04/8/10 (火)
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美浜原発で蒸気漏れ、4人死亡 2人重体、5人重軽傷
 9日午後3時28分ごろ、福井県美浜町の関西電力美浜原子力発電所3号機(加圧水型軽水炉、出力82万6000キロワット)で、運転中に発電用タービンの異常を示す警報が鳴り、原子炉とタービンが相次いで自動停止した。タービン建屋(たてや)(3階建て)内で配管が破裂して高温の蒸気が噴き出し、作業員11人がやけどを負って病院に運ばれたが、4人が死亡し、2人が重体、5人が重軽傷。放射能漏れはなかったが、運転中の原発の事故としては過去最悪の規模。福井県警は業務上過失致死傷などの疑いで捜査を始めた。

 関電によると、11人は原発の保守・点検をしている木内計測(大阪市天王寺区)の若狭支社美浜営業所の技術員。
 3号機は14日から定期検査に入る予定で、当時、建屋では計221人が作業をしていた。11人は2階で定検の準備作業をしていたという。2階は縦103メートル、横40メートルの広さで、高さは7メートルある。
 この型の原発は、原子炉で水(1次冷却水)を熱し、蒸気発生器で放射能を帯びない蒸気(2次冷却水)を作ってタービンを回す仕組み。タービンを回した蒸気は復水器で水に戻され、蒸気発生器に再び送られる。
 関電によると、破裂したのは、復水器から蒸気発生器に行く炭素鋼製の復水管(直径約56センチ、肉厚約1センチ)。2階の天井を通る部分で上部が約50センチにわたってめくれ、穴があいていた。やけどをした技術員は約10メートル離れた場所で作業していた。
 配管には10気圧で142度の水が流れており、それが蒸気となって噴き出したらしい。
 配管は毎日午前中に目視点検している。この日も午前9時に点検し、異常はなかったという。
 関電は、過大な圧力がかかって引き伸ばされるように破れる「延性割れ」の可能性が高いとみている。現場で撮影した写真を分析したところ、裂けた部分の肉厚は最小で約1.4ミリ。破裂時に引き伸ばされたと思われるが、肉厚が薄くなっていた可能性が強いという。
 破裂場所の約50センチ上流に計器があり、流れが乱れたことも影響したのではないかとみられる。
 関電の内規では、2次系配管の肉厚などは10年ごとに4分の1ずつ点検し、40年ですべてを終えることになっていた。破裂部分は76年に運転を始めてから一度も点検されていなかったという。
 関電は午後4時15分に非常災害対策本部を設置。経済産業省原子力安全・保安院も現地の検査官らのほか、幹部を派遣、緊急調査を始めた。
 保安院によると、原子力施設のトラブルの規模をはかる国際評価尺度で「0+」と暫定的に評価した。下から2番目に低いランクで「安全上重要ではない事象だが、安全に影響を与え得る事象」にあたると判断した。
 原子炉も安全に停止し、周辺などへの放射能汚染につながる事故ではないが、人命が失われたことを重視した。
 国内の原子力施設で複数の死者が出たのは、99年に茨城県東海村の民間ウラン加工施設「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所で2人が死亡した臨界事故以来。
    ◇
 死傷者は次の通り(敦賀署調べ、敬称略。住所はいずれも福井県内)
 【死亡】小浜市北塩屋、高鳥裕也(29)▽三方町藤井、中川一俊(41)▽敦賀市相生町、井石(いせき)智樹(30)▽上中町大鳥羽、田岡英司(46)
 【重体】小浜市水取、亀窟(かめいわ)勝(30)▽同市千種2丁目、愛甲将樹(29)
 【重傷】▽上中町井ノ口、宇敷邦夫(46)▽小浜市南川町、岡田真一(43)▽同市和久里、林克己(54)
 【軽傷】美浜町丹生、小矢(こや)淳平(23)▽小浜市下根来、早佐古(はやさこ)清(44)

噴き出す蒸気、次々倒れる作業員 死傷者は下請け社員
【以下要約】
 敦賀消防署の隊員4人が美浜原発に到着すると、3号機のタービン建屋近くの路上に担架が置かれ、2人が横たわっていた。1人は全身に包帯が巻かれ、もう1人はうめき声を上げていた。隊員は心肺蘇生を施している看護師の横を通り抜け、建屋内に入った。タービンのある部屋のドアを開けると、猛烈な熱気が外に吐き出たという。
