03/09/09 (火)
 給食用PC食器は本当に安全か?
 学校給食用のPC食器(ポリカーボネイト食器)から、生殖器異常をもたらすビスフェノールAが溶けることが分かり、問題となっている。しかし、溶け出す量が国の基準値2.5ppm(2500ppb)より遥かに微量なため、そのまま使いつづける学校もあるという。使用続行を決断した学校1686校に対し、中止したのは232校、15%に満たない。
 これまで学校給食の食器は、昭和20年頃ではアルマイトが使われたが、スープを持つと手が熱いとの理由で中止、昭和40年頃にはプラスチック製メラミンに替えられたが、人体に有害なホルモアルデヒドが検出され中止、そして昭和50年代に入るとポレプロピレンが使われるが、酸化防止剤が混入されていることが分かり、60年代のPC食器に落ち着いていた。
 これらPC食器の環境ホルモンについて、メーカー団体(日本プラスチック日用品工業組合理事、下村康夫氏)は微量ゆえに問題は全くないと断定、厚生省は検討会を設置、厚生省の食品化学課長・内田康夫氏によれば、結果が出るのは来年の夏頃になるという。調査委員長の猿田勝美氏は、検出される量があまりに微量なため、因果関係の実証は不可能としている。

 環境ホルモンが微量ということで、大勢は子どもの健康に影響なしとしているが、本当にそうなのだろうか? 二年前の日誌で私は「超低濃度汚染の恐怖」を書いていた。以下、抜粋・・・

 環境ホルモン汚染が1億とか1兆分の1という低濃度でホルモンを撹乱することから、これまでの化学物質汚染での検査法を根本から見直すべきだという。物質によっては低濃度であればあるほど悪影響をもたらすものも分かってきており、基準値以下の低濃度であるから安全だとは言い切れなくなってきている。通常ではそれら有害化学物質は量が多ければ、濃度が大きければ大きいほど被害程度もまたそれに比例して大きく影響すると思われてきた。ところが、大量に投与しても害を及ぼさない化学物質も、それを極度に希釈した超低濃度にすればするほど被害程度が大きくなるという研究結果が出てきて科学者たちを当惑させているというのだ。

 あれから二年、環境ホルモンが微量なため因果関係の実証は不可能とする日本の分析専門家は何をしていたのであろうか?彼らは専門家ゆえにすでに「超低濃度にすればするほど被害程度が大きくなる」ことは分かっていたはずである。怠慢というほかはない。それで結局のところは「微量だから安全だ」としてまう専門家とは何なのだろう?事実は「微量だからよけい危険」なのではないか。子どもの健康を思うあまりの過剰反応とさえ受け取られがちな世相傾向にあって、現実はもっと深刻な問題に我々は直面しているのだ。本当の意味で、子どもが危ないのだ。
 二年前の同じ月の日誌には「若者の精子が危ない」が併用して書かれてある。


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