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【トピック】
イラク国民議会選、シーア派が勝利宣言

 戦後イラクの国造りを左右する国民議会選挙が30日、投票された。投票所を狙ったテロが相次ぎ、犠牲者は少なくとも37人にのぼった。この選挙で、イラク政治の主導権がイスラム教スンニ派から多数派のシーア派に初めて移るのは確実だ。シーア派の政党連合の幹部は「われわれは圧勝した」と述べた。米政権は「中東民主化の試金石」と位置づけているが、シーア派、スンニ派、クルド人の三つの勢力間で亀裂が深まれば、中東など国際社会にも大きな影響を与える。

 勝利宣言をしたのはシーア派政党の連合である「統一イラク連合」の幹部。ロイター通信に「われわれの調べでは、地滑り的勝利になる」と語った。同連合は、シーア派の最高権威シスターニ師の意向を反映し、宗教政党など16組織が結集した。
 選挙管理委員会の幹部は投票終了後、「800万人が投票し、登録有権者の約6割になるだろう」と投票率見通しを述べた。一部の投票所からの聞き取りをもとにしており、特にシーア派地域の各州では60〜90%に達するだろうとした。
 ただし、この推定には全18州のうち、選挙が危ぶまれていたスンニ派地域の2州(人口比約14%)は含まれていない。
 シーア派が多い南部では朝から多くの有権者が投票所に並んだ。「投票はイスラム教徒の義務」とするシスターニ師のファトワ(宗教見解)に動かされた人が多かった。
 これに対し、中北部のスンニ派地域では出足が鈍く、北部の都市モスルなどで多くの投票所が迫撃砲攻撃を受け、有権者が近寄れなくなった。
 イラク内務省はテロの犠牲について、子供を含む市民30人と警察官6人が死亡、約100人がけがをしたと発表した。ほかに米兵1人も死亡。
 ロイター通信などによると、バグダッド周辺では少なくとも8カ所の投票所に対して自爆テロや迫撃砲攻撃があった。ナキーブ内相は「バグダッドで少なくとも27人が殺害された」と述べた。
 自爆テロのうち7件は、体に爆発物を巻き付けた男が歩いて近づき、自爆した。投票所周辺で車の使用が制限されたためと見られる。
 ザルカウィ幹部が率いるとされる過激派「イラク・アルカイダ機構」はインターネット上で、「各地で13人が自爆攻撃をした」とする犯行声明を出した。
 AFP通信によると、中部ヒッラで有権者を乗せて投票所に向かうバスが爆破され、5人が死亡した。シーア派地域の南部バスラなどでも投票所が攻撃され、選挙妨害の暴力は全土に及んだ。
 一方、29日夜にバグダッドの米大使館にロケット弾が撃ち込まれ、米国人2人が死亡した。ネグロポンテ大使は無事だった。
 反米武装勢力は事前に「投票に行った者を攻撃する」と脅迫ビラをまき、選挙関係者を殺害。また、スンニ派の宗教組織や多くの政党がボイコットを呼びかけていた。
 暫定政府は国境や空港を封鎖するなど厳戒態勢を敷き、15万人の米軍をはじめとする多国籍軍と、イラク警察など約10万人が投入された。非常事態宣言は30日間の延長が29日に発表された。

米国がイラクで背負い込む重荷 2005年1月17日 持田直武

 ブッシュ(父)政権の安保担当大統領補佐官スコークロフト氏は1月6日、ワシントンのシンクタンクの会合で講演し、「イラクの選挙は希望への転換点にはならず、一層の混乱への出発点になる可能性がある。選挙後、多数派のシーア派が政府を支配し、これに不満なスンニ派との対立が激化、初期の内戦の状態が生れるだろう」と予測した。
 カーター政権の安保担当補佐官ブレジンスキ氏も、このスコークロフト氏の見方を支持し、「米軍が現在のような態勢でイラクに留まれば、壊滅的な打撃を被る恐れがある」との見方を示した。そして、同氏は「米軍がこうした危険を避け、イラクの治安を完全に回復するには、50万人の兵力と5,000億ドルの予算が必要になる。そのためには、ベトナム戦争以後中止している徴兵制度を復活しなければならなくなるだろう」と主張した。
 ニューヨーク・タイムズも1月12日の社説で、「選挙は長い間、民主的イラクの出発点と期待されてきたが、今は最悪の事態の始まりのように思える」と懸念を表明、「選挙の延期を検討するべきだ」と提案した。一方、イラク駐留地上軍のメッツ司令官は1月7日の記者会見で、「イラクの18の省のうち、スンニ派住民の多い4省の治安が極度に悪く、投票に行く有権者の安全を保障することはできない」と述べた。そして、同司令官は「選挙を延期すれば内戦の危険が一層増す」との見方を示し、選挙延期に反対した。選挙を実施しても、延期しても内戦の恐れがあり、投票に行く有権者の安全も保障できないという。ブッシュ政権はまさに進むも地獄、退くも地獄の立場に立ったかのようだ。
 政権内でも、脱イラクの方策が論じられているのも間違いない。しかし、その場合でも、ブッシュ大統領はまずイラク軍を訓練し、米軍の作戦を段階的に引き渡して撤退を図るという、これまでの方針を変えないという。国防総省はその一環として、近くラック元在韓米軍司令官をイラクに派遣、イラク軍の訓練状況などの現状把握をすることになった。また、イラク暫定政府のアラウイ首相も、こうした米側の動きと連携、現在10万人規模のイラク人兵士を15万人に増員する計画を発表した。
現在のところでは、イラク軍はブッシュ政権の期待に応える能力をまったく持たないと言ってよいようだ。国防総省のリタ報道官は1月7日の記者会見で、これを暗に認めて次のように説明した。「イラク軍は優れた行動を取ることもあるが、ある場合には最高とは言えないこともある。多数の敵に遭遇すると、イラク軍の中には撤退し、他日の戦闘に備えるという部隊もある」。要するに、敵に遭遇すると、戦闘を放棄して逃げるということだ。

