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【トピック】
自殺、ホームレス急増 安全網整備に本腰入れよ

 不況が続く中、日本では自殺者とホームレスの増加が深刻な社会問題になっている。社会的に追い込まれた立場の人々への「セーフティーネット」の本格整備は急務と言える。

 警察庁のまとめでは、昨年一年間の自殺者数は三万二千百四十三人。五年連続で三万人を超えた。それまでは、多い年でも二万五千人、高度成長期は一万五千人程度だった。
 男女別では、男性が二万三千八十人、女性が九千六十三人で、男性が多い。年齢別では、60%が五十代以上で、特に五十代の男性が前年の六千百三十六人から約五百人も増えている。「ネット自殺」と呼ばれる若者の集団自殺も目立ち始めた。
 この結果、自殺は日本人の死因の六位、二十、三十代ではトップとなっている。病気の予防と治療への努力の一方で、自ら命を絶つ人が増えるのは異常だ。自殺者の周囲には、その十倍の自殺未遂者が存在するといわれる。その家族のことまで考えると、この問題の深刻さはもはや看過できない。自殺の動機としては、健康、経済・生活、家庭などの問題が挙げられている。借金が原因となった人も四千百人いる。
 九十九カ国を対象にしたWHOの調査(二〇〇二年)では、日本の自殺率は十一位。OECD加盟国の中で二位、G7各国の中では一位である。努力家だが環境の変化に弱いタイプの人がうつ病的な心理に陥って自殺を図りやすいという。日本人にはこのタイプの人が多い上、経済環境の変化が加わって自殺率を押し上げているようだ。
 公園や河川敷などで生活するホームレスも一種の「社会的な自殺」と言えなくもない。厚生労働省の今春の調査では、全国に二万五千二百九十六人いた。実態はまだ多いという指摘もある。自殺者と同様に、五十歳以上の男性が65%を占める。直前の職業は建設、製造業が多く、やはり不況の影響で失職している。半数は結婚していた。ホームレス生活の中からも孤独死や自殺が出ている。

 二つの問題の改善に必要なのは、当事者に対する適切な支援である。

 自殺の予防では、雇用・失業者対策の拡充は当然として、医療やカウンセリングなどの専門機関につなぐことが大事だ。企業では、保健担当者と上司、家族などが協力して治療を支援するのが理想である。実態はそこまで整っておらず、地域の精神保健福祉センターや保健所などの公的な支援・相談活動が重要になる。学校での教育も必要だ。やはり自殺率が高かったフィンランドやスウェーデンは、国を挙げて対策に取り組み、自殺率の低下に成果を上げた。
 ホームレス生活からの自立を促すには、住居を用意し、就労の訓練も行う必要がある。高齢者の就職が難しい中で、現実には資源回収や清掃などへの就労と生活保護による生活支援という半就労・半福祉的な対応もやむを得ないかもしれない。
 厚生労働省も、自殺防止対策有識者懇談会を設置、「ホームレス自立支援法」もつくって対応指針を打ち出している。社会保障審議会もこのほど生活保護制度の改正をめぐる論議を始めた。しかし、ここでも財政難の影響が強く、具体的な話になるとトーンダウンする。一例を挙げると、ホームレスのための緊急一時宿泊施設も三千人程度相当しかない。求められる数とは一ケタ違う。
 財政難で社会保障の各種制度が行き詰まりつつあり、財源として消費税率の引き上げを求める声が厚生労働省や自民党内にもある。しかし、小泉首相は「私の在任中は上げない」と繰り返すだけだ。行財政改革を優先したい意向のようだが、このままでは社会的弱者をさらに増やし、苦境に追い込む心配がある。対応も示さずに「上げない」だけでは、総理・総裁再選をめざす人の公約とは言えまい。

 終戦から五十八年。来年は高校に平成生まれが入ってくる。遠くなる昭和、その「昭和三十年代」がブームになりつつある
▼三十三年当時のテレビは現在価格で百万円ほど。皇太子ご成婚を機にブームが起き、プロレスや野球観戦、「月光仮面」などのドラマが庶民の楽しみに。洗濯機、冷蔵庫、電気がまの普及は主婦の家事労働を軽減。まさにモノを買う喜びのために働く時代だった
▼高度経済成長が進むとセルフサービスの巨大店舗が商店街をのみ込んでいくが、庶民文化研究家・町田忍氏によると、三十年代ブームのヒントが「デパ地下」にあるという(情報誌「地域づくり」八月号)
▼デパートで今も活気があるのが地下の食料品売り場。理由は「対面販売」や小さな店舗の集合と町田氏。街が近代化するほど人は人間くさい場所に集まるようだ
▼熊本市の庶民の台所・子飼商店街も昭和三十年代風に衣替えし、「懐かしさ」を売りにするという。幅約五メートルの道の両側に食料品や婦人服、雑貨の店が雑然と並ぶ子飼は対面販売の代表格。品ぞろえに独自商品を加えたり、「こんにちは赤ちゃん」など当時のヒット曲を流すのも面白いかも
▼山形県高畠町の中央通り商店街は「昭和」で生き返った街だ。物置に眠っていた品々を住民から募集。一号館は古い時計やカメラ、五号館は当時の生活用品を並べた六畳茶の間といったふうに「昭和ミニ資料館」を空き倉庫や店の一角に次々と開設。映画ポスター館もあり映画の街をめざす熊本市の新市街にも参考になりそう
▼昭和は若者の目にも「知らない面白さ」があるはずだ。
---熊本日日新聞 - 2003年8月17日(日)