 美浜町と隣り合う敦賀市の市立敦賀病院には午後4時10分すぎから午後5時すぎにかけて8人が運ばれた。いずれもヘルメットや作業服姿で「痛い」「痛い」と繰り返した。同病院の中川原儀三院長によると、うち高鳥裕也さん(29)ら4人はすでに心肺停止の状態だった。事故について「一瞬のことで、まったく分からない」と話していたという。
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美浜の会、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
 配管検査の必要を無視した関電は、4名を死に至らせた責任を明らかにせよ
 昨年の4月頃にすでに協力会社は当該部位が健全性確認すべき部位であるのに登録されていないことに気づいていた。関電はそのことを昨年11月に協力会社から指摘を受けながら、9ヶ月間も放置していたのである。しかも、今年7月には、大飯1号の2次系3系統の配管曲がり部で厚さが半分になるほどのひどい減肉が発見されている。それでもまだ検査に取りかかろうとしなかった。
 破断個所は第4給水加熱器から脱気器に至る途中で、通水流量を測定するために通路を狭めるオリフィスの下流部分であった。蒸気混じりの水がオリフィスによって渦巻く乱流となり、配管壁を削り酸化させていたのであろう。約10mmの壁厚が1.4mmにまで減肉(エロージョンしていたというが、実際は酸化(コロージョンによってさらに弱っていたと思われる。配管壁がまるで紙のように約50cmばかりめくれ上がっているが、その様子は米国のサリー原発2号で1986年に起こった破断の形態にそっくりである。破断はほとんどギロチン破断に近いものであった。たちまちにして2次冷却水が破断個所から抜け出していく。その冷却水は本来は途中から3系統に分かれて3台の蒸気発生器に導かれるようになっている。もし蒸気発生器への給水が止まると、炉心を冷やす1次冷却水の冷却ができなくなり炉心溶融の危険が生じるのである。
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 美浜3号機で破断した二次系の復水管(直径50センチ)は、運転を開始して以来、28年間1度も検査をしていませんでした。全くの手抜き検査が、大事故を引き起こしたのです。大飯1号機の定検で発見された二次系主給水管でも、配管の肉厚が半分以上も減肉しているものが見つかっていました。この時も、配管の検査は、10年で配管の25%を検査する=配管全体は40年間に1度行えばよいというものでした。 手抜き検査による経済性追求が、事故を引き起こしているのです。 関電は、まずは全ての原発の運転を即刻停止すべきです。
 事故を起こした美浜原発3号機は8月14日から定期検査に入る予定でした。定検は原子炉を停止して始められます。しかし、定検の5日前から、準備作業をしていたのです。
美浜の会、最新情報
【私的めもらんだむ】
7時
 美浜原発蒸気漏れ事故は、ついに死者4人の犠牲者を出し、最悪な場面となった。まだ2名が重態だとのことだが、さらに死者が増える可能性もあるだろう。定期検査前の準備とはいえ、221人もの作業員が原子炉を稼動させている最中に働くこと自体、無茶ではなかったか?安全性を考えれば原子炉を停止しての作業が当然だが、それを許さない経済効率一辺倒の経営姿勢が今回の重大事故に繋がったようだ。これは長距離トラック運転手の苛酷な環境に酷似する。最も安全性を優先させなければならぬ原発で、中で働く作業員には苛酷な労働環境を強いる矛盾のことを、電力会社側は猛省すべきなのだ。原爆投下で何十万もの人間を焼き尽くしたほどの原子力エネルギーだ、その脅威は原子力発電においても変わらないことを考慮すれば、原子炉を稼動させながら作業するなど決して出来ないはずなのだ。
13時
美浜水蒸気漏れ事故、搬送相関図


