03/07/25 (金)
リベリアのモロンビア道路上でLURD戦士が殺されている
内戦のリベリアに平和維持軍派遣 西アフリカ諸国が決定
 西アフリカ15カ国でつくる「西アフリカ諸国経済共同体」(ECOWAS・本部ナイジェリア)は23日、セネガルの首都ダカールに加盟国の外相や国防相、軍参謀長を集めた緊急会議で、内戦が続くリベリアに1週間以内に1300人規模の「西アフリカ諸国平和維持軍」(ECOMOG)を派遣することを決めた。ECOWASやダカールからの報道によると、ECOMOGの第一陣として、ECOWASで最大の軍事力を持つナイジェリアの政府軍部隊が展開する。同軍の重武装の二つの機械化歩兵大隊は展開準備を終えた。AP通信によると、リベリアのテーラー政権と反政府勢力との和平協議が続くガーナの首都アクラで23日、テーラー大統領の側近ルイス・ブラウン氏が、大統領は平和維持軍のリベリア展開後すぐに退陣し、出国すると明らかにした。首都モンロビアでは同日、最大の反政府勢力「リベリア和解民主連合」(LURD)が前日に表明した一時停戦を撤回して攻撃を再開した。LURDは首都郊外にある同国最大の貿易港モンロビア自由港を制圧し、首都中心部に向けて迫撃砲などによる攻撃を強めている。
ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体:Economic Community of West African States/
仏 CEDEAO:Communaut Economique Des Etats d'Afrique Occidentale)
西アフリカ英語圏の大国ナイジェリア・ガーナ主導の下で、1975年5月28日にラゴスで結成された西アフリカ諸国間の地域経済共同体。16か国が加盟(ガーナ、カボヴェルデ、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、コートディヴォワール、シエラレオネ、セネガル、トーゴ、ナイジェリア、ニジェール、ブルギナファソ、ベナン、マリ、モーリタニア、リベリア)。英語圏加盟国と仏語圏加盟国のあいだの伝統的な対立は、今回のリベリア内戦においてもECOMOG参加をめぐる後者の消極性(およびブルギナファソとコートディヴォワールのNPFL支援容疑)や、前者による後者の国境侵犯問題などのかたちで顕在化した。しかし、一連のリベリア和平交渉の主宰者、平和維持軍の指揮者、および暫定政府組織の樹立者として、ECOWASは内戦期を通じてつねにリベリア停戦プロセスの主役でありつづけた。域内経済の自由化を本来の目的とするECOWASが、リベリア内戦を契機に集団安全保障の確立にも乗り出したこと、またアフリカ地域における紛争がECOWASの努力により、初の域内解決へと結実したことは画期的なできごとであった。
ECOMOG(ECOWAS停戦監視団:ECOWAS Monitoring Group)
ECOWASがリベリアの停戦監視を目的として編成した多国籍軍(最大時の兵力1万8000)。1990年7月5日のECOWASリベリア調停常任委員会会議で構想され、1か月後の同委員会首脳会議で創設が決議された。8月下旬のモンロヴィア上陸直後にNPFLの政権掌握を目前でくいとめ、内戦終結までモンロヴィア自由港の作戦本部から市内を自軍管轄下においた。ナイジェリア国軍がつねに組織の主力で、ECOMOG総司令官(野戦司令官)のポストも初代クァイヌー(ガーナ陸軍大将)をのぞきナイジェリア人将校が歴代を占めてきた。ECOMOGのリベリア派遣はナイジェリアにとり域内リーダーとしての国威をかけた事業だったが、そこにはドー政権期に培われたリベリア・ナイジェリア首脳間の親密な関係も強く作用していた(ババンギダ将軍(当時)はECOMOG派遣にあたり、側近のナイジェリア財界人からリベリア投資の権益保護を求められ、同時にリベリアの国家経済に対する今後のナイジェリアの影響力も考慮していたといわれる)。テイラーは、ECOMOGの主力が英語圏諸国である、とりわけドー政権に近いナイジェリアであることを再三にわたり非難し、モンロヴィアで樹立された暫定政府の正当性も同じ理由から認めようとしなかった。そのためECOMOGには、91年から仏語圏のセネガル軍が、93年末以降にはOAUを通じてECOWAS非加盟の東アフリカ諸国からタンザニア・ウガンダ軍が合流し、組織内のナイジェリア・ガーナ色をうすめる努力がなされた。93年以降、国境地域へのたび重なる空爆事件をめぐってコートディヴォワール政府との関係が悪化した。また内戦後半期からは、ECOMOG軍兵士による強盗・略奪・麻薬取り引き・少女売春の斡旋・反NPFL武装ゲリラへの武器の横流しなど、軍規の乱れが国際世論の非難を浴びる局面もあった。だが、アブジャII合意後の97年には内戦各派の武装・動員解除を成功に導き、リベリアにおけるほぼ唯一の停戦監視軍として功績をのこした。内戦終結後も、停戦監視の目的でモンロヴィア在留期間を延長した。
【情報元】4-1. 国際組織と停戦監視団
【関連サイト】ヤフー版ニュース: リベリア内戦
【関連ページ】リベリア:内戦激化 首都で市街戦の恐れ(日誌03/07/21)&リベリア図解リベリアMAP

 
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