04/01/24 (土)
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輝け巨大和紙
 京都で活躍する若き和紙デザイナーの堀木エリ子さんは、このほど東京の汐留の美術館に巨大な作品を展示した。この作品は和紙の里・今立町の職人たちとの共同作業で完成した。和紙のいろはも知らなかった当初、彼女は和紙に日本の伝統美に触れた想いで、これを全世界に広めようと一念発起したという。そして37歳のとき、堀木さんの巨大和紙はニューヨークのカーネギホールで世界的なチェロ奏者ヨーヨー・マの舞台を飾る。
ヨーヨー・マーのコンサート
 作品をつくる過程での彼女のユニークさは、女性スタッフらと共に紙梳きの現場に赴くことだ。そうして職人技を身に付け、和紙のもつ特性を活かしつつ創作していく。この不況の最中、伝統工芸だけで生活していくのは難しくなってきている。かくして和紙の可能性を追求しながら、結果的には、斜陽化傾向にあった和紙づくりに励む職人たちをも活気づけている。
 創作の過程でも彼女の新たな発見と挑戦は衰えることを知らない。漆塗りの伝統を守っている職人がいると聞けば、さっそく飛び込んで和紙に漆を塗ることの可能性を模索する。私も一度だけ寺院で漆を塗ったことがある。埃を極端に嫌う難しい仕事だった。
漆を塗った作品
高価な漆のこと、彼女のように和紙に塗るなどという発想自体、思いもつかぬことだ。それだけに斬新なアイデアに敬服し、かつ感化されもする。金閣寺の金箔の下地に漆が塗られていることを思い出した。(2002年、11月14日の日誌) 輪島塗りも需要が極端に減少し、その活路として乗用車の内装に一部試みられているようだ。外部に用いるには塗膜が劣化するなど問題が多い。いま私などが使っている材料はそれこそ化学物質そのものであり、自然の素材を活かす堀木さんのような方法こそ我々職人の指針となろう。
(参考、NHKテレビ「人間ドキュメント」より要約)


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