 やはり気になるのは市立敦賀病院に搬送するまでの時間である。火災報知機の警報が鳴って5分後には福井県警敦賀署に第一報が入っているのに、最も急がねばならぬ病院への最初の搬送が45分もかかっているのだ。一刻を争う緊急時に、この45分は致命的となったのではないか?しかも、一報を受けた警察署が交通規制もしなければ、電力会社側が警察や消防署との迅速な連携をはかった形跡もみられない。消防署が現場に駆けつけたのは何時ごろだったのか?このことが重傷者の生死を分ける重要なポイントとなる。真っ先に連絡を受けた警察ならびに関西電力がどう対処したのか・・・本来なら警察は病院への搬送ルートを確保するため交通規制をし、電力側はそれに呼応して重傷者を救急車に乗せるべく準備し、消防署に連絡しながら重傷者の体を冷やして救急車を待ち受ける、というのが自然な対処法だろう。そうした迅速な対処法が重傷者の命を救うことに繋がるのは云うまでもない。
 ところが実際には・・・パニックを起こして右往左往する関係者しか相関図からは浮かんでこない。それぞれが緊急時の自分の役割を見失い、まずは重傷者の命を救うという基礎本能すら忘れてしまっていたのではないか?人命に関わる緊急時には現場責任者の一存に任せる、といった対応策が求められてしかるべきではなかったか。敦賀消防署の隊員が駆けつけ、心肺蘇生を施したのは何時ごろだったのか?救急隊員が施す応急手当に医師法の規制はかかっていなかったのか?救急隊員が駆けつけた時、重傷者は全身を包帯で巻かれていたというが、これは適切な処置だったのか・・・患部が細菌に侵されることを防ぐ処置だと思うが、それが病院に運ばれた時点で火傷部位が水ぶくれを発症し、包帯を取る際に皮膚が剥奪したようなことはなかったのか・・・
 私も何度か建築現場で事故を目撃した体験がある。鉄板に押し潰された遺体を引き出したときの体験は忘れられない。人間はかくも脆い存在なのかと、私の心に今もあの時の光景が焼きついている。見上げれば安全第一の看板が虚しかったことを・・・未曾有の大不況とはいえ、そのしわ寄せが現場で働く作業員に無理を強いるようなことがなかったのか、様々な思いが交錯する中でこれを書いている。

救命率上がらぬ救急救命士制度
 米国心臓協会(AHA)と救急心臓治療委員会(ECC Committee)による心肺蘇生法のガイドラインでは,救命には心停止後4分以内にCPR(心肺蘇生),8分以内に除細動を行うことが重要とされている。これに対して,現在の日本の現状では,心停止が起きてから119番通報までに約10分,救急車が現場に到着するまでに約6分かかっている。つまり,現場到着以前にタイムリミットを超えてしまっているのだ。 (参考文献:平成10年9月号 日経メディカル P28〜29)
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救急救命士の処置範囲拡大についての検討
 119番通報から救急隊が到着するまでの全国平均時間は、平成12年の平均で6.1分となっている。脳が酸素なしで生きていられる時間は、わずか3〜4分といわれており、たとえ医師に引き継いでも意識(脳)を回復させることは非常に困難とされ、心肺停止者の救命率の向上には、救急隊が到着するまでの間、そばにいる住民の心肺蘇生法(CPR)による応急手当が極めて重要となる。(心肺停止後、3分以内に心肺蘇生を開始すれば、約75%とされる救命率が、4分経過後は、25%にまで低下するとされている。全国の消防機関では、救命率の一層の向上を図るため、住民に対する心肺蘇生法(CPR)の実技指導を中心とした、普及講習の実施を積極的に行っている。一人でも多くの人が、こうした機会を捉え技能を習得し、救急救命士の処置範囲の拡大と相まって、かけがえのない命を救うため努力することが求められている。 平成14年
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「救える命」を救うために 救急の日・救急医療週間
 これまでは、ラリンゲアルマスクや食道閉鎖式のエアウェイによる方法のみでしたが、平成16年7月1日から気管内チューブを使用して肺に空気を送り込む「気管挿管」による気道確保も行うことができるようになりました。これによって、患者の状態に応じ、多様な方法で気道確保を行うことができるようになります。
