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【トピック】
「法王の銀行家」殺害で4人起訴  イタリア
2005.04.19
Web posted at: 11:47 JST
- CNN/AP

 ローマ――ローマ法王庁とつながりが深く、「法王の銀行家」として知られた銀行頭取が変死体で発見され、法王庁とイタリア政財界を揺るがした1982年の事件について、イタリア司法当局はマフィア関係者ら4人を殺人罪などで正式起訴した。弁護士が18日、明らかにした。
 ボルツォーネ弁護士によると、起訴されたのはマフィア関係者とされる実業家フラビオ・カルボーニFlavio Carboni と元恋人マヌエラ・クラインスツィッヒManuela Kleinszig、マフィア幹部ジュセッペ・「ピッポ」・カロPippo Caloとエルネスト・デイオタレッビErnesto Diotalleviの4被告。公判は今年10月に始まるという。同弁護士は、被告らの関与を否定している。
 事件では1982年6月18日、法王庁系のアンブロジアーノ銀行のロベルト・カルヴィ頭取(当時62)の遺体がロンドンのブラックフライアー橋で見つかった。バチカンの資金管理を担当していたとされる同銀行が倒産した直後で、遺体は橋から首を吊った状態で発見された。スーツの上着やズボンのポケットには石やレンガ、偽造パスポート、複数の国の通貨で1万5000ドル分の紙幣が入っていた。
 今回起訴されたカルボーニ被告はカルヴィ氏の友人で、同氏が死亡する直前に会っていたことが確認されている。
 カルヴィ頭取の死亡直前、アンブロジアーノ銀行がいわゆる「バチカン銀行(IOR)」関連の複数のパナマ企業に出資した約13億ドルが行方不明となり、アンブロジアーノ銀行は倒産。バチカン銀行総裁の米国人マーチンクス大司教は、アンブロジアーノ銀行バハマ支店の代表でもあり、関与が取りざたされたが、バチカンも同大司教も関与を一切否定。一方で、銀行倒産の「道義的責任」は認め、株主に計2億5000万ドルを補償した。
 以来20年以上にわたり、カルヴィ氏の死が自殺か他殺かで論争が続き、法王庁とマフィア、さらにはカルヴィ氏が所属したフリーメーソン系秘密結社「P2」との関係をめぐり、様々な疑惑が指摘された。
 イタリア司法当局は当初、自殺説を主張したが、遺族は口封じのための他殺を主張。98年には遺体が墓から出されて検死をやり直した。この結果、イタリア司法当局は03年7月に、自殺の可能性は低いと断定し、ロンドン警視庁とイタリア当局は以来、捜査を再開。03年12月には、英国警察が42歳女性を司法妨害や偽証などの疑いで逮捕された。

★松本清張著「霧の会議・下」-火刑-341頁より要約

 アンブロシアーノ銀行がバチカンの「神の銀行」と特殊な関係にあることは、ローマでは知らぬ者はない。ニューヨークでイタリア政府の身柄引渡し要求に抵抗しているP2の最高幹部シンドナとカルヴィの間で確執が生じ、カルヴィはシンドナの放った暗殺者を恐れてまずロンドンに逃亡した。一方、P2の頭目リーチョ・ジェッリはジュネーヴの拘置所を脱獄して、アルゼンチンかウルグアイの南米に逃れているらしいが、これもカルヴィは裏切る、と見て暗殺者を送っている。カルヴィはこうして二つの敵に脅かされていたらしい。
 そのカルヴィも満干潮にしたがってテムズ川の水位の高低で身体が膝頭から首の下まで浸ってゆく。そのズボンの両ポケットには煉瓦の破片や小石が詰まっていた。
 水に漬けるのは、異端者への懲らしめ「悪魔の洗礼」である。ダンテの『神曲』の「地獄篇」にも、罪業を犯した亡者が「壕」の中に漬けられてもがき苦しむ場面がある。石を男の身体に詰めるは、去勢の象徴という。
 P2の掟による処刑に少しの乱れもなかった。

 ダンテの『神曲』地獄篇第18歌以下−−−
 「悪の壕」にかかった橋を渡ると、さまざまな地獄の圏谷(たに)をまわる。ダンテが鬼どもといっしょに渡って行くと、亡者どもはたちまちみな煮えたぎる瀝青(れきせい)の下へ身を隠した。だが、とり残された一人は髪に鉤(かぎ)をひっかけられると、まるで獺(かわうそ)そっくりに水から上へ吊るしあげられる。(第22歌)




ロベルト・カルヴィ
Roberto Calvi
発見直後のカルヴィの遺体
マフィアのドン
ジュセッペ・「ピッポ」・カロPippo Calo
【視聴予定】
19時
30 クローズアップ現代 異色の駐日アメリカ大使〜トーマス・シーファー氏に聞く〜



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