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30 クローズアップ現代 夢の医療か?クローンの衝撃
今年5月、韓国から世界の医療界を震撼させる衝撃的な発表があった。ソウル大学のファン・ウソク教授が、難病患者の皮膚細胞からES細胞(万能細胞)を作ったのだ。ES細胞は臓器、神経、筋肉などあらゆる組織の元となる万能細胞。これは患者一人一人の身体の一部をクローン技術によって、全く同じように再生して代替する「再生医療」が大きく実現に近づいたことを意味する。韓国ではバイオ企業の株価が急上昇、国をあげて特許戦略に乗り出し始めた。これに対し、欧米のバイオ産業は危機感を強め、巻き返しに懸命だ。しかし、卵子を大量に使う上、クローン人間の開発にもつながりかねないこの研究には、倫理的見地から疑問の声も多い。日本では倫理と科学の狭間で、明確な方針を打ち出せず、研究は足踏みしたままだ。世界のクローン技術のトップに躍り出た韓国の実情と、揺れ動く世界の研究開発戦略を描く。
(NO.2144)
スタジオゲスト : 中辻 憲夫さん
(京都大学再生医科学研究所・所長)
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