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★事故の応急手当【やけど初期手当てのポイント】
1. 流水(水道水)でどんどん冷やす。水圧が強くなりすぎないように注意する。
※水圧で水疱(水ぶくれ)が破れないようにする。
※やけどをしていないところはできるだけ濡らさないようにする。小さい子は特に低体温に陥りやすいので、やけど以外の部分は毛布などで包む。
※胸やお腹などをやけどした場合は、流水で冷やしすぎると体温が低下するので、服の上から濡れタオルや氷でじんわり冷やす。
※乳幼児の場合は、冷却中に震えが起きたら冷やすのをやめ、できるだけ早く病院へ行く。
2. 服の上からやけどした場合、絶対に服を脱がさない・めくらない。
※やけどした部分に付着した服を脱がせると、一緒に皮ふがはがれてしまうのを避けるため。
※衣服の下の皮ふの状態を確認する場合は、衣服をはさみで裁断して。皮ふに衣服が付着しているところは触れない。
3. できた水疱(水ぶくれ)は絶対つぶさない。
※水疱が破れるとそこからバイ菌が入って感染症をひきおこす可能性がある。
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火傷
火傷の程度の一つの目安として、火傷の程度を3つの段階に区分する方法があります。
第1度:ヒリヒリ痛み、多少赤く皮膚が変色する程度。
第2度水泡ができ、痛みが強い。
第3度:皮膚が黒く焦げたり、白く変色したりしている状態。痛みはわからなくなっている事が多い。
 おおまかな成人男性の体表面積の割合を書いておくと、
頭:9%
腕:片腕で9%
胴体:表だけで18%、裏だけで18%
生殖器:1%
脚:前だけで9%、後ろだけで9%
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長崎への原爆による攻撃
人体障害作用
原子爆弾の人体障害は3種に区別される。
1 熱線による障害
2 放射能による障害
3 爆風による障害
上記のうち、放射能による障害を原子爆弾症という。
1熱線による作用
 これは火傷である。火傷に露出部の火傷と、被服が焼かれたための火傷と二種類ある。
 総じて、爆心地より約4200m以内で放射熱線の直射を受けたものが火傷をおったが、特に露出部を火傷したものは火傷した皮膚がその後の爆風で剥離したり、よれた皮膚が垂れ下がったものが多い。
 その中、身体の20%以上を火傷したものは大部分死亡するか後日死亡
2 放射能による障害
 放射能のために、身体に特殊障害がおこり、数時間で死亡したり、数日あるいは数ヶ月後死亡した(特別な例としては終戦後八年した現在((昭和28年現在))でも死亡するものがある)
 その症状は放射能で腸を侵されたために、始めは猛烈な下痢を起こしそのうち体がだるくなりしまいに
 毛髪が脱落して死亡するという経路が多い。
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人工皮膚、キトサン・ファイル
 1990年、サハリンで大火傷を負って札幌医科大学付属病院に入院したコンスタンチン少年の治療に使われたのは、大手繊維メーカーのユニチカで開発された「ベスキチンという人工皮膚でした。キチン・キトサンは生体親和性が高く副作用もなく鎮痛効果、止血効果、殺菌作用もあり、体液の滲出を吸収でき、新生肉芽の促進作用などが認められており、患部に被覆すると、痛みを和らげ、炎症を抑制し、火傷や傷の治りが早いのです。また、使用後は体内のリゾチームなどの酵素により自然に分解消滅してしまいます。
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【視聴予定】
21時
54-23:10 報道ステーション 美浜原発3号機の中で何が?高熱蒸気の恐怖▽横田めぐみさんが焦点?日朝実務者協議▽星野仙一が語るアテネ&球界再編 テレビ朝日

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