02/07/12 -日本の原発動向
漏水判定方法の改善策など報告−−原子力安全委で原燃 /青森

 県内の各業界など33団体の代表らで構成する県原子力安全対策委員会が11日、青森市であり、日本原燃から六ケ所再処理工場の使用済み核燃料貯蔵プールの漏水調査結果や防止策などが報告された。
 原燃は貯蔵プールの漏水個所の特定と同時に、床面に発見された茶褐色の斑点模様について、「有意な欠陥は認められず、社外研究施設で調査する」と述べた。また、漏水を当初、結露水と誤認した反省から、結露水発生の防止策として、壁とステンレス製内張りのすき間に空気が流れ込まないようにするとともに、漏水の判定方法も改善したことを説明した。
 委員からは「X線検査をせず、調査がずさんではないか」との指摘もあったが、原燃は「プールの構造上、X線検査は不可能」と答えた。
 他に国からは再処理工場で取り出したプルトニウムを原発(軽水炉)で使うプルサーマル計画の状況などが報告された。【湯浅聖一】(毎日新聞)
柏崎刈羽原発3号機、定検のプルサーマル計画実施先送り 対話集会が焦点に /新潟

 東京電力が11日、地元自治体と国に提出した柏崎刈羽原発3号機(沸騰水型、110万キロワット)の定期検査計画書は、昨年に続きプルサーマル計画実施の判断を先送りするものとなった。最終的な判断は、平山征夫知事らの3者会談を踏まえて行う方針だ。実施の是非をめぐる焦点は、刈羽村で今月中にも始まる対話集会での議論になる。
 この日会見した武黒一郎・同原発所長は、先送りの理由について「地元から具体的な意向が示されていないため」と述べた。核燃料集合体の交換作業は8月末から9月上旬に行う。武黒所長は「地元首長の判断が最も重要」と語り、8月下旬にも開かれる3者会談の後に判断する考えを示した。
 会談では、対話集会の内容を踏まえ、受け入れを認めるかどうかを話し合う予定だ。平山知事は、住民同意を前提に国内初の計画実施を容認する考えを示しており、集会の内容次第では実施にゴーサインが出される可能性もある。村内の原発反対派は、集会に参加して計画への反対意思を示す方針だ。一方、容認派の住民からは「(集会の)趣旨が明らかでない上、推進の立場でもない」と対応を計りかねる声も出ている。【小畑英介】(毎日新聞)
脱原発で講演会 飯田哲也・日本総研主任研究員が講演 あす、美浜町で /福井

 脱原発を目指す市民グループ「若狭連帯行動ネットワーク」は13日午後1時半から、美浜町郷市の町保健福祉センター「はあとぴあ」で、風力発電など環境エネルギー研究の第一人者として知られる飯田哲也(てつなり)・日本総研主任研究員の講演会「分散型電源と地域振興」を開く。無料。定員約60人。
 飯田さんは、脱原発の立場から環境とエネルギー政策に対する提言を続けており、経済産業相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」の委員も務めている。
 飯田さんは、これまで発電の際に捨てられていた熱を再利用する熱電併給システム(コージェネレーション・システム)を使った分散型電源が産業として確立することで、雇用が確保され、地域が振興される仕組みについて講演する。問い合わせは同ネットワークの田代さん(0770・22・2903)へ。 【日野行介】(毎日新聞)
静岡・清水市の合併可決 浜岡原発・安全対策指導の意見書も−−県議会閉会 /静岡

 県議会は11日に本会議を開き、静岡・清水両市の合併に関する廃置分合議案など23議案を賛成多数で可決し、閉会した。廃置分合案が可決されたことで、合併は総務相の告示を経て来年4月1日に実現する。
 廃置分合案の採決では、花井征二議員(共産)が「両市長・市議会の決定は住民投票を求めた約11万人の声を無視した市民不在のものであり、認められない」と反対意見を述べた。一方、小嶋善吉・静岡市長は「可決は、両市市民の新市誕生に向けた熱い思いを真正面から受け止めてもらったもの。新市が県の発展に貢献できるよう市民と力を合わせたい」と話した。
 また、昨年11月から1、2号機で水漏れなどが続いた浜岡原発の安全対策指導を求める首相や衆参議長宛ての意見書案を提出、全会一致で可決した。意見書案では事故原因の徹底究明と調査結果の公表のほか、点検体制の見直しを指導するよう求めている。【北川仁士】(毎日新聞)
<電源開発>02年度基本計画案を了承 エネルギー調査会

 総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の電源開発分科会は12日、経産省・資源エネルギー庁が提出した02年度の電源開発基本計画案を了承した。同計画案には、日本原子力発電が計画する敦賀原発3、4号機(福井県敦賀市)が新規発電地点として組み込まれた。

 政府は地球温暖化対策のため、二酸化炭素を排出しない原発10〜13基の新設を盛り込んだ地球温暖化対策推進大綱を3月に決定したが、大綱決定後に基本計画に組み込まれるのは敦賀原発3、4号機が初。栗田幸雄福井県知事が先月13日、基本計画への組み入れに同意していた。

 経産省は同計画案で、10年後の11年度の需要見通しから、電力の安定供給を続けるには02年度からの10年間で計4514万キロワットの発電施設の新設が必要と見積もった。すでに2926万キロワットは組み込まれているが、今回組み込んだ敦賀原発3、4号機(最大出力計307万キロワット)と、卸発電業者からの供給分520万キロワットを差し引いても、まだ約760万キロワットの電源を確保する必要がある。 【三島健二】(毎日新聞)