ホームレス支援雑誌1周年 自立への一助
2004/09/11
 ホームレスの人たちが1冊200円で売る雑誌「ビッグイシュー日本版」が11日、創刊1周年を迎えた。仕入れ値との差額110円が収入となる仕組みで、販売員になり、路上生活を脱した人もいる。編集長の水越洋子さん(50)は「販売員の収入を増やしたい」と、月1回だった発行を今月から2回に増やす。
(山本哲志)
 六十歳のホームレスの男性は創刊当初から、ほぼ毎日JR三ノ宮駅前に立ち、一日約三十冊を売る。人前で声を出すのも慣れた。空き缶を集めていたころに比べ収入は倍になった。「食事がちゃんと取れるようになった。たまには映画も見に行けるんです」
 ホームレスの人だけが売れる同誌は二十四カ国で販売中。日本では水越さんらが設立した「ビッグイシュー日本」(大阪市)が創刊、約七万部を発行している。
 「販売員の中には野宿から簡易宿泊所に泊まれるようになった人もいる」と水越さん。売上金の一部を出し合い貯蓄しているグループもある。
 芸能情報から時事問題まで幅広く取り上げ、一年間で発行部数は約二万部増えた。しかし、仕入れる拠点が少なく、販売員の数がなかなか増えない事情もある。
 兵庫県内にも拠点がなく、仕入れるには大阪までの交通費が必要になり、販売員になることをためらう人も多いという。売っているのは神戸市内の三カ所ほどで、水越さんは「ホームレスの支援団体などに呼び掛け、仕入れ拠点を増やしたい」と話している。
 毎月一、十五日の発売。同社TEL06・6344・2260
「The Bigissue Japan」 HP
---神戸新聞

武庫川河川敷にホームレス“集落” 県など自立支援へ
2004/08/27


 尼崎、西宮両市の間を流れる武庫川の河川敷で、兵庫県内ホームレスの約二割が集まり木陰に小屋が立ち並ぶなど、県内最大の“集落”となっている。ホームレス対策では、県が今年になって自立支援を促す実施計画を策定。秋には多面的なサポートを目指す県内初のNPOが発足する予定で、官民で問題解決に向けた動きが出ている。(企画報道班・金川 篤)
 両市の調査では、武庫川河川敷のホームレスは百八十八人。両岸にほぼ半数ずつ住み、国道2号を中心とする約三キロに集まっている。
 周辺に住宅がなく、苦情を受けにくい▽河川敷公園にトイレ、水道がある▽都市部に近く、収入源のアルミ缶を回収しやすい―などの理由で、バブル経済の崩壊以降増加。数年間住み続けるなど、“定住化”が進んでいる。
 周辺住民によると、自然死した人の遺体が放置されていたり、子どもとトラブルになるケースがあったという。ケンカも多く、近くの男性(56)は「怖くて、見て見ぬふりの状態」と明かす。
 河川敷の占有は河川法で禁じられているが、県河川整備課は「人権問題があり、強制撤去は困難」と話す。生活保護の支給については「簡単に支給すれば、他地域からさらに流入する」(尼崎市)などとして慎重だ。
 県は、ホームレスに自助努力を働きかける相談業務を重視。ただ、人数削減の数値目標はなく、関係市町で具体的な方策を模索している。
 一方、神戸市を拠点にホームレスを支援してきた「神戸の冬を支える会」は今秋、NPO法人化を計画。武庫川河川敷近くや神戸市内など三カ所に宿泊施設を設け、住宅入居に必要な保証人を提供する予定だ。
 このほかホームレスが急増している大阪では、関西経済同友会が大阪市内に仮設住宅を整備すべきとの提言を発表している。

敗戦後の上野駅周辺


 駅の正面玄関左口構内では、ホームレスが二〇人ほど段ボールを持ってずらっと並んで立ち、終電が終わるのを待っている。時計を見ると一一時。寝床を確保するには、早い時間から競争に参入せねばならない。とりわけここのような交番前は、安全なので寝床として人気が高そうだ。
 正面玄関のキオスクの前にも四人ほどのホームレスらしき風体のものが、ワンカップで酒盛りをしている。緑の窓口の前にも腰を下ろしている中年の男女がいるが、それはホームレスなのか普通の人なのか、見わけがつかない。改札口をどこかで一杯やった帰りらしいサラリーマンが行き交っている。
 構内から外に出ると駅の軒下や駅前の映画館の軒下でもホームレスたちが段ボールハウスを組み立て始めている。
 止めてあった自転車のところまで戻ると、すぐ横の歩道と自動車道を隔てる欄干には、垢を数センチためたようなコートを着た、ずんぐりむっくりした老人ホームレスが、段ボールの上に腰を下ろしている。髪の毛も顔も垢でごってりとしているのが夜目にも伺える。
 そのすぐ前で若い男女が別れの抱擁を繰り返し、その横では赤い皮ジャンを着た茶髪の若い女が携帯に向かってきんきら声で何やら喋っている。
 私は自転車にまたがり、飲み屋街のほうへ行く。大和證券の軒下にかってはサラリーマンだったと思われる、ほどけたネクタイを首にかけているおっさんが行き倒れのように体をはすにして倒れている。
 飲み屋街は、若い男女、サラリーマン、呼びこみの水商売の女や男で充満している。頬を赤く染めた学生らしい集団が拍手をしてときの声を上げている。ホームレスだろうと思われるサンドイッチマンの赤ら顔の老人がファッションヘルスのけばけばしい看板を持って歩いている。路上に溜まった水滴にネオンの赤や青が溶け出ている。
 飲み屋街の中ほどで右手に折れ、大通りを越えて不忍池側に入り、周囲をぐるりと廻ってみる。
 いつの間にか、ここの主役はカップルからホームレスへと代っている。池をとりまくベンチで寝ているもの、植え込みの中に段ボールハウスを作っているもの、小公園の奥にテントを張るもの、いるわ、いるわ、どこもかしこもホームレスでいっぱいである。 
 なるほど、夜の上野の駅周辺は、国内で拡大する貧富の差を凝縮して見せてくれる、途上国と先進国がモザイク状に織り成す絵巻物の世界なのだろう。

 いや、待て、と私は胸に手を当ててみる。途上国でもこれほどホームレスを見たことがあるだろうか? そんな疑問に駆られて、訪れたことのある三〇カ国での経験を反芻してみる。いくら思い出しても、これほど路上の単独者がいる光景は、インドでも中南米でも中近東でも見たことはない。日本の戦後まもなくの情景を描いた映画やニュースフィルム以外では::。
 うーん、そうだ。今は戦後なのだ。日本は、冷戦という第三次世界大戦の勝ち組みに入ったものの、矢継ぎ早に行われた、その後の経済・産業・金融戦争でバブルに浮かれているうちに大敗北を喫したというわけだ。
 多くの人はこの敗北によりホームレスに陥ったのだから、個人の咎に罪を着せるのは、酷であろう。彼らの何かが変わったからホームレスになったのではなく、社会が変容したからこそホームレスになったのである。
 では、本来咎を負うべきは、誰なのか?
私は自問自答しながら、バブルとその崩壊を引き起こした社会の上層に位置する政治家、官僚、銀行家、株屋、などの面々を思い浮かべ、失業者として、むなしく腹を立てた。 
---ホームレスにホームステイー上野実践編

ソウル市内にホームレスが急増

ソウル市内のホームレス数が通貨危機直後の水準に達していることが分かり、ソウル市は緊急対策を準備している。
ソウル市は14日、10月末現在のホームレス数は730人で、昨年同期間の541人、02年の436人に比べ大幅に増えたと明らかにした。 これは、通貨危機の影響でホームレスが急増した98年10月の826人という最高記録に近い。
保護施設に入所したホームレスの比率は平均78%で、99年の91%、00年の90%、01年の88%、02年の86%、昨年の83%と比べて大幅に低下している。
ソウル市庁の李海燉(イ・ヘドン)社会課長は「アルコール中毒者や軽度の精神疾患者の場合、保護施設の集団生活に耐えられずに再び路上で寝泊まりするケースが多い」とし「憩いの場に行くと身元が分かってしまうため、クレジットカード負債に苦しむ人も入所を避けている」と説明した。
【視聴予定】
21時
15 ご近所の底力「特集山が動いた」 鉄道廃線急展開▽迷惑駐車30年目の涙▽不可能に挑むドラマ

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