湾岸戦争症候群・セドリック君の場合 目次
セドリック君が生まれた時、父親のスティーブ氏はすぐに湾岸戦争との関係が浮かんだと言う。セドリック君は生まれてすぐ集中治療室に運ばれたが、そこにはすでにたくさんの障害児がいた。その子どもたちの父親はみな湾岸戦争からの帰還兵だった。スティーブ氏はその原因を調べるうち、自分の子どものように目が全く無い状態で生まれてくるのは、化学物質か放射能による汚染か、遺伝が原因でしかないということが分かってきた。

スティーブ氏はセドリック君を障害児としてではなく、一般の子どもたちと同じ環境の元で育てようとしている。家庭では屈託のない子どもたちと笑いの絶えない家庭を心がけながら、多額な医療費を支えるために夫婦共稼ぎの毎日が続いている。

セドリック君の頭部には水頭症の症状が見られ、片目は生まれつき眼球が無い。

1995年8月、スティーブ氏は公聴会において、ガルフウォーベビーの持つ親たちの苦しみを訴えた。「私は毒ガス用の薬だと言われてPBを飲んだが、そのため胃痙攣や頭痛に襲われた。またビートという成分の防虫剤を使用させられた。その後、様々な疾患を抱えた息子が生まれ、病院で検査を受けたが、遺伝子に異常がないことが判明している。私たちは医療費を補うために財産を失い、生活保護に頼る生活を強いられている」こうしてスティーブ氏は政府に抗議、その保証を求めて100通に及ぶ手紙を出す。しかし政府の返事は「科学的根拠なし」という冷たい拒否であった。

セドリック君の背骨は変形していて、左にあるべき腎臓も右になっている。さらに、胃につながる食道と、肺につながる気管が複雑に絡み合うゴールデンハン症にも犯されている。セドリック君はこれまで10回に及ぶ手術を乗り越えてきたが、成長に合わせて骨を移植したり、体内に入っている様々な人工チューブを取り換えるために、今後20回以上の手術が必要だと言われている。

湾岸戦争症候群・レアちゃんの場合