★パキスタン地震、死者2万2千人超…救出活動も本格化
【バトグラム(パキスタン北部)=平本秀樹】パキスタン北部で8日に発生した大地震で、同国政府は10日、死者が2万人を超えたと発表した。
インドでも約2千人が死亡しており犠牲者は2万2千人を超えた。地震で道路が寸断され救助隊が到達できない集落もあり、死者数はさらに増える可能性が高い。
各国の救援隊による生存者の捜索や救出活動も本格化。日本の国際緊急援助隊も10日、バトグラムに入り活動を始めたが、建物倒壊は広範囲に及び、がれきを撤去する重機が足りず、活動は難航を極めている。
今回の大地震ではパキスタンとインドが領有をめぐり対立を続けるカシミール地方が直撃を受けた。同地方の死者は、パキスタンの実効支配地域で約1万7千人、インド側で865人となった。負傷者は両国合わせて4万人を超えた。死者数は最終的に4万人を超えるとの見通しもある。
震源地に近い山あいの町バトグラムでは、石を積み上げた平屋や2階建ての住宅が破壊された。日本の援助隊員によると、一面にがれきの山が広がり「壊滅状態」の集落もあるという。
またロイター通信などによると、国際協力機構(JICA)の楢原覚さん父子が死亡したイスラマバードの高層アパート倒壊現場では、イラク人母子2人が約60時間ぶりに救出されたが、なお約45人が行方不明という。
国際社会の支援も本格化し、日本のほか英国、トルコなど12か国が救助チームを派遣。米国は5千万ドル(約57億円)の緊急資金援助のほか、アフガニスタンに配備していたヘリコプター8機を物資輸送用に派遣すると表明した。国連人道問題調整事務所(OCHA)は11日、今後6か月の被災地支援を呼びかける「緊急アピール」を発表する。
国際赤十字は、12万人分の食料やテントを現地に送り、被災者に対する水や食料、毛布など救援物資の配布も始まったが、輸送トラックが入れない地域もあり、支援の手の届かない被災者には不満が高まっている。
(読売新聞)
★パキスタン地震、長さ80キロの巨大断層動く
2万人を超える死者を出したパキスタン北部の大地震でずれ動いた断層は、長さ約80キロ、幅約20キロの巨大なものだったことが、八木勇治・筑波大学助教授(地球惑星進化科学)の解析でわかった。
強烈な地震波を出す断層の「固着域」の中心部は、地表から深さ4キロ付近の非常に浅い地下にあり、断層の規模に加えてこの浅さが大きな被害に直結した可能性が高い。
八木助教授は、世界32地点で観測された地震波形の記録から分析。断層の破壊が震源から北西、南東の2方向に向かって28秒間も継続し、上下方向に最大約12メートルずれ動いたこともわかった。
また、2か所の固着域は、地表から深さ9キロ以内の浅い地下に位置し、最も強い地震波を出す中心部はいずれも深さ約4キロにあった。
八木助教授は「震源が浅い地震は、地震波の中でも地表を広く伝わる『表面波』が強く出るため、建物などの被害が広範囲に及ぶ特性がある」と説明している。
★被災者、支援物資を略奪=救援遅れ不満蓄積−パキスタン
【イスラマバード12日時事】大地震発生から5日目を迎えたパキスタン側の被災地では12日、各地で生存者の捜索や負傷者の空輸が続けられた。しかし、支援の遅れにいら立つ被災者の一部が支援物資を略奪するなど混乱も深まっている。
カシミール地方のパキスタン側実効支配地の中心都市ムザファラバードでは、山岳部の奥地に支援物資を届けようとするトラックが、略奪目的の住民に襲われた。援助関係者が暴行され、略奪者を警官隊が排除するなど、緊張が高まっている。
パキスタン側では、米国やドイツのヘリコプターが負傷者を空輸、日本の国際緊急救助隊も救援活動を続けた。しかし、住民らには「助けに来るのは外国ばかり」とパキスタン政府への不満が高まっている。
★日本政府、22億円の無償支援決定
政府は十一日、パキスタン北東部で発生した地震に関する追加支援策として、パキスタン政府に対し二千万ドル(約二十二億六千万円)の無償支援を実施することを決めた。細田博之官房長官は同日の記者会見で、「今後の追加支援を行うかどうかは、(被災地の)状況や被災国からの意見によって考慮したい」と述べた。小泉純一郎首相は同日の閣僚懇談会で「関係省庁でよく協議をしながら、積極的な支援に取り組んでほしい」と指示した。
★<パキスタン地震>アジア開銀、1000万ドルの緊急支援
パキスタン北東部での大地震を受け、アジア開発銀行(ADB)は11日、1000万ドルの緊急支援を実施すると発表した。被災地に調査チームを派遣して被害状況を確認した上で、道路や橋の復旧、水や電力の供給などを促すための融資など、具体的な支援策を検討する。
★国連、310億円の援助を要請=パキスタン地震
【ジュネーブ11日時事】国連人道問題調整官事務所(OCHA)は11日、パキスタン北部で起きた大地震の被害に対する今後6カ月間の緊急支援として、2億7200万ドル(約310億円)の拠出を国際社会に求めた。援助は避難所の建設、食糧や医薬品の供給、輸送手段の確保などに充てられる。
OCHAによると、この地震で400万人が被災。200万人が家を失い、100万人が救急援助を必要としているという。
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Balakotで、軍隊から支給される食物と毛布を求める人々 |
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Muzaffarabadで、家族の遺体を確認して悲嘆する男性 |
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Kamal Kotで救援物資を求める被災者たち |
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学校で死んだ子供の遺体を探す遺族たち |
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救済金の寄付を募るパキスタンの女学生たち |
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