7/11-日本の原発動向
浜岡原発4号機の配管弁で水漏れ=静岡県の要請で即日HP掲載−中部電力
静岡県は11日、同県浜岡町の中部電力浜岡原子力発電所4号機(出力113万キロワット)で同日午前、原子炉内に冷却水を送る配管の弁から水漏れが発生したことを明らかにした。同社は3号機の給水ポンプ弁の水漏れと同様、安全協定外の故障として報道機関へ発表しなかったため、県が早期公表するよう要請。同社は同日夕、ホームページに掲載した。
水漏れがあったのは、復水器を経て原子炉内へ冷却水を戻す給水管に取り付けられた逆流を防ぐ弁の一つ。午前10時44分に係員が発見し、県と地元自治体へは約20分後に通報した。 (時事通信)
プルサーマル計画導入 「国内初の受け入れも」−−平山知事 /新潟
◇住民同意を前提、立場変更
平山征夫知事は10日の記者会見で、東京電力柏崎刈羽原発でのプルサーマル計画導入について、「(国内)一番、二番にこだわることが正しいことか、皆に考えてもらいたい」と述べ、住民同意を前提に国内初の受け入れもあり得る、との認識を示した。平山知事は01年2月、「最初の実施に違和感、抵抗感がある」と表明しており、立場を改めたことになる。
平山知事は以前の認識について「市町村長から『一番への違和感、拒否感がある』と言われたので、代弁して言っていた。私自身の信念として言っているわけではない」と話した。
その上で「『一番はどうか』という違和感が、(地元で)薄らいでいるのも事実だ。われわれも受け止め方を変えている」と述べた。実施に際しては住民同意の他、安全性などにも配慮すべきだとの姿勢を見せた。柏崎市長、刈羽村長との3者会談を開く日程については「時期は特段決まっていない」と述べた。
福島県で進む核燃料税の導入の是非には「もう少し議論する必要がある」と慎重な見解を示した。【平元英治】(毎日新聞)
高ベータ・ガンマ廃棄物「埋設に問題なし」−−原燃、六ケ所村で予備調査 /青森
日本原燃(本社・青森市)は10日、六ケ所村の濃縮・埋設事業所敷地内で実施していた高ベータ・ガンマ廃棄物埋設施設建設に関する予備調査で、「設置に問題となるようなデータはなかった」とする結果を発表した。原燃は今後、村などと協議しながら、建設のための詳細なデータを取得する本格調査の実施を検討する。
高ベータ・ガンマ廃棄物は原子炉の解体で生じた炉内廃棄物などで、低レベル放射性廃棄物の一種だが、通常の低レベル廃棄物よりは放射能濃度がやや高く、地下50〜100メートルに埋設する。
原燃は昨年7月から予備調査を開始。約100ヘクタールの敷地内計9カ所に100〜300メートルの深さでボーリングをした結果、地層の割れ目が少なく、地下水も流れにくいことが分かり、放射性物質の拡散はないと結論した。
原燃は予備調査の結果を受けて、今後3年間かけて事業化のための本格的な調査をしたい考えだが、村議会には高ベータ・ガンマ廃棄物を低レベル廃棄物に位置付けることを疑問視する声があり、曲折も予想される。【湯浅聖一】(毎日新聞)
核燃機構が技術支援−−六ヶ所村の再処理施設の試運転に向け /青森
日本原燃と核燃料サイクル開発機構(本社・茨城県東海村)は11日、六ケ所村の核燃料再処理施設の試運転に伴う技術支援協定を締結する。原燃は10月にも再処理施設の化学試験を始めることから、より専門的な技術を習得するため、核燃機構の開発技術の提供や放射線管理を対象にした技術支援を受ける。支援期間は運転開始する05年7月まで。
原燃と核燃機構は82年に締結された六ケ所再処理施設における「建設、運転等に関する技術協力基本協定」に基づき、原燃技術者の核燃機構での実務教育訓練や核燃機構からの建設・運転準備の指導などを受けている。
今回の協定では、核燃機構から提供された技術情報や技術者の知見・経験を基に、試運転の実施や試験結果の解析▽トラブル発生時の対応▽放射線管理に関する助成――などを予定している。協定締結に伴い原燃は16日にも再処理事業部建設試運転事務所に「技術支援部」を設置し、核燃機構から派遣される技術者約35人を受け入れる。
再処理施設では化学試験の後、来年10月には実際にウランを使用するウラン試験、04年7月からは使用済み核燃料を使ったアクティブ試験が計画されている。【湯浅聖一】(毎日新聞)
伊方原発2号機、補給水ポンプ停止
愛媛県は十日、同県伊方町の四国電力伊方原発2号機(加圧水型、五十六万六千キロワット)で、原子炉の一次冷却水に純水を補給する一次系補給水ポンプが九日夜、自動停止したと発表した。外部への放射能漏れはないという。
同電力などによると、九日午後八時半ごろ、ポンプに過大な負荷がかかって自動的に停止したことと、一次系補給水の圧力が低下したことを示す警報がほぼ同時に鳴ったため、現場を点検するとポンプが停止していたという。予備機を起動して、運転に支障はなかった。
低レベル放射性廃棄物 埋設施設設置は可能 六ケ所
青森県六ケ所村にある核燃サイクル施設内で、原子力発電所の運転や原子炉解体などに伴って発生する放射性廃棄物の埋設処分を検討している日本原燃(本社青森市)は10日、地質などの予備調査の結果をまとめた。「埋設施設の設置は可能」として、約5万立方メートルの廃棄物を受け入れるため、早ければ年内にさらに詳しい調査を始める。
埋設するのは、低レベル放射性廃棄物としては比較的放射能濃度が濃い高ベータ・ガンマ廃棄物。濃度は通常の低レベル放射性廃棄物の10―100倍以上。低レベル放射性廃棄物の処分は数メートルから20メートルの地中埋設だが、高ベータ・ガンマ廃棄物は50―100メートルの地中埋設が必要となる。
1998年の原子力委員会のまとめでは、高ベータ・ガンマ廃棄物は既に制御棒など8000トンが排出されている。日本原子力発電の東海発電所の国内初となる原子炉解体は2011―17年度に始まり、30年までには炉内構造物などの解体廃棄物を含む2万トンに膨らむが、処分地は決まっていない。
原燃の試算では、現在稼働しているすべての原発から排出される高ベータ・ガンマ廃棄物を合わせると約5万立方メートルになると推定。余裕を持たせて6万立方メートルの容量の施設を建設する。詳しい調査には約3年かかり、埋設開始にはさらに7年かかる。
[河北新報 2002年07月11日](河北新報)