静岡ネットワーク」(長野栄一代表)のメンバーら6人は同日午前、浜岡原発の玄関前で、5号機圧力容器の据え付けに異議を唱える川口文夫・中電社長あての申し入れ書を提出。軽微なものを含めたトラブルが相次いでいることにも触れ、「全社をあげて1―4号機までを徹底点検し、事故原因を解明すべきだ」と訴えた。(毎日新聞)
美浜原発2号機、15日に再起動−−関西電力 /福井

 関西電力は12日、美浜町の美浜原発2号機(加圧水型、出力50万キロワット)の定期検査を終え、15日に原子炉を再起動すると発表した。8月中旬に営業運転を再開する。
 同社は17日に予定している調整運転の開始とともに、定格熱出力一定運転を導入する。今回の定検では発電機の出力オーバーを知らせる警報機を中央制御室に増設した。定格熱出力一定運転の導入は、同社の原子炉では大飯原発4号機、高浜原発2号機に続いて3基目。
 【日野行介】(毎日新聞)
もんじゅの改造工事費に52億円 核燃機構が来年度予算概算要求 /福井

 核燃料サイクル開発機構(核燃機構)は12日、来年度予算概算要求を明らかにし、高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)の改造工事費は約52億円を要求した。
 核燃機構が同日、東京都内であった核燃機構の業務運営や事業計画について審議する運営審議会(会長・小林庄一郎関西電力顧問)で公表。
 総額は約1534億円(今年度予算額約1598億円)。95年のナトリウム漏れ火災事故で運転を停止し、再開に向けて原子力安全委員会と原子力委員会が改造の安全性を審査している「もんじゅ」について、改造工事費約52億円を含む計約157億円(同約120億円)を要求した。核燃機構は、来年度中の着工を見込んでいる。
 一方、来年3月に運転を停止する新型転換炉「ふげん」(同市)については、運転停止に伴い発電設備などの維持管理費が減少するため、約70億円(同約117億円)の要求にとどめた。 【日野行介】(毎日新聞)
敦賀原発3、4号機増設計画 2010年以降の運転目指す−−日本原子力発電/福井

 日本原子力発電(原電)の敦賀原発3、4号機増設計画は12日、経済産業相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会電源開発分科会」に了承され、経産相が近く、電源開発基本計画に組み入れることが決まった。原電は、県の事前了解を得て、安全審査の申請など事業に着手する。
 県は経産相の組み入れ決定を踏まえ、00年2月に原電から受理した安全協定に基づく増設願の事前了解を検討。了解が出た後、原電は国に原子炉設置変更許可を申請。原電は審査と並行して、埋め立てや護岸などの工事に入る。
 安全審査は原子力安全・保安院の1次審査と、原子力安全委員会の2次審査が、2年程度かけて行われる見通し。2次審査の途中には、安全性に関する地元住民の質問に経済産業省が答える「第2次公開ヒアリング」が、同委主催で行われる。審査結果に基づく国の変更許可が出た後、原電は原子炉施設や発電施設の建設工事に着手。工期は約5年の予定で、2010年度以降の運転開始を目指す。
 ただし、栗田幸雄知事は、日本道路公団民営化の議論が影響する舞鶴若狭自動車道(近畿自動車道敦賀線)建設や、北陸新幹線の県内着工などが進展しない場合は「ストップをかける」と明言。県が要望する地域振興の実現が、事業推進のかぎを握る。
 また、電力需要の大きな伸びが期待できない中、今後の経済情勢によっては、2基で300万キロワットを超す巨大電力の必要性も問われる可能性をはらんでいる。
 【八重樫裕一】(毎日新聞)
柏崎刈羽原発7号機の健全性評価書提出

 東京電力・柏崎刈羽原発は11日、7号機(改良型沸騰水型、135万6千キロワット)で、定格熱出力一定運転(定格熱運転)を安全に実施できるとする発電設備の健全性評価書を国に提出した、と発表した。
 同原発ではすでに2、5号機で定格熱運転を実施済みで、本年度中に全号機での実施を予定している。


[新潟日報 07月12日(金)]