 治安に不安があっても、ブッシュ大統領は選挙を実施しなければならない立場に追い込まれた。そして、選挙のあと、米軍の撤退計画を国民に示さなければならない。スコークロフト氏は、国連、あるいはNATOにまかせて米軍を引き揚げるべきだと主張したが、仏独などの反対を考えれば、それが実現するとは思えない。ブッシュ大統領が国際的な嘲笑を覚悟して、米軍に敵前逃亡を命じれば別だが、そうでなければ、治安回復の名目が立つまで米軍をイラクに留めるしかない。民主党のケリー大統領候補は、「イラクはブッシュ大統領の途方もない失敗」と批判したが、同大統領が途轍もない重荷を背負い込むのは確かなようだ。

浅井久仁臣 2005年01月30日 Weblog
 スンニ派支配地域における投票率は、限りなくゼロに近いものです。
 バグダッドの「トラブル発生多発地域」では、多くの投票所が開場されませんでした。
 これまで長期にわたって反米活動が続き、米軍によって軍事制圧を受けたファルージャでは、5ヶ所の投票所に現れたのは、男性1人と現地からの情報は伝えています。
 これまた激戦の続いたサマッラでは、恐らく1人の有権者も投票しないだろうと予測されています。それは、投票所を運営管理する職員が姿を見せなかったからです。
 モスルでも投票所に現れた有権者は数えるほどであったとの情報が入ってきています。

中部4市で投票所開かず 治安懸念で(東京新聞)        【バグダッド30日共同】イラクの独立選挙管理委員会のヒンダウィ委員長は30日、共同通信に対し、首都バグダッド南方のマハムディヤ、ラティフィヤ、ユスフィヤ、ラシドの中部4都市で治安上の懸念から、国民議会選挙の投票所が1カ所も開いていないことを明らかにした。地元の選管が決めたという。
 マハムディヤでは昨年5月、フリー記者橋田信介さんら日本人2人が殺害された。一帯は武装勢力の活動が極めて活発な地域。
 委員長によると、投票を希望する4都市の有権者は、近隣の投票所で受け入れるという。
 一方、アヤル選管報道官は同日の記者会見で、中部サマラでは、いったん開いた投票所1カ所が治安上の理由で閉鎖されたと述べた。

【私的めもらんだむ】
10時
 毎朝冷え込む日が続いている。今朝も中庭では野鳥たちがキュウイを食べにやって来ている。殆どは落ちたキュウイの実を食べている。昨日は、うち一匹が工場内に入り込み、監督が何とか外に出してくれた。パニックに陥る野鳥は、自然界とは勝手が違う人工物人間社会から必死に逃げ出そうとする。自然界であれば、どんなに繁茂する森であれ、彼らは難なく逃げられたろう。逆に人間であればどうか。おそらく森に一晩過ごすだけで怯えて眠れないだろう。私も何度かひとりテントを張って試したが、森は騒々しいほど幾多の命に溢れ、その鳴き声に、その気配に、安ワインを飲んでも眠れずじまいだった。人間はかくも自然と隔絶し、ために自分を含めた命の原点を忘れてしまっているようなところはないだろうかと、思うのだ。今年もひとり、森に入って自然体験しようと思っている。そのためにも早く春が来て欲しい。
 そろそろ仕事にかからねば・・・今日はベース2台の研磨作業に入る。その前に猫に餌をやらなければ・